D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士 作:京勇樹
「来るぞ!」
裕也が叫んだ直後、前方に居た救難十四聖の一人が魔法を発射した
禍々しい赤い魔力砲が、裕也達目掛けて空を走る
「俺の後ろに!」
裕也はそう言いながら、鉋切長光を抜いた
次の瞬間銀閃が走り、魔力砲を切り裂いた
そして魔力砲の向こうには、救難十四聖と教皇ヨハンナ。その向こうに、捕まっているドゥーエが見えた
「ゼストさん!」
「任せろ!」
裕也が名前を呼ぶと、ゼストは槍を振るった
その一撃を避けるために、救難十四聖達は一斉に散開した
だがヨハンナは一切動かずに、ゼストの一撃を受けた
しかも、その一撃でヨハンナの首が飛んだ
「なっ!?」
「なにっ!?」
その予想外の光景に、裕也達は驚愕した
だが体は動き、ドゥーエの周囲に展開した
その直後
『行くっす、セイン!』
『あいよぉ!』
という通信が聞こえた
そして、上空から人影が降ってきた
ショートカットにした水色の髪が特徴の少女
セインだった
セインはその手に持っていたナイフを振るうと、ドゥーエを縛っていたロープを切断した
そして、ドゥーエを抱えると
「IS、ディープダイバー!」
自身の能力を発動して、地面に潜った
裕也達はそれを確認しながらも、周囲に視線を向けた
ヨハンナを殺したというのに、救難十四聖達や他の使徒達は慌てた様子は無い
その様子に、裕也達が疑問を覚えていた
なぜ、ヨハンナが死んだというのに、慌てていないのか
ヨハンナの死は、彼らの敗北の筈だと
裕也達が不思議そうに思っていた
まさにその時だった
「背中がお留守ですよ」
とヨハンナの声が聞こえた
「なに!?」
それにいち早く気づいて、ゼストが振り向いた直後
「があっ!?」
そのゼストが、吹き飛ばされた
「ゼストさん!?」
「ゼストの旦那!!」
直前でユニゾンアウトしたのか、先ほどまでゼストが居た場所には、小さな赤い髪の女の子
ユニゾンデバイスのアギトが居た
アギトは吹き飛ばされたゼストに近寄ると、ゼストの名前を呼んだ
だが、先ほどの一撃が致命傷に至ったらしく、ゼストは返事出来なかった
裕也達はすぐにその場から離れて、ゼストの立っていた場所に視線を向けた
先ほどまでゼストが立っていた場所に後ろには、殺した筈のヨハンナが無傷で立っていた
「有り得ない……」
「確かに、首を飛ばした筈だぞ……」
神夜と蓮華が呟くと聞こえたのか、ヨハンナは微笑みを浮かべて
「驚いているみたいですね……」
と言うと、裕也達を見ながら
「特別に教えてあげましょう……私は、ヨハンナの神名碑によって、現象へと至りました……」
と告げた
「現象、だと……?」
「それは、つまり……」
蓮華と神夜が言葉を無くしていると、ヨハンナは慈悲深い笑みを浮かべながら
「私は、不老不死なんですよ」
と答えた
それを聞いて、蓮華達は絶句した
要するに、死なないのだ
「そんなん、どうやって倒せってんだよ……」
「倒せるわけが……」
二人が絶句していると、ヨハンナはクスクスと笑ってから
「では、我々の力を見せましょう……」
と言うと、黒い表紙の本を出した
そして、その本を広げると何かを唱え始めた
その数秒後
『HQより総員に通達! 海中に巨大な反応を感知! 約四百mサイズ!』
という、ウーノからの悲鳴染みた通達が入った
その直後、ゴゴゴゴ……という地響きのような音と共に、海中から巨大な何かが姿を現した
三角形に近い造形に、甲板にある角のような装飾
何よりも、その凄まじい威圧感
「まさか……!」
「聖王のゆりかご……!」
そう
その巨大な船こそが、かつて旧暦に世界を席巻した戦艦
「さあ、我々の力にひれ伏しなさい……このゆりかごに」
聖王のゆりかごである
ここから、絶望的な戦いが始まった