アルドノア・ゼロ 忠義は主君と共にあり 作:砂岩改(やや復活)
「あぁ~あ!もう少しだったのに!!」
「仕方ないわよ…向こうが二枚も三枚も上手なのは分かってる事じゃない…」
「それもそうね…」
地球連合本部の食堂の一角でライエと韻子は〇ッキーを食べながら例のシミュレーターの事を話していた。
先程、韻子達が行った戦闘ではライエがフィアのスレイプニールの右腕を吹き飛ばしたその直後、ライエはフィアのスレイプニールが左手に持っていたハンドガンでコックピットを精密に撃ち抜かれたのだ。
ちなみに韻子は伊奈帆の足止めをしていた。
「でも何でこんなに人気になっちゃうかなぁ~」
「やり甲斐があるからじゃないの…」
韻子はポッ〇ーをタバコの様に咥えながら机に頭を乗せる。本来なら暇な時間があればシミュレーターを使い体力が尽きるまでやり続けていたいのだが、どこから漏れたのかカームが作ったシミュレーションは他の兵士にも破格の人気を誇りカームはちょっとした有名人と化していた。
しかしそのせいでシミュレーターは埋まりに埋まりまくり韻子とライエが出来なくなっていたのだ。
「でもまだ誰も倒せてないって…何なのあの二人!てか伊奈帆どこに行ったのよぉぉぉぉ!!」
「また始まった…」
ライエはまたかと言わんばかりに悶えている韻子を見る…そんな彼女だが彼女自身も伊奈帆の事は心配している、あの戦いから八ヶ月を過ぎた時点で会ったのは病院で目を覚ましたと言う報告を受けた一回だけ…その後はいつの間にか病院から姿を消しどこかに行ってしまったのだから。
「近いうちに会えるわよ…」
「なんで!?」
「デューカリオン、手探り状態だけど修理が始まってるみたいだし…いつかあの時のメンバーが集まるでしょうね…」
「そっかー…」
「どうしたの?」
急に元気をなくした韻子を見て不思議に思ったのはほんの一瞬だけ…ライエ自身も恐らく同じ思いを持っているだろう。
「フィアと…戦うのかな……」
「……」
韻子の言葉にライエはなにも答えられずに黙ってオレンジジュースを飲む……こういう時、口下手な自身が恨めしく思う…いつも韻子やニーナ達の明るさに助けられてそれに頼っていた……だから…韻子の不安にライエは何も応えられなかった。
「フィアは火星騎士でお姫様の騎士…私達の…敵……」
「そうね…いつか戦場で会うかもしれない……」
「フィアは…容赦しないだろうなぁ……」
「そうね…」
二人はあの迷いない狼のような紅い瞳を思い出し黙りこもってしまうのだった。
ーーーー
伊奈帆side
それと同じ頃、連合本部付近にある放棄されたザーツバルム卿の揚陸城内部では地球軍による復旧作業が内密に行われていた。
「………」
復旧のために作業員が動き回り騒がしくしている中で、一人の少年は一度来たことがあるかのように巨大な廊下を歩き、ある場所に向かっていた。
アルドノアジャンパーへの入り口前の廊下には巨大な穴が開いておりアレイオンの残骸と解体され尽くし原形を辛うじて保っているゼダス姿があった。
「フィア……」
あの時…死にそうな体で戦っていたフィアの姿を思い出し伊奈帆は無くした右眼を瞼の上からソッと触る。
あの戦いの後…ベッドの上で目覚めた時、言いようの出来ない喪失感を伊奈帆は感じていた…いつかこの時が来るのは分かっていたし、戦いが始まる時に覚悟もしていた。
……でも…その時が来たとき……自身は何も考えられなくなっていた…頭では理解していても体の奥底にあるナニかがそれを拒んだ。
「………」
伊奈帆は無意識に重くなる足を進めながらそう考えていた…。
「ここは…そのままか……」
揚陸城のアルドノアドライブ制御室……復旧作業中だというのにここはまだ手つかずだったのは伊奈帆自身も驚いた。
「動力は必要ない訳か…」
残骸で足の踏み場の無い制御室を伊奈帆はどんどん進んで行く…すると足に硬いものが当たる。
「これは…」
暗い制御室で鈍く光る銀色の拳銃、その拳銃には小さくヴァース帝国の紋章が刻まれている…この拳銃は紛れもなくフィアから託された拳銃だった。
その拳銃を持つと同時に構えるあの銀髪の少年にしたように。
《また…》
《あぁ…またな…》
あの時交わした言葉を決して忘れない。
「また…会いに行くよ……」
この忌まわしい場所で静かに伊奈帆は決意するのだった。
どうも砂岩でございます。
まぁ今回は短めでございましてザッと地球側の方をやって終了でした。
次回からはついに二期に突入します。
伊奈帆の想い…それは届くのだろうかって感じですね。
では最後まで読んで頂きありがとうございました!
ー追記ー
名前を少々変更しました。
受験も無事終わりを告げたので週一で投稿できると思われます。