銀魂~戦友の帰還と別れ~ 作:青短
ターミナルから出てきた笠を被り黒いマントを羽織った一人の者……
(随分と、変わったなぁ……
あいつら、元気かな?)
相変らずの万事屋へ、一人の男がやってきた。
「え?人捜し」
面倒臭そうに、鼻を穿りながら向かいに座る男の話を聞く銀時……
男は銀時の態度に、少々呆れながら話を続けた。
「えぇ。
わが主、塔野将様の妹を捜して欲しいのです」
「妹ねぇ……」
「どんな方なんです?その妹さん。
写真とかは、ないんですか?」
「それが、主から聞くには……
幼い頃に別れて以来、会っていないとかで……
写真はもちろん、肖像画、それに名前……何一つ妹の手掛かりとなるものは持っていないとのこと」
「そんな手掛かりも無で、どうやって探せってんだ?名前さえ分かればよかったものの」
「いえ、写真がなくとも、探すことはできます……」
「出来る?どんな方法で?」
「髪の色です……」
「髪の色?」
「はい。
主が言うには、妹は青い髪を伸ばした子だと言っていました。」
「青い髪って……この江戸、歌舞伎町にいったいどれだけの青い髪の女がいると思ってんだ?
ざっと、万人はいるぞ」
「ですから、プロであるあなた方にお願いをしに来たのではありませんか」
「プロだからって、限度」
「お願いします!
報酬なら、いくらでも払いますので」
深々と頭を下げる男……
それに困った新八は、隣にいる銀時の方を見ると、銀時は男の手を握りそして……
「お引き受けいたしましょう!」
「おいぃ!!
アンタ、絶対報酬で釣られたよな!?」
「ありがとうございます!」
「話を進めるなぁ!!」
男が帰ってしばらくした後、銀時達(神楽は眠いという理由で留守番)は早速外へと出ていき、妹を捜し始めた。
「しっかし、本当に見つかるのかねぇ…妹さん」
「そんな無責任な。
引き受けた依頼はしっかり熟さなきゃだめですよ?銀さん」
「分かってるよ。
けどよ、写真もなくどうやって探せってんだ?
手掛かりといや、髪の色だけだしよぉ」
「青い髪、でしたよね?その妹さん」
「あぁ。青い髪の女なんて、どこにでもいりゃあ。俺の知り合いにもいるぞ。」
「何です?また、キャバクラかなんかで知り合った人ですか?」
「違ぇよ。昔っからの知り合いだ。」
「本当ですかぁ?」
「本当だ。駄目だよ?新八君、人をそんなに疑っちゃあ」
「アンタの日頃からの行動みてりゃ、誰だって疑うわ!!」
〝ドーン"
突然、何処からか爆音が聞こえてきた。
「な、何です?!この爆発!」
「フハハハハ!
観たか?!攘夷志士の力を!」
爆発した建物から、誇らしげに高笑いをし出てきた桂小太郎と、エリザベス……
「あぁあ、またやってるよ……あのバカ」
「?
おぉ!銀時ではないか!」
建物から飛び降り、自分に寄ってきた桂に、銀時は顔面に蹴りを入れた。
「な、何をする?!」
「てめぇみたいなバカが、俺の知り合いなんて、世間に知られたかない」
「何を言う!俺達は、れっきとした戦友ではないか!!」
「それが余計なんだよ!ヅラ!」
「ヅラじゃない!桂だ!」
「桂小太郎!!」
パトカーのサイレンが聞こえ、車の窓から身を乗り出し叫ぶ土方十四朗……
「速攻捕まえる!大人しくそこにいろ!!」
「まずい!銀時、逃げるぞ!」
「何で、俺を巻き込むんだよ!お前は!」
迫ってくるパトカーから逃げるようにして、銀時たちはその場から駆け出した。
逃げ切った銀時と桂、新八はその場に膝を着き息を切らしていた。
「な、何とか逃げ切った……」
「そ、その様だな……」
「万事屋だな?お主等」
その声が聞こえ、後ろを振り返るとそこにいたのは、笠を被った謎の集団……
桂よ銀時は体を起こし、その集団の方を睨んだ。
すると、一人が刀を取り出し、それを合図に全員刀を抜き構えた。
「依頼として、お前らを消せとの命……ここで任務を遂行させてもらう。
やれ!」
その声と共に、集団は一斉に攻撃してきた。その攻撃に銀時達は防いだ。
「おいおい、いったいどういうこった?
ヅラ、お前まさかなんかやらかしたのか?」
「それは貴様の方だ、銀時。
それから、ヅラじゃない桂だ!」
「言い争ってる場合じゃないですよ!
どうすんですか?!この状況!」
「どうしろっつったって……」
「路地裏で、喧嘩とはまた随分と平和になったね?ここ江戸は」
その声と共に、集団の後ろにいた者が皆、斬り付けられ倒れていった。
倒れた者の後ろにいたのは、笠を被り黑いマントを羽織った一人の青年……
その手には、赤い鉢巻を巻いた薙刀が、握られていた。
(薙刀?)
(まさか……)
青年は、その場から飛び上がり集団の中心に降り立つと、薙刀を振るい集団を斬り倒していった。
倒し終えた青年は、薙刀を分解しケースへしまいながら、二人の方へ振り返った。
「久しぶりだね!驚いたよ。
二人とも、何も変わってないんだもん!」
「えっと……どちら様で?」
「どちら様って……ヤダ、忘れたの?」
「いや、頭に被ってる笠で顔が全然分かんねぇよ」
「あ!そっか!
ゴメンゴメン」
銀時に言われ、青年は紐を解き被っていた笠を取った。笠に纏められいれられていた肩に届く程度に伸ばした青い髪が、偶然拭いてきたそよ風で靡き、その青年の姿を見た銀時と桂は目を疑い、驚きの顔を隠せないでいた。
「これで、分かるかな?」
「う、嘘だろ……」
「あ、葵……
お前なのか?」
「久しぶり!
銀、ヅラ」
その様子を見る、一人生き残った者が物陰から見ながら、無線越しに話していた。
「間違いありません。
青い髪……薙刀使い……
あの野郎の妹で間違いありません!」