アルドノア・ゼロ 忠義は主君と共にあり 作:砂岩改(やや復活)
フィアside
「う…」
目を覚ましたフィアは部屋に有ったラジオを点けるとニュースで男性アナウンサーの話し声が聞こえて来てそれに耳を傾ける。
『緊急速報です…先程、ヴァース帝国軍による軍事攻撃が行われました…現在、原因不明の通信障害のため…各地の詳細な被害は分かっていません…』
「ハァ……」
フィアはため息をつきながらラジオを切ると頭を押さえる…ラジオの情報が正しければ今頃、地球連合軍側は既にやられていると思って良いだろう。
それは専用のカタフラクトを持っているフィア達だから分かる…火星は技術力だけなら地球を遥かに越える物を持っているのだ…落着地の制圧など一日も掛からないだろう。
「通信障害…間違いなくジャミングだ…人工衛星も海底ケーブルももう無いだろう…長距離通信が…」
フィアはもうこの時点で連合の首脳部に連絡が取れないのが分かり愕然とする。
アセイラムの体調を考えてしかるべき通信施設に急行しなかった事を悔やみながらも次の手を考えていると寝室からエデルリッゾがあくびをしながら出てきた。
「フィア…おはようございます…」
「エデルリッゾ…」
「はい?」
フィアの真剣な声色にエデルリッゾは背筋を伸ばし静かに聞く。
「姫様を起こして出発する…外はもう戦争だ…ここもいつ戦場になるか分からない…」
「でも…それからどうすれば」
「避難民に紛れて地球連合本部に向かおう…そこから長距離のレーザー通信で姫様のご無事を放送する…」
「わ、分かりました!すぐに!」
フィアの話を聞いたエデルリッゾは急いで部屋に戻り準備をするとフィアも部屋を漁りめぼしい物が無いかと確認すると安物のカッターナイフを見つけてポケットの中に入れる。
拳銃が無い以上最低限の武器を持っていなければもしもの時に対応できないからだ。
伊奈帆side
そんな外の状況に構わずにだし巻き卵を作ったフライパンを片手に板のついたエプロン姿の伊奈帆は携帯で姉である界塚ユキと話していた。
「え…ユキ姉の車で行くって話じゃなかったけ?」
『え!?まさかナオくんまだ家に居るの!?どうしてみんなと逃げなかったの!?』
「だって…そう言ったから…」
『判断は臨機応変…いざとなったら自分を信じて決断する…いつも言って聞かせてるでしょう!』
「ベニビア…」
『なに?』
伊奈帆は少し不満そうにボソリと呟くといつもの一定のトーンで話す。
「何でも無いよ…巡回中の車に拾ってもらう事にする…」
『気を付けてね』
「ユキ姉こそ…」
電話を切ると伊奈帆は取りあえず韻子に連絡しそして棄てたら勿体ないのでだし巻き卵をタッパーに詰めてあらかじめ用意してあった荷物を持ち家から出ようとするとフッと部屋を振り返る。
「一応…持っていこうか…」
フィアが持っていた拳銃を荷物に入れて家を出て行くと誰も居ない筈の街中に人影が移動していくのを見つけた。
ほっておけなかった伊奈帆は追いかけると川沿いの道で橋の下と言う人目のつかない所に居たので話しかける。
「あの…早く逃げないと…新芦原全域に避難勧告が出ている…」
伊奈帆はゆっくりと人影に近づくとそこには金髪と桃色の髪をした少女二人が居た…それを見た伊奈帆はさらに距離を縮めながら話しかける。
「ん?旅行者の人?言葉は…」
歩を進めた伊奈帆だが突然の背後からの殺気を感じて振り返ろうとするがそれは叶わず伊奈帆の世界はぐるりと回りいつの間にか地面を見て首筋に何かが当てられていた。
フィアside
取りあえずアセイラムとエデルリッゾを人目のつかない所に居させると巡回している車を探して橋の上に居た。
するとフィアは下から二人の者ではない話し声が聞こえた瞬間、迷いなく橋から身を翻しその不審者の背後に音もなく降り立つと投げ飛ばし組伏せ、持っていたカッターナイフを首筋に当てる。
「何者だ…貴様……」
うむを言わせない絶対零度の声音に怯むことなく組伏せた相手はこちらに首を回しその顔を見るとフィアの表情は驚きに変わる。
「界塚…伊奈帆…」
「フィア・エルスート…」
「なんだ…貴様だったが…」
「あの…知り合いなのですか?」
一気に警戒を解くフィアを見てアセイラムは話しかけるとフィアが答える。
「はい…暗殺者に襲われた時に助けて頂いた者です…」
「そうなのですか!」
「あの…痛い…」
「すまない!」
話に盛り上がる二人の下から伊奈帆が話しかけるとフィアは慌てて拘束を解くと伊奈帆は立ち上がり間接を回しながら話しかける。
「フィアもまだ逃げてなかったんだ…友達?」
「あ…あぁ…そう!友達だ!友達!」
「それと…はい」
伊奈帆の質問にフィアはどもりなから答えていると伊奈帆はバッグから拳銃を取り出しフィアに銃口を向けないように渡す。
「これは…私の…」
「落ちてた…」
「ありがとう…」
フィアは内心焦りながら拳銃を受けとると見えないように腰のホルスターにしまう。
フィアの拳銃はヴァース帝国軍が正式に採用しているものではないためヴァースの紋章が大きく入ってはいないが銃底に小さく有るのでそれが気づかれていないか心配でたまらなかった。
「もうすぐ輸送車が到着する。韻子に連絡して置いたんだ…一緒に行こう…」
「分かった…助かる…姫様」
「えぇ…」
「はい」
伊奈帆の提案にフィアは了承するとアセイラムとエデルリッゾも同意し先に歩き始めた伊奈帆に着いていくのだった。
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「助かったよ…まさかこんな時に車がガス欠なんて…」
「感謝してくださいよ先生」
その後、伊奈帆のお陰で輸送車にたどり着いた三人は身を寄せて居るのをオコジョ、カーム、伊奈帆が見て話していた。
「あの人、昨日居た北欧美人じゃないか…しかも二人増えてるし…」
「友達だって…」
「お手柄、伊奈帆君10ポイント!」
「ありがとう…」
男子三人の緊張の欠片もない話に運転席に居た韻子はグッと拳を握りしめていると輸送車が急にブレーキをかけて止まるとフィアは空いていた窓から外を見るて呟く。
「KG―7アレイオン…」
「どうしたのです?」
「ハッ!地球連合軍の主力カタフラクトです…どうやらここに火星騎士が来るようですね…」
フィアの言葉にアセイラムは悲しそうな顔をするとフィアはそれを見て慌てて声をかける。
「姫様のせいでは御座いません…恐らく落着地の制圧が終わり足を伸ばして来たのでしょう…」
「そうです!フィアの言う通りです!姫様は何も悪くありません」
「はい…ですが…」
フィアとエデルリッゾの言葉を聞いてもアセイラムは悲しそうな顔をするだけで二人はそれを見て悲しくしていると、運転席が急に騒がしくなりフィアはアセイラムをエデルリッゾに任せて何があったのか見に行くことにした。
「エデルリッゾ…」
「はい…分かりました…」
運転席に向かうと突然輸送車がブレーキをかけてフィアは支えるものが無くそのまま倒れそうになるが近くに居た伊奈帆に支えられる。
「大丈夫?」
「あぁ…何があったんだ?」
「ユキ姉が残った人と敵を連れてきたみたい…」
「敵だと!姫様が居るのに!」
「ちょっと!大人ぁぁ!」
伊奈帆の言葉にフィアが怒っていると残った人と思われる赤髪の少女が入り込みカームもその後に続く。
それだけでも大変な状況に運転手が我を忘れて車から逃げ出し瓦礫に吹き飛ばされる始末、見てられなくなったフィアは運転席に座りシートベルトを着ける。
「ちょっと!貴方!」
「舌噛むぞ!」
韻子は自分が運転しようとした矢先にフィアに割り込まれ思わず怒るがフィアはそんな事など構いもせずにアクセルを思いっきり踏み発進させるのだった。
どうも砂岩でございます!
今回は伊奈帆との再開とニロケラスの登場ですね!
どうでも良いですがだし巻き卵が可哀想だったので持っていく事にしました、何処かで食べるつもりです!
では最後まで読んで頂きありがとうございました!