アルドノア・ゼロ 忠義は主君と共にあり 作:砂岩改(やや復活)
ザーツバルム伯爵の揚陸城の一室。
部屋の電気も点けずに暗闇の中、ただ椅子に疲れたようにもたれ、沈黙を守り続ける少女、マリーンがいた。
『マリーン…居るのだろうマリーン…』
「ザーツバルム卿…どうされてのです?」
机に置いてあった端末から空中ディスプレイが起動しザーツバルムの顔を映し出すとマリーンは起き上がりそれに答える。
『トリルランが戦死したらしい…』
「トリルラン卿がですか!?…あのニロケラスがやられるとは…」
『クルーテオ伯爵が申すには私の行った隕石爆撃が原因だと聞いたが…』
「次元バリアを装備したニロケラスがですか…」
『貴様はどう思う?』
マリーンの言葉にザーツバルムは考え込むと問いかける。
「クルーテオ伯爵は義理堅い男です。食客を無下にするとは思えません、その最後を見届けた者…まずそれから調べるのが得策かと」
『なる程。マリーン、貴様はやはり優秀だな…すぐに私と同じ答えを導くとは』
「試しておられたのですか?それは命拾いをしました」
『すまなかったな休息中に…ゆっくり休め』
「ハッ!」
ディスプレイが切れると部屋は再び暗闇に包まれるがマリーンは先程と打って変わって歓喜しているようだった。
「フフッ…ハハハハハハ!」
アセイラム姫の暗殺が実行された地で派遣された者が謎の戦死を遂げた…マリーンはこれを偶然とは思えなかった。
「フィア。暗殺者はここに居るぞ…早く来い…」
マリーンは狂気を孕んだ笑顔で笑い続けるのだった。
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その頃、地球では
「全く…無茶は駄目ですよ…」
「すいません…」
強襲揚陸艦『わだつみ』の医務室で医師である耶賀頼蒼真の手当てをフィアが受けていた。
港における戦いの際、アルギュレに体当たりした時に強く腕を打ち、右腕が大きく腫れていた。
「これで終わりです。あまりここに厄介にならないように…」
「善処します」
フィアは耶賀頼の説教を上着を着ながら聞いているとすぐ外の廊下から声が聞こえてきた。
「名誉の為に死ぬのも悪くない。惨めに生き残るのも辛いけどな…」
「鞠戸大尉…ちょっといいですか?」
フィアが医務室と扉を開けるのと同時に耶賀頼が伊奈帆と韻子に話しかけていた鞠戸に話しかけ、二人はフィアに気づく。
「あ!フィア…大丈夫?」
「あぁ…少々腫れただけだ」
韻子の質問に対しフィアは無事なのを見せるために右腕を大きく回す。
少しだけ韻子と話してその場から去ろうとしたフィアは退出した医務室から鞠戸の声が聞こえてきた。
「犯した罪は魂にこびりついていつまでも付きまとう。まして裁かれない罪は死ぬまで許される事は無い…」
独り言の様に呟かれた…実際は独り言なのだろう。だがその言葉にフィアは自分自身の事を言われている様に思えた。
「っ…」
堪えるように手を強く握りしめるフィアの肩に手が乗る。
驚いた彼女が後ろを見ると顔をゆっくりと横に振る伊奈帆の姿があった。
「伊奈帆…」
「腕…怪我してるから…あまり力を入れない方がいい…」
「あぁ…」
悲しい感情を必死に隠そうとしている彼女の姿を見た伊奈帆。
その姿はとても儚くすぐに崩れ落ちそうな物の様に感じたのだった。
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「姫様…」
「フィア!無事なのですか?怪我をしたと…」
「心配には及びません…唾をつければ治る程度です」
心配そうにするアセイラムを見てフィアは微笑みながら答えそれを見て横にいたエデルリッゾも安心したようにため息をつく。
『不毛なる地球の民に告げる。我らが偉大なるヴァース帝国皇帝、レイレガリア・ヴァース・レイヴァース陛下は地球連合政府に対して休戦を布告する』
フィアとアセイラムが話していると突然何も映さなかったテレビから荒い音声と映像が入る。
「お爺さまから!」
「これは…ヴァース帝国からの海賊放送、と言うことは軌道騎士の頭を越えて…」
「きっと騎士達の行き過ぎた行動をお爺さまが止めようとしているのでしょう…」
「火星の皇帝が…」
アセイラムの言葉に伊奈帆は少々驚きながら聞き返すとフィアはテレビを見ながら汗をかいているのをエデルリッゾが見て疑問に思う。
「どうしたのですか?フィア?」
「不味いな…」
「どういう事?フィア?」
「このまま終わってくれればこちらとしては言うことは無いが。向こうの判断次第では…正式に開戦するかも…」
フィアの言葉を聞いた鞠戸以外の全員の表情が強ばるのだった。
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(何とか姫様のご無事を皇帝陛下にお伝えしなければ…)
「フィア…ちょっといい?」
艦長に自分の正体を明かそうとしたアセイラムを何とか落ち着かせて言われた部屋に入れる。
その出入り口の壁にもたれかかりながら考えていたフィアの元に現れたのは伊奈帆だった。
「なんだ?」
「この前のカタフラクトの武器の構造を教えて欲しいんだけど…」
「……分かった…」
フィアは敵に回ったからと言ってその情報を教えるのは少々気が引けたがアルギュレ戦では借りがあったのと今後のためを思い、話すことにした。
「アルギュレの得物はビームサーベルのみだ。柄からビームを出し周りに特殊なフィールドを発生させて形にする…私の機体にもそれが装備されているからな」
「その周りにある特殊なフィールドはバリアの様な物?」
「そうだな…ビーム限定のバリアの様な物だ…」
「じゃあ外から何かしらの干渉を受ければそれが歪んだりするの?」
伊奈帆の質問にフィアは黙り込む…今まで一切気にした事が無かった為に断言が出来ないからだ。
「やったことはないから分からんが…恐らく」
「そう…ありがとう…」
「何をしようとしている…」
フィアは伊奈帆を睨みながら聞くと伊奈帆は全く気にしたようすも無く答える。
「今、出来る最大限の事をやっているだけだよ。フィアのお陰でこの仮説もやってみる価値が上がったって事だし…」
「無茶はするなよ…」
「無茶ぐらいしないと…生き残れない…」
伊奈帆の言葉にフィアは黙り込みため息をつくと静かに話し始める。
「私は…罪を犯した…許される事の無い罪だ…」
「暗殺の事?それは…」
「私のせいなんだ!私の甘さが!この事態を引き起こしたんだ!」
「……」
フィアの心を蝕んでいた物を伊奈帆はその時、見た気がし黙ってフィアを見続ける。
「分かっているさ…。もう私は殺されても構わない、それで気が済むならな…だが姫様の悲しい顔はもう見たくない…だから誰も死んで欲しく無いんだよ…勝手だろ?」
「勝手だね…でも安心したよ」
「なに?」
「フィアも心の底では僕たち地球人を恨んでるかと思ってた」
それを聞いたフィアは少し笑うとある人物の名を出す。
「私だって少なからずあったさ…まぁスレインのおかげだな…」
「スレイン?」
伊奈帆はその人物の名を聞いて聞き返すと艦内に警報のサイレンが鳴り響く。
「敵襲だと!?」
「フィア…」
「なんだ?」
「少し手伝って欲しいけど…頼める?」
どうも砂岩でございます!
今回も第二回アルギュレ戦までと言うことで!
なんかグダグダしてすいません
最後まで読んで頂きありがとうございました!