銀魂~戦友の帰還と別れ~ 作:青短
銀時の家へと来た葵という女性……
マントを脱ぎ、新八が淹れたお茶を飲みながら、向かいに堅苦しそうに座っている銀時と桂を見た。
「ちょっと、何固まってんのよ?」
「いやぁ、なんかその……なぁ、ヅラ」
「俺に振るな。それから、ヅラじゃない桂だ」
「ホント、相変わらずだね。
アンタ達が、変わってなくて良かったよ」
「テメェだって、何も変わってねぇじゃねぇか?」
「変わってどうすんのよ。
私まで変わったら、いったい誰がアンタ達の面倒見るっていうの?」
「いつまで俺らを子ども扱いするつもりだ!
ヅラはともかく、俺はもう大人だ!」
「何を言う銀時!貴様の方がまだ、子供ではないか!」
「テメェの方が子供だろうが!いつまでも、爆弾を玩具みたいに投げまくって!」
「そんなこと言うなら、貴様はいつまでたっても苺牛乳しか飲まないではないか!それに、甘い物しか食べないではないか!!そっちの方が断然子供だ!」
「言っとくがな糖分はな」
銀時が話している最中、葵は立ち上がり二人の頭を机に叩きつけた。
「アンタ達二人共、子供だわ!!」
叩きつけた後、葵はソファーに腰掛けた。そんな葵を見ながら、新八は銀時の傍へ寄り、耳元で小声で質問した。
「銀さん、この人誰です?」
「どうせ、キャバクラかなんかで、知り合った女アル」
「違ぇよ。俺の知り合い」
「そういえば、アンタ達に自己紹介、まだだったよね?」
新八の声が聞こえたかのようにして、葵が話し出した。
「上野葵。銀とヅラとは幼少の頃からの知り合い…・・・というか、友達かな。
今は、宇宙探偵してて、時々真選組と組んでやったりしながら、気ままに生きてるよ」
「あ、あの真選組と?!しかも、宇宙探偵って」
「凄いネ!この姉御!」
「お褒めの言葉、どうも。
で?アンタ達は?銀の友達?」
「あ、いえ。
銀さんのもとで働いています、志村新八です」
「私は、神楽アル!」
「へぇ。神楽ちゃんと八さんかぁ」
「は、八さん?」
「よろしくね!」
「あ、はい」
「よろしくアル!姉御!」
「姉御はやめて。
葵姉さんって呼んで」
「分かったアル!葵姉さん!」
「ちょっとその呼び方、まるで烈怒帝瑠のリーダーみたいですよ」
「良いじゃない。ねぇ神楽ちゃん!」
「そうアル!空気読めよ、新八」
「楽しく話しているところ申し訳ないが、葵今日はいったいどんな用で地球に戻ってきたんだ?しかもこの歌舞伎町に」
神楽と話している葵に、桂は質問した。葵は桂の方に顔を向け観た。
「どんな用って……
あの後の江戸は、どうなったのかなぁって思って帰ってきたんだ。それだけ」
(あの後?)
「本当にそれだけか?
昔のお前は、いつも誰かから逃げ回っているようにしていた。今でも誰かから逃げ回っているのではないのか?それで助けを求めて、俺達がいる江戸に帰ってきたのではないのか?」
「そんな訳ないでしょ?
逃げ回ってたって……そりゃ確かに、昔は逃げ回ってたけど宇宙に行ってからは、そんなこと滅多に無くなったし、もう大丈夫だよ」
「じゃあなぜ」
「だから、里帰りだって言ってるでしょ?
ヅラ、しつこいよ!」
「しかし……」
「私はもう、あの時とは違う。
しっかり、自分を守れる様にはなった」
その言葉を聞くと、桂は言葉を詰まらせるようにして、喋るのを辞めた。
「それより、ねぇ!
この街、案内してよ!」
「おぉ!良いアル!私がしてあげるネ!」
「じゃあお願い!アンタ達三人も、一緒に来てよ!」
「あ、あぁ」
「あ、あぁ」
「はい……」
「それじゃあ、さっそく行くアル!」
神楽に引っ張られ、葵は玄関で黒いニーハイブーツを履き表へと出て行った。その後を、ダルそうにして銀時は出て行き彼の後を新八と桂はついて行った。
家を出て、さっそく言った場所は、お登勢が経営している居酒屋……
「騒がしいと思えば、女の客が来てたのかい」
「銀さんの知り合いの葵さんです」
「上野葵。よろしく!」
「この居酒屋を経営している、お登勢だよ。
しっかし、銀時にこんないい女がいたとはなぁ……」
「銀時に、こんな女は不釣合いよ」
「ちょっと、それどういう意味?ネコさん」
「猫じゃないわよ!私はキャサリンよ!」
「じゃあリンさん!」
「略すなコラ!」
「ごめんなさい。私三文字以上の名前、覚えられなくて……」
「なるほど。だから、僕を八さん……って、普通「新」じゃないんですか?」
「私の大事な人が、「新」って名前だから、それで」
「大事な人って……」
「何だ?もうコブ付か?」
「コブって……
私、この二人とはそういう関係、一切ありませんから。銀は別で」
「おや、そうかい」
「葵姉さん、次は新八の家に行くアル!」
「了解ある!」
神楽に敬礼し、葵は彼女と共に家を飛び出していった。
「葵さん、まるで子供みたいですね」
「ったく、あいつの方が子供じゃねぇか……」
「昔から、ああだったんですか?」
「そうだな。全く変っていないなぁ、葵も……」
どこか悲しげな目で葵を見る桂と銀時……
二人の目に、新八は先を走っていく彼女達の姿を見つめた。