アルドノア・ゼロ 忠義は主君と共にあり   作:砂岩改(やや復活)

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すいません、今回は短めで。
次回はこのアルドノアドライブ騒動もかなり佳境に入る予定です。




第七十九星 複雑化 ーComplicationー

 

 

 帝国式実践用長刀。取り回しの良い細身の剣でヴァース帝国軍人であれば一度は手にしたことのある剣だ。この重さ、重心、間違いなく帝国式長刀だ。

 

「こんな剣、ヴァースにしかないものだ。暗殺部隊にしては随分、分かりやすい武器を。お前たち、宮廷付きの隠密部隊ではない、このために集まったやつらだな」

 

「我らは地に堕ちたヴァース帝国の威信のために動いている。邪魔をするな小娘」

 

「なるほど…」

 

 フィアの存在は機密の中の機密、宮廷関係者か伯爵の地位についた者たちしか知らされない姫護衛の切り札。終戦時に演説を垂れ流したが音声のみ、素顔を知らないものは多い。それを知らないと言うことは末端の暴走と取れるが。

 

(今の地球に潜り込むためには伯爵並みの権力が必要だ。奴等を利用している黒幕がいるはず)

 

「我々をどうするつもりかな?」

 

「知れたこと、この事は誰にも知られるわけにはいかない」

 

「皆殺しか…仕方ないな」

 

「なにを…」

 

 やれやれといった風に目を閉じるフィアを不思議に思ったメンバーの一人。その額に風穴が開けられる。

 

「狙撃だと」

 

 隊長格の男が驚く。寝台車の前方、その部屋のドアが僅かながら開き、スナイパーライフルの銃口がそちらを覗いている。韻子の精密な狙撃はフィア越しにも正確に的中していた。

 

「ナイスだ韻子、よく起きたな」

 

「流石に起きるわよ」

 

「寄せ集めが調子に乗るなよ。"彼女ら"はあのデューカリオンメンバーだぞ」

 

 デューカリオン、その単語を耳にした奴らは警戒して後ろに下がる。第二次惑星間戦争にて伝説となった名はいくつかある。《オレンジ色の悪魔》《マリネロスの悪夢》《空中戦艦デューカリオン》先の大戦にて名を馳せた英雄たちが丸ごと敵になっていることを奴らは知らない。

 

「そうよ。"私たちは"デューカリオンのメンバー。なめては困るわね」

 

 手慣れた手つきでライフルを構えるライエはこちらを睨み付けながら銃口を向ける。

 

「邪魔をするな!」

 

 剣を構えて突撃してくる兵を迎え撃ったのはフィア。彼女も慣れた手つきで剣を振るい応戦する。

 

「中々やるが、型に捕らわれすぎではないかな!」

 

「が!」

 

 フィアは後ろに控えていた敵もろとも蹴り飛ばして酒棚にぶつけると割れた酒を被ってびしょ濡れになる。

 

「寒いだろう。暖めてやる」

 

 そう言った彼女は拳銃を構えて発砲、敵は剣を楯がわりにして防ぐ。その瞬間、敵は一瞬にして炎に包まれた。

 酒棚にはスピリタスを含む度数の高い酒がわんさか置いてある。アルコールを被った状態で近くに火花でもあがれば一気に火だるまだ。

 

「甘いわね」

 

 フィアの背後にまわった敵もライエによってやられる。銃床を上手く使い次々と敵の気を奪っていく。

 

「まだやるつもり?」

 

「くっ…」

 

 隊長格らしき人物が手にしていた煙幕を床に投げつけ逃走する。相手は明らかに先手を取られていた。ここで退くとは頭は回るようだ。

 

「なんとかいってくれたようね」

 

「あぁ、だがややこしくなったぞ」

 

「え?」

 

 ライエの言葉に対して浮かない表情を見せるフィア。

 アルドノアドライブを奪いたい、あるいは破壊したい地球側と火星側。そしてそれを守りたいこちらの陣営の三つ巴。襲撃側の二勢力は全く連携していない所を見るに互いを知らないだろう。

 

「空港に連絡して厳戒体制を敷かせろ。事は厄介な方向に進みそうだ」

 

ーー

 

「これより作戦を説明する」

 

 食堂車に集められた全員はフィアに視線を集め、言葉を待つ。

 

「日本国内は国連軍の厳戒体制が公式にて敷かれている。そのため敵はそれまでにアルドノアドライブを奪取したいはずだ。なら残りの方法は一つしかない」

 

「航空輸送時に輸送機ごと強奪する…」

 

「そうだろうな」

 

 現在は二つの勢力が一度ずつ強襲してきた。今度は二つの勢力が一斉に襲いかかってくるはずだ。

 

「まもなくこの列車は空港直結の路線に入る。我々も完全武装で迎え撃ち敵を殲滅する。そしてなにも憂いなく日本に帰るぞ!」

 

 フィアの言葉に全員が頷き準備にかかるのだった。

 

ーー

 

 大型の輸送機が待機している空港に辿り着いたフィアたちはアルドノアドライブを積み込み暖気していた。

 

「ドライブとアレイオンの固定は終わったわ!」

 

「各部チェックオッケーです!」

 

 輸送機の操縦席にはニーナが副操縦席には韻子が座り発進に備える。

 

「後部ハッチを閉めるわ…っ!」

 

 輸送機の後部ハッチを閉めるためにコンソールを操作するライエだったがコンソールが狙撃され火花が散る。

 

「敵だ!」

 

 アレイオンの影に隠れながら応戦し始めたのは鞠戸、よく見れば軍用ジープ背後から急接近してきた。そのまま車で乗り込むつもりだ。

 

「各員応戦。ニーナ、発進させろ!」

 

「は、はい!」

 

 迫りくる敵、逃げるフィアたち。最後の戦いが幕を上げたのだった。

 

 

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