D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士 作:京勇樹
「ふへー……疲れた……」
初日の授業が全て終わり放課後になると、明久は背伸びしながらそう呟いた
「明久さん。途中煙が出てましたよね……」
「まあ、基本的にバカだしな」
世話を任されていた音姫の呟きに、結華は同意して頷いた
明久はそんな二人の言葉をスルーすると、振り返って
「で、今日はこの後バイトだよね?」
「ああ。そんじゃ、行きますか」
明久の言葉に同意すると、結華は机に掛けていたカバンを掴み立ち上がった
「バイトですか? 学生なのに?」
バイトをするのが予想外だったらしく、音姫は二人を見ながら首を傾げた
「ああ。あたし達な、元々裕也の両親を頼りに来たから、あんまし金が無いんだ」
「それに、裕也くんが働いてるのに僕達が働かないのはカッコ悪いしね」
音姫からの疑問に対し、二人はそう返した
すると、音姫は納得した様子で頷き
「裕也くん、頑張ってますよね」
と、微笑みながら呟いた
その呟きを聞いて、二人は頷き
「だよね」
「まあ、少しは年上として頑張らないとな」
と言うと、ドアの方へと歩み出して
「じゃあね、音姫ちゃん」
「また明日な」
「はい! また明日!」
と三人は別れた
そして下校していると、途中で一台のリムジンが明久達の隣に止まり窓が開いて
「こんにちは、明久さん、結華さん」
「こんにちは!」
リムジンの中から、すずかとアリサの二人が挨拶してきた
「あ、アリサちゃんにすずかちゃん」
「二人とも、本当にお嬢様だったんだな……」
リムジンに乗っている二人を見て、明久と結華は驚いた
二人が裕也の家に来た時、二人がお金持ちというのは聞いていた
だが、まさかリムジンまで有るとは思わなかったのだ
「フフフ……ビックリしました?」
「フフン、どうよ?」
すずかは微笑みながら、アリサは胸を張りながらそう言った
「いやぁ……初めて見たよ」
「本当に長いんだな……」
リムジンを見た二人が呆然としていると、運転席側のドアが開いて中から執事服を着た初老の男性
アリサの執事である
「吉井様、常村様。お乗りください。喫茶翠屋までお送りします」
と言いながら、恭しく頭を下げた
鮫島の発言を聞いて、二人は驚きからか目を丸くしながら
「いやいや、悪いですよ!」
「すずかちゃんやアリサちゃんの送迎を優先してください」
と言った
すると、中に居たアリサとすずかが
「あたし達、これから習い事に行くんだけどね。翠屋の前を通るのよ」
「ついでですから、乗ってください」
と言った
そんな二人の言葉を聞いて、明久と結華は顔を見合わせると
「ここまで言われたら……」
「乗らないワケにはいかないね……」
と呟くと、視線を鮫島へと向けて
「すいません、ご好意に甘えさせてもらいます」
と、二人同時に言った
すると、鮫島は微笑みながら
「承りました。では、どうぞ」
と言いながら、ドアを開けて二人に中に入るように促した
そして、リムジンの内装を見て固まった
高級感漂う赤い座席に、車の中だと言うのにあるテレビや小型冷蔵庫
更に、天井には豪華なシャンデリアすらあった
それらを見て、二人が固まっていると
「お座りください。出発します」
と、鮫島が座るように促した
その言葉に二人は我に帰り、近くの座席に座った
座席はやはり高級らしく、手触りは素晴らしく座ると体が優しく包まれた
二人が座ると、リムジンは静かに走り出した
鮫島の運転技量が高いからか、リムジンの内装はあまり揺れていない
そして、改めて内装に二人が感嘆していると
「何か飲む?」
とアリサが問い掛けた
問い掛けられた二人がアリサの方へ視線を向けると、アリサは近くの小型冷蔵庫のドアを開けて、中の飲み物類を指差していた
小型冷蔵庫の中には色々な種類の飲み物が有ったが、どれもかなり高そうだと二人は思った
「いや、大丈夫だ」
「どうせ、すぐに翠屋に到着するだろうしね」
結華と明久がそう言うと、アリサはすずかに視線を向けて
「すずかは何か飲む?」
と問い掛けた
問い掛けられたすずかは、顎に人差し指を当てて考えると
「それじゃあ、オレンジジュース貰える?」
と言った
すずかの言葉を聞いて、アリサは中からオレンジジュースのパックを取り出すと
「はい」
と手渡した
「ありがとう、アリサちゃん」
受け取ったすずかはお礼を言うと、パックにストローを刺して飲み始めた
そして数分後、翠屋の前にリムジンは静かに止まった
「どうぞ、吉井様、常村様」
鮫島は素早く降りると、ドアを開けて二人に降りるように促した
「ありがとうございました」
「ありがとうございます」
二人はそれぞれ、お礼を言いながら降りた
そして、二人が降りると鮫島は恭しく頭を下げてから運転席に戻りリムジンを出発させた
二人はそれを見送ると、翠屋に入った
そして、手早く制服を脱いでから翠屋のエプロンを着てホールへ出た
すると、士郎が近寄ってきて
「リムジンでご出勤とは、豪勢だね」
と微笑みながら言った
士郎の言葉を聞いて、二人は苦笑いを浮かべながら
「たまたま、アリサちゃん達のお迎えと重なったんですよ」
「それに、好意を無碍には出来ませんし」
と言った
すると、士郎は微笑みを浮かべながら頷いて
「わかってるよ。運転席に鮫島さんの姿が見えたからね」
と言った
士郎のその発言を聞いて、二人は驚いた
「よく見えましたね……」
「運転席、完全に翠屋の前を通り過ぎてましたよね?」
と二人が言うと、士郎は
「目の良さには自信があるからね」
と言うと、カウンターの奥へと戻った
二人は士郎を見送ると、改めて高町家のデタラメさを思い出していた
それは、今から数日前
二人が翠屋で働いていた時、観光客らしい男達が働いていた忍や美由希に対してしつこくナンパをしていたのだ
もちろんのこと、二人はそのナンパ男達を軽くあしらっていた
だが業を煮やしたのか、男達は忍と美由希に対して手を上げたのだ
しかし次の瞬間には、忍の前には恭也が現れ男を投げ飛ばし、美由希は霞むような速度で動き意図も簡単に男を制圧したのだ
その後、士郎が男達を軽く数メートル程店の外に放り捨てたのだ
その光景に二人は呆然としたが、裕也曰わく
『相変わらずの身体能力ですね』
とのことだった
どういうことかと裕也に聞くと、裕也はどこか遠くを見ながら
『桃子さんとなのはは例外ですが、士郎さん、恭也さん、美由希さんの三人は魔法を使っても勝てません』
と言ったのだ
それを聞いた二人は、しばらくの間固まってしまった
そして、忍が笑みを浮かべながら
『戦闘民族高町家』
と言い、裕也は同意を示すように頷いた
閑話休題
二人が思い出していると、来客を示すベルの音が二人の耳に入った
その音を聞いて、二人は気を引き締めて
「いらっしゃいませ!」
「喫茶翠屋にようこそ!」
と接客へと向かった