ただ一つの、あこがれだけは   作:インノケ

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海賊に憧れる男、ヨハンの物語。

宇宙海賊「バルバロス」への入隊


1話

 海賊。

 男ならば一度は夢に見たことのある、海の荒くれ者だ。波を越え嵐を越え、まだ見ぬ財宝を探し求める。

 これはそんな海賊に憧れた一人の男の物語である。

 

「スイーパー上がりなら好都合だ! 強いってのはこのゲームで最高のステータスだからな!」

黒い革張りのソファに足を組んで座る青年が、大口を開けてオーバーなほどに笑う。

 ダメージ加工された軍服を纏った彼は、机を挟んで反対側に座る男を見て続ける。

「機体は自前のがある、と…フリントか! アンタ、筋金入りのってやつだな?」

からかうような口調の青年に対し、男は短く答えた。

 「俺を、置いてくれるか」

青年とは対照的にかっちりと軍服を着た男は揺らがないまなざしで青年を見つめ返す。

 青年は一つにやりと笑うと、大仰に手を広げ叫んだ。

「ヨハン・ジルバ、いいぜ気に入った。ようこそ、『バルバロス』へ!」

 

 

「ようこそ、『バルバロス』へ! 俺はリーダーのチュワンだ。つまり今日からお前は俺の子分ってことだ。しっかり働けよ!」

「よろしく頼む」

 チュワンと名乗る青年が手を差し出す。

 ヨハンと呼ばれた男は、今まで一切崩さなかった表情を少しだけほころばせるとチュワンの差し出した手を握り返した。

 

 これでようやく俺は海賊になれたのだ、そう思うと思わず顔が赤くなってしまう。

 今年で30歳になるヨハンは、現実ではクルーズ会社の事務員をしていた。幼いころに読んだ海賊の冒険小説を読んで以来、彼は海賊というものに並々ならぬ憧れを抱いてきた。

 将来は海賊になって海を駆けるんだと意気込んでいたが、大人になるにつれてヨハン少年は現実を知ることとなる。現代の就職口に、海賊などというものはどこにもなかったのだ。

 それでも海へのあこがれを捨てきれなかった彼はクルーズ会社へと就職したものの、どこか物足りない日々を過ごしていた。GBWFに参加したのも、少しでも現実とは違う世界へ行けたらという半ば現実逃避めいたくたびれた願望に過ぎなかった。

 

 彼が宇宙海賊のことを知ったのはゲーム開始から1年ほどたったころである。

 宇宙軍として過ごしていた彼は、軍内で話題になりつつあった宇宙海賊「ガルディアン」の噂を聞きつけたのであった。

 その義賊めいた活躍を知った彼は一念発起し、スイーパークラン「ブッホのジャンク屋」へと入隊し3か月の武者修行の末MS、フリントを取得。その経歴を武器に、コンタクトのとれた宇宙海賊「バルバロス」へと入隊を志願したのであった。

 

夢などとうの昔に諦めていたと思っていたが、こうして現実に海賊の一員になれたという事実は彼に未だかつて感じたことのない喜びを与えた。

 彼は、今日から自分は宇宙海賊なのだと何度も心の中で繰り返した。

 




読んでくださってありがとうございます。

まだまだ稚拙な文ですがご指摘等あればぜひお寄せください。

また、リンクのWikiからは他の方のGBWF企画の小説がご覧になれます。

よろしければどうぞ。

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