アルドノア・ゼロ 忠義は主君と共にあり 作:砂岩改(やや復活)
「うっ……」
地球軌道、ザーツバルムの揚陸城…そこでスレインは目を覚ますと横から声をかけられる。
「目覚めたか…スレイン・トロイヤード」
スレインはザーツバルムの声のした方を見るとそこには紅茶の入ったカップで静かに飲んでいるマリーンの姿とスレインの目覚めに気づき立ち上がるザーツバルムの姿があった。
「僕は……確か…クルーテオ卿と」
「案ずる事は無い…マリーンが既に始末した…」
「え!?」
ザーツバルムの言葉にスレインは驚きを隠せない…スレインの記憶が正しければクルーテオ卿はアセイラム姫に忠誠を誓う者の一人だ…それを見透かしたようにいつの間にかザーツバルムの横に居たマリーンが話す。
「分かるだろう?あの振動は私のゼダスが原因だ…」
「まさか…揚陸城を襲ったのはマリーン卿…」
マリーンの言葉でスレインはハッとするのを見てザーツバルムは静かに真実を告白する。
「その通りだ…この我こそがアセイラム姫殿下暗殺を企てた反逆者である…」
「そうですか…だから真実を知る者を…クルーテオ卿を…しかしなぜ僕を助けたのです…」
「我はそなたの父君に恩義がある…故にそれに報いる義務がある」
「恩義…?」
ザーツバルムの言葉にスレインはイマイチ理解出来ないで居るとザーツバルムは悲しそうに静かに話す。
「我は十五年前…開戦の折、我は先兵として地球へ降下した…そこでヘブンズ・フォールに見舞われ瀕死の重傷を負った…月は割れ地殻変動が起き救助のあてもない天変地異の最中で……我はそなたの父君、トロイヤード博士に拾われ命を救われたのだ…」
「父さんが…」
スレインがザーツバルムの話に言葉を失い…背中から悲しみが溢れているザーツバルムを見てマリーンは静かに悲しそうに見守るのだった。
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「よく周囲を見て…ほら!サーモグラフィーも警戒を怠らない…」
『はい!』
地球、デューカリオン艦内のカタフラクトハンガーではアレイオンのコックピットを使って韻子は訓練を行っていた。
「へ~韻子の奴、結構やるなぁ…」
「彼女は中々いい勘してるわ…カーム君も練習する?」
「俺…整備員に回されたんですよ…」
「今の所はね…」
「それって…空きが出来るって事ですか?」
「戦争だからね…」
韻子の訓練を見ていたユキの言葉にカームは驚き、少し嬉しそうに反応するがその後の言葉を聞いて複雑な表情をしていると後ろから声をかけられる。
「それ…私にもやらせて」
「オッ…狙撃少女」
声をかけたのはライエ…カームが呼んだ通り大破のヘラスにアレイオンのヘビーバレルの狙撃で止めを刺した本人だ。
「でも貴方…教練を受けてないんじゃ…」
「ゲームで覚えた…」
「あ!それってシムカットⅩ?あれよく出来てるよな!俺実習はイマイチだったんだけどアレは上手いんだぜ!でもよくそれで実機の操縦できるようになったなぁ」
ユキの疑問に答えるライエに対してカームが嬉しそうに話し掛けるが当の本人のライエは聞いていないのか全く無反応だ…すると話していたカームはアセイラムにハンガーを案内する伊奈帆を見かけて呟く。
「火星人か…俺ら地球人と変わらねーよな…まぁフィアを見てたら火星人は悪い奴だけじゃないってよく分かるぜ」
アセイラムを守るように一歩後ろに待機するフィアを見てカームは笑う、カーム自身もニロケラス戦の時、スカイキャリアの攻撃から守ってくれた事もあってフィアに対して悪い感情は全く浮かばなかった…。
「伊奈帆の奴もヒッデーよな!姫の正体知ってたのに黙ってやがったんだぜ…」
「ま…なお君も大人になったって事かな?せめて姉には話して欲しかったな…好きな子出来たんなら…」
「え?」
『そ!それ!どう言う事ですか!』
カームのぼやきに反応してユキも呟くとあまりにも衝撃の言葉にカームはもちろんの事、訓練していた韻子はシミュレーターの自機が大破した爆発音と共に無線で声を上げる…そんな事お構いなくユキは話を続ける。
「今のご時世…火星人なんて反対されるもんね~」
「ユキさん…それってお姫様の事ですか?」
「ん~お姫様はどっちかって言うと私と近いかも」
「親愛ってやつですか…」
「ホッ…ユキさん…紛らわしい事言わないでくださいよ」
まさかの言葉にテンパりアレイオンのコックピットから上半身を出した韻子は損したと言わんばかりに戻ろうとするとカームがフッと気づく。
「ユキさん…”は”ってどう言う事ですか?」
「フフッ♪だってね~お姫様よりフィアちゃんと居る方が楽しそうなんだもん、なお君」
『ほわぁぁぁぁ!!』
再びのユキの爆弾発言に韻子はまた大声を無線で上げる…カームは伊奈帆を遠目で見るが相変わらずの仏頂面に疑問の声を上げる。
「そんな気なさそうだけどな…笑顔一つ見せないし、いつもと同じ…愛想ない顔してるけど…」
「全然違うわよ」
「そうですか?」
「家族なんだから分かるわよ…嬉しい顔、落ち込んでいる顔、嘘ついてる顔…アレは相当入れ込んでる顔ね」
「そうかな?」
まだ疑うカームを見てユキは楽しそうに説明を続ける。
「ていうかあの朴念仁が用事も無いのに寄ってたりしないわよ…昨日なんか寄港中、二人で星を見てたのお姉さんはちゃんと見てるんだから♪」
「マジすか!?」
ユキの言葉にカームは納得していると凄い形相の韻子があり得ない速さでアレイオンを降りてやって来た。
「界塚准尉!休憩良いですか!?」
「どうぞ~」
「俺も!」
降りてきた韻子は許可を取り伊奈帆の元に向かうカームもそれに続き韻子を追いかけるのだった…そんなんで様子を見ていたユキだがライエにアレイオンを使いたいと言われ準備をする…するとライエが質問してきた。
「本当に分かるの?嘘をついてる顔…」
「まぁね…貴方もその顔…嘘をついてる訳だ…火星人でしょ?」
「!?」
ユキの言葉にライエの顔は思わず強張るが次の一言でその表情は一気に白けた。
「しかも騎士でしょ?そういうハードル、男の子は燃えやすいのよね~姫様の騎士と敵側の兵士…立場上絶対に相容れてはならないと言うのにお互い惹かれ合う…クゥゥ!妄想が広がるわ!」
なんか自分の世界に入ってしまったユキを見て再び拗ねたような顔に戻ったライエは黙ってアレイオンのダガーを上げるのだった。
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「なる程…フィアはこの機体に乗っているのですね」
「はい…このスレイプニールの四号機に乗ってます」
伊奈帆の説明を一通り受けたアセイラムはフィアに話しかけフィアは直立不動で答える…完全に仕事モードに入って居たフィアの耳に届いたのはアセイラムの次の質問では無く韻子の声だった。
「フィア!」
「ヒッ!!」
韻子は特に怒っても何でも無いのだが昨日のトラウマがフィアの恐怖心を蘇らせ先程の姿とは想像できない可愛い声を上げる。
「あら!フィア…もう少しそう言う所を出して貰えると楽しいのですが」
「まさかフィアからそんな声が聞けるとは…」
「………」
それを聞いたアセイラムとエデルリッゾはちょっと嬉しそうにしているが伊奈帆は全く表情を変えずに黙ってフィアを見る。
「楽しいって何ですか!?姫様!」
「フィア!絶対負けないからね!!」
「ハッ!?」
「おいおい、韻子…いきなり言ってもフィアが分からないだろう?」
全く状況が飲み込めないフィアを中心に韻子とカームが話しているのを見たアセイラムは安心していた…フィアも少し融通が効かない時があるので心配していたが上手く輪の中に入っているフィアを見て思わず笑顔になるのだった。
どうも砂岩でございます!
今回はスレインとザーツバルムの会話と地球側なんですがフィア自身はあまり出てきませんでした…ちょっと周りから見たフィアを書きたかったのでユキ姉の会話をきっかけにちょっと書いてみました!
伊奈帆のアセイラムへの気持ちは親愛にしました…体の一部って家族も入りますからね!
では!最後まで読んで頂きありがとうございました!