アルドノア・ゼロ 忠義は主君と共にあり 作:砂岩改(やや復活)
父と母そして祖母と共に過ごしていたが仲の良かった祖母と幼い頃に他界、最後の言葉は「もう一度地球に…」だった。それからフィアはヴァースに疑問を抱くようになった。
その後、兵士として父は家を出て行き、一人になった母は一人でフィアを育てたが過労で倒れ、病気にかかり薬も買えないまま死んでいった。
「ホワァ……」
式典から数日、休暇に入ったフィアは欠伸をかきながら街を歩いていた。
(家か…)
フィアは第二階層にある自身の家の事を思い出すが頭を振って忘れる、あそこには優しかった両親などもう居ない。
ヴァース帝国の階層社会はフィアから言って見ればヴァースの腐敗その物である、宮殿を中心として数十キロ圏内を第一階層として宮殿から離れれば離れるほど階層の番号が上がっていく。
第一階層しか守る気のない貴族達のせいでフィアの住む第二階層からは無法地帯と言っても過言では無い。
(まぁ…あんな所でも故郷は故郷だ……)
「あわわ!退いて下さい!!……キャ!」
ほんの少し自身の故郷に嫌悪を抱くが生まれ育った地であるのでそんなに考えない事にした。
「ん?グォォォォ!!」
そんな事を考えていると猛スピードで突っ込んでくるピンクの物体…身長はフィア方が上なのとピンクの物体は何かに躓いたらしくミサイルのように彼女の腹部に直撃し衝撃をもろに受けた本人は普段より低い声で悲鳴を上げる。
「あ!すいません…大丈夫ですか?」
「…もう少し速かったら意識飛んでた……」
ピクピクするフィアを見て桃色の髪をした少女が大丈夫が確かめる。
「あ!居たぞ!!」
するとその向こうから黒服にサングラスをかけた怪しい人間が少女を見つけて叫ぶ、それに気づいた少女はフィアの後ろに隠れる。
「突然ですいませんが助けて下さい!」
「……なに?」
「このままじゃ攫われてしまいます!」
少女の言葉に復活したフィアの目が鋭くなり黒服を見る、しかしその黒服は近づくとフィアに目もくれず少女の肩を掴む。
「さぁ…お帰りになりましょう…皆が心配しています…」
「嫌です!私は…真実を!!」
「おい……」
少女の無理やり連れ去ろうとした黒服の腕をフィアは掴む。
「なんだお前は…」
「彼女が嫌がっている……」
「そうか…手荒な真似はしたくないんだが…」
黒服はそう言うと掴まれていない腕でフィアを殴る。
それを避けフィアは黒服の足を払い跳ぶと顔面を掴み地面に思いっきりぶつけると黒服は地面に顔をめり込ませながら気絶した。
「わぁ…すごい!」
目をキラキラさせながら感動する少女を後ろにフィアは手を払うと少女の手を掴み走り出す。
「え?何ですか!?」
「他にも似たような気配がある…ここは危険だ…」
そう言ってフィアは謎の少女を連れてとにかく逃げる事にした。
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少女side
真実を知りたかった…式典で見た人たちは自分が想像しているように幸せそうではなかった…だから知りたい…本当の事を…この外の事を。
「彼女が嫌がっている……」
連れ戻されようとした時に助けてくれた人…知っている…昨日見た綺麗な人だ…彼女は何も知らないのに助けて今も手を引っ張ってくれている。
かっこいいな…
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「はぁ…これだけ逃げれば良いだろう……」
「はぁ…はぁ…ありがとう…ございます」
「大丈夫か?」
若干息を乱しながらに逃げたフィアは息を切れ切れにしている少女を見て心配するが少女は大丈夫と手を振る。
「人攫いか?第一階層じゃ珍しいな…いや…宮殿から離れてるしあるか……」
フィアはそう言って呟くと近くにあったベンチに少女を座らせて自分も座る。
「いきなり無理を言ってすいません…」
「気にするな…あぁ、自己紹介がまだだったな…私はフィア、フィア・エルスート」
「えっと…私は…セイラ…セイラ・アリーシュと申します」
「セイラ…良い名前だな…」
セイラの名前を聞いたフィアは優しく微笑むと呟き、それを聞いたセイラも微笑みながら返す。
「貴方もとてもかっこよかったですよ」
「私は女なんだが…」
「フフフッ…すいません」
(不思議な人だ…)
先ほどの空気から一変して和やかな空気に変わる。それはこのセイラと名乗った少女のお陰というのはフィアにもすぐに分かった。
「本当にアレなのか?」
「間違いない、ホログラムで隠してるだけだ」
「護衛はいるがやるぞ……」
「「「了解」」」
そんな様子を遠くから見ている黒服とは違う集団、その者達の殺気に気を抜いていたフィアは気づかなかった。
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ヴァース帝国には草木は等の植物はなく市民の憩いの場である公園でもある程度の広場に申し分程度の椅子が置いてあるだけだ。
「見たところ一般市民には見えないが…何をしに来た」
「え…」
椅子に座り一段落すると先に口を開いたのはフィアだった、綺麗な身なりに言葉遣いから見てセイラはある程度の家にいると見当をつけた結果、疑問を彼女に放った。
「私は…人の口から等でしか外の現状を知らされていませんでした…だから……本当の景色を見たかったのです」
質問にセイラはゆっくりと静かに答えるとフィアは静かに彼女の評価を変えた。
突発的な家出をした結果、人攫いに攫われそうになったかと思ったがどうやら彼女自身、ちゃんとした理由があった事に少しだけ感心したのだ。
「そうか…じゃあ行こうか…」
「え?」
「見るんだろう…外を……また攫われそうになったら大変だからな」
フィアの言葉にセイラは驚くが言葉の続きを聞いた彼女は幸せそうに笑う。
(何だろう…なぜか護りたくなる……)
恐らく、自身が嫌いなヴァース帝国の恩恵を受けている者の一人である筈なのに放っておけないこの感情にフィアはただ疑問に思うのだった。
ーーーー
『どうだ?そちらは?』
「対象が動いた…監視を続ける……」
『気をつけろ…その護衛はN-2とS-3を一度振り切ってる……慎重にな……』
「了解」
そんなフィア達の様子を遠くから監視していた人物が静かに動き出すのだった。
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そんな者達に気づかずにフィアはセイラを連れて第一階層の外園部付近に来ていた、まだ第一階層だと言うのに中心街とは違いくたびれた様子を見せていた。
「これは……」
「まだ良い方だ…第二階層はもっと酷い……」
少し痩せすぎてる人や力なく倒れている人、その光景にセイラは手で口を覆い驚くがフィアは静かに真実を告げる。
「……」
「現実なんて酷いものだ…地球から配給されている食料だってほぼ全部が王族や貴族が貪ってる……奇跡が起きて市場にまわってきても高額過ぎて誰も買えない」
「…こんな……」
「ッ!」
静かに呟き、倒れ込むセイラを見てフィアは目を見開き驚く。
「なんで…泣いているんだ……」
「ヴァースには人々の夢と希望があった…人類の新たなる新天地であった筈なのに…私は…申し訳がない……」
同情ではない、ただ悲しんでいる…この状況を、現在のヴァースを…なんの色メガネを掛けずに心から悲しんでいる。
(違う…この人は違う…)
フィアはただ驚いた…目を背けずにまっすぐと現状を見ている、そしてこの状況を憂いている。
そんな姿にフィアは心が撃たれるような気がした。
(あぁ…なんて……優しい人だろう……)
これを見ても貴族は見向きもしない、それどころかこのヴァースの汚点だとばかりに見ると言うのに。
「皇女だと言うのに…何も知らないで……」
「それは…ッ!!」
「キャ!」
フィアはそんな事を思っているとセイラから発せられた言葉にさらに驚くが突然の濃い殺気に急いで倒れ込んでいるセイラを抱えて横に跳ぶ。
突然のことにセイラが叫ぶがフィアはそれどころではなかった。
突然の発砲音、肩を掠った熱い物体…明らかにセイラを狙ったその物は…
(銃弾…)
「なんですか」
「走れ!!」
一気に裏路地まで跳んだフィアはセイラの手を握ると強引に立たせ叫ぶと走る。
狭い路地を全力で走り、フィアは必死に気配を探ると少し広い所に出る。
(五人か…多いな……ッ!)
「キャッ!!」
すると突然前からコンバットナイフを持った男が現れる、フィアはセイラを止め、突き飛ばすとセイラは尻もちを着き悲鳴を上げるが無視する。
「オラッ!!」
「ッ!」
フィアは突き出されたナイフを避け伸びきった腕を腋で閉めると空いている手で相手の顎に掌底をぶち込むと男は気絶する。
「囲まれた!!伏せろセイラ!!」
「はい!」
セイラの後ろの路地から現れた男を気絶させた男から取ったコンバットを投げつける、フィアは刃の方を持って投げたので持ち手の方が相手の眉間に当たり気絶する。
「フィア!!後ろ!」
「この小娘が!!」
「グッ!!」
後ろから現れた男はフィアの腕を掴み壁に叩きつけるがフィアも負けておらず足で相手の腹を蹴り飛ばす、しかしもう一人現れた男に鉄パイプで頭を殴られ意識が飛びそうになる。どうやら奴らは優先目標をフィアにしたらしい。
「調子に乗るな!!」
腹を蹴られた男はフィアの顔を殴ると羽交い締めにする、すると鉄パイプで殴った男が再び羽交い締めにされたフィアに向けて構える。
「へへっ、そらっ!!」
「えい!!」
男の薄気味悪い笑いと共に可愛らしい声が上がり鉄パイプの男は気絶した。後ろからセイラが鉄パイプで殴ったのだ。
「大丈夫ですか!?」
「なん、とか、な!!」
突然のセイラ乱入に驚いた男の隙をフィアは見逃さずこめかみ、腋、みぞおちと人体急所に三連発をぶち込み地面に埋めた。
「クソッ…血が……」
あと一人と言う所で殴られた頭から血が流れ出し片膝を着くと銃弾がフィアの肩を貫通した。
「グッ……」
フィアは倒れ込むと撃たれた肩を押さえて呻く。
「そこまでだ小娘が…」
そして少し野太い声がフィアの耳に届く、当然銃を構える際に鳴る金属音と共に。
「止めて!!」
するとセイラがフィアを庇うように覆いかぶさる、しかし男は表情を変えずに話しを続ける。
「皇女殿下を渡して貰おうか…」
「やっぱり…セイラ…お前は……ヴァース帝国第一皇女アセイラム・ヴァース・アリューシア殿下か……」
「………」
「フフッ……」
男の言葉に納得したフィアはアセイラムに問いかけるとアセイラムは申し訳なさそうにする。
それを見たフィアは思わず笑ってしまった…あの呟きで分かっていた筈なのに…自身が恨んでいた人物が……この少女だと。
(なんでだろうな……)
なぜ助けたのか…自分はさっさと逃げてアセイラムが死ぬのを期待してれば良かったのに。
知り合ったから?
(違う…)
自分が殺したかったから?
(違う…)
助けたかった?
(………)
バカらしくなった?
恨みの対象がこんなに優しかったのが?
見てしまったんだよね?
希望を…
この優しさがこの腐った世界を変えてくれるって…
思ってしまったんだよね?
(あぁ…今までの自分がバカらしくなったんだ……そうだよ…現実から目を背けてたのは……私の方だった…)
辛くて…憎んで…逃げてた……全部他に責任を押し付けて。
「だから…」
フィアはそう呟くと痛む肩を押さえて立ち上がる、心配するアセイラムを手で制して銃を構えた男の前に堂々と立つ。
「姫殿下…貴方の涙に賭けてみることにします…」
覚悟をしたフィアの表情に男は一瞬たじろくが銃の引き金を引く…しかしその引き金は最後まで引かれず男は宙を舞ったのだった。
どうもお久しぶりでごさいます!砂岩です!
一応、回想編終了でございます!
私が言うのもなんですがフィアちゃんいつもぼろぼろですね…ごめんなさい。
そう言えば、この前広告でタルシス売ってましたね、欲しい…欲しいわ…でも高すぎる。(泣)
次はその後の事を少し書いて、ストーリーを進めていきたいです。
更新スピードは諸事情でとても遅いですが
最後まで読んで頂き本当にありがとうございます。