D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士   作:京勇樹

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約束

「ありがとうございましたー!」

 

俺と委員長はあれから、注文していた物を食べ終わりお金を払うと、店を出た

 

気付けば、外は暗く、人影もまばらになり始めていた

 

「時間も大分遅いし、送っていこうか?」

 

と、俺が聞くと委員長は一瞬驚いた顔をして

 

「そんなことを言う桜内、なんか気持ち悪い」

 

「……失礼なやっちゃな」

 

酷い言われ様である

 

「あはは、怒った? でも、ホントにいいから」

 

委員長は笑いながら、手を左右に振った

 

「そうか? んじゃ、またな」

 

「うん、また明日」

 

俺と委員長は、そこで別れた

 

と、その時

 

「くしゅん!」

 

と、委員長のかわいらしいくしゃみが聞こえた

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

翌日 放課後

 

俺はなぜか、委員長の住むアパートの前に立っていた

 

理由は、委員長は朝から体調不良だったんだが、昼に早退

 

で、授業後の掃除中に小恋が委員長のプリントを拾ったんだ

 

でなぜか、俺が届けることになったんだ

 

理由は杏曰く

 

『義之は、委員長のアパートに行ったことがあるでしょ? 知ってる人が行くのが当たり前でしょ』

 

とのこと

 

だったら、裕也やフェイト。アリシアもだろ

 

って言ったら

 

『防人とフェイトは生徒会だし、アリシアなら、リンディさんの所に行くって、帰ったわ』

 

だってさ、詰んでたよ

 

で、掃除が終わったから来たんだ

 

「えっと……ここだな」

 

目の前の表札には

 

沢井の文字

 

まあ、前に来たから知ってるけど

 

「なんか、緊張するな………」

 

俺は深呼吸をしてから、インターホンを押した

 

少しすると

 

『はい!』

 

と、聞き覚えのある子供の声

 

「あ、勇斗くん? 俺だけど」

 

『あ、お兄ちゃん? 入って!』

 

少しすると、鍵が開いた

 

「お兄ちゃん、いらっしゃい!」

 

少したどたどしい言葉遣いで、出迎えてくれた

 

「おっす、勇斗くん。お姉ちゃんは?」

 

「寝てるよ」

 

と、勇斗くんは奥の部屋を指差した

 

なるほど、あそこが委員長の部屋か

 

「お兄ちゃんは、どうして家に?」

 

おっと、そうだった

 

「これを届けに来たんだ」

 

俺は、鞄の中からプリントを取り出した

 

「お姉ちゃんに渡してくれるかな?」

 

「わかった」

 

俺は、勇斗くんが受け取ったのを確認すると

 

「それじゃあ、俺はこれで」

 

と帰ろうとしたら

 

「お兄ちゃん……帰っちゃうの?」

 

と勇斗くんが、寂しそうに俺の制服の裾を掴んでいた

 

考えてみれば、勇斗くんはまだ5歳なんだよな

 

「OK、遊んでやろう」

 

「ホント!?」

 

うん、やっぱり子供は笑顔が似合う

 

とはいえ、外では無理だから中だがな

 

俺が中に入って、机に座ると

 

「はい、どうぞ」

 

と、勇斗くんが牛乳を入れたコップを置いてくれた

 

「ありがとう」

 

なぜに牛乳と思ったが、5歳の子供が火を使うのも危ないので仕方ないと納得しとく

 

「そういえば、お母さんは?」

 

確か、委員長の家は母子家庭だったはず

 

仕事かな? とも思ったが、聞いてみた

 

「寝てるよ」

 

「寝てる?」

 

思わぬ答えに、聞き返してしまった

 

「うん。はたらきすぎで、からだをこわしちゃったんだって」

 

いかにも頑張って覚えました。って感じで、たどたどしく答えてくれた

 

なるほど……

 

それなら確かに、委員長が心配するのもわかる

 

以前、スキー合宿に行くと決まった時、委員長は家のことを心配していた

 

その時に、母親が寝たきりとは聞いていたが

 

ここまでとはな………

 

「お父さんは?」

 

一応、念のために聞いてみたら

 

「死んじゃったんだって。僕は覚えてないけど」

 

俺はその言葉に愕然とした

 

離婚したのかな? とは思っていたが

 

「でもね、ハツメイとかしてたエライ人だったんだって」

 

そう言ってる勇斗くんは、少し誇らしげだった

 

初音島には、天枷研究所を含めて、研究機関が多数あるからそこで働いてたんだろう

 

(女手一つで、ここまで二人を育てたのか………)

 

俺には正式には両親は居ない

 

代わりに、朝倉家の人たちが俺を育ててくれた

 

だからか、朝倉家の人たちには感謝してるし、頭が上がらない(音姉と由夢は兄妹みたいな感覚)

 

だから、委員長の母親にも自然と尊敬の念を抱いた

 

すると、勇斗くんが

 

「ねえ、お兄ちゃん。なにかオハナシしてよ」

 

一瞬、なのはのO☆HA☆NA☆SHI☆が頭に浮かんだが、振り払って

 

「よっしゃ! 俺の面白い友達のことを話してやろう!」

 

「うん!」

 

それから俺は、風見学園に入学してから起きた(もしくは起こした)、いろいろな事件を多少の脚色を含めて面白おかしく話した

 

「あはは! お兄ちゃんのお友達は面白いね!」

 

ふむ、この笑顔だけでも話した甲斐があったな

 

「まあ、お前の姉ちゃんも十分、面白い奴だがな」

 

と、俺が言った瞬間

 

「誰が面白い奴ですって?」

 

聞き覚えのある声が聞こえた

 

「あ、お姉ちゃん!」

 

「おお、委員長。起きたのか?」

 

俺の後ろには、SSPで見慣れたパジャマ姿の委員長が居た

 

「それはあんだけ笑い声が聞こえれば、起きるわよ」

 

そう言いながら、委員長は俺の隣に座った

 

「で、桜内はなんの用?」

 

「忘れ物を届けに来たんだよ。明日までに出すプリントがあったろ?」

 

俺が言うと、勇斗くんが

 

「はい、お姉ちゃん」

 

と、プリントを渡した

 

「あ、これ忘れてたんだ。ありがとうね、桜内」

 

「いいってことよ」

 

「お兄ちゃんに遊んでもらってたんだ! お兄ちゃんのお友達って、面白いね!」

 

勇斗くんの言葉に、委員長は申し訳無さそうにして

 

「勇斗と遊んでもらって、ありがとうね。私もどこかに遊びに連れて行きたいんだけど、なかなか行けないのよ」

 

「なるほどな………」

 

この家庭環境なら、仕方の無いことだろう

 

俺は少し考えると

 

「俺が連れて行ってやろうか?」

 

「え?」

 

「おせっかいかもしれないけどさ、きっと楽しいぜ? あ、勇斗くんは、<さくらパーク>に行ったことあるか?」

 

さくらパークは初音島にある巨大テーマパークだ

 

「さくらパーク! ボク、行ったことないよ。お兄ちゃん、連れてってくれるの? ホント?」

 

勇斗くんは子供らしく、目を輝かせて俺を見つめてきた

 

が、委員長は正反対に渋い顔をして

 

「ちょっと、悪いわよ」

 

「え? ダメだったか?」

 

「ダメ……なの?」

 

委員長の言葉に、勇斗くんのつぶらな瞳が揺れた

 

「ダメってわけじゃないけど………いくら桜内でも、悪いわよ……」

 

その言葉を聞いた勇斗くんは、俯いて

 

「わかった……ボク、行かない……」

 

そう言って、椅子に座った

 

その顔は達観していて、諦めること、我慢することに慣れてるみたいだ

 

(悪い、ぬか喜びさせちまったみたいだな……)

 

と、俺が念話を委員長に送るが、委員長から返事はなくって

 

そして、数瞬後

 

委員長は勇斗くんの隣まで歩いていくと、肩に優しく手を置いて

 

「わかった。遊園地、行きなさい」

 

と、微笑んだ

 

「……いいの?」

 

勇斗くんは信じられないのか、再び委員長に問いかけた

 

「ただし、お姉ちゃんも付いていきます。それなら大丈夫よ」

 

と、俺が今まで見たことの無い姉の顔で笑っていた

 

「やったぁ! お姉ちゃん、ありがとう!」

 

勇斗くんが委員長に抱きついて、委員長は勇斗くんの頭を撫でながら

 

(ありがとうね、桜内)

 

と、念話を送ってきたので

 

(いいってことよ。ただし、土曜までには治せよな?)

 

(わかってるわ。それに、明日には治ってるはずよ)

 

(それは重畳。ってわけで、俺は帰るぜ)

 

(ええ)

 

そこまで言ってから、俺は勇斗くんと委員長に見送られながら、帰宅した

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