銀魂~戦友の帰還と別れ~   作:青短

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夜……

新八の家で泊る事となった葵は、借りた部屋で一冊の本を眺めていた。


「その本を、まだ持っていたとはな……」


その声に気付き葵は振り返った。そこにいたのは、障子縁に凭り掛かり立つ桂だった。


「ヅラ……

って、普通に女の部屋に入るなぁ!!」


葵は、桂の頬を殴り飛ばした。桂は鼻から血を出し穴にティッシュを詰め彼女の部屋で正座した。


「全く、お前の怪力は相変わらずだな」

「女の部屋に普通に入るからでしょうが!」

「ハハハ、そう怒るな。

しかし先程も言ったが、その本をまだ持っていたとはな」


彼女の手に持っていた本を見ながら、桂は言った。


「そういうアンタも、持ってるんでしょ?」

「ま、そうだな」

「今でも信じられないよ……

あの頃は皆が、同じ道を進むもんだとばかり思ってた……」

「確かにな……」

「でも、先生が亡くなって、皆が変わって……死んでいった」


脳裏に蘇る攘夷戦争……無数の死体が転がり、自分達のアジトで怪我人の治療を担当していた葵……だが、どんなに手を施しても、皆力尽き亡くなっていった。


「何の意味があったんだろう……あの戦争って」

「さぁな…」

「失ったものは多くて、残ったものは少ない……

アイツもそう……この地から離れて行った。銀も、あの戦争の後行方晦ましてさ……」

「……葵、一つ聞いて良いか」

「?」

「お前はあの後どうしたんだ?

戦争は終わり、銀時は消えた……そして、お前も消えた」

「……」


葵は立ち上がり、障子を開け外に出て空を見上げた。そして息を吐きながら話し出した。


「あの戦争が終わった後……しばらく放浪してたわ。女だからって理由で、職にも就けなくてね……


でもあの日……あの人が助けてくれた」


アニメもゲームも二作品目まではいいけど、三作品目になると全てが落ちる

攘夷戦争が終わってから数年間、私は町を彷徨っていた。女だからと言う理由で、誰も私を雇ってくれなかった。そしていつもいつも、誰かから追われている感覚があって怯えていた……怖かった。

 

 

そんな時だった……あの人……将さんが、私を助けてくれたのは。

 

 

『お名前は?お嬢さん』

 

『……言ったら、売るの?』

 

 

腰に着けていた刀の柄を握りながら、私は将さんを睨んだ。将さんは少し困ったような表情を浮かべていたが、笑みを溢しながら座っている私と目を合わせるようにしてしゃがんだ。

 

 

『売る気は無い。こんな綺麗な人を売ったら損する』

 

『じゃあ……ペットにでもするの?』

 

『そんな趣味、俺にはない……』

 

『……じゃあ、何で』

 

『家族になってほしいんだ』

 

『?』

 

『俺には、年の離れた妹がいた……

 

けど、訳あって今は傍にいない。お前を見てると、妹を思い出す……』

 

『だから、家族になってほしいの?』

 

『そうだ』

 

『どの辺が似てるの?』

 

『そうだな……

 

その青い髪と、黒真珠みたいなその瞳……そこが凄く似てるんだよ』

 

『……面白いね?あんた』

 

『そうかい?』

 

『何か、他の男とは違う匂いが漂ってるね?』

 

『アハハハ……そりゃあ、いいことだ。

 

 

じゃあ、その他とは違う匂いの男の家族に、なる気はないかい?』

 

 

手を差し伸べる将さんの手を、私は怯えながらもその手を掴んだ。将さんの手は、とても暖かくどこか懐かしさもあった。

 

 

「それからだったよ……

 

将さんと一緒にいると、あの誰かに狙われてる感覚が無かった……そう、まるであんた達三人と一緒にいた頃と同じようにね。」

 

「そうだったのか……」

 

「しばらくして、私は将さんの薦めで探偵になって、宇宙に出たってわけ」

 

 

「葵さん」

 

 

縁側の方に顔を向けると、お妙が心配そうな表情で立っていた。

 

 

「妙さん……」

 

「アナタにお客さんが来てるの。桂さんにも会いたいと」

 

「俺に?」

 

 

互いを見合いながら、二人はお妙に案内され部屋へと行った。襖を開けると、そこには既に銀時がおり彼の向かいに依頼主である将の家来が座っていた。

 

 

「さ、左近さん?」

 

 

その家来を見た葵は、その名を口にした。家来は顔を上げ彼女の姿を見て少々驚いた表情を浮かべたが、すぐに安心したような表情になった。

 

 

「葵様、ご無事でしたか」

 

「左近さんが何で?」

 

「万事屋を見張らせていた部下から、あなたが源家に襲われたと聞きまして……

 

とにかく、ご無事で何よりです」

 

「お前、本当に塔野に気に入られてんだな」

 

「葵、この者は一体」

 

「この人は左近さん。

 

将さんの付き人。私が一緒に住んでた頃、私の身の回りの事全部やってくれてたの」

 

「改めて自己紹介させていただきます。

 

私の名前は左近。我が塔野家に代々仕える執事です。

 

 

あなた方二人の事は、ご友人だと葵様から話は聞いております」

 

「なら、話は早い。

 

左近とやら……あの者達は一体何者なんだ?

 

そして、なぜ葵を狙っている」

 

 

桂の質問に、左近はしばらく黙り込んでいたが、葵の不安げな顔を見て意を決意したかのようにして、二人を交互に見ながら口を開いた。

 

 

「これは主である、将様から聞いた話です。

 

我が一族、塔野家と昼間あなた方を襲った源一族は、昔は大層仲が良かったそうです。

しかし、ある事件以降二つの一族は犬猿の中になってしまってしまいました」

 

「ある事件?」

 

「将様の祖父……二代前の主の妻が、源家の主に侵されそして身籠ってしまいました。大奥様はその子供と共に、塔野家を立ち去りました。主人と息子を残して……

 

 

時は流れ、やがて子供も大人になりある女性と結ばれそして……将様が生まれました。若がお生まれになってから八年後、妹君が生まれました」

 

「その妹さんを、俺等万事屋に捜してくれって依頼してきたんだろ?アンタ等」

 

「最後まで話を聞いてください……まだ続きがあります」

 

「ヘイヘイ……」

 

 

ダルそうに返事をした銀時に葵は一発殴り、彼が伸びているのを無視するかのように咳払いをして驚いている左近に続けるよう言った。

 

 

「では続きを……

 

 

お嬢様が生まれてから六年後……塔野家にある悲劇が起きました」

 

「……」

 

「あの日、使いの者がお嬢様と将様を連れ町を歩いていた時です。突然背後から何者かに襲われ、その者にお嬢様と将様が連れ去らわれたと……

 

 

我々がお二人を捜してから数時間後の事でした。

 

雨が降る夜、将様は一人で帰ってこられました。傷だらけの体と血塗れになった足を引き摺って……」

 

「雨が……」

 

「降った……」

 

「夜……」

 

 

桂、銀時、葵と言葉を繋げるようにして口にした。

 

銀時と桂の脳裏に蘇る記憶……どこかの輩に捕まり、手足を拘束される幼い頃の葵。

同じ様にして葵の脳裏に蘇る記憶……追い駆けられていた輩に捕まり、体を地面に押し付けられ暴れる自分を助けようと、輩に殴り掛かってきた三人の少年。

 

 

「その日を境に、塔野家は厳重な警備と将様を始め、旦那様と奥様は外出をする事が自由に出来なくなってしまいました。

 

 

怪我が治られた将様に、何度お嬢様の居場所を聞いても、口を開かずじまい……時が流れて行き捜査をしていく内に、その事件に源家が関わっていることが分かりました。

 

 

あれから数十年の月日が流れ、奥さまはお嬢様を失くされたショックで病に倒れ数年後にお亡くなりになられ、その数年後旦那様も奥様の後を追う様にして……

若くして将様は、塔野家の当主となりました。そしてある戦争で将様は葵様を目に掛けました」

 

「ある戦争……それって」

 

「あなた方三人も経験されているかと思われます。

 

 

天人達と攘夷志士達の対決……壌夷戦争」

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