アルドノア・ゼロ 忠義は主君と共にあり 作:砂岩改(やや復活)
揚陸艦は強襲揚陸艦『わだつみ』の合流ポイントである港にたどり着き取りあえず一息をつける状態なった。
「姫様…外の空気でも吸いましょうか?」
「そうですね!ゆっくり見られなかったので海も見てみたいです!」
「あ…今は日も落ちているので難しいかと…」
「そうですか…それは残念ですね…」
エデルリッゾの提案にアセイラムは喜ぶが海が見られないと分かると少し残念そうにするのを見てフィアは自身の失言に後悔する。
「もう!フィアは!姫様行きましょう、夢の欠片もない脳筋はほっておいて」
「え、えぇ…」
「そんな…エデルリッゾぉぉ、姫様ぁぁ」
置いて行かれたフィアは若干涙目になりながら二人に訴えるが容赦なく置いて行かれたのだった。
「あぁ…ただ事実を述べただけなのに…」
「フィア!」
エデルリッゾとアセイラムを遠目で眺めながら落ち込んでいると後ろから韻子がフィアに話しかけ振り向く。
「ちょっと港に残っている物を揚陸艦に搬入するから手伝ってくれない?」
「分かった…だが余り遠くまで行けないからな…」
「良いよ!そこの物を分別するだけだから」
韻子が指差した先には山盛りの段ボール箱がありそれに埋まるように分別している伊奈帆の姿があった。
「ね?」
「大変そうだな…」
韻子が手を合わせてお願いするとフィアは渋々段ボールの山に向かうのだった。
ーーーー
「なんで食料の中に銃弾が…」
(この弾…私のと同じだな…)
「程々にね」
フィアは少々居る物を拝借していると後ろから伊奈帆が現れ思わず叫びそうになった。
「いきなり出てくるな!」
「だって…」
「取りに来たよ!あ!貴方がフィアちゃん?」
フィアが少し怒っているとツインテールの少女が段ボールを貰いに現れフィアを見つけるなり喜びを露わにする。呼ばれたフィアは驚き彼女の言葉に唖然とした。
「ちゃん…だと?」
「韻子から聞いてるよ~凄いんだってね!私はニーナ、ニーナ・クラインよろしくね~」
「あ、あぁ…」
自己紹介を終えて段ボールを持って去っていくニーナを見ていたフィアは少し変な顔になっていた。
フィアは今までちゃん等という可愛い呼び方はされなかった、それに対する戸惑いがそのまま顔に出てしまっていたのだ。
「プッ…」
「貴様!何が可笑しい!」
クールなフィアからは想像できないトンチンカンな顔だったのでそばに居た伊奈帆が無表情なのだが明らかに笑った。その反応にフィアは怒鳴るがすぐに落ち着き、少し笑う。
「なんだ…お前も笑えるんだな…」
「?」
意味が分からないと言わんばかりの伊奈帆の視線にフィアは作業をしながら話す。
「失礼なのは百も承知だがな…お前には感情と言う概念が無いのでは無いかと本当に思っていたんだ」
「なんで?」
「え?それはな…友達の仇である私を恨んで無いと言った時とニロケラスの解析が細かすぎた所かな」
「……」
伊奈帆はフィアの説明を聞いても全く意味が分からなかった。
それはある意味、伊奈帆にとっては当然の事で何も思い当たる節がないのだ。その様子を見たフィアはため息をつくと話を続ける。
「お前の感情が見えないんだ…喜怒哀楽全てがな…だから最初は少しお前が恐かった…」
「……」
そう言ってフィアは伊奈帆を見るが肝心の彼は相変わらずの無表情で何を思っているのか分からない。
「だが韻子と話していた時、ニロケラスに止めを刺した時、さっきのを見てやっぱりお前も人なのだなと。フッ…やっぱり気にしないでくれ。私が言いたかったのは私は何があっても泣かない奴は信用しない…だがお前は信用に足る人物だ…姫様を頼む」
真剣な声に伊奈帆は静かに頷きフィアは満足そうにしていると突然港に鳴り響いたのは銃声。ただの銃声ではないアレイオン等の地球のカタフラクトが標準装備している75ミリマシンガンの大気を振るわす銃声だ。
「敵襲だと!?姫様!」
「皆さん!早く中へ!」
ユキの声に全員が乗ってきた揚陸艦に急いで戻る中、フィアは人ごみの中からアセイラムを見つけて駆け寄る。
「フィア!またなのですか?」
「はい…分かりませんが我が方のカタフラクトかと…。取りあえず中へ!エデルリッゾ、姫様を頼む」
「フィアは…きゃ!」
フィアの行動に疑問を持ったエデルリッゾは聞き返すが遠くから大きな爆発が起こり夜空を明るく照らす。
「カタフラクトがやられている!早く中に!」
「フィア!」
心配するアセイラムを無理やり艦内に入れるとフィアは決意したようにスレイプニールを見つめ向かう。
すると彼女の行動を戒めるように手を掴んだのは伊奈帆だった。
「何をするの?」
「正規部隊はアテにならん!私が時間稼ぎを…グッ!」
フィアが叫んでいると停泊していた揚陸艦の艦橋にビームサーベルが突き刺さり爆発する。
「もうここまで侵入を許したのか!?もう出るぞ!」
「フィア!」
フィアは伊奈帆を振り解きスレイプニールに乗り込むと艦の中から韻子とカームも出てくる。
「おい!伊奈帆!どうしたんだ?」
「カーム!あれ!」
韻子が指を指した先にはスレイプニールが起動し揚陸艦から降りている姿だった。
「まさか!フィアかよ!助けねぇと!」
「そうだね…時間も稼がなきゃならないし。韻子はあっちを頼む」
「…あっち?」
伊奈帆とカームがスレイプニールに向かうのを追いかけようとした韻子は言われた場所を見ると少し困ったように同じ言葉を呟くのだった。
ーーーー
フィアside
「アルギュレか…」
ほんの少し、ほんの少しだが手が震える。フィアはそんな震えを感じ、二度目だと言うのにまだ味方の筈のカタフラクトに銃を向けるのに対し躊躇っている自分を感じ少し笑った。
「姫様の為ならば!」
フィアは戸惑いを振り払うかのようにそう叫ぶとマシンガンの引き金を引く。アルギュレに飛来する銃弾は奴の得物であるビームサーベルを使い切り払らわれ銃弾は空中で爆発した。
「火薬が爆発しているのか!なら!」
フィアは素早く弾倉をHE弾からAP弾に切り替えて射撃を再開する。銃弾はビームサーベルを突破し本体に当たるがアルギュレはサーベルを持ち直すとまたはじかれる。
「今度は何だ!?」
『ライデンフロスト現象だ…弾頭が蒸発して弾道がはじかれているんだよ…』
「伊奈帆!?」
『僕とカームが相手の注意を引きつけるからこのポイントに誘導して…』
伊奈帆の言葉と供にコックピットの画面に港の図が表示され一カ所が赤く光っていた。
「分かった……ッ!?」
地図を確かめた直後、アルギュレが挟み撃ちを嫌ったのか急接近しビームサーベルを振るう。
それに対しフィアはマシンガンを犠牲にしながらも避け飛行ユニットで加速するとアルギュレに体当たりを仕掛ける。
それと同時に伊奈帆の放ったグレネードが足元で爆発しバランスを崩したアルギュレは大きく後退するのだった。
伊奈帆side
『貰い受ける!』
「カーム…」
「おうよ!」
グレネードの爆煙を利用してナイフを持ちながら迫るフィアを見てその援護のためにAP弾のマシンガンを打ち続ける…しかしアルギュレはフィアに目標を定めたのが被弾承知でビームサーベルをフィアに振るった。
『フィア!』
カームの焦った声が聞こえるがその心配は無くフィアはビームサーベルのビームが当たらない。
振るわれた相手の二の腕を掴んで止め、持っていたナイフをその関節に差し込む。だがアルギュレはパワーで押し込みこちらを両断しようとする。
(流石だ…ナイフを抜いていたのは最初からそうするため…)
「韻子…今だよ…」
『はい!はい!』
関節に何かしら異常が起これば生身だろうが機械だろうが格段にパワーが落ちる。伊奈帆はフィアの機転の良さに驚きながらも韻子に合図を送るのだった。
フィアside
『OK…完璧だよ…フィア』
伊奈帆の言葉と供に突如飛来した大型のコンテナがアルギュレの頭部に直撃しその半分を粉砕する。
「ふぅ…」
ギリギリの所を切り抜けたフィアは思わず息を漏らすと海から砲弾が飛来しアルギュレの近くを穿つ。
「援軍!?」
フィアが驚いて海を見るとそこには大きな母艦の姿があった。
そこからアルギュレに向かって大量の銃弾と砲弾が襲いかかり更に陸からは伊奈帆とカームの射撃も加わる。
流石に捌ききれなくなったアルギュレは撤退を始めるのだった。
「何とかなったな…」
『流石フィアだぜ!地図だけで作戦を読んじまうなんてな!』
「伊奈帆のお陰だ…あのグレネードのタイミングは完璧だったよ」
『フィアの体当たりには少し驚いたけどね…無茶は駄目だよ…』
「お前に言われたくない」
『それ言えてる』
『韻子まで…』
危機を何とか乗り越えた四人はしばらくの間笑い合うのだった。
どうも砂岩でございます!
アルギュレの得物はビームサーベルにしました、アニメでプラズマって表現があったのでプラズマサーベルかと思ったんですが一瞬で砲弾レベルの大きさの銃弾を溶かしてますから多分ビームサーベルかと…
あとフィアが伊奈帆に言った言葉ですが…感情を出さない奴ほど信用できないけど伊奈帆は信用できるって事ですね。
説明が長くなりましたが最後まで読んで頂きありがとうございました!