アルドノア・ゼロ 忠義は主君と共にあり   作:砂岩改(やや復活)

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第七十五星 負の連鎖 -Negative chain-

 

 

「おい、聞いたか…。アルドノアドライブが地球との友好のために贈られるらしい」

 

「アルドノアドライブをか?」

 

「何と言うことだ。アセイラム姫を操る売国奴め、それだけは許さんぞ」

 

 終戦より1年を目処に送られる事が決定したアルドノアドライブの件をいち早く察知したある者達は密かに行動を開始する。

 アルドノアドライブの件はもちろん、地球のフィア達の耳にも伝えられた。

 

「来たか…」

 

「お待たせ…」

 

 新芦原基地の会議用の防音室、そこにフィアは窓を背にして立っていた。その部屋に現れたのは伊奈帆、彼は彼女の姿を認めると静かに部屋の鍵を閉める。

 

「地球とヴァースの友好の為にアルドノアドライブが地球に贈られるのは知っているな」

 

「うん、軍内部でも密かに噂になっているからね。少しだけ早すぎる気がするけど」

 

「政治的なポーズを取るためには最適なやり方だ。私を送ることで戦意がないことを示し、アルドノアドライブを贈ることで交渉的にも優位に立ち回れる」

 

 情勢が安定していない現在の状況でのこの様な行動は実に危険だがこの様な状況だからこそと言う考え方も出来る。

 

「それで、何か来たんでしょ」

 

「あぁ…」

 

 わざわざ防音の部屋まで案内されたのだ、世間話をするためではないことぐらい誰でも分かる。

 

「軍上層部とヴァース政府側からの通達があった。アルドノアドライブの護衛を我々が務めるようにと」

 

「やっぱり…」

 

 地球とヴァースの複雑な事情下で最も動かしやすい者達と言えばフィアたちの部隊の他にはない。地球に降りてからの方が危険が高い以上、短期間で実績の上げたフィアとその部隊に白羽の矢が立てられるのは当然のことだろう。

 

「任務は3ヶ月後。1ヶ月後に私の部下たちが火星を発ち、2ヶ月に及ぶ護衛任務の後に我々に引き渡される」

 

「場所は?」

 

「ロシアのノヴォスタリスク地球連合本部だ。旧ザーツバルム卿の揚陸城をプラットホームとして受け取りここまで運搬する」

 

 旧ザーツバルム卿の揚陸城、フィアたちにとっては因縁浅からぬ場所だ。

 

「追加人員も提供される。旧デューカリオンメンバーだがな」

 

「……」

 

 現役軍人である鞠戸やユキは勿論のこと、予備軍人になった韻子とカームもこの作戦に参加することとなる。図らずとも精鋭集団と化したデューカリオンメンバーはヴァースに対しての憎しみは浅い、今回の作戦には適任だろう。

 

「嫌な予感がする…気を抜かないようにしないとな」

 

「……」

 

 解せないような顔で言葉を発するフィアの表情を見て伊奈帆も黙って頷くのだった。

 

ーーーー

 

「と言う事で私達はロシアに行くことになった」

 

「いきなりね…」

 

 現地の部隊とも連携を取らなければならない以上、ある程度余裕を持って移動しなければならないのが実状だ。

 今回はフィアたちの班と他の班で行くタイミングを変えての出国となる。

 

「1週間後には出国だ。今から準備をしにいくぞ」

 

「今からすること?」

 

 フィアの言葉にライエは疑問に思う。仕事が終わってからでも準備は出来る、それなのに彼女は外行きの格好に着替えていたのだ。

 

「パスポートと言うやつを申請しろと言われたのだ」

 

「あぁ、そう言えば私も持ってないわね」

 

「じゃあ、ライエさんの申請書…」

 

「ありがとう」

 

 戦時中は世界中を飛び回っていて気付いていなかったが戦時中ではない今、そう言った物が必要となってくる。気を利かせた伊奈帆から大きな茶封筒を受け取ったライエは中身を軽く確認する。

 

「私も行くわ…」

 

 随分と面倒だが仕方がない、ライエも立ち上がりフィアに同行するのだった。

 

ーーーー

 

「ASW-G-64、ガンダムフラウロスか…」

 

 巨大都市のど真ん中に埋まっていた機体の名前を静かに呟くクランカインは上半身が出てきた白い機体を見つめる。

 

「まさか機体が遺跡に埋まっているとは…」

 

 完全に機能を停止しているフラウロスだがその様子は鬼気迫るものがある。まるで、今だに敵と対峙しているように。

 

「クルーテオ伯爵」

 

「何ですか?」

 

「実はフラウロスと言う機体の肩に生えていた黄色い金属ですが刺されていたものでした」

 

「刺されていた?」

 

 実はフラウロスの右の肩口には黄色い金属が突き刺さっていたのだ。当初は装備の一部かと思われていたが戦闘によって突き刺さった物だと判明したのだ。

 

「と言う事はあの機体の他に…」

 

「はい、反応は微弱ですが下にもう一機ありました」

 

 クランカインの部下が差し出したのは1枚の写真、顔が半分だけ地中から現れ何とか確認できるレベルだ。白と青に彩られ紅い眼が印象的だ。

 

「発掘は続けてください。被害が出ないように」

 

「分かりました」

 

 クランカインの言葉に敬礼し去って行く部下を見送ると発掘現場を見渡す。

 

「戦争は終わったというのに、なぜこの様なものばかり出てくるのでしょう」

 

 今までヴァースが扱ってきた物とは違う種類、つまり戦闘用に突き詰められた機体であることなど一目で分かる。

 

「まだ終わっていないと言う事ですか…」

 

 発掘されていく機体たちに不安を覚えるクランカイン、悲劇は忘れた頃にやってくるものだ。

 

ーーーー

 

「アルドノアドライブの護衛が決まったらしいぞ…」

 

「どこの隊だ?」

 

「例の部隊らしい」

 

「例のって最近出来た特務隊か」

 

 地球某所、ヴァースとの和平に不満を持っている者達が集まり集会を開いていた。

 

「あれだろ、全員子供だけの部隊だろ」

 

「噓だろ」

 

「本当らしいぞ、デューカリオンって言う浮遊艦に乗っていた精鋭らしい」

 

「ほう…」

 

 リーダーらしき男はその話を聞きながら細く笑う。いくら精鋭と言えど大戦中に運良く生き残ってきた奴らだろう。本部のアサルト部隊に着かれるよりマシだ。

 

「しかし、なんで本部の部隊じゃないんだ?」

 

「本部の精鋭は月基地の戦いで壊滅したわ」

 

「詳しいな、流石元アサルト部隊員」

 

 意気揚々と話す者達の会話に割り込んできたのは女性、金髪の髪をまとめ上げ、ロシア系統の端正な顔を露わにしている。

 

「銀髪の悪魔…仲間はその言葉を残して逝ったわ」

 

 彼女は手にしていた狙撃銃に弾を込め構える。スコープ越しに見えるのはコンクリートの壁だけだが彼女自身がそれを通して見ているのはまだ見たことのない悪魔の姿だ。

 

「元殺し屋にして軍人、あんたが居れば作戦は盤石だな」

 

「これが護衛のメンバーだ。追加人員の奴は入手できなかったがな」

 

「おいおい、三人かよ」

 

 集まっていた全員に見えるように差し出された写真、そこには伊奈帆、ライエ、フィアの姿が映し出されていた。明らかに隠し撮りされていた物だ。

 

「……」

 

 その中の1枚に狙撃銃を持っている女性が注目するのはフィアを撮った写真、写真の中の彼女は明らかにこちらを見つめている。

 

(簡単には行かなさそうね…)

 

 今だに話で盛り上がる連中を横目に狙撃銃をもって部屋を出るのだった。

 

 

 




どうも砂岩でございます。
遅くなって大変申し訳ありませんでした!
そして多数、意見を寄せられた発掘機体はフラウロスともう一機、お分かりの方はお分かりだと思いますが…。
そしてMSの他にACの意見も頂きましたが私はちょこっとかじった程度なので断念、申し訳ありません。
もしかしたらACバージョンの番外編を書くかもしれませんが、本編には残念ながら断念させて頂きました。
 MS系は今後の展開次第で出てくる可能性もあるのでしっかりと保管しておきます。

では最後まで読んで頂きありがとうございました!
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