アルドノア・ゼロ 忠義は主君と共にあり   作:砂岩改(やや復活)

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今回はちょっと長くなってしまいました。



第十二星 騎士の実力ーKnight of real abilityー

 

 

「スレイプニールしかないのか?」

 

「ごめんねフィアちゃん!機体が足りなくて…」

 

「はい…良いですがちゃん呼びはやめてください…」

 

必死に謝るユキを見て別に機体にこだわらないフィアは気にした様子もないが最後の言葉にユキは思わず笑みがこぼれる。

 

「良いじゃない♪可愛いんだからフィアちゃん!」

 

「はぁ…」

 

ユキの楽しがる様子を見てフィアはため息をつきながらスレイプニールの座席調整を始めるがフィアの頭を占めていたのはザーツバルムとマリーンの事だった。

 

(ニロケラス…トリルラン卿は食客としてクルーテオ伯爵の所に居たが元々はザーツバルム伯爵の配下だ…)

 

アセイラムを見た時のトリルランの反応は驚愕の中に恐れがあった。

 

考えば考えるほど可能性が上がっていく…しかしフィアは信じられなかった、正確には信じたくなかったのだ。

人間、誰しも信用している者を疑いたくないのは突然の事…フィアが知っているマリーンと言う人物は人一倍正義感が強く、ヴァースの事を考えている奴だ…。

 

「マリーン…これが正義と…ヴァースの為にだと思っているのか……いや…私は姫様に仇なす者を駆逐するのみ…」

 

考えても仕方が無いとフィアは割り切ると自分のなすべき事を再確認する、例え友であろうとも主を守る…それがアセイラム姫の騎士であるフィアの課せられた任務であり、行動原理だ。

 

そんな事を考えながら座席調整をしているフィアは他の人間からしてみればえげつないことをしている。

索敵システムを一から作り直しているのだ…正確には自身の愛機であるシナンジュと全く同じ物に、スレイプニールの性能を限界まで引き出しつつフィアの操縦能力に出来るだけついて行けるように他のOSまで全て書き換える。

地球の整備兵が見たら自信を喪失して閉じこもりたくなるレベルまで……フィアが数多くの騎士の中からアセイラムの騎士に命じられたのはこれが理由の一つである、フィアはパイロットセンスもさることながら整備能力も抜きんでている…時間と道具さえあれば一人でオーバーホールも出来るし体術関係ももちろん…ただ弱点を挙げるなら経験不足による未熟さである。

 

「ふぅ…」

 

「フィア!」

 

一通り書き換えを済ましたフィアはスレイプニールから降り思いっきり背伸びをしているとアセイラムが走ってやってきた。

 

「姫様…どうされたので?」

 

「レイリー散乱とミー散乱なんです!フィア!」

 

「ハッ?」

 

突然の単語にフィアは変な声を上げてしまい取りあえず興奮しているアセイラムを落ち着かせる事にした。

 

「すいません…姫様…まず落ち着かれて説明を…いきなりレイリーなどミーなど言われましても…」

 

「あ!すいません!興奮してしまって」

 

アセイラムは落ち着いた後フィアに伊奈帆と甲板で話した出来事を説明した…それを聞き終えたフィアは驚き興味深くする。

 

「なる程、屈折ではなく散乱でしたか…まぁ誰しも勘違いはある物ですよ…」

 

「でもそれで恥をかいてしまいました…スレインには後で恥をかかないように私から教えましょう!」

 

「それは良いことです!スレインも驚くことでしょう」

 

「そうですね!もっと知ってスレインを驚かせましょう!」

 

フィアとアセイラムが格納庫の端で楽しそうに話しているとエデルリッゾがやって来て混ぜてくれと言うとまるで妹のような可愛さにさらにフィアとアセイラムは笑う。

しかし和やかな時間はそう長く続かなかった…大きな衝撃が艦全体を震わしたのだ。

 

「キャッ!」

 

「姫様!!」

 

突然の衝撃にアセイラムとエデルリッゾがよろめくがフィアがしっかりと支える。

 

「二人とも無事で?」

 

「は…はい」

 

「なんとか…」

 

「フィア!敵よ!貴方も!」

 

「わかった!エデルリッゾ!姫様を頼む!」

 

二人の返事を聞いたフィアは安堵していると後ろから韻子が走りながらフィアに言うとフィアもアセイラムをエデルリッゾに任せて急いでロッカーに向い出撃準備をする。

 

「敵は?」

 

「まだ分からないわ!でも不発のミサイルを撃ち込んで来てるって…」

 

「不発弾を?」

 

着替えて格納庫に向かうフィアと韻子が話している内に準備を済ませたフリージアン小隊がエレベーターを使って甲板に上がりその間にフィアはスレイプニールに乗り込む。

 

「………きつい」

 

パイロットスーツでの搭乗は生命保護のためにきつくしてあるが韻子より膨らんでいる胸のせいで予想以上にきつかった。

 

『マスタングリーダーよりマスタング22と33…なお君とフィアちゃんは練習機だからマークスマンお願いね』

 

『ユキ姉…まだ腕が……』

 

『新米が出るのに私がいかない訳ないでしょ?』

 

『界塚准尉!』

 

伊奈帆の少し焦った声にユキは微笑むと安心させるように優しく話し掛ける。

 

『ユキ姉でいいよ…』

 

『……』

 

『通信終わり!以上!』

 

ユキの言葉に伊奈帆が黙り込むとそのまま通信を終わらせて甲板へのエレベーターに乗り込むとそれに続いてフィア達も乗り込みエレベーターがゆっくりと上昇し甲板に上がる。

 

「これ以上、艦をやらせては…」

 

『フリージアン小隊は船首!マスタング小隊は船尾に展開!各個に飛行兵器を迎撃せよ!』

 

わだつみの副長である不見咲の指示で船尾に展開したフィア達はマシンガンを構えながら周囲を警戒しているとフィアはカームに通信を入れる。

 

「カーム…」

 

『なんだ?フィア…戦闘中に…』

 

「ライフルを準備してくれ…弾はAPではなくHEでな…」

 

『分かった!用意しとく!』

 

『何か分かったの?』

 

カームと通信を終えると伊奈帆がフィアに問いかけるがフィアは顔をしかめながら答える。

 

「分からん…だがもしかしたらいるかもしれんからな…」

 

『来るわよ!』

 

ユキ姉の言葉に全員が迫ってくるロケットパンチを避けながら迎撃するが着弾してもダメージを負わせた形跡がない…。

 

「やはり…不発弾と聞いていたが…ロケットパンチだったとは、ならヘラスだな!」

 

フィアはそう叫びながらマシンガンの下に付いているグレネードランチャーを発射しロケットパンチに直撃するが少しふらつくだけで特に効いたわけでは無いようだ。

 

「チッ…やはり駄目か…」

 

『う…うわぁぁぁぁ!』

 

『フリージアン44!!』

 

足をもがれ宙に浮いた上半身をロケットパンチは見逃さずに巨大な手で握り潰され爆発する。

 

『広がれ!密集していると狙われるぞ!』

 

不見咲の指示で各機は散開する…この状況での密集陣形は全滅への最短距離になる。

お互いが退避する為のスペースを邪魔してしまうからだ…それはとても良い判断、当然だと言えるがそれはすなわち敵の予測の範疇と言うことでもあった。

 

『しまった!予測していたのか!』

 

散開の為に移動したのを見計らってロケットパンチは散開直後のアレイオンに襲いかかる。

 

「くそっ!」

 

フィアは地面を強く蹴り、脚部のウイングを展開せずにスラスターだけで無理矢理加速しロケットパンチを避ける。

だが他の機体はそう上手くいかない…。人間は一度止まってからすぐ行う動きはどうしても隙が生まれてしまう。その一瞬が生死を分ける境界線となってしまった。

 

『フリージアン22!』

 

「フリージアンリーダー!上だ!!」

 

『なに!?』

 

フィアの叫びにフリージアンリーダーが上を見るとそこにはロケットパンチの重力をも味方に付けた一撃が迫っていた。

 

『な…』

 

言葉を言い終わる前にフリージアンリーダーはロケットパンチに潰されアレイオンは爆発する。

 

「やるな…」

 

フィアはこの一連の攻撃を見て焦りながらも賞賛を贈る…先程の攻撃も平面による攻撃一辺倒からの立体的な上からの攻撃…元々人間は頭上の危険に対する防御が苦手な生き物のため常人なら避けられない。

 

『フィア…後ろを頼む!』

 

「分かった…ッ!」

 

伊奈帆のカバーに回ったフィアだがロケットパンチが迫り素早くグレネードランチャーで迎撃すると直撃からかすり程度まで進路がずれてフィアのスレイプニールを倒れさせる。

 

「クソッ!」

 

フィアは倒れたスレイプニールを素早く立て直しすぐにマシンガンを構えるがロケットパンチは散開し一気に片を付けに来た。

 

『速力を溜めて止めを刺すつもりだね…』

 

『えぇ!?どうするの?』

 

『韻子…スポッターをお願い…フィアも飛行兵器の迎撃をお願い…』

 

伊奈帆の言葉にフィアは一瞬考えるが理解しカームに通信を繋げる。

 

「カーム!ライフルを!ユキさん!スポッターお願いします!」

 

『準備は出来てるぜ!エレベーターで上げる!』

 

『分かったわ!頼んだわよ!』

 

素早く迎撃態勢を整えた伊奈帆は韻子のスポッターの元、まず一個目を迎撃し進路を変える。

 

『フィアちゃん!右3ミル!!』

 

「了解!」

 

フィアは素早く受け取ったライフルで迎撃し進路が逸れ通り過ぎた瞬間、改良した(書き換えた)索敵システムを使いロケットパンチの後ろのスラスター部分を狙撃する。

 

「一つ!」

 

『フィアちゃんすご!』

 

「後は上以外ほぼ同時で来る…さっきのは出来ない!」

 

ユキを含めてフィアの操縦能力に舌を巻くがそうも言ってられずに次々とロケットパンチを迎撃していく。

 

『ラスト!!』

 

「ローディング!」

 

『了解…僕がやる…』

 

韻子の言葉と同時にフィアはライフルを撃ち尽くし弾倉を交換している間に伊奈帆が狙撃するが重力によるロケットパンチの加速と実弾故の射程距離の減少が原因で当たらない。

 

伊奈帆side

 

(不味い…ここで当てないと…)

 

心臓が激しく鳴り響きもしも…と言う嫌な想像が働いてしまい伊奈帆はこれ以上無く焦っていた。

 

(フィアは給弾中だ…僕が当てないと……当たれ…当たれ!!)

 

そんな伊奈帆の感情を嘲笑うかのように弾は惜しいところでロケットパンチに当たらずに通過してガチリと銃から嫌な音が響いた……弾切れだ…。

 

「…弾切れ……」

 

『うぉぉぉぉ!!』

 

絶望的な事実に伊奈帆は何も言えなくなっていると無線からフィアの叫び声が聞こえた。

 

フィアside

 

「うぉぉぉぉ!!」

 

給弾を終えたフィアはスレイプニールを後ろに倒れさせながらライフルを上に向ける。倒れながらの為、一発勝負だフィアは全神経を集中して引き金を引く。

 

改良された索敵システムの恩恵もあり銃弾は落ちてくるロケットパンチの直撃軌道、しかしフィアの放った弾丸と別の弾丸が当時にロケットパンチを吹き飛ばし進路を変えたのだった。

 

「どこから!」

 

『あれ?生きてる?』

 

『ハァ………』

 

飛来した弾丸の発射元を見ようとしたフィア達の頭上を火星の輸送機、スカイキャリアが通り過ぎたのだった…。

 

 

 

 

 




どうも砂岩でございます!
ヘラス戦前半と言うことで取りあえずここまででございます!一応これでアニメの第六話まで終了で四分の一が終わりましたね!
伊奈帆はたぶんあの時は相当焦っていたと思って書きましたけど焦りすぎでしたかね?
アニメは終わってしまいましたけど張り切って小説を書いていこうと思います!
では最後まで読んで頂きありがとうこざいました!
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