アルドノア・ゼロ 忠義は主君と共にあり   作:砂岩改(やや復活)

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第十八星 逃れられない過去ーNot escape events of the pastー

 

 

 

 

 

ライエ・アリアーシュ…彼女は火星人だ…しかし火星人を憎んでいる…それは何故か?彼女の父はアセイラム姫暗殺未遂の実行犯でありこの任務に成功していれば地位と報酬を与えられる筈だったがザーツバルムの配下トリルランのニロケラスに殺され帰らぬ人となった。

 

ウォルフ・アリアーシュ…それがライエの父の名でありパレードの際にフィアに銃を向けられた人物の名である。

 

「熱源体発見…十時の方向まもなく射程距離……!!」

 

暗殺未遂の実行犯の中での唯一の生き残りとも言えるライエは韻子が去った後にアレイオンのコックピットを使ってシミュレーション訓練をしていた…その相手とは……紫色のずんぐりとした機体、ダンゴムシを連想されるそのフォルムは彼女の因縁の相手でありトラウマの元凶だった。

 

「あ……あぁ…うわぁぁぁぁぁ!!!」

 

「ライエちゃん…駄目よ銃身がオーバーヒート」

 

彼女はシミュレーションである事を忘れ引き金を引き続ける…注意するユキの声も混乱しきったライエの頭には入らず叫びながらニロケラスを撃ち続けマシンガンは爆発、振り上げられた手によって自機が破壊される…皮肉にも父と同じ…殺され方だった。

 

「ハァ…ハァ……ハァ………」

 

暗くなったコックピットでライエはひたすら息をし続ける…まるで自分が生きているのを確かめるように…。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ザーツバルムの揚陸城…スレインが目覚めた部屋の机には料理が並べられザーツバルムとスレインの二人だけが静かに座っていた。

 

「どうした?食わぬのか?心配するな…毒など入っておらぬ…殺すつもりならとっくに殺している?」

 

「伯爵…」

 

「なんだ?」

 

「何故そこまでして…地球と戦われるのですか?」

 

料理を前にして手を着けないスレインの質問にザーツバルムは当然のように答える。

 

「領主として領地を広げる為に戦うのは領民に対する務めだ…」

 

「それだけの為に…」

 

「それだけの大義である…」

 

するとザーツバルムは料理である鳥を切りスレインに見せるように持ち上げる。

 

「これは空を飛ぶ生き物だそうだな…」

 

「はい…あ…いえ…これは飛ばない種類の鳥です…」

 

「クロレラとオキアミを糧に生きるヴァースの民には想像もつかぬ贅沢…それを事もなげに支援物資として施していた地球人には怒りすら覚える…」

 

憎々しげに呟くザーツバルムを見てスレインは顔を伏せながら答える…。

 

「これは贅沢品ではありません…宇宙輸送と保存に適した加工食品です…」

 

「失礼します…」

 

すると部屋に水差しを持ったマリーンが入室しザーツバルムの水を入れる中、ザーツバルムは話しを続ける。

 

「水と空気に恵まれ無数の生命がひしめく地球にのみ許された文化だ…祖国ヴァースはアルドノアによって科学文明だけは発達したものの文化は何も育っておらぬ…この豊かな恵まれた星を手にせぬ理由は無い…」

 

「でも…だからと言って…アセイラム姫を利用しなくても…」

 

「もう遅い…戦の幕は切って落とされた…姫殿下には人身御供となっていただく…」

 

「姫に罪はありません!」

 

「姫殿下は皇族…その生まれ自体が罪…十五年前、皇族は騎士を焚きつけ地球へ進軍させた…その責は……その血で償ってもらう…」

 

「ッ!」

 

ザーツバルムの言葉にスレインはカッとなったのか突然立ち上がるとナイフを持ち首元に突きつけるが…ザーツバルムはもちろん、そばに居たマリーンすらもそれを冷静に見るだけで抵抗の素振りすら見せない。

 

「姫を殺さないでください…」

 

「アルドノアを中心とした封建制度の中で虐げられた民…その貧しく卑しい国が歴史ある星を蔑む…何と愚かしいことか…」

 

ザーツバルムの言葉は正しくスレインは思わず怯むがナイフを首元からどけずに突きつけ続ける。

 

「地球を妬み、地球を恨む事で民衆を治めていたヴァースが地球を侵略する事でしかその大義を保てぬほど病むのも道理…それはそなたの傷がよく知っているだろう?」

 

ザーツバルムの言葉にマリーンはチラリとスレインを見て悲しい顔をする…その現場は火星人であるマリーンですら何か感じざる得なかったからだ。

 

「皇族が戦を選んだのだ…ヴァースを治める為に…そして…その戦によってヘブンズ・フォールが起き…我が婚約者オルレインは命を落とした!!」

 

「ザーツバルム卿!」

 

感情が爆発したようにザーツバルムは首に当てていたナイフを握りしめそこから血が溢れる…それを見たマリーンは驚くが思わず駆け寄ろうとした足を止める。

 

「この戦は我が復讐、この戦は我が天命…逆らうようなら容赦はせぬ…例え恩人の息子であろうと…」

 

ザーツバルムはナイフを握りしめながら立ち上がり尋常ではない気迫がスレインを襲いスレインは言葉を失いその場に座り込むのだった…それを見たザーツバルムはナイフを机に置くと部屋を出る…マリーンはそれを見て慌てて追いかけ衛兵にスレインの拘束を命じるのだった。

 

ーーーー

 

「ザーツバルム卿!」

 

「………」

 

「ザーツバルム卿!!」

 

「ッ!なんだ?マリーン…」

 

黙って移動するザーツバルムをマリーンは大声を出して引き留めるとザーツバルムは気づいたように足を止めマリーンを見るとマリーンはザーツバルムの手を掴み手当をする。

 

「ザーツバルム卿…無理をしないで下さい……」

 

『貴方はいつも無茶ばかり…少しは私の身になってください…』

 

「ッ!」

 

心配し手当をするマリーンを見てフッとザーツバルムはオルレインに言われた事を思い出しているとマリーンは手早く作業を終わらせる…綺麗に包帯が巻かれておりザーツバルムはそれをしばらく見つめる。

 

「『無茶をなさらないで下さい…見ているこっちがハラハラします…』」

 

「……あぁ…気をつける…」

 

最近よく思い出すせいかマリーンがオルレインと重なって見える…決してならない事だ…部下であれ…マリーンに失礼な事は分かっている…しかし無意識にマリーンを通してオルレインを見ている自分が少し嫌になるザーツバルムだった。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

地球、デューカリオン艦内……食堂でアセイラム達は食事のトレイを受け取り席を探しているとアセイラムがライエを見つけ駆け寄る。

 

「ライエさん…ご一緒してもよろしいですか?」

 

「ぐぬぬ…」

 

「エデルリッゾ…」

 

話し掛けられたライエがその方を見るとアセイラムと自分に威嚇してくるエデルリッゾ、それを小突くフィアの姿があった…。

 

「好きにすれば…」

 

許可を貰ったアセイラムは喜んでライエ前に座ると元気に話し掛ける。

 

「地球の食事はとても美味しいですね!ヴァースにない珍しい物ばかり…」

 

珍しい…その言葉で表現できるアセイラムはやはり姫なのだなとライエは実感する…領主である伯爵であっても地球の食事は貴重であり姫直属の騎士であるフィアですらだし巻き卵を見た事が無いと言うのにアセイラムは”珍しい“と言えるだけいい生活は送ってきたのだろう。

 

「それも光学迷彩?」

 

「いえ…これは伊奈帆さんのお友達のニーナさんから貸して頂きました…ドレス姿で狭い艦内は歩きにくいだろうと…」

 

「う…」

 

隣に居たフィアはアセイラムの言葉を聞いて思わず目をそらす…ニーナからアセイラムのドレスを着たいと言われ「交換したら」っとフィアが提案したら数分後にはちゃんとアセイラムの服が制服に変わりニーナの部屋から鼻歌が聞こえたのだ…もちろんこの制服に関してもエデルリッゾはいい顔をせず、それを見たフィアはこの事は心の中に留める事にしたのだ。

 

「いい人ですね…」

 

「全く…姫様が地球人と同じ服を…」

 

「まぁ…姫様には良い経験になられたし…よかったじゃないか…」

 

「お姫様…あげる」

 

エデルリッゾの言葉にフィアは冷や汗をかいていると小さな女の子二人がアセイラムに駆け寄り折り鶴を渡す。

 

「まぁ…素敵、地球の鳥の紙細工ですね!ありがとう…大切にします…」

 

「なかなか良い心がけですよ、平民…地球とヴァース平和の暁には皇帝陛下に進言して……キィィ!」

 

女の子二人にエデルリッゾは年上ぶるがアッサリ無視されエデルリッゾは悔しいように声を上げる…するとライエがアセイラムに向かって呟く。

 

「どうして?どうして正体を明かしたの?火星人は敵だと思われているのに…どうして平気でいられるの?火星人に裏切られたのに…変よあなた…」

 

「無礼者!姫様に向かって!!」

 

「………仲間だと思ってたのに…」

 

エデルリッゾの叫びにライエは無視してトレイを持ち立ち去ると同時にライエは悲痛な呟きを置いていく…フィアはそれを聞いてライエを危うい状況だと気づくが彼女はただ見ることしか出来なかった……このタイミングが彼女を止める最後のチャンスだと知らずに。

 

ーーーー

 

「全く…姫様相手にあの無礼な態度は許せません…」

 

「良いのです…私も全ての人に受け入れて貰えるとは思っていませんから……フィア?」

 

デューカリオン艦内、人が混む前にシャワーを浴びようと歩いているとフィアは何かを考えるかの様に黙り込んでいた…その様子を見て心配そうにするアセイラムを見てフィアは笑顔で答える。

 

「いえ…お気になさらず…」

 

「そうですか…ではお先に」

 

「ごゆっくり…」

 

フィアの返答にアセイラムは安心するとシャワールームにエデルリッゾと共に入っていく…あくまで護衛のフィアは一緒に入らずにその出入り口で待機するのが普通である、なのでフィアはシャワーの更衣室前のドアで立っているのだ。

 

その時、フィアの頭にあったのはライエの“仲間だと思ってたのに”と言う言葉だった。

 

(仲間か…もしかして彼女は火星人……しかしライエは最初はニロケラスに襲われていたからだろう…)

 

「フィア…しばらく姫様を頼みます」

 

フィアが考え込んでいると更衣室からエデルリッゾが出てきた。

 

「どうした?」

 

「姫様のお召し物が…」

 

「全く…仕方ないな……」

 

エデルリッゾが若干落ち込んでいるのを見てヤレヤレと言った感じでフィアは更衣室に入る…すると更衣室の床に黒いガラパゴスケータイが落ちていた…落ちた衝撃でか画面が開いておりフィアは思わず拾い上げる…アセイラムの元に死神が近づいている事を知らずに…。

 

「ライエか…でこっちは父親かな…」

 

フィアは拾い上げた際にたまたま画面を見て違和感を覚える…問題はライエの方では無く父親の方だ。

 

(どこかで見たことが……ッ!)

 

記憶を探り終えたフィアの行動は速かった…ケータイを捨てると慌ててシャワールームに入る…そこにはスレインから貰ったネックレスでアセイラムの首を絞めていたライエの姿があった。

 

「貴様ぁ!!」

 

フィアは怒りながら拳銃に手を伸ばすが…無かった。

 

(ッ!?…エデルリッゾに預けたままだった…)

 

呆然としているライエをよそにフィアはライエの元に迫るが突然の衝撃でフィアはバランスを崩す…普通ならこの程度の衝撃でフィアはバランスを崩さないが今回は床に石鹸の混ざった水が流れておりそれに滑ってしまったのだ。

 

「しまった!」

 

フィアの叫びも虚しく激しく壁に頭を打ちつけ一瞬にしてフィアの意識を刈り取るのだった。

 

 

 






どうも砂岩でございます!
フィアちゃんの出番が激しく減少してる…どうしよう…でもザーさんとライエの分を削るのはちょっとアレだし…次で頑張ってもらいます!
最後の絞める所ははどうしようか迷ったんですけど結局絞められる運命に…姫様すいません…。

所で話が変わりますがなんかお話に関係ない番外編でも作ろうと思いまして(気まぐれで)砂岩の文章でも我慢できる…と言う方が居ましたらリクエストして頂けたら出来るだけ書きますので!

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