アルドノア・ゼロ 忠義は主君と共にあり 作:砂岩改(やや復活)
アンケート企画第一弾。
フィアが地球に来て間もない頃、かつてのデューカリオンのカタフラクトメンバー+αで歓迎会もかねて花見をすることになった。
「と言うわけで酒はたっぷり用意してきたぞ」
「と言うわけってなんですか、鞠戸大尉。なおくんたちはまだギリギリ未成年なんですよ」
「心配するな界塚、子供たちにはあまざけだ。もう1年もしないうちに飲むことになるんだ。今から軽く慣れておかないとな」
あまざけと達筆の字で書かれた瓶を握っていた鞠戸を見てユキは小さくため息をつくが祝いの場なのでこれ以上は止めておくことにした。
「正直、もう会えないかと思ってたぜ。あの時の礼もまともに出来てなかったからな」
「礼には及ばない」
満開の桜の中、花見が始まる。フィアたちの周りにも他の人々が花見を楽しんでいる、随分と暗くなってしまった情勢に対し息抜きを求めた結果だろう。
「料理は私…が作れれば良かったんだけどなおくんが作ってくれました」
「頑張りました」
綺麗に包まれた風呂敷を開けると立派な重箱が姿を現す。それを見たフィアはひどく感心し目を輝かせる。
「地球にはこれほど美しい工芸品があるのか…それなは美しいピンク色の花を愛でて食べるというのも良いものだ」
「フィア、この木は桜って言うの。私たちの国、日本では象徴的な花なのよ」
「なるほど…」
韻子の解説に頷きながら笑っている姿を見ていると同年代の女性なのだなと納得してしまう。いつも厳しく強い表情しか見ていなかったが普段ではこう言った表情もするのだと改めて思う。
「わぁ、おいしそう!」
開かれた重箱の中身を見て歓喜するニーナ、黙って箸を持つライエ。彼女もいつも通りの表情だが楽しんでいるのは丸わかりだ。
「気が利くな、界塚弟。酒の肴も十分だ」
海老等のの天ぷら類、鳥、たこの唐揚げ等々、最後の段にはちらし寿司が敷き詰められている。
「はい。フィアには全部、初めてだよね」
「あぁ、ありがとう」
一通りのおかずを取り揃えた紙皿を手渡す伊奈帆、フィアは受け取る。
「それじゃあ、乾杯!」
「「乾杯!」」
ユキの合図と共に始まった花見、皆は声を上げて紙コップを掲げるのだった。
ーー
2時間ほど後……。
「俺だってカタフラクトに乗りたかったんだよぉ!」
「韻子ちゃぁぁん!」
「……」
泣き叫ぶカーム抱きつくニーナに抱きつかれ死にかけてる韻子、既に爆睡してるライエ、カオスな惨状へと変わっていた。
鞠戸の用意したあまざけは甘酒ではなく。酒の銘柄名があまざけという本当のお酒だったのだ。
「鞠戸大尉、どうするんですかぁ!」
「俺にもどうしようもないだろう!」
胸ぐら掴んで振り回すユキを必死に止めようとする鞠戸だが一向に力が緩まず悶え苦しんでいる。
「この天ぷらというものは本当に美味しいな」
「そう、それは良かった」
悲惨な状況下でも食を堪能するフィアと伊奈帆、2人は何とか無事なようだ。
「む、桜が…」
「風流だね」
酒の入ったコップに桜の花びらが舞い降り水面に浮かぶ。なんとも風流な光景に静かにフィアが笑う。
「こう言ったものを大切にする地球というのはとても素晴らしいものだな」
「自然豊かな星でしか出来ないことだしね」
「うむ…」
「なんか凄いことになってるからこれでお開きにします。片付けは鞠戸大尉に任せて私はこの子たち運ぶから」
何とか無事な2人を見たユキは手を叩いてお開きとする。
「え、俺が片付けかよ」
「しっちゃかめっちゃかにした責任はとって貰います!悪いけどなおくんとフィアちゃんは歩いて家に行ってて夜ご飯はこっちで食べるンでしょ?」
「はい、よろしければ」
いつも基地の宿舎で寝泊まりしているフィアは今回、伊奈帆の家で夕食を頂くことになっていたのだ。
「行こうか…」
「あぁ」
酒を飲んでいないユキは用意していた車に韻子たちを詰め込むととっとと発進する。それを見送った2人は歩いて家をめざすのだった。
桜並木が美しく輝く中、2人は静かに歩いていた。
「まさか、こんな風に地球を歩けるとは思わなかった」
「僕もフィアとこんな時間を過ごせるとは思わなかったよ」
戦いに身を投じる過程で出会った2人がこうして時間を共有しているというのは実に不思議なことだろう。たわいもなくとりとめのない話をしているうちに家についた2人はソファに座り一段落する。
「夜は何が良い?なにか希望があれば…フィア?」
「
テレビも何もつけていない静かな空間、そのソファでフィアは小さな寝息をたてていた。流石の彼女も酒を飲んで眠くなっていたのだろう。
「……」
フィアは春の暖かさもあって彼女の服装は軽装だ。まぁ、ユキからの借り物なのだが。毛布でも持ってきて夕食でも考えようと思ったがなんだが自分も眠くなってきた。
(自分も一眠りしておこう)
睡眠は人間の三大欲求の一つだ、大切にしておかなければならない。毛布を掛けて横で一眠りしようとした時、フィアが何かしらの拍子に倒れ込んできた。
「っ!?」
寝るために完全に脱力していた伊奈帆は一緒に倒れてしまう。狭いソファの上で潰される伊奈帆、鼻先には彼女独特の甘い匂いがかすめる。
「……」
顔の下半分を柔らかなものに埋めてしまった事になるが今動けば彼女がソファから落ちてしまう。落ちないように腕で彼女を固定すると強烈な睡魔が襲ってきた。
あの時もそうだったが彼女の体温に触れていると凄く眠たくなる。
「おやすみ…」
消えそうな声でそう告げた伊奈帆は睡魔に身を預け眠るのだった。
ーー
「ただいまぁ……あらあら」
無事に皆を家に届け帰宅したユキはリビングのソファを見て笑う。
狭いソファの上で眠る2人、伊奈帆に関してはいつも通りの寝顔だがほんの少し幸せそうな顔をしている。
「夜ご飯は私が作ってあげるわ」
小さく鼻唄を歌いながらユキは再び買い物に出かけるのだった。
と言う訳で今回は㭭咫烏(八咫烏)様のご意見ワード。《花より団子》と言う事で伊奈帆君には団子(意味深)を堪能していただきました。
なんでこの二人はくっついてないんですかね(←おまいう)ちょっとほのぼのを入れつつ甘いのを入れていきました。
こう言った感じで入れる機会があれば番外編は入れていくのでご要望があれば活動報告へとお願いします!
では最後まで読んでいただきありがとうございました!