アルドノア・ゼロ 忠義は主君と共にあり 作:砂岩改(やや復活)
フィアside
アセイラムとフィアを収容したデューカリオンは揚陸城からの迎撃を避けて成層圏まで一気に上昇していた…その上昇の振動の中、フィアとアセイラムはパイロット服に着替えて静かにアレイオンで待機していた。
(一かバチか…)
デューカリオンが成層圏に到達したのか、僅かな浮遊感を感じたフィアは静かに目を開ける…すると無線から降下作戦に向けて行動している声が聞こえてきた。
『高度二万メートル到達…ターンオーバー』
『スケアブロー投下』
デューカリオンから先に降下を開始したデコイ達は揚陸城のレーダーに掛かり全てのミサイル発射管からミサイルが撃ち出されデコイを次々と落としていく。
『デコイカタフラクトに着弾!チャフ、フレアー拡散!』
デコイカタフラクトに仕込まれたチャフとフレアーによって揚陸城のレーダーは阻害され赤外線も撹乱されてしまう…多少なりとも揚陸城の迎撃能力が低下したのを見計らうとブリッジに居た鞠戸の指示が飛ぶ。
『強襲隊出撃!』
『マスタングリーダーより各機、吹雪でレーザー通信の見通しが悪い上に…揚陸城の近くはジャミングが強くなるわ…上陸までは指示に頼らず各機で戦って…』
『マスタング11了解!』
『…マスタング22…了解…』
『マスタング33…了解』
『マスタング44…了解』
マスタングリーダーであるユキの指示に各機が返事をすると後部ハッチがゆっくりと開く…するとフィアの乗っていたアレイオンに伊奈帆から通信が入る。
『フィア…』
「伊奈帆…すまない…私が至らないばかりに…お前達にに無理を…」
『大丈夫…気にしてないよ…フィアの力になれて良かった…上陸地点はちゃんと確保して待ってるから…』
「フッ…あぁ…信用している…」
フィアは伊奈帆の言葉に笑いながら答えると伊奈帆も微笑み通信を切る…今まで無表情しか見せなかった伊奈帆の微笑みに驚きながらもフィアは楽しそうに笑うのだった。
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伊奈帆side
『フッ…あぁ…信用している…』
たった一言のその言葉に柄にも無く笑っているのが自分でも分かる…普段から無表情なのは自分でも分かってるしそれを変えようとも思わない…でも久しぶりに自然に笑った気がした。
(らしくない…かな…)
心なしか解れた緊張を感じて愛機のスレイプニールを降下の為にスタンバイする。
『降下!』
ユキ姉の言葉と同時に次々と降下を開始していく…自身も韻子のアレイオンが降下したのを見て続く…降下開始から少しして韻子の声が無線を通じて流れてくる。
『当たりませんように…当たりませんように…当たりませんように』
『そんなに怯えてると帰って殺られるぞ…弾は臆病者が好きなんだ…堂々としていれば弾の方から避けて……』
マスタング33からの不自然な通信の遮断に疑問を感じた伊奈帆は居るはずの地点を見るとコックピットのある上半身を見事に吹き飛ばされたアレイオンの姿があった。
『ヒッ!』
『マスタング33!』
(さっきのは明らかにミサイルじゃない…迎撃兵器が弾幕を張りだしたか…)
滞空時間が長いと危険と判断した伊奈帆はスレイプニールの体勢を変えて降下速度を加速させると追いついたデコイカタフラクトの後ろに着く。
「僕のオレンジ色を目印にして……」
『なお君、早い!』
「デコイを盾にして降下…目標は雲を抜けた直後…ギリギリまで降下して減速する」
スレイプニールは大きな雲に突入する…視界の悪い雲の中で見えるのは目の前に居るデコイだけ…若干緊張しながらも冷静に落下する機体を調整していく…すると雲を抜け花のような形をした揚陸城が眼前に現れる。
「目標確認…」
手持ちのマシンガンの有効射程距離を確認した伊奈帆は減速のためのパラシュートを開き弾幕を張っている戦車のような兵器を次々と破壊していく。
「ッ!」
迎撃兵器が自分を狙ってきているのを見てパラシュートを切り離し滑りながらも揚陸城に上陸する…膝に装備したミサイルを展開しミサイルをばらまく…ある程度のスペースを確保した伊奈帆は通信を繋げる。
「こちらマスタング22…上陸地点確保…」
『マスタング22を目視…接近中…無茶しないで…なお君…』
「少しでも対空火器を潰しておけば…後続が楽になるから……」
伊奈帆はユキ姉と通信しているとフッと気づく…上陸の際に予測していたジャミングが確認できずに通信は正常を保っている。
「おかしい…通信がやけにクリアだ……」
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フィアside
「姫様…もうすぐ降下します……」
「はい…頼みます…フィア」
プリンセス1と呼称されたアレイオンにはフィアが操縦しその後部座席にはアセイラムの姿があった…するとブリッジから鞠戸の指示が飛びフィアはアレイオンを後部ハッチに近づける。
『コントロールよりプリンセス1降下位置に待機』
「了解…降下位置に待機」
『残念だが俺が直接支援出来るのはここまでだ…幸運を祈るよフィア』
『フィア!頑張ってきてね!』
「プリンセス1了解…必ず成功させます…」
鞠戸とニーナの声援の元、フィアは開く後部ハッチから青い地球を眺めると気持ちを引き締める。
『プリンセス1降下準備!』
「プリンセス1降下準備よし!」
『プリンセス1降下!』
「プリンセス1降下…ッ!」
いざ降下しようとすると何やら黒い点が動いているのが確認できた…それをフィアがディオスクリアだと理解するのは遅くなく叫ぶ。
「姫様!伏せて!」
「え?はい!」
ディオスクリアの飛行ユニットから発射されたマイクロ弾はフィアの体を貫きフィアは悲鳴を上げる…マイクロ弾と言っても拳銃の弾より少し大きい位で前の座席に座っていたフィアに容赦なく降り注いだ。
「あぁぁぁぁぁ!」
形を維持できる限界まで熱せられた棒を無理やり体にねじ込まれる様な感覚にフィアは悲鳴を上げる…その痛みが体の至る所で襲い気絶すると制御を失ったアレイオンはゆっくりと後ろに倒れてその機能を停止した。
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その頃、突然現れた敵性カタフラクトに驚きを隠せないでいた。
『そんな…レーダーに反応は……』
レーダー観測者である祐太郎の言葉と共に鞠戸がブリッジ眼前に現れたディオスクリアを見て叫ぶ。
『対空戦闘!”デューカリオン”を守れ!』
「ッ!」
ディオスクリアの制御信号を機体の搭乗者に翻訳可能な物に変換する固有能力…つまり電子解析によりデューカリオンの通信全てがザーツバルムの元に筒抜けになっている…その通信を聞き、彼は驚くもミサイルを発射しその全てがデューカリオンに直撃し墜落していくのを見届けると憎々しげに呟く。
「デューカリオン…かの機体よりアルドノアを移植するもオルレインが他界して機能せず…それをアセイラム姫殿下が再起動したと言う事か…忌まわしき艦よ」
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ディオスクリアの襲撃によりブリッジは甚大なダメージを受けその衝撃はほとんどのクルーの意識を刈り取った…しかし暗くなったブリッジの中で動く影があった。
「クソッ!」
「被害報告…」
鞠戸が悔しそうに近くの機器を殴り副長の不見咲はボロボロの体で艦内各所に通信を送るがどこからも返事が無く操舵手であるニーナのみが答える。
「右舷、反重力デバイス二番から七番が停止…高度が下がっています…」
「全エネルギーを推力モーターに…目標…揚陸城…この船で…直接乗り込みます」
艦長であるマクバレッジは指示を出しニーナはその指示に従い墜落するデューカリオンを揚陸城に向ける。
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伊奈帆side
揚陸城のプリンセス1降下予定ポイントには降下した部隊が上陸地点を確保しており迎撃兵器と確保部隊が激しい戦闘を繰り広げていた…その中、マスタング44が迎撃兵器の砲弾に直撃する。
『マスタング44!』
(このままじゃ…じり貧だ……)
『ユキさん!プリンセス1はまだ来ないんですか!?』
『まだよ…合図が無いわ!』
韻子の焦った声が無線に響き伊奈帆自身も状況が悪いことを感じて嫌な汗をかく…何かないかと辺りを見渡した直後。
「ッ!ユキ姉!あれ!」
『なに!?…あ…あれは……』
伊奈帆の叫びとユキの驚きに近くに居た者は二人が見ている所を見るとそこには分厚い雲から姿を現し墜落してくるデューカリオンの姿があった。
『あ…あれは…デューカリオン』
『全機散開!』
(フィア…)
降下予定ポイントに突っ込むデューカリオンを見てユキは各機に散開の指示を出し撤退する…その指示に従い散開するとデューカリオンが揚陸城に不時着するのだった…その衝撃は揚陸城全体を震わせ伊奈帆はそれを見て冷や汗をかくのだった。
どうも砂岩でございます!
言い題名が思いつかずにそのまま…(泣)
ついに辛くも上陸しました…第一期分の話もついに一話分になってしまいましたね…さてさて!次回はついに直接対決!どうなってしまうのか!。
最後まで読んで頂きありがとうございました!