D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士 作:京勇樹
裕也達は守護者部隊初音島支部に戻ると、早速会議を始めた
内容はもちろん、先の演説から分かったインデックスの襲撃である
風見警察署の署長であるリンディと、機動隊の隊長のゲンヤは守護者部隊と一緒に初音島を守ると言ったが、問題は初音島の一般人達の避難であった
最初は初音島の外に逃がして、近隣の街に避難させるという案が出された
だが、橋の本土側が閉鎖されて、更にはフェリーも止められたのだ
なぜそんな事をしたのか、初音島の市長がそれぞれの街に問い質したら、《巻き込まれるのは御免だ》
という解答であった
すなわち、彼らは初音島を見捨てたのである
市長は彼らに抗議したが、彼らは一切取り合わなかった
そして裕也達が困り果てていた時に、杉並が現れて
『我が非公式新聞部の地下アジトへ避難しては如何かな?』
と言ったのである
その後、裕也と蓮華、更にリンディを連れて杉並は地下アジトへと案内した
驚いたのは、地下アジトの規模だった
非公式新聞部の地下アジトは、学園地下だけでなく、初音島全体に存在し、普通の教室並みの広さの部屋が52も存在することが分かったのだ
しかも、同じように出入り口は学園だけでなく、初音島全体にあり、学園だと、階段の鏡の裏にあったり、中庭の花壇の隅にあったり、校庭のド真ん中にあったり、果てには、道路や公園のトイレに有ったりしたのだ
裕也達はそれを見て、非公式新聞部の神出鬼没さの理由を知った
閑話休題
リンディは非公式新聞部地下アジトへの避難を決定し、一般人達へ避難するように促した
中には移動の難しい病人も居たが、それは医療設備毎地下に運び込んで対処することにした
当然ながら、52の部屋には収まりきらなかったので、通路にも避難させることにはなったが、なんとか全員の避難が完了したのが、翌日の夕方近くであった
その後、食料や衣類や寝具の運び込みを行って、地上では、防衛の為に防衛線の構築が始まった
しかし、初音島の戦力は警察、守護者部隊、聖王教会騎士団合わせて約四百足らず
それだけでは、防衛が不可能なのは予想出来ていた
ゆえに、スカリエッティは世界中の守護者部隊や聖王教会騎士団に援軍を要請
更には、警備用にと製造配備していたガジェットの利用を決定した
ガジェットの調整に、スカリエッティやウーノ、クアットロだけでなく、すずかまで協力を申し出た
しかも、裕也達として予想外だったのが、一緒に戦うと意識を取り戻した義之や音姫、なのは達も立候補したのである
裕也は最初難色を示したが、義之達は一歩も引かなかった
特に、義之や美夏、なのはとユーノ達は頑なだった
義之と美夏は麻耶を、なのはとユーノはヴィヴィオをインデックスに誘拐されており、自分達で取り戻したいと思っていた
これ以上の説得は無理と判断して、裕也はせめて非殺傷設定を外さないようにと義之達に言い含めたのだった
時は少し戻り、インデックス側は一隻の船で移動していた
その船の名は箱舟
そして、艦橋に当たる場所に居たのは、インデックスの女教皇
ヨハンナであった
そんな彼女の背後には、数人の付き人が待機していた
だが、その中の一人が守護者部隊の一人
スカリエッティの生み出した戦闘機人の一人、ドゥーエだった
ドゥーエは11年前の脱出時にワザと残り、スパイとして活動していたのだ
しかし、なぜバレていないのか
それは、彼女のISが理由である
ドゥーエのIS、その名も《ライアーマスク》
見た目だけでなく、声まで別人にすることが出来るのだ
彼女はそれを利用して、11年という長きに渡って、スパイ活動を続けてきたのである
当然ながら、何回も見つかりそうになって、殺されそうになった
だが、初音島に居る姉妹達や裕也達を思って乗り越えてきた
だが、今回ばかりは命を懸けざるをえなかった
今この場には、付き人達以外に使徒は居ない
そして、目の前には無防備なヨハンナの背中
まさしく、絶好のチャンスだった
だが、それと同時に言い表せない不安があった
まるで、目の前居るヨハンナを殺せないという不安が
だが、そんな不安で絶好のチャンスを不意にする訳にはいかなかった
ドゥーエは飲み物を乗せたトレイを持つと、ヨハンナに近づいていって
「ヨハンナ様、お飲み物にございます」
と恭しく頭を下げた
「よしなに」
ヨハンナはそう言うと、コップを受け取り、それを飲み始めた
その瞬間、ドゥーエはトレイを離して自身の専用武装たる《ラスティー・ネイル》を展開
そして、ヨハンナの首をその爪で切り裂いた
(
吹き上がった血と手の感触からドゥーエはそう思ったが、次の瞬間には混乱した
なぜなら、今自分が殺した筈のヨハンナの姿が消えていたのだから
しかも、死体だけでなく血の跡すら無くなっていた
予想外の光景に、ドゥーエは混乱の極みに達して固まっていた
その時
「愚かな……」
背後から溜め息混じりの声が聞こえて、ドゥーエは振り向いた
その直後、ドゥーエはもの凄い衝撃を受けて吹き飛び、壁にめり込んだ
そして、視界が歪んだドゥーエが見たのは、殺した筈のヨハンナが無傷で立っていた姿だった
「有り……得ない……」
自分は確かに、ヨハンナの首を切り裂いた筈……
ドゥーエがそう思っていると、ヨハンナは微笑みを浮かべて
「あなたが私を殺しに来るのは分かっていました……ですが、私は死にません」
ヨハンナはそう言うと、自身の胸元に手を当てて
「私と同化しているヨハンナの神名碑……それにより、私は現象と同じになりました」
と説明すると、ヨハンナは息を呑んだ
現象になった
つまり、ヨハンナは《そこに居るだけ》
事実上の不死だった
そのタイミングで、数人の使徒がなだれ込むように部屋に入ってきた
どうやら、ドゥーエを殺しに来たらしい
それを見たドゥーエは、心中で
(ごめんね、皆……私、此処までみたい……)
と謝ってから、目を細めて
(せめて……皆に会いたかったな……)
と思ったのを最後に、ドゥーエの意識は途切れた