アルドノア・ゼロ 忠義は主君と共にあり 作:砂岩改(やや復活)
親衛隊side
ヴァース帝国、帝国軍軍港…そこには巨体な長距離航行用の輸送艦が多数並べられていた…ヴァース帝国の主戦力と呼ぶべき火星騎士軍は全て地球軌道上に集結しており本土の軍のほとんどが一般階級からという、いわゆる低い身分の者から成り立っているのが現状だ…もし地球軍が火星騎士軍を破り本土に進撃してきたら為す術もないだろう。
「各システムのチェックは入念にな…」
「整備班は最終チェック急げ!」
「月面基地への荷物と移動中の食料も忘れるな!」
軍港では整備兵と作業班がごちゃ混ぜになり長い地球圏への旅に備えて作業を進めていた…その輸送艦に黒と紫の二色で彩られ、ガスマスクを付けているような顔のカタフラクトがその人員を踏まないように慎重に格納庫に入っていく。
『全く!こんなに人が居たら踏んじまうぜ!』
『ネール…踏んだらどうなるか分かってるな…』
『分かってるよ!いちいちジュリは細かいんだから!』
ネールは足元の人に悪態をつきながらも何とかベルガ・ギロスを格納庫に納める…元々、予定されていなかった輸送艦に特務を理由に親衛隊が割り込んだのだ…この様な混乱は仕方の無い事だった…ジュリ達は機体をロックするために指定の位置に置くと既にその横にはリアのローゼン・ズールとシルエのベルガ・ギロス01が収められていた…それを機体から降りる際に見たネールは呟く。
「あれ?副長は?」
「特務の遂行だ…ブリーフィング聞いていなかったのか?」
「わ…分かってるよ…聞いただけさ…」
『アワワ!退いてください!』
ネールの質問にジュリはため息をつきながら答えるとネールは冷や汗をかき…目をそらしていると輸送艦の入り口からケルラのベルガ・ギロス04がぎこちない動作で入って来ており足下に居た作業員は慌てて逃げる…それを見てネールとジュリは頭を押さえるのだった。
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輸送艦に繋がる長い廊下…そこをゆっくり歩く三つの影…親衛隊副隊長のリアとその隊員のシルテだ…シルテは特務で同行する人物の車椅子を押していた。
「レムリナ姫…これから二ヶ月と言う長い旅に出られますが…よろしいでしょうか?」
「……私にその選択肢があるとお思いですか?リア・シャーウィン副隊長…」
「……」
その特務で同行する人物とは先代皇帝であったギルゼリアの隠し子…レムリナ・ヴァース・エンヴァース…その生まれのせいで母親と同じく酷い扱いを受けており皇族を含む封建制度を恨んでいる人物だ…その少女が虐げられる原因であるアセイラムの身代わりをするとは皮肉なものである。
レムリナはリアの言葉に皮肉を込めて返事をするとリアは黙ってしまい少しだけ渋い顔をする…そして車椅子を押しているシルエは相変わらず無表情、無言を貫いている…それを見たレムリナは少し笑い言葉を発する。
「フフッ…冗談ですよ……私たちを救ってくれたザーツバルム伯爵のお願い…恩を返すには絶好の機会です…それにこんな私を守ってくれるあなた方にも感謝しているのですよ…」
「それは良かった…我々も任務とは言え…嫌がっている人を連れて行くのは気が引けます…」
「そうですか…私としてもこんな星より向こうに行った方が遥かに楽しいでしょうし…期待してるのですよ…」
「ハッ!」
リアもレムリナの経歴はある程度洗い出している…気が障らない様に注意を払いながら話しているとレムリナも気を良くしたのか次第に言葉数も増えて来た…護衛としては護衛対象との距離間は大切である…その確保を完了したリアは少し安心しつつ輸送艦にレムリナを案内するのだった。
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その頃、月面基地のとある一室にフィアとスレインの姿があった…その目の前には医療カプセルに浮かんでいるアセイラム…静かにアセイラムを見つめるフィアを見てスレインは心配そうに話し掛けるがフィアは沈黙を守り続けた。
「フィアさん……」
「………」
しばらく黙っていたスレインはフィアに本当の事を話そうかと考えているとフィアが静かに語り出した。
「スレイン…」
「はい…」
「私は元々貴族や特定の階級を持つ物では無かった…」
「え…一般階級だったんですか?」
フィアの言葉にスレインは驚く、アセイラムの警護を全面的に任せられているフィアが元々は何も持たない一般階級だとは思いもしなかったからだ。
「まぁな…あの時は姫様の騎士になるなど思いもしなかったがな…」
「クウェル卿とも仲が良く見えましたが…」
「マリーンか…アイツとは訓練学校で出会った…」
「そうだったんですか…」
スレインはヴァースの訓練学校には行かずに父が他界してすぐクルーテオ卿に引き取られた為に訓練学校には行っていないのだ。
「良かったら聞かせて貰っても…」
「そうだな…あれは……」
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四年前、フィアはヴァース帝国軍の志願兵として軍の教練所のグランドに整列している志願兵の列に居た…階級と言う物をを重く見るヴァース帝国だがこの教練所においてはそれは意味をなさなかった…むしろ権力を持つ物は一般階級よりも厳しい訓練を受け力を示さなければならないと言う点では力ある者とない者での違いはあるとも言える。
「貴様らは皇帝陛下の盾となり矛となる者だ!この厳しい試練を抜けれた者にはそれ相応の力が手に入る!」
教練所のお偉いお方のありがたいお言葉をフィアは冷めた目で見ていた…当時十二歳であるフィアは既にヴァースの封建制度に疑問を持ち、全てがくだらないと言わんばかりの表情を隠さないでいた。
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「……」
「ッ!」
「「「「おぉ!!」」」」
訓練が始まって一ヶ月が経った教練所の施設では体術の訓練が行われ全員に等しく試合が設けられ教官が審判を下していた、その一角で大きな歓声が上がっていた、フィアと男の志願兵との試合で決着がついたからだ。男の方は息が荒れ、ひっくり返されているが対するフィアは呼吸の乱れが見られずにそのひっくり返された男を立って見ていた。
「流石だな…フィア・エルスート……前代未聞の天才とはよく言った物だな…」
「ありがとうございます…」
教官の言葉にフィアは淡々と答えその場を立ち去るのだった。
ーー
「……」
教練所の食堂…訓練だらけのこの生活において月に一度の休みと食事の時間が数少ない安らぎの時間だった…フィアは食堂の不味い食事を黙って食べていた。
「いや~流石は麗水…」
静かに食事を摂る姿に周りの者達は相変わらずの無言、無表情、無反応に苦笑いをする…誰かが呟いた言葉はフィアの別称になっている…冷水の様に冷たい麗しい少女で“麗水”付けた人は上手い、…静かに座っているフィアは綺麗な銀髪で無口で近寄りがたいのは逆にクールとも取れる…それが理由か分からないがファンクラブ的な物も存在するらしい…そんな一方それを面白くないと思う連中も当然存在する訳で…。
「おい!フィア・エルスート!!」
食堂に怒声が響き渡り食堂に居た全員が注目する…その怒声を発したのは先程の体術訓練で投げ飛ばされた男だ…後ろには数人の男たちが待機している…彼の家柄は男爵なので意地もプライドもあったのだろう。
「……」
「おい!」
それでも無視するフィアに苛ついたのかフィアの肩を掴んだと思った瞬間、その男は投げ飛ばされ地面に伏せていた…フィアは肩を掴まれる寸前に片手でその手を掴み投げ飛ばしたのだ。
「私に触れるな…」
冷たい言葉と瞳に一緒に居た者達も一瞬たじろぐが一泡でも吹かせたかったのか彼女に数人が襲いかかる…面倒くさそうに舌打ちをしたフィアが立ち上がろうとした瞬間、その男共はまとめて吹き飛んだ…その中心に居たのは黒髪をポニーテールにした少女…マリーン・クウェル。
「……うるさい…埃が舞う……」
「……」
それがフィアとマリーンの出会いであった。
どうも砂岩でございます。
今回は過去についてですね!フィアちゃんは超一匹狼ですね!
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そして重大なお知らせ
活動報告でも報告させて頂きましたが今回、この砂岩は大学受験の為に更新が著しく遅くなります…下手したら来年まで投稿しないかもしれません。
今回の投稿が遅くなったのもこれが原因です、今までご声援頂いた方々には申し訳ありませんが落ち着くまでお待ち下さると嬉しいです。