D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士 作:京勇樹
筆が進んで、一日で書き終わった!
時は経ち、金曜日の放課後
今日で美夏を預かるのも終わるため、義之は心底安堵していた
あれからも度々、美夏の天然により義之は心臓に悪い思いをした
それが終わるとなると、義之としては解放される気分だった
だがそれと同時に、麻耶との同棲も終わってしまうので寂しくも思えた
そして義之は、美夏と共に保健室に向かった
保健室に入ると、水越女史が椅子に座っていた
「いらっさーい、義之くん。天枷を預かってくれて、ありがとうね」
と水越女史が言うと、美夏が腰に手を当てて
「美夏に問題はなかったぞ!」
と自信満々に言うが、義之は溜め息を吐いて
「嘘こけ、お前の言動でこっちはハラハラしっぱなしだったよ」
と苦言を呈した
義之の言葉に美夏が反論しようとしたら、水越女史が手を叩いて
「はいはい、そこまで。で、二人共。天枷がロボットって、バレてないわよね?」
と問い掛け、義之がそれに答えようとした時だった
突如、ガタンとドアが揺れた
「誰!?」
水越女史が問いかけると同時に、義之が勢いよくドアを開けた
そこに居たのは
「麻耶!?」
義之の彼女の沢井麻耶だった
麻耶は顔を蒼白にしながら、狼狽した様子で
「……天枷さんがロボットって、本当……なの……?」
と問い掛けた
麻耶からの問い掛けに美夏が答えられないでいると、義之が肩を掴んで
「麻耶、落ち着いて聞いてくれ! これには、深い訳があるんだ!」
と、説明しようとしたが、麻耶は唇を噛んでから義之の手を振り払って駆け出した
「麻耶!」
義之は麻耶を追い掛けようとしたが、美夏のことも気になって振り向いた
すると、美夏は俯きながら拳を握り締めていた
そんな美夏に、水越女史が寄り添って
「天枷は私がなんとかするから、沢井さんを追ってあげて!」
と言った
義之は数瞬迷うと、水越女史を見つめて
「すいません、頼みます」
と言って駆け出した
廊下に出ると、すでに麻耶の姿は見えなかった
麻耶の運動神経はかなり高く、それは二年前の夏に行われた運動会で義之も知っている
しかも、魔法適性も高いためにそれを考えるとすでに学校から出ていることすらも考えられた
義之はそう考えると、まずは下駄箱に向かった
そして、麻耶の位置を見ると、すでに上履きが入れてあった
義之は軽く舌打ちすると、教室まで急いでカバンを取ると、麻耶の家に向かった
バスを待つのももどかしく、義之は飛行魔法を使い麻耶の家の方向へと向かった
本来だったら罰則モノだが、義之としては構ってられなかった
そして、麻耶の家である団地に到着すると、そのまま麻耶の部屋のドアの前に着地した
そして、震える指でインターホンを押した
誰も出ずに、十数経った
義之がもう一回押そうとしたら
『はい』
聞き慣れた男の子の声が聞こえた
「あ、勇斗くん? 俺だけど」
『あ、お兄ちゃん! ちょっと待ってて』
勇斗は義之と気づいたらしく、そこで音が途切れ、ガチャリと金属音がして
「お兄ちゃん、いらっしゃい!」
勇斗くんが義之を出迎えた
義之は勇斗に目線を合わせると
「勇斗くん、麻耶……お姉ちゃんは?」
と問い掛けた
「さっきかえってきて、だれともあいたくないっていって、へやにこもってるよ」
と、たどたどしくも教えてくれた
どうやら、タッチの差だったらしい
義之はその事に内心で悔しく思いながらも、勇斗くんに
「入っていいかな?」
と問い掛けた
すると勇斗は、笑みを浮かべて
「いいよ、はいって」
と促した
義之は入ると、靴を脱いでから麻耶の部屋の前に立った
義之は一瞬躊躇ったが、ドアを軽くノックした
返事はないが、義之は口を開いた
「麻耶、そのままで良い。聞いてくれ」
そこまで言っても、中からは返事はない
「天枷のことを秘密にしていたのは謝る。だけど、これは偶然だったんだ。杉並と一緒に入った洞窟に、天枷が眠っていた装置があって、それを俺が偶然起こしちまったんだ。起こしたのは仕方ないから、研究所は天枷を普通の学生として風見学園に転入させたんだ。そして、俺と裕也が世話することになった」
そこまで言っても、麻耶から返事はない
「あいつは……天枷はな、約五十年前に作られたロボットだったんだ。ただ、当時はロボット排斥運動が激しくって、あいつは俺達が見つけた洞窟に封印されたんだ。だから天枷は……人間が好きなのに、人間を信じられなくなったんだ。俺はそれをどうにかしたくって、色々と話したりした。天枷がロボットだってバレないように手伝った。だから、罪があるとしたら俺なんだ。頼む。天枷を恨まないでくれ……」
それは、以前に水越女史から教えられたことだった
美夏は精巧に出来すぎていたので、ロボット排斥主義者たちにとっては忌むべき存在として認知されてしまったのだ
それを悲しく思った開発者である、前天枷研究所の責任者の天枷博士はHM-A06型<ミナツ>を廃棄処分したと発表してから冬眠させたのだ
それが、美夏にとっては裏切りと見えたのだ
人間に近い感情を持つからこそ、美夏は人間に恨みと憎しみを持ってしまった
だが、そんな美夏も義之たちに出会って優しい本来の姿に戻ってきていた
そして、美夏が友人と思っていた中には当然、麻耶も入っていた
だが、麻耶の反応は美夏にとって悲しいものだった
もしかしたら、また冬眠してしまうかもしれないほどに……
しばらく待ったが、なんの反応もなかった
そのことに義之は悲しく思いながらも、帰ろうとした
が、裾が引っ張られて
「お兄ちゃん、お兄ちゃん」
と、勇斗くんが呼んだ
「どうした?」
と義之が問い掛けると、勇斗くんは悲しそうにして
「お姉ちゃん、どうしちゃったの?」
と聞いてきた
「ちょっと、嫌なことがあって落ち込んでるだけだよ。すぐに元通りになるさ」
「ホントに?」
勇斗が首を傾げてくると、義之は勇斗の頭をなでながら
「ああ、本当だ。だから、勇斗くんはお姉ちゃんの近くに居てあげてくれ」
「うん、わかった」
義之の真剣な表情から、大事な約束とわかったのだろう
勇斗は真剣な様子で頷いた
そして、義之は帰ろうとして、ふと思い
「勇斗くんは、ロボットってどう思う?」
と問い掛けた
「うん、かっこいいと思う」
勇斗はアニメとかで出てくる、ロボットを予想したようだ
「じゃあ、μっていうロボットのことは知ってる?」
「うん! 人間そっくりですごいと思う」
勇斗はどうやら、悪い印象は持っていないようだ
「じゃあ……例えば、ロボットを苛めたり壊したりする人が居たら、どう思う?」
「あのね、そういうのはココロのマズシイ人だって、お母さんが言ってた。人間のほうが強いんだから、守ってあげなくちゃいけないんだって」
どうやら母親の躾がいいらしく、五歳児にしてはしっかりしていた
(ということは、麻耶の考えが、沢井家の標準じゃないってことか……でも、どうして麻耶はロボットが嫌いなんだ?)
義之はそう思うと、以前に会ったあの優しい母親を思い出した
この姉弟の母親に会って話を聞けば、もしかしたらなにか分かるかもしれない
「うん。だから、ひとりでテレビを見てたんだ」
どうやら、今日はアルフも暇ではないらしい
義之としては遊び相手になってあげたかったが、この後のことを考えると帰るしかなかった