アルドノア・ゼロ 忠義は主君と共にあり   作:砂岩改(やや復活)

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第十六星 戦士達の木陰ー shade of a treeー

 

 

デューカリオン艦内、廊下…取り調べが終わりアセイラムを含む四人は話ながら艦内を散策していた。

 

「フィア…セラムさん…」

 

「はい?」

 

「なんだ?」

 

伊奈帆はアセイラムを偽名で呼ぶがすぐに気づき言い直す。

 

「いえ…アセイラム姫…」

 

「セラムで構いません…伊奈帆さん…」

 

「いいえ構います…今度は殿下も着けてください…それとエルスート卿です」

 

エデルリッゾは少し怒ったように三人の間に割って入りアセイラムとフィアの言い方を訂正するがフィアに咎められる。

 

「エデルリッゾ…」

 

「しかしフィア…」

 

「すまないな…伊奈帆…悪い奴じゃ無いんだが…この通り堅物でな…」

 

咎めた後、フィアが伊奈帆に謝るとエデルリッゾがシュン、と言う感じで可愛く落ち込むが伊奈帆は話を続ける。

 

「種子島で発見された…」

 

「おーい!伊奈帆ぉ!!」

 

しかし伊奈帆の言葉を遮るように走って来たカームの怒鳴り声がフィア達の耳に入る。

 

「お前!火星人が紛れ込んでるの…知ってたのか!?」

 

「あぁ…」

 

「誰だよソイツ!俺がオコジョの仇を討ってやる!」

 

カームの怒りを見てフィアはアセイラムを庇うように一歩前に出るがアセイラムはフィアの後ろからカームに話しかける。

 

「私がその…火星の王女です…」

 

「姫様…」

 

「……はい?」

 

突然名乗られ状況が飲み込めないカームは変な声を出すがアセイラムは話を続ける。

 

「多くのお仲間が傷つき…亡くなった事を心から悼みます…この戦争は決してヴァースの本意ではありません…無意味な争いを一刻も早く終わらせるよう…努力いたします…」

 

「え…は……」

 

アセイラムの誠意が伝わったのか…まだ状況が飲み込めないのか…カームは変な声しか出さないが暫くすると顔を赤くして敬礼する。

 

「頑張って!!」

 

「なーに赤くなってんのよ…」

 

「タコみたーい」

 

するといつの間にか居た韻子とニーナにジト目で見られカームは驚く。

 

「な!なんだよいきなり!」

 

「仇討つんじゃなかったの?」

 

「火星人は全員敵だーって言ってなかった?」

 

「そっ…そんな事言ってねーよ…火星人だからって…いい奴と悪い奴が居るんだろ…なぁ伊奈帆…」

 

韻子とニーナの攻撃に不利を悟ったカームは伊奈帆に助けを求めアセイラムの方を見るがそこには無言の伊奈帆とジト目で見るフィアの姿がありカームは耐えきれずに叫ぶ。

 

「フォローしろよ!」

 

「やはり地球人は信用できません…」

 

さらにエデルリッゾの言葉でカームは完全に轟沈したのだった。

 

ーーーーーーーー

 

そしてデューカリオン食堂…そこには韻子、ニーナそれにフィアの姿があった…三人は艦内にあったお菓子を広げて話していた…アセイラムは伊奈帆とお話中だ。

 

「まさかフィアが火星騎士だったなんて…」

 

「すまない…恨めしいなら殺してくれても文句は言わない…」

 

「もう~堅いな~フィアは何度も私達を助けてくれたじゃん~」

 

韻子の言葉にフィアは謝罪するがニーナは間延びした声でフィアを慰める。

 

「すまない…」

 

「もう良いって!これからも友達で居てね!」

 

「そうそう~」

 

「……ありがとう」

 

韻子とニーナの言葉にフィアは嬉しそうに礼を言うと二人は微笑み和やかな空気が流れるが韻子の一言で場が一変する。

 

「……で…フィア…ずっと聞きたかったんだけど…何カップ?」

 

「ハッ?」

 

「フィアも同じ歳の癖に……私の倍あるってどう言う事!!」

 

「ヒッ…」

 

韻子の突然の豹変にフィアは後ずさるがニーナも興味を持ったようで既に後ろに回られた。

 

(私が後ろを取られた…)

 

「大人しくしてね~フィア~」

 

「遺伝子なの?遺伝子の違いなの?」

 

ジリジリと近づく二人を見てフィアはその表情に恐怖を表し叫ぶのだった。

 

「い…イヤァァァァァ!!」

 

その頃、デューカリオンの外でウミネコを見ていた伊奈帆は僅かに耳を動かしデューカリオン艦内を見つめるのだった。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「酷い目にあった…」

 

フィアは若干ボロボロな姿で寄港している港の海風に当たっていた…アセイラムは身元がハッキリしたため士官室に移されより一層安全が確保された…その為フィアも身辺警護も部屋に居るときは特に要らない為、ゆっくりしていた。

 

「どうしたの?」

 

「ん?…なんだ伊奈帆か…」

 

「なに?その反応…」

 

「別に…」

 

フィアの扱いになんとなく雰囲気が若干不機嫌そうな伊奈帆は黙って座っていたフィアの隣に座る。

 

「もう少し…酷い扱いを受ける覚悟はしていた…優しいな…皆は…」

 

「韻子たちだからって言うのもあると思うけど…フィアがフィアだから…」

 

「は?」

 

伊奈帆の言葉をフィアが理解出来ずに聞き返すと伊奈帆は淡々とした口調で言い返す。

 

「フィアが火星の人と同じだったら韻子たちは受け入れてない…フィアが優しかったから…セラムさんを助ける為とは言え…フィアが全力で僕たちを守ってくれたからだよ…」

 

「それをお人好しと言うんだ…普通そんなんで受け入れたりしない…」

 

「そうかな…」

 

「そうだな…」

 

よく分からないと言った風な伊奈帆を見てフィアは寝転ぶと暗くなりかけた空に星が少しずつ光り始めていた。

 

「空か…美しいな…あの中に火星が…」

 

「そうだね…でもこの時間じゃまだ火星は見えないよ…」

 

「ハァ…」

 

「なに?」

 

フィアは伊奈帆の言葉にため息をつき伊奈帆は訳が分からず聞き返すがその反応すらフィアはジト目で見続ける。

 

「……」

 

「本当になに…?」

 

「なんかな…夢が無いな…お前は……」

 

フィアの呆れた声が夜空に響くのだった。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

地球軌道ザーツバルム卿の揚陸城、そこの一室にてスレインが寝かされていた…その横の椅子にはザーツバルムが座っていた。

 

「ザーツバルム卿…タルシスの回収を終えました…」

 

「そうか…大義である…マリーン」

 

「ハッ…」

 

「座りたまえ…スレインが目覚めるまでゆっくり話でもしようではないか…」

 

マリーンはザーツバルムの言葉に驚きながらも微笑み深く頷く。

 

「はい…では失礼します…」

 

「うむ…」

 

マリーンはザーツバルムの前に座り、紅茶を淹れる…紅茶の香りが部屋を支配しマリーンとザーツバルムは安息の一時を過ごしたのだった。

 

 

 

 





どうも砂岩でございます!
今回は休憩回と言う事でのんびりとちょっとザーさんとマリーン、フィアと伊奈帆の絡みをやりたかったので良かったです。
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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