アルドノア・ゼロ 忠義は主君と共にあり   作:砂岩改(やや復活)

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未完成のまま、間違えて投稿してしまいました。
ややこしいことをして本当に申し訳ありません。



第六十二星 落とし穴 -Pitfall-

 

 

 響き渡る銃声、ライエは自身の最期を感じ取った瞬間。

 しかしライエは死ななかった、鳴り響いた銃声はユキの持っていた大型ライフルのものだった。ライフルは韻子のアレイオンの両腕を穿いたのだった。

 

「生きてる…」

 

「なんとか…助けられたぁ」

 

 韻子とライエのアレイオン、この2機の距離が近く一歩間違えれば2人を殺しかねない状況での一撃はユキの技量を窺わせるものだった。

 

「運の良い兵だな」

 

 だがそんな好機をバルトは見逃さない、行動不能になったアレイオン2機を踏み潰すために片脚を上げる。

 

「韻子、ライエさん!」

 

「このぉ!」

 

 急いで二人のもとに向かう伊奈帆、一方ユキはなんとかしようとやけくそ気味にライフルを構え撃ちまくる。

 頑丈な装甲に対し120ミリのライフルの弾丸が弾かれる。

 

「なんで効かないのよぉ!」

 

 ライフルに装填された最期の弾丸、それはギランディアの胸部にある光るユニットに直撃した。

 

キヤァァァ!

 

 その瞬間、ギランディアは苦しそうに叫びながら大きく後退する。

 

「あれは、もしかして…」

 

 その様子に感づいた伊奈帆はサーモグラフィーでギランディアを映した。

 機体の排熱ダクト以上に加熱している部分、それは胸部ユニットだった。

 

「あれは、機体のエネルギー制御ユニットなのか」

 

 あれが弱点なのは明らかではあるがアレイオンの持つ最大火力であるライフルすら弾かれるとなると銃撃を加えてもどうにかなるものではない。

 

「ライエちゃん、韻子ちゃん!大丈夫?」

 

「なんとか…」

 

「大丈夫です」

 

 大破したアレイオンから脱出する二人はユキに拾われ戦域を離脱する。

 

「すいません、鞠戸大尉。離脱します!」

 

「気をつけろよ!」

 

 ユキの機体も中破状態、とても戦闘が出来る状態ではない、むしろ離脱してくれた方がこちらも気が楽だというものだ。

 

「どうする」

 

 あれほどの巨体を動かすための高エネルギー体を暴走させればあれを撃破できるというのに。

 

「うわぁ!」

 

「デールズ22!」

 

 着実に減っていく仲間を見て焦る伊奈帆。そんな中、鞠戸の部下が突然出現した穴に呑み込まれた。

 ギランディアの攻撃で地下坑道の天井が脆くなっているようだ、よく見れば奴の足下も若干だが陥没している。

 

「ニーナ、少し頼める?」

 

「う、うん。なに?」

 

「鞠戸大尉、ご相談があります」

 

「なに?」

 

 上空に待機していたニーナ、指揮を執っている鞠戸それぞれに通信を繋げる伊奈帆。

 伊奈帆の練った作戦に二人は驚愕の表情を浮かべるのだった。

 

ーー

 

「全機、緩やかに後退しろ。一旦体勢を立て直す!」

 

「「「了解!」」」

 

 伊奈帆との通信を終え作戦を部隊に伝達した鞠戸は残り半分以下となった部隊に撤退の指示を出す。

 

「逃がすとでも思ったか」

 

 ビクトリア湖に向けて撤退を始める部隊をバルトは制御下に置いた機体を前衛に追撃する。

 輝き始めるギランディアのエネルギー制御ユニット、口部から放たれる高出力レーザー。

 

「くそっ!」

 

 1機が消滅してしまったが他の機体はなんとか回避に成功した。

 レーザーは地表を穿ち酷く傷つける、体中から蒸気を上げながら歩み始めるギランディア。

 

「使用可能な域で迎撃開始!」

 

 鞠戸の指示の元、後退しつつ持ちうる装備でギランディアに攻撃を加える。

 その攻撃に苛立ちを覚えたバルトは機体の進行スピードを早める。地面を揺らし進行するギランディアの歩は突然止められた。

 

「なに?」

 

 ぐらつく視界、バルトは何が起きたか分からなかった。

 右足が完全に沈没し全体重がのしかかった左足も陥没する。

 

「本当に沈んだ…」

 

「攻撃を絶やすな、グレネード!」

 

 平原の地下の鉱脈に沿うように張り巡らされた坑道の巨大なターミナルがギランディアの沈んだポイントだ。

 巨大な地下空洞となったあそこはとても脆く攻撃のダメージもありギランディアの重量を支えきれなかった。

さらに奇跡的にその大きさはあの巨体の半身が埋まる程の規模を有していた。

 

「攻撃を絶やさずに徐々に距離を取ってください。巻き込まれてしまいます」

 

 グレネードの爆発によって巻き上がる石炭の塵がギランディアを覆う。

 

「煙幕のつもりか、無駄なことを!」

 

ビー!ビー!

 

「なんだ!?」

 

 コックピットに鳴り響く警告音にバルトは周囲を見渡す。その瞬間、ギランディアは巨大な爆発に覆われた。

 

「炭塵爆発、巻き上げれた石炭の塵が引火して巨大な爆発を起こさせたんだ」

 

「やったのか?」

 

「いえ、恐らくまだです」

 

 爆炎が晴れ再び姿を表したギランディア、機体各所にダメージを見せつつもまだ動く気配を見せていた。

 

「おのれ、よくも!」

 

 強固な装甲に守られていても関節部はカバーできない、ミサイルランチャーと一体化している左手が落下し胸部のユニットはひび割れている。

 激昂するバルトは叫びながら口部の装甲を開き、レーザーの発射体勢を取る。

 

「まずい、レーザーだ!」

 

「皆を下がらせてください」

 

「おい、界塚弟!」

 

 退避する部隊、それとは対照的に伊奈帆はスレイプニールを全力で前進させる。

 

「貴様が居なければ同士たちは!」

 

 接近するスレイプニールに狙いを定め顔を向けるギランディア。その直後、口部にグレネードを放り込まれ爆発する。

 

キャァァァァ!

 

 コントロールを失ったレーザーはギランディアの頭部を破壊しメインカメラを失ってしまう。

 

「こざかしい真似を!」

 

 サブカメラに移行しスレイプニールを全力で探す。

 

「なに!?」

 

 バルトはすぐさま見つけ出し磨り潰さんとまだ動く右手を動かすが時既に遅し。

 

「これは耐えられないだろう…」

 

 胸部のユニットに突き立てられるナイフ、脆くなった装甲はナイフを防ぎきれずに深々と突き刺さる。

 

キャァァァァォ!!

 

「バカな、ギランディアがやら…」

 

 機体内のエネルギーが制御を失い機体内から爆発が起きる。そんな中、バルトもその業火に焼かれたのだった。

 

「やった!」

 

「倒したぞ!」

 

 崩れ落ちるドラゴンを見て歓喜する部隊員。そんな中、伊奈帆は心底疲れたようにコックピットの席に深々と座り直すのだった。

 

ーーーー

 

「お呼びでしょうか。レムリナ姫」

 

 月面基地展望室。そこではいつも通り、車椅子に座ったレムリナと護衛であるケルラの姿があった。

 

「スレイン、どう言う事ですか。アセイラム姫はお姉様はもう目覚めていたのですね」

 

 レムリナが発した言葉を聞いた瞬間、スレインは僅かだが表情を固くし目を細めた。

 

「いずれ、お話しなければと思っていました」

 

「説明をして頂けますか?」

 

「アセイラム姫はまだ意識がハッキリしておりません。回復するまではレムリナ姫にアセイラム姫を演じて頂く必要がありました。新しい世界を創るために」

 

「新しい世界」

 

 スレインの発した言葉に困惑を示すレムリナだったが彼の言葉は止まらない。

 

「何も憂い事の無い世界、争いもなく、悲しみもなくずっと幸せに居られる世界です」

 

「その世界を統べる人は誰ですか?」

 

「それは、アセイラム・ヴァース・アリューシア姫殿下です」

 

「そんな事、お姉様が望んでいるとでも?」

 

「望んでいないことは知っています。だからこそ、僕が実現して差し上げるんです」

 

 対峙した2人はお互いを見つめ合い、顔を逸らそうとしない。それは2人に絶対に退けない何かがあるからだ。

 

「姫様、なぜ戦争が起こるか知っていますか?」

 

「それは、国家間の交渉の一手段として」

 

 以前、同じ事を聞かされた。彼は淡々と答えた、貴方のせいじゃないと。

 

「いいえ、戦争が起きるのは戦う相手が居るからなんです。戦争を完全に無くすには侵略して一つになるか、相手を滅ぼして一方がなくなるしかないんです」

 

 目の前に居る彼は淡々とそう答える。全く違う答えを彼は導き出していた。

 

「人類の歴史は闘争の歴史です。火星と地球とで分かれたその時から戦争が始まる事は決まっていたんです。いつかは、きっと誰かが…。」

 

「貴方は変わってしまったのですね。もう貴方は私の知っているスレインではないのですね」

 

 無邪気に笑っていたあの頃、鳥や様々なものを教えてくれたあの無邪気な少年はもういない。彼女はそれを強く実感した。

 彼女はゆっくりと乗っていた車椅子から降り、立ち上がる。それと同時に自身に纏っていた光学迷彩を解除した。

 

「アセイラム姫」

 

 それで姿を表したのはスレインの敬愛する姫、アセイラムだった。

 

「全部、話したの…」

 

 そして展望室の扉が開き、フィアを筆頭にアセイラム姫親衛隊とエデルリッゾ、レムリナが入室した。

 

「ヴァース帝国第一皇女、アセイラム・ヴァース・アリューシアの名に置いて、スレイン・ザーツバルム・トロイヤード伯爵に即時停戦を命じます」

 

 アセイラムの命と共にフィアがスレインに向けて拳銃を構える。彼を取り囲むように立つ親衛隊たち、有無を言わさない命令だった。

 

ーー

 

「スレイン、もう終わりにしてください」

 

「アセイラム姫、貴方の命令には従えません。僕はもうヴァース帝国の人間ではありませんから」

 

「な…」

 

 スレインは躊躇いもなくフィアの銃を掴み下げさせる。その目はとても冷たく覚悟を持った目だった。

 

「申し訳ありません。皆さんの身柄を拘束します」

 

 マリーンを筆頭に武装した兵たちが展望室に押し入り銃を構える。フィアには戦う意思がない、その様子を確認したリアたちは手を上げて大人しく降伏するのだった。

 

ーーーー

 

「艦長、総司令部からっす。通信時間、レーザー通信衛星が水平線に沈むまで約2分」

 

「そんなギリギリに…。スピーカーに出してください」

 

 地球、修理及び換装中のデューカリオンのブリッジではマグバレッジが司令部と通信を行っていた。

 

「デューカリオン艦長、ダルザナ・マグバレッジです」

 

「エーリス・ハッキネン中将だ。イレギュラー発生に対しても見事な作戦だった、改修作業の進行状況は?」

 

「もう間もなく」

 

「それは良かった。デューカリオンの新たな任務に必要な装備だ」

 

「サテライトベルトによる作戦活動ですか?」

 

「いや、今回はもっと上だ。作戦は追って伝える」

 

 もっと上、その言葉でマグバレッジは彼の言わんとしていることが分かってしまった。

 

「通信終了、レーザーのゲインが下がりました。通信衛星の高度が限界です」

 

「有無を言わさないと言う事ですか」

 

 ブリッジの窓の隔壁が開き夕陽が室内に差し込む。

 

「大きな戦いになりそうですね」

 

「全く…アルドノアを積んでいるからと言って無茶を言ってくれる」

 

「宇宙用の装備ですか」

 

「カタパルトモジュール」

 

 新たに装備されたカタパルトモジュールによってデューカリオンの船体が大きく膨らんでいた。

 

「決戦になるでしょうね」

 

 マグバレッジが静かに発したその言葉に不見咲は黙ることしかできなかった。

 

 






どうも砂岩でございます!
ギランディアの件はあんな感じになりました。
弱点のユニットが剥き出しなのは中にあると熱暴走を起こしてしまうので剥き出しと言う設定です。

そして次回からはついに最終決戦である月面基地の攻防戦が繰り広げられます。
フィアと伊奈帆は出会うことが出来るのが?宿敵であるマーリンとはどうなるのか?
次回も頑張って書いていきたいと思います!

では最後まで読んでいただきありがとうございました!

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