D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士   作:京勇樹

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帰還 

「桜内。もう降ろして! このままじゃ桜内まで遭難しちゃう!」

 

「うるせえ! こんなところで降ろせるか!」

 

「でも、こんな吹雪じゃ桜内まで!」

 

「それはこっちのセリフだ! こんな吹雪の中に1人置いていけるか!」

 

義之は猛吹雪の中、麻耶を背負って歩いていた

 

空は既に暗く、視界は最悪と言っていい

 

背後の雪原には、一人分の足跡しか残ってない

 

義之は、休火山の火口付近からずっと麻耶を背負って歩いているのだ

 

だが、歩いてる途中で吹雪になり更には、日が暮れてしまったのだ

 

周囲には、人影は一切ない

 

麻耶は、このままでは義之まで遭難すると危惧して降ろしてと言うが、義之はそれを一蹴した

 

「それに、委員長は怪我してんだろ!? 早く診せたほうがいい!」

 

麻耶は火口で足を挫いたのだ

 

義之が確認した時は、足首は赤くなっていた

 

(捻挫だったらまずい)

 

「そ、そうだけど……」

 

「だったら、おとなしくしててくれ! そうすれば、俺だって疲れずにすむ!」

 

「わかったわ……」

 

麻耶はようやく観念したのか、おとなしく義之の背中に体を預けた

 

「もう少しの辛抱だ。距離的にはそろそろのはずだ」

 

「ありがとう……」

 

それから義之は、黙々と歩き続けた

 

正直に言えば、義之だって休みたい

 

足はまるで、棒のようで。既に感覚も麻痺している

 

だけど、休んだら、麻耶の怪我を診せるのが遅れるし、音姫や由夢、まゆきたちも心配する

 

だから、疲れたなんて言えない

 

その一心で義之は歩き続けた

 

そして、10数分歩き続けると……

 

「お? おい! 光が見えたぞ!」

 

義之は、背負っている麻耶に教える

 

「え? あ、本当だ!」

 

2人の視線の先には、確かに光が見えた

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

コテージ ロビー

 

「ウヴァー、疲れた……」

 

義之はロビーで両足を伸ばして、ソファーに座っていた

 

到着してから義之は、それはもうモミクチャにされた

 

音姫なんか、涙目で抱きついたほどだ

 

その後に、食事をしてから温泉に浸かった

 

「まぁ、無事に済んでよかったかな?」

 

と、義之が首を傾げていると

 

「そう思ってるのは、弟くんだけだよ?」

 

と背後から、まゆきが肩を掴んだ

 

「ほんっっっっっっとに、心配したんだからね?」

 

まゆきは肩から手を放すと、義之の前に回って義之の顔を覗き込んだ

 

その表情は、怒り半分、心配半分と言ったところか

 

「すいません」

 

義之は素直に頭を下げた

 

「あたしも、したんだからね? 弟くん達をあそこに向かわせたの、あたしだし」

 

と、まゆきは義之の隣に座った

 

「責任感じちゃった……」

 

まゆきは両手を組むと、その上に額を当てた

 

「……すいません」

 

義之は申し訳なく思った

 

「今度こんなに心配かけたら……ぬっころすよ?」

 

まゆきのセリフには、安堵が感じられた

 

「はい……」

 

「うん」

 

まゆきは義之の返事を聞くと、ソファーから立ち上がった

 

「それと、向こうのフォローしといたほうがいいよ?」

 

「あ、音姉ですか? それは、後で…」

 

しときます

 

と、言おうとしたが

 

「ううん。沢井のほう、そうとう責任感じてるみたいよ?」

 

と、麻耶の部屋の方角を示した

 

義之は不思議に思った

 

なぜ、麻耶が責任を感じるのかと

 

「転ばなければ、橘達を追えたし、弟くんに余計な負担をさせなかった。って」

 

「なるほど」

 

義之は頷くと、ソファーから立ち上がった

 

「そういえば、裕也とフェイトはどうしました?」

 

「ん? あの2人だったら、B地区の第2ロッジに避難したって」

 

「そうですか。それじゃあ、ちょっくら行ってきます」

 

「ん、よろしくね~」

 

義之は、まゆきの声を背に聞きながら、麻耶の部屋に向かった

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

「おーっす、入るぞ~」

 

義之は軽くノックすると、ドアを開けて中に入った

 

「あ、桜内……」

 

麻耶は、ベッドのふちに腰掛けていた

 

「足首はどうだ?」

 

麻耶の右足首には、真新しい包帯が巻かれている

 

「ん。捻っただけだから、すぐに治るって。治癒魔法も掛けてもらったわ」

 

「そっか。そりゃよかった」

 

義之は笑みを浮かべながら、麻耶の横に座った

 

「……桜内、あのね……」

 

「待った、謝るのはナシな」

 

麻耶が謝ろうとしたのを、義之は片手を挙げて制した

 

「でも……」

 

「あれは誰のせいでもねーよ。それに、謝るなら俺のほうだ」

 

「どうして、桜内が謝るのよ」

 

「あれは、少し考えれば予測できたことだ。それなのに、俺がフォローしなかったからな」

 

「そんな……」

 

「それにさ、委員長は少し1人で抱え込み過ぎなんだよ。裕也とフェイトが言ってただろ? 友達なら、助けるのは当たり前って。だからさ、少しは頼れ」

 

「………うん」

 

「まぁ、俺じゃ頼りないかもしれないけどさ、相談くらいならのるぜ」

 

「ありがとう……」

 

しばらく沈黙が続くと

 

「さてっと。それじゃあ、そろそろ寝るか。おやすみ」

 

「お、おやすみ……」

 

麻耶は顔を赤くしながら、返事をした

 

(ま、これなら大丈夫かな?)

 

義之はそう思いながら、自室に戻ったのだった

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