アルドノア・ゼロ 忠義は主君と共にあり   作:砂岩改(やや復活)

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第六十星 第4の敵 -forth enemy-

 

 

 

 

 

「居たぞ、撃て撃てぇ!」

 

奪還部隊本隊は一定のエリアに煙幕を張り光学迷彩機能を持つスカンディアの位置を割り出すと銃撃を加える。

 

「退屈な方々、そう思いません事。ゼブリン伯爵」

 

「遊んでやりましょうぞ。ラフィア伯爵」

 

対するラフィアは飛来する銃弾に対し一切動じる事なく無線で会話をしていた。

その瞬間、光が辺りを包む。光学迷彩を張っていたスカンディアを中心に空中に漂っていた煙幕が一瞬にして消え失せた。

 

「煙幕が消えた…」

 

「コロイドはイオンに吸着される。これも高電圧の使い方よ」

 

勝ち誇ったかのようなゼブリンの声と共にスカンディアから高電圧が放たれ囲んでいた包囲部隊の半分を破壊した。

 

「散り際は美しく、そうあるべきとは思いません。カタフラクト使いであるならば…」

 

散りゆくカタフラクトたちを見つめ、悠然と言葉を放つラフィアは静かに笑みを浮かべる。

 

完全に傾いた戦況、だが地球軍には切り札がある。それは敵より勝る数ではない、界塚伊奈帆と言う頭脳の存在だ。

 

「データ、揃いました。煙幕の無効化と透明化の拡張は想定外でしたが」

 

「補正できますか?」

 

「なんとか…」

 

地球軍の反撃が今、始まる。

 

ーーーー

 

「そうですか、私が眠ってからもう2年近くも戦争が続いているのですね」

 

「面目次第もございません…」

 

「一体、なにがどうなっているのですか」

 

目覚めたアセイラムに事の顛末を大まかに説明したフィアとエデルリッゾだったが現状の詳しい説明となると少々難しかった。

 

「私が言えるのはスレインが暴走しつつあると言うことです。残念ながら私では彼を止められず」

 

「スレインが…」

 

フィアの言葉にアセイラムは立ち上がると扉に向けてゆっくりと歩く。

 

「姫様、どちらに向かわれるのですか?」

 

「スレインに会うのです。そして、真実を確かめるのです」

 

「姫様…」

 

相変わらずの行動力に驚くエデルリッゾに対しフィアはやっぱりと言った感じで小さくため息をつく。

だからこそ一生付き従うと決めたと言う面もあるが守る身からしてみればその行動力は勘弁して欲しい時もある。

 

アセイラムが扉の前に立ち、自動ドアが開く。

それは問題は無い、だがその扉の向こうから現れた人物は彼女を驚愕させるには充分だった。

 

「っ!」

 

そこには車椅子に座る自身の姿があったのだから。

 

「ケルラ…」

 

「すいません隊長、でも我慢できなかったんです」

 

同じく驚愕の眼差しで見ていたフィアの言葉、それに対しケルラは静かに答える。その顔にはかつて無いほどの覚悟が見て取れたのだった。

 

「貴方は…」

 

「私は…私は貴方よ」

 

向けられる銃口、引き金に指が添えられる。

そんな光景をアセイラムは目を見開きながら見つめることしか出来なかった。

 

ーーーー

 

「戦術データリンクから敵の動きを多次元的に解析。パイロットの攻撃の癖を把握。敵が好んで使う攻撃パターンをあえて受けやすい位置に味方を布陣」

 

変わって地球、伊奈帆はアナリティカルエンジンをスレイプニールに接続し敵の解析に努めていた。

 

「敵の攻撃を誘う。ただし、解析が間に合うかどうか…。最新のデータを送る、移動して」

 

「「了解」」

 

「こっちも了解だ」

 

伊奈帆の指示に対してライエ、韻子、鞠戸たちが行動を開始する。

データに基づき移動をしているが伊奈帆がしくじれば命は無い、自身なりにも辺りを見渡してみるが敵の気配は察知できなかった。

 

「囮って嫌な気分ね。今どこに居るの?」

 

「ライエさんのうしろに回り込んでいる。相手に気付かれないよう、雷撃を停止して狙いを定めるために一旦停止するはず」

 

真後ろに敵が居る。

ライエは恐怖を感じ思わず振り向こうとしてしまうが何とかそれを抑え、前進を続ける。

 

「ユキ姉、今だ」

 

「本当にいるの!?」

 

送信された敵の位置データ。

ユキはライフルを構え弾道を逸らさせた3発の銃弾がその地点に飛来する。

飛来する銃弾、一拍の間を置いて砲弾の一発が空中で突如爆発した。

 

「いた!?」

 

「まさか!」

 

ユキとラフィアの驚愕の声が重なる。

 

「こちらマスタングリーダー、敵を捕捉」

 

「了解。マスタング00、出撃する」

 

「マスタング00、降下」

 

上空に待機していた輸送機から放出される機体。

訓練機を示すオレンジ色に塗装された機体は宇宙用装備を身につけ重力に従い地表へと降下していく。

 

「スカンディアの足が…。エレクトリスの重量を支えられませぬ」

 

「合体を解く。逃げろ」

 

脚部に損傷を負ったスカンディアはエレクトリスを降ろすと揚陸城のある方向へと移動する。

 

「目標確認。9号シュート」

 

「なんだ?」

 

降下し続けるスレイプニールから発射されたワイヤーはエレクトリスに繋がれる。

謎の衝撃に疑問を覚えるゼブリンだったが周囲からの攻撃に対抗するために雷を展開するしかなかった。

 

「無駄だと言っているだろう!」

 

「ならこっちならどうだ」

 

スレイプニールから放たれた銃弾は雷をすり抜けエレクトリスの装甲に直撃する。

 

「なにゆえ!?」

 

「電気は電位差で流れる。同じ電位にある物に雷は落ちない。お前自身に雷が落ちないように」

 

鉄壁の雷撃が無力と化したエレクトリスに為す術はない。防御面でも攻撃面でもだ。

 

「くらえ!」

 

「もう遅い。お前と同じ電位になった」

 

雷撃が飛来するがスレイプニールには当たらない。

伊奈帆は静かにライフルを構え、冷静に引き金を引いた。

放たれた銃弾はエレクトリスに直撃し各所から火花を散らせる。

 

「まさか…。あれが噂のオレンジ色か」

 

「ゼブリン伯爵!」

 

「応援をまわす。持ちこたえよ!」

 

「このぉ…。地球人風情が」

 

撃墜されたゼブリンを見たラフィアは通信から聞こえてくるオルガの声が耳に入ってこなかった。

あのオレンジ色がオレンジ色さえ居なければ…。地球軍のエースなど知ったことかこの私が叩き落としてくれる。

 

「くらえ!」

 

ラフィアは手にしていたボウガンを構え降下し続けるスレイプニールに放った。

 

「っ!」

 

ピピピッ!

 

飛来する矢はスレイプニールに右肩を穿つ筈だった。

それに即座に反応したのはスレイプニールのOS。OSは独自の判断で回避行動を開始し矢は背部の宇宙用装備を破壊した。

 

「伊奈帆!」

 

「煙幕弾!」

 

韻子の悲痛な声と共に鞠戸は包囲していた部隊に命令を下す。

ばらまかれた煙幕弾は広範囲を多いスカンディアの存在を引き立てさせる。

 

「見つけた、ファイヤ!」

 

煙幕から即座に見つけ出したユキは大型のライフルを構え撃ち放つ。

 

「…そんな」

 

ボウガンを持つ右腕を撃ち抜かれ反撃の手段すら奪われたラフィアはただ唖然として機体が生み出した業火に焼かれるのだった。

 

「おのれ、良くも同士を…。許さぬ」

 

二人の最後を見届けたオルガは敵の本隊へと機体たちを前進させる。援軍が到着する時間すら稼げなかった。

本来なら”あのお方”を待つべきであろうがそれでは栄えある軌道騎士に泥を塗ることになる。

それも彼には容認できることではなかった。

 

「大丈夫、なお君?」

 

「うん、ありがとう。ユキ姉」

 

「9時の方向!」

 

降下を終えた伊奈帆は背部の宇宙用装備をパージしライフルを構える。

ユキ姉の言葉に若干の安堵を覚えるがそれもつかの間。大量に分身したオルテギュアが丘をおけて進撃して来たのだ。

 

「各機、各個に応戦!」

 

本隊による一斉砲火、撃墜されてゆくオルテギュアたち、だがそれ以上に分身が出現しジワジワと迫ってくる。

数を生かした人海戦術。物量作戦を利点とした地球軍がその作戦によって追い詰められようとしていたのだ。

 

ーー

 

「マスターを倒せばいいんじゃなかったの!。どれが本物なのよ!?」

 

「マークしていた親機は本物じゃなかった。どこかに隠れてんのか?」

 

オルテギュアのナックルガードはアレイオンのコックピットを潰しジワジワと追い詰められていく伊奈帆たち。

 

「どれが一体が本物だと思っていたけどひょっとしたら違うかも」

 

「間違いって?」

 

増え続けるオルテギュアの動きには守りなど動作は一切無い。親機がいるのならそれを護ろうとするはず。

 

「分身を解析していたら興味深い結果が出た。奴らは分身の瞬間。姿勢からエネルギー状態までマスターと全く同じ状態で分身している。」

 

おかしな話だ。分身と言うのは本体と劣るのが当然、全く同じ物を増やすのは分身では無く複製だ。

 

「量子テレポートを使って自分自身をコピーしているのかもしれない。その時、コピーの大元を壊さず維持することで分身しているんだ」

 

「まさか…」

 

伊奈帆の冷静な解説の元、韻子は一つの答えに辿り着く。

 

「奴らは…全部本物だ」

 

伊奈帆からの通信を聞いていた全ての者が息を飲む。

近未来とかそう言う話では無い、もはやファンタジーの領域に入ってしまうことが目の前で起きているのだ、無理もない。

 

「全カタフラクトの照準とトリガーを僕にください」

 

「中隊指揮所に要請を」

 

「はい」

 

伊奈帆の一言と共に動き出したのは遠く離れたデューカリオンのブリッジに座るマグバレッジだった。

スレイプニールは増え続けるオルテギュアのロックオンを開始。

一つでは無い全てのオルテギュアに対しマルチロックオンを開始したのだ。

 

進化していたスレイプニールのOSのおかげでアナリティカルエンジンで行う作業の殆どをOSが肩代わりしてくれている。

 

「いったいいくつ増えるの!?」

 

「まだか界塚弟!」

 

「ターゲットが増殖しています。更新にあと少し…」

 

「次から次へと…。弾が持たねぇ!」

 

眼前まで迫ってくるオルテギュアを撃破しながら叫ぶライエと鞠戸。だがそろそろ限界が来ていた。

 

「戦術データリンク、シンクロ。全連合軍カタフラクト、照準を集中コントロール。チャンスは1回、全部本物だと言うのなら…。」

 

スレイプニールのマルチロックオン終了のアラームとカタフラクト隊のコントロール掌握は同時だった。

 

「ファイヤ」

 

伊奈帆コントロールの元、カタフラクト隊が一切射撃。

無数の弾丸がオルテギュアを穿ち機能を停止させる。一拍の静寂の後、全てのオルテギュアが爆散する。

 

「全部本物なら、全部纏めて倒せば良いってか」

 

「全カタフラクト、殲滅しました!」

 

「やったね伊奈帆!」

 

上空で様子を窺っていたニーナの言葉と共に参加していた兵たちからは安堵の声が漏れる。

 

「うん、上手く行って良かった。みんなのお陰だ」

 

そう言って伊奈帆は少し優しげにスレイプニールの計器を撫でる。

このスレイプニールでなければ脳を酷使しすぎた影響で自分は悶え苦しんでいただろう。

だがそんな事はない、自分は至って正常だ。

 

「ありがとう、フィア…」

 

これも全てフィアの残したOSのお陰だ。彼女はどれだけ自分を助ければ気が済むのだろうか。

 

ドォ……ン。ドォ…ン。

 

「え、なに?新たな敵影!?」

 

そんな安堵も長くは続かない。ニーナの通信と共に伝わる大きな地響き。レーダーに1機の機影が映る。

 

「まさかオルテギュアがまだ残っていたのか!?」

 

「違う…もっと大きい…」

 

鞠戸の言葉を否定したのはライエ、彼女はマシンガンのマガジンを変え警戒を強める。

 

「うそ…」

 

「なにこれ…」

 

敵はゆっくりと姿を現す。オルテギュアのチートじみた能力を相手取って来たのだ。

もう恐くない、などと覚悟を決めた兵たちはその姿に絶望を覚えた。

言葉を失う韻子とユキ、丘を越えてきたのは人型のカタフラクトではない。

全身を黒と赤で彩られた巨軀、胸には不気味に光る球体がその存在をさらにおぞましく見せていた。

 

「なんだこれは…。今までのカタフラクトの倍近くあるぞ…」

 

「こんな時に…」

 

キャァァァァ!!

 

30メーターを越すドラゴンは自分達を見つめ大きく咆哮するのだった。

 

 

 






どうも皆さん遅れながらあけましておめでとうございます、砂岩です。
本来なら去年の内に投稿したかったのですが年末年始、泊まり込みのバイトと某英霊スマホゲームに熱を出していましてこんな時期に…。
本当に申し訳ありませんでした!

と言う事で今回は火星三騎士の退場とドラゴンが登場でした。
小林さんちのメイドラゴン、あれ面白いですよ。自分、コミコからのファンなんで嬉しかったですね…。

「「くたばれ駄作者!」」

アルギュレ!

「と言う事でこれからはこの私、フィアと」

「伊奈帆でお送りします」

「次回は初っ端から大物とだがどうだ?」

「正直、難しいかな。相手の能力もよく分かってないから対策のしようがないんだ」

「お前の健闘を祈ることしか私には出来ない。必ず生きてくれ」

「大丈夫。僕は絶対にフィアを迎えに行くから…」

「伊奈帆///」

お熱いですね…

「くたばれ!」

タルシス!!

「と言う事で次回は伊奈帆対大型カタクラフトだ。こんなバカは放って置いてくれて構わない。次回も楽しんで頂けたら幸いだ。」

「とにかく頑張るよ…」

「「ではまた次回!」」

ディオスクリア!!

意味のある暴力が駄作者を襲う!


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