アルドノア・ゼロ 忠義は主君と共にあり   作:砂岩改(やや復活)

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第三十五星 宇宙要塞マリネロス 後編 ーSpacefort Marenerosー

 

 

『いけぇぇぇぇ!ビットォォ!!』

 

マリーンは楽しそうに叫ぶとレギルスの左腕に装備されたシールドが開き、蛍の光ような物が何十と生成される。

その美しい球体は高速に移動し始め、アレイオン隊に襲いかかる。

 

『な、なんだ!コイツ!!』

 

謎の光に恐怖を抱いた兵は持っている無反動砲で対応すると着弾した光は爆発し数を減らす。

 

「各機散開せよ!!」

 

危険物と判断した部隊長は各機を散開させ回避させようとするが大きなアレイオンに対して小さく小回りの効く光の方が速くアレイオンに追いつき破壊し尽くす。

 

『クソッ!』

 

『部隊長!赤い奴がマリネロスに!!』

 

「ええい!向こうは向こうでやってもらうしかない!我々はこっちの対処に全力で当たるんだ!」

 

『は、はい!!うわっ!!』

 

『余裕だなぁ!隊長さんよぉぉぉ!!』

 

「ッ!!」

 

指示を出した部隊長はその隙をマリーンに見破られいつの間にか目の前にレギルスが現れていた。

レギルスは左手からビームサーベルを出すと部隊長のアレイオンを真っ二つに切り裂くのだった。

 

『部隊長!…ヒッ!!』

 

近くに居た部下が叫ぶが、その行為は死を早めるだけだった。

 

『うぁぁぁぁぁ!!』

 

部下の目とレギルスのスリット状のカメラが合い小さく悲鳴を上げるとビットがその恐怖を察知したようにそのアレイオンに殺到し喰い尽くすのだった。

 

ーーーー

スレインside

 

精神的支柱を支えていた部隊長が居なくなり統制が完全に崩壊したが戦闘は続いている。

ユレイル小隊は残存の二機と小隊が崩壊し彷徨っていた二機を組み込み臨時の小隊を形成していた。

 

「くっ…制御が…」

 

スレインはその小隊を相手にしつつ戦っていたがデブリによる偏向重力のせいで上手く動けずにいた。

だからと言ってやられる事はない…タルシスの予知能力の恩恵とも言えるがそれに対してしっかりと対処しているスレインの高い順応力があってこそだ。

 

『上下を意識するからこうなるんだよ!!』

 

「クウェル子爵…」

 

『ここは宇宙だ!頭で考えるな!体で覚えろ!!』

 

「はい!!」

 

突然の怒鳴り声にスレインは驚くがすぐに頭を切り換えてマリーンの声に従う。

マリーンもアレイオン隊がビットに少し慣れてきたせいかデブリを楯に攻撃を始め、ビットを上手く扱いきれないマリーンは舌打ちをしながら応戦しながらスレインに怒鳴る。

 

『いいか!シートに体を預けろ!後は宇宙が溶け込んでくれるのを待つだけだ!!』

 

「はい!」

 

スレインはマリーンのちょっと意外な面倒見に喜びながらも言われたように動かしているとスッとするものがあった。

 

「なんだ?急に機体が……」

 

『不慣れな奴め!』

 

動きに乱れが生じたタルシスを好機と見たアレイオンは無反動砲を構えて撃つがスレインは紙一重で避け右腕のシールドを反転させて近接戦の剣を出す。

 

「うおぉぉぉぉ!」

 

『しまった!近すぎた!!』

 

一気に加速したタルシスはアレイオンに近づき無反動を破壊すると後退をするアレイオンを追いかけてもう一度剣を振るう。

 

「もらった!!」

 

『ぐをぁ!!……ディン、レイの…仇すら……』

 

『ユレイル22!!』

 

「やった……ッ!」

 

初めての敵機撃破に若干安堵の声を漏らすスレインだったがタルシスの未来予知はいち早く危険をスレインに告げ急いで退避行動を取る。

 

「なんだ!」

 

驚いたスレインが見たのは部隊長の指示で回り込んでいた新型グラニを有する2個小隊規模の部隊だった。

 

「くっ!」

 

先程、交戦していたアレイオン隊とは違い距離が少し近いとは言え正確に撃ってくるグラニはスレインの応戦を難なく交わし散開する。

 

「速い…これが地球軍の新型機……」

 

スレインは今までとは違う敵に気を引き締め直すのだった。

 

ーーーー

マリーンside

 

「あっちはもう良いみたいだな…」

 

マリーンはスレインが敵機を撃墜したのを見て戦闘に集中する、マリーンは戦闘に関しては少々異常だが基本はフィアと同じで面倒見が良い人物である。

 

「さて…こっちもさっさと片付けるか……」

 

そう言ってマリーンはレギルスの腰に付いていたライフルを取り出して構える。

本当ならビットでサックリと殲滅したいのだがレギルスビットはある意味同系統の武装を持つハーシェルとは操作方式が違う。

基本は高度な演算システムでプログラムされた動きをする(脳波は補助)ハーシェルに対し完全に脳波で操作するレギルスビットは高い集中力を必要とするのだ、更にマリーンがこれほどビットを使ったのは初めてだったので三人の中で一番疲労が溜まっていた。

 

「さぁ!!来いよ!!」

 

マリーンが叫ぶとレギルスのライフルが最大出力で放たれ小さなデブリを粉々に破壊した。

 

『なんて奴だ!デブリを粉砕するなんて!』

 

『来るぞ!』

 

『グワッ!!』

 

「ビットが無かろうが!!」

 

ライフルで撃ち抜かれたアレイオンの爆発を煙幕代わりにすると、もう一機のアレイオンに肉迫する。

 

『ヒッ!』

 

アレイオンのパイロットは爆炎から飛び出してきたレギルスを見ると悲鳴を上げるが既に遅く左手のビームサーベルによって刻まれたのだった。

 

「さぁ!後ぉ三機ぃぃぃ!!」

 

『あれはさっきの光!!』

 

『しまった!』

 

『隊長!!』

 

マリーンの相手をしていたアレイオン隊は見事デブリの仲間入りを果たし、マリーンは若干変な汗をかきながらビットを展開しスレインの所にいたアレイオン三機に向かわせ撃破する。

 

ーーーー

 

「クウェル子爵か!!」

 

グラニの対応に追われていたスレインは背後に回っていたアレイオン三機が爆発するのを確認すると若干の隙を見せたグラニをシールドに仕込んである銃で撃ち落とす。

 

「よし!二機目!!」

 

『なんて奴だ…』

 

そんな光景を見て新型機部隊長のモルモットリーダーは思案する、このまま新型を全て失えば計画自体も地球の存亡にも関わってしまう。

 

『モルモット44!!』

 

『はい!』

 

『お前はデータを持って戦域を離脱!味方と合流するんだ!』

 

『そんな!隊長!!』

 

モルモット44は隊長の命令に食い下がろうとした、現在も仲間がタルシスと交戦していると言うのに…新米である自分が怨めしかった。

 

『この地点でのグラニならトライデント基地までギリギリ推進剤は持つはずだ』

 

『しかし!!』

 

『お前は若い、ここは年長者の言うことを聞くもんだ…それにお前の持っているデータは必ず必要になる…これは命令だ!行け!!』

 

『ッ!……はい!!』

 

モルモット44は隊長に押され全速力で戦域を離脱する。

 

『中尉の仇すら…取れていないのに……』

 

『………頑張れよ…新兵』

 

「逃がすか!!」

 

一機だけ戦域を離脱しようとする反応を見つけたスレインは交戦していた機体を放置し追撃を開始するがその前に無反動を乱射するグラニが立ち塞がった。

 

『全機!新兵の花道を作ってやれ!!』

 

『『『『了解!』』』』

 

「くっ…あくまで邪魔をするつもりですか……」

 

隊長の言葉に他のグラニ達も鬼気迫る迫力でスレインに迫る。

 

「スレイン!…無事か!!」

 

「クウェル子爵!敵が!!」

 

『うぉぉぉぉぉ!!』

 

「ちっ!!」

 

迫るグラニを左手をビームマシンガンにして蜂の巣にするが穴だらけになったグラニがレギルスに取り付き拘束する。

 

「雑魚が!退け!!」

 

マリーンは力で拘束を解こうとするが無傷のグラニが後ろからさらにレギルスを拘束しそして三機目、四機目と続く。

 

「スレイン!」

 

「…あぁ……」

 

「スレイン!…チッ!!」

 

マリーンはスレインに救援を求めるがタルシスも同様に拘束されていた…タルシスに取り付いた敵はレギルスに比べたら少ないが肝心のスレインが相手の気迫に呑み込まれ頭が真っ白になっていた。

マリーンはそんなスレインを見て舌打ちをするが内心仕方が無いとも思っていた、初の実戦で相手は死を覚悟している…その気迫に負けてしまうのはある意味仕方のない事だった。

 

「クソッ…ビット!」

 

マリーンは頭痛に顔をしかめながらもビットをシールドから生成し張り付いた敵を破壊する。

 

「クッ…」

 

至近距離の爆発のせいでマリーンはレギルスごと振り回され、さらに顔をしかめるが何とか敵を殲滅するとタルシスに張り付いていた2機も墜としビットをしまう。

 

 

「ハァ…ハァ…ハァ…」

 

「クウェル子爵…大丈夫ですか!?」

 

「何とかな…」

 

息を乱しているのを心配するスレインを横目にマリーンは遠くに居る敵の基地を見て思うのだった。

 

ーーーー

フィアside

 

マリーン達が敵の殲滅を完了させていた頃、フィアはシナンジュを駆って敵基地の迎撃をかいくぐり、持っているロングライフルで銃座やミサイルランチャーを破壊していき、ついに敵基地の表面に取り付いたのだ。

 

「よし!取り付いた!」

 

取り付いた事でフィアは喜ぶが油断など微塵もしておらず頭部バルカンで銃座を粉砕しミサイルランチャーをライフルで破壊し脅威を排除するとすぐ近くに大きな穴が開いていた。

 

「…あれは……私が狙撃した……」

 

フィアはその穴に近づくとライフルを構える、ここから攻撃をすれば全てが終わる…基地も全滅だろう。

 

(任務完了……ッ!)

 

フィアは操縦桿のスイッチを押そうとした時、穴が開いた格納庫にある物を見て思わず手を止めた。

そこにあったのは一機のカタフラクト…地球では練習機として広まっているオレンジ色の機体…スレイプニールだ。

 

「くっ…頭が……」

 

それを確認した瞬間にフィアは激しい頭痛に襲われ思わず両手で頭を抱える。

 

「くうっ…ううぅ……」

 

ナニかがオクから湧き出てくる感覚に息苦しくなり制服を胸元まで開けて大きく息をする。

 

「ハァ…ハァ…ハァ……」

 

『フィア!無事か!!』

 

「ッ!…マリーン……」

 

変な汗が噴き出し頭が真っ白になりかける…そんな時に無線からマリーンの声が響きハッとすると穴から離れ接触回線を開きマリネロスの司令部に繋げる。

 

「こちら、アセイラム姫殿下の騎士だ…決着はついた…投降しろ…」

 

『なんだと?』

 

SOUNDONLYの文字が映る画面が出現するとその先からは指揮官であろう人物の声が聞こえてきた。

 

「こちらは指揮官だけ貰えればそれでいい…兵の脱出は見逃してもいい…」

 

『……本当か…』

 

「あぁ…」

 

フィア自身もなぜこの様な行動をしているのか分からなかった、しかし体と口は勝手に動き話は進んでいく。

 

『……分かった…投降しよう』

 

「貴方の英断に感謝する……」

 

指揮官の言葉にフィアは感謝を述べると基地から降伏を知らせる発光弾が打ち上げられ漆黒の宇宙を彩る。

 

『おい!…話が違うぞ!フィア!!』

 

予定外の行動にマリーンが慌てる、フィアは人一倍真面目な性格だ…計画変更に何かあると思いつつ怒鳴るが応答は無かった。

 

(先程の頭痛は…一体……)

 

そんな声を蚊帳の外にしてフィアは先程の自身の乱れように疑問を持ちつつコックピットシートに大きくもたれ込みただ打ち上げられた光を見つめるのだった。

 

 

 





どうも砂岩でございます!
これでマリネロス攻略戦は終了でございます。
フィアがなぜあの様な行動をとったのか…それはスレイプニールがそれだけ思い出深い物なのでしょうね~(シミジミ)
それと…御覧になられている皆様には本当に感謝です!感想やお気に入りにいつも励まされております。
至らない物はたくさんありますが今後とも暖かく見守って頂ければと…。
では最後まで読んで頂きありがとうございました!
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