前から勝手に掲げていた「ISオールヒロイン化計画」の先頭を切った鈴ちゃんに続いて、皆のチョロインことセシリアさんの個別ルートを投稿しました!いぇいいぇい!
まあ、私の文才の無さ故に更新は緩やかーになると思いますが、オルコッ党の皆さん、よろしければ綺麗なセシリアを見てやってください!
第零話 predestined encounter~運命の出会い~
男は敵。
いつからか、
母はとても厳しかったですが、女だてらに敏腕を振るい、幾つもの事業を成功に導いてきたお方。そんな母に、私は尊敬すると同時に憧れていた。いつか、自分もああなりたいと。
――――そして、『IS』が登場した。女性しか扱えないというこの機体の登場によって、女性の地位は瞬く間に向上の一途をたどり、いわゆる女尊男卑の時代が到来した。それによって、男性の地位は文字通り地に落ち、それに伴い父の態度はますます小さくなり、ついには母から別居を言い渡されました。その様は、もはや惨めだとさえ思いました。そして決めました。自分は、あんな男とは添い遂げない。あんな惨めな男など、断じて認めないと。
そんな矢先、あの事件が起きた。
両親が事故で亡くなった。
何故、どうして。別居していた筈の二人が、どうして今日に限って一緒にいたのかまだ幼かった私には分かりませんでした。後に残ったのは、両親の残したオルコット家の莫大な遺産。一瞬にして天涯孤独の身となった私に声をかけてくるのは、母が残した遺産を貪ろうとする親族の欲深い男どもだけでした。
―――――嫌だ。
このままでは、母が頑張ってきた全てが無駄になってしまう。子供ながらにそう思った私は、何としても遺産を守ろうと決め、親族たちの誘いを全て蹴って母方の家…唯一信頼できる祖母に保証人となってもらいました。その時、
丁度そのころ、世界的に行われていた「IS適正検査」において、私は「A」という高い結果を出し、国家代表候補生としての誘いを受けました。勿論、二つ返事で承諾しましたわ。そうすれば政府から、ひいては国から様々な援助を受けられる。それが残された遺産を守ることにつながると信じて。それからも、私はただひたすらに努力しました。他人など、男など信用できない。信じられるのは自分だけだと言い聞かせて。
それから、何年が経ったでしょうか。
「お嬢様、IS関係者主催の親睦会のお誘いが来ておりますが、いかがいたしますか?」
ある日、メイドであり、数少ない親友でもあるチェルシーがそんな誘いを持ってきた。
「ええ、そうですわねぇ…」
正直に言えば、あまり行きたくはありません。親睦会など名ばかりの、欲深い大人の―――特に男どもの牽制のようなものでしょうから。しかし、今は私もイギリスの代表候補生。国の名前を背負っていく以上、そういった場に顔を出さないのはあまり印象のいいものではありませんわよね。
「……分かりました。参加の通達をおねがいできるかしら?チェルシー」
「かしこまりました、お嬢様」
私は仕方なく参加の通達をチェルシーに頼む。ああ…今から頭が痛い。薄汚れた男どもと同じ空間に一人で行かなければいかないとは……
………ん?
「チェルシー、ちょっとよろしいかしら?」
「はい、お嬢様。どうかなされましたか?」
「ええ。あなたさえよろしければ――――」
「チェルシー、こっちですわよ」
親睦会の当日、私とチェルシーは会場に来ていました。IS関係者が主催しているとあって、中々に豪華な場所ですわね。幾つも並べられたテーブル上にはところせましと高級そうな料理が並んでおり、一層華やかさを助長していますわ。
「お嬢様…本当によろしかったのでしょうか?私ごときが、このような場所に出席しても…」
「いいに決まってますわ。あなたは私の一番の理解者、親友ですわよ?私が出席できて、あなたができない道理などありませんわ」
それに、一人でならこんなところに来るはずもない。さっきから話しかけてくるのは、いかにも偉そうな雰囲気の大人たち…それも、男。どうせ、女性に媚びを売って取り入ろうとしているか、はたまた愛人でも探しているのか……いや、後者の考えはやめましょう。寒気がしますわ。
(それにしても、いい加減疲れましたわね…)
ここに来てそれなりに時間がたち、一通りのあいさつ程度はすんだはず。私自身、もうここの男達に嫌気が指してきた頃合いでした。
「チェルシー、そろそろ――――っきゃ!?」
そろそろ帰ろうと思い立ち、チェルシーに声をかけようとした矢先に、誰かが私にぶつかってきた。
「お嬢様!」
「わ、悪い!大丈夫か!?」
ぶつかられた反動で体がよろけ、お尻からその場に倒れてしまう。痛みに顔を歪めていると、相手が私の眼前に手を差し出してきた。
「え、ええ。大丈――――」
顔を上げ、その手をとろうとして…止めた。
何故なら……
(男……)
目の前にいたのは、自分と同じくらいの年齢の、端整な顔立ちの少年。混じりけの無い綺麗な黒髪を持つ彼は、その手を取らず、彼をじっと見つめる私をポカンとした表情で見ていました。
男の嫌いな私ですが、誰彼構わず嫌いというわけではありません。勿論、積極的に関わりたいわけではありませんでしたが…欲望を
しかし、この時の私はその薄汚れた大人達との会合に疲れてしまっていて……
「っ!」
パァンッ!!
はしたないことに、つい感情的な行動をとってしまったのです。差し出された彼の手を振り払うという、敵意をぶつけるような態度を。
「なっ……」
「気を付けなさい!この…男風情が!!」
…やってしまった。
大人達との会合で溜まった鬱憤を、あろうことか何の関係もない少年にぶつけてしまいました。…ただ、男であるという理由だけで。
周りでは、私達のいざこざに気づいた方々が何だ何だと騒ぎ始めました。ただでさえ自己嫌悪に陥っていた所を、見世物のようなその空気に居たたまれなくなって……
「…いきますわよ、チェルシー」
「あ…お嬢様……」
その少年を放って、その場を立ち去ろうとしました。
ですが。
「おい!」
立ち去ろうとする私の腕を掴み、少年は私を自分の方へと向けました。そして一言、こう言いました。
「謝れよ」
…恐らく、この時の私は、驚いた表情をしていたでしょう。自分で言うのも何ですが、オルコット家といえばかなりの財閥。それに、私は今やイギリスの代表候補生。歯向かってくる者など大人にもそうはおりません。例え、私が一方的に悪かろうと。
だからこそ、驚きました。彼が私に歯向かって…いえ、異議を申し立てたことに。
同時に、私はプライドの高い方です。例え自分が悪いと分かっていても、この時の私は…少年に言い返されたことが、悔しかったのです。
「な…何故、私が謝らなければならないのですか!謝らなければならないのは、ぶつかってきた貴方の方ではなくて!?」
「そうだけど、俺は謝っただろ!なのにあんたは男だからって理由であんな態度とりやがって、そういうの嫌いなんだよ。だから謝れ!」
「ろ、論理がめちゃくちゃですわ!それにあんたではありません!私にはセシリア・オルコットという名前がございましてよ!」
「論理とか関係ねえよ!俺は女だから偉い、みたいな態度とってるやつが気に入らないんだよ、馬鹿!」
「ば、馬鹿!?馬鹿と言った方が馬鹿なんですわよ!このお馬鹿!」
「じゃあセシリアもおんなじだ!ばーかばーか!」
「きいいぃーっ!!」
彼も私も、感情のままに言葉を交わし続けていました。しかし、同時に私は、何か不思議な感覚を覚えました。同年代の、それも異性とこんなにも言葉を交わしたのが初めてだからというのもありましたが、それ以前……今までの相手は皆、「オルコット家」、「代表候補生」としての私しか見ておらず、本当の私を見ているものなど、一人としていませんでした。いつも機嫌をとろうと下手に出て…まるで「あの人」そのもの。私の最も嫌悪する…父の姿そのもの。
でも、この少年は違う。悪口を言い合っているだけですが、それでも何故か分かります。彼は、純粋に「セシリア・オルコット」としての私を見ていると。他の男とは何かが違う、と。だから私も、いつの間にか私自身で、オルコット家も代表候補生も関係ない、ただの少女として彼にぶつかっていました。
今思うと、それはとても心地良くて……とても得難いものだったのでしょう。
「何をしているんだ、お前は」
「だっ!?」
そんな私達の言い争いを、とある女性が止めました。…彼の頭にげんこつを落として。
「いってぇ…何すんだよ、千冬姉」
「何だじゃない。全く、ちょっと姿を見かけないと思ったらすぐこれか…すまなかったな、愚弟が迷惑をかけたようだ」
「あ、いえ……」
突然現れた家族らしきその女性に、私はすっかり気圧されてしまい、それまでの勢いを一気に削がれてしまいました。
「もう夜も遅い。そろそろ帰るぞ」
「ちょっ、待って!まだセシリアから謝って――――」
「あ、その事ですけど……」
引きずられていく彼を見て、あの心地良い時間が終わりを告げると分かったら、それが急に惜しくなって……彼を呼び止めて、頭を下げました。
「先程は、申し訳ありませんでした。私の数々の非礼、お詫びさせていただきますわ」
許してもらえるだろうか……恐る恐る顔を上げると、彼はぽかーんとした表情で私を見ていました。な、何か変なことでも言ってしまったのでしょうか?
「…ぷっ、あはははははっ!」
「なっ!?」
突然、彼は笑い出しました。こ、こちらはちゃんと謝ったというのに……
「ご、ごめんごめん。素直に謝ってくると思わなくてさ。あー、笑った」
「こ、この……」
「お嬢様、どうどう」
怒りというよりは、恥ずかしさが込み上げてきて、私は彼を睨み付けました。
すると、彼は笑い終わったあと、
「セシリアって、案外いいやつなんだな」
無邪気な笑顔で、そんなことを言いました。
「……そろそろ行くぞ」
「あ、あのっ!」
再び女性から声をかけられ、この場を去ろうとする彼を私は呼び止めました。何故か、そうしたかったのです。
……それほどまでに、私はこの空気を気に入っていたのかもしれません。
「あの……あなたの、お名前は?」
だからせめて、名前を聞いておきたかった。他の男とは違う、とてもまっすぐな彼の名を。
「俺か?俺は――――」
あれから更に月日は流れ、十五歳のとある夜。
「お疲れ様です、お嬢様」
「ええ。ありがとう、チェルシー」
本日のIS訓練は終了。いつものように、チェルシーがタオルとドリンクを持ってくる。ISの訓練で疲弊した体に、ぬるいドリンクが染み渡る。
「ふぅ……」
気持ちいいですわぁ。
「そういえばお嬢様。先程、テレビのニュースで何やら興味深い内容をお見掛けしました」
「興味深い内容?」
興味深い、と言われては否が応でも気になるものです。勿論、チェルシーに問いただしました。
「はい。何でも、『ISを動かした男性』が現れたとか」
「は?」
男性がISを動かした。予想外の答えに、つい間抜けな返事をしてしまいました。
同時に、とある男性の顔を思い出しました。文字通り、私を変えた男性の顔を。
(……まさか、あり得ませんわ)
頭を左右に振る。幾らなんでも、そんな偶然が起こるとは考えにくいですもの。
「まだやっていますの?そのニュース」
「はい。どこの番組も、その話題で持ちきりでございますよ」
そう言うと、チェルシーはタブレットを開き、とあるニュース番組を写し出した。そこには、いかにも偉そうな方々が神妙そうな面持ちで討論を交わしていました。
(男性の、IS操縦者……)
画面を見ながら、ふと考える。
恐らく、その方は私達と同じくIS学園に入学することになるのでしょう。世界初の男のIS操縦者として。
ということは、いつかはその方ともお会いする機会があるということ。嘗て出会った彼のおかげで、私は意識を改め、無闇に男性を卑下することをやめました。また彼と再会した時、胸を張って、対等に話せるように。今では、男性の方にも歩み寄っていきたいとまで思えるようにもなりました。それでもやはり、苦手意識はそう簡単に消えるものではなく……同じ学園に通うことになるその方に多少なりとも不安を覚えている自分がいました。
「私、その方と仲良く出来るでしょうか……」
嘗ての私では考えられない台詞。それを聞いたチェルシーは、驚いたような表情の後、くすりと笑って、
「出来ると思いますよ。他ならぬ、お嬢様ですから」
「え?」
チェルシーの含みのある言い方に疑問を抱く私に、チェルシーは悪戯っ子のように片目を閉じて、画面の右側を指差した。
そこには、一枚の顔写真と文字が映し出されていました。その文字に、思わずタブレットを掴んで凝視する。
そこに綴られていたのは、嘗て出会った、彼の名前。
「う、嘘……」
彼のことを思い出す。あの時、別れ際に聞いた彼の名を。
『俺か?俺は――――』
あの日出会った、彼の名は。
ずっと再開を望み続けた、彼の名は。
世界で初めてISを動かした、彼の名は。
「織斑、一夏……!」
再会を望み続けた彼の名前が、そこにあった。
そして、更に月日が過ぎ、四月。
長き時を経て、二人は再び合間見える。
ここ、IS学園で――――
・後書き談話
と、いうわけでプロローグ終了。
あ、因みにこの作品のタイトル、深い意味とかはありません。ただなんとなく語呂のいい感じの単語を繋げてみただけです。はい。
さあさあ、次回は遂に一夏とセシリアのご対面。どうなることやら……それでは、また次回。感想や意見、批評酷評何でもいいのでどしどしお願いします!
あ、何か久し振り。この感じ……