遊戯王ARC-V―奇術師と呼ばれたデュエリストのセカンドライフ―   作:えんとつそうじ

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どうも、つい先日とうとう携帯をガラケーからスマホ?に変えたえんとつそうじです。ちなみにYモバイルにしました。

いやー、なんか長年使い続けてきたせいか、充電が早く切れたり、充電はちゃんとしていたはずなのに突然なんか意味不明の電池切れを起こしたりと、いろいろとガタがきはじめていたので思い切って乗り換えたんですが、やっぱちょっと使いにくいですねこれ。それともただ単に慣れていないだけなんでしょうか?そうなんでしょうね(断定)。

さて、今回のお話ですが、VS遊矢編ラストになります。所謂SEKKYO回ですが、中身は塾長が原作でいっていたことをクオンのキャラにあわせてそのままいわせただけですので、そこらへんは突っ込まないでいただければ幸いです(笑)。

それでは暇つぶしにでもどうぞ。

……あ、それと活動報告にこの作品の今後に関するアンケートを乗せておきますのでご協力いただければ幸いです。

※すいません、感想で時読みのペンデュラム効果があればどの道遊矢の勝ちだというご指摘を受けたのでデュエルの最後らへんを修正させていただきました。なにか、修正しそこねがありましたら、お手数ですが御指摘いただけると幸いです。


第十話 兄弟対決!?VS遊矢③榊遊勝

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

クオン

LP:4000

場:ブラック・マジシャン(攻撃力2500)

  魔装邪龍イーサルウェポン(攻撃力2300)

魔法・罠:伏せカード2枚

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 

 突如クオンの強い要望により始まったクオンと遊矢の兄弟対決。

 

 クオンが2枚の伏せカードをデュエルディスクをセットしてターンの終了を宣言したために、ターンは遊矢へと移行する。

 

「俺のターン、ドロー!!」

 

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

遊矢

LP:3100

手札:5枚

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 ドローしたカードを確認した遊矢は、思わず驚きで目を瞠る。

 

 遊矢がたった今ドローしたカード。それはこの絶体絶命な状況を覆すことができ得る、自身が最も信頼しているカードだったからだ。

 

「(よし!こいつペンデュラム召喚することができれば一気に逆転できる!!)」

 

 そう考えた遊矢は、さっそく手札の時読みの魔術師と星読みの魔術師。2枚のペンデュラムカードを使いさっそくペンデュラム召喚を試みようと考えるが、そこで彼の脳裏に再び赤馬零児のペンデュラム召喚の姿がよぎり、ペンデュラムカードに掴もうとした手がそこで止まってしまう。

 

「…あ……う……ッ!?」

 

 このカードを出さなければこのデュエルは負けてしまう。しかし、いつの間にかペンデュラム召喚が軽いトラウマになってしまった遊矢はその指をどうしても動かすことができなかった。

 

 それを見たクオンは「やはり……」というような感じで飄々とした笑みを消し、その表情を厳しい物に変える。

 

「(赤馬零児がペンデュラム召喚を使って見せたことが大分ショックだったようですね。これは比べられるのが怖いというより、自身が生み出して『自分だけが使えるペンデュラム召喚』が一種の存在意義(アイデンティティ)となっていて、赤馬零児がそのペンデュラム召喚を使ったことによりそれが崩されてしまった。それが一種のトラウマとなってしまっているんでしょう)」

 

 とそこでクオンはため息をつきながらもくすりと笑みを浮かべる。

 

「(しかたありませんねぇ。こういうのが得意なのは塾長の方で、私のガラじゃないんですがね)」

 

 そう考えたクオンは、顔を上げ遊矢の再び向き直るとその口元にいつもの笑みを浮かべながらも口を開く。

 

「遊矢」

「な、なんだよ」

 

 突如先ほどからの不敵な笑みから一転、優しげな口調で突然話しかけてきたクオンの姿に、戸惑いながらもなんとかそう返す遊矢。そんな彼の姿に苦笑しながらもクオンは話を続ける。

 

「いや、なに。こうして2人でデュエルをしていると昔のことを思い出しましてね。ほら、子供の頃なんて遊勝さんに一緒にエンタメデュエルをこうして教わっていたでしょう」

「そういえば……」

 

 クオンの言葉に遊矢はそういえばと昔のことを思い出す。

 

 かつて遊勝がまだ失踪する前は、彼の背中に憧れ、2人してこうして毎日デュエルの腕を鍛える毎日を送っていたことを。

 

「実はですね。あの頃に私は遊勝さんがデビューした頃の試合の映像を自身の参考にしようと見てみたことがあるんですよ」

「ッ!?父さんがデビューしたてっていうと……」

「ええ。ちょうどエンタメデュエルを人前に披露し始めた時ですね」

 

 そしてクオンがその映像で見たのは、華麗なデュエルで人々から喝采を浴びるいつもの遊勝の姿ではなく、罵倒と嘲笑を浴びるまさかの姿だったという。

 

「あの映像を見た後に塾長に聞いてみたのですが、当時の環境ではスリルとスピードを持ちこんだ曲芸染みた動きの遊勝さんのエンタメデュエルは世間では受け入れられず、多くの批判を浴びたそうです」

 

 しかし、榊遊勝は世間のそのような評価にもめげず、自身のデュエルスタイルを貫いたことで、やがて罵声は熱狂へと代わり、彼はアクションデュエル界に燦然と輝く本物のスターとなったのだ。

 

「新しい世界の扉は、誰かが勇気を出してこじ開けないと開かれることは決してありません。そして遊矢、あなたもペンデュラムの扉を新たに開きました。しかし……」

 

 そこでクオンはゆっくりと自身の背後で光の柱に包まれている2体の魔術師へと視線を向け、一瞬目を瞑ると再び遊矢へと視線を合わせながら口を開く。普段の彼の態度からは想像もできないほど厳しい顔をしながら。

 

「――――最早ペンデュラムはあなただけの物ではなくなりました」

 

 そう、特殊な手段でペンデュラムカードを手に入れたクオンはともかく、世界的大企業の社長である赤馬零児が自身でペンデュラムカードを作り上げ手に入れたとなると、もはやいずれ誰もがペンデュラムカードを手に入れることができるようになるのは時間の問題だといえる。

 

「遊矢。あなたは赤馬零児や私がペンデュラム召喚を使った時どう思いましたか?ペンデュラム召喚を使わなかった、いや使えなかったところを見るにとてもショックだったのでしょう。――――しかし、遊勝さんならそのようなことはなかったでしょうね。むしろ笑顔を見せたでしょう」

「え、笑顔を!?」

「ええ。実際塾長から聞きましたが、自身の影響でエンタメデュエルが広まっても、彼は笑みを浮かべながら、自身も腕を磨き続けたそうです。周囲もあの人に習って切磋琢磨し、それが今のアクションデュエル界の隆盛を築いたとも」

 

 そこで遊矢は赤馬零児が去り際に残した言葉を思い出す。アクションデュエルに新しい可能性をもたらしたパイオニアとして心から尊敬しているという言葉を。

 

「……あいつも、赤馬零児もそういってた」

「遊矢。あなたもペンデュラムという扉を最初に開いた者として腕を磨きなさい。後に続く者たちの模範となれるように」

 

 「遊勝さんと同じようにね」と言葉を締めくくるクオン。そんな彼の言葉に、しかし遊矢はどこか自信なさげに答える。

 

「でも……俺にそんなこと……」

「できますよ。あなたはあの稀代のデュエルスター。榊遊勝の息子であり――――私の自慢の義弟ですから」

「ッ!?兄さん……」

 

 久遠のその言葉に遊矢は感動で思わず瞳を僅かに潤ませる。

 

 そんな彼の姿を見て、クオンは自分でもクサイ台詞をいった自覚があったのか、どこか照れ臭そうに頬を掻きながらも話を続ける。

 

「”怖がって縮こまっていたらなにもできない。勝ちたいならば勇気を持って前に出ろ”」

「それは」

「覚えているでしょう?父さんが私たちに聞かせている言葉。――――さあ、勇気を出しなさい遊矢。そしてあなたのエンターテイメントを見せてみるのです!!」

 

 クオンのその珍しく力強いその言葉に、遊矢は涙をごしごしと拭い去るといつもの明るい笑みを浮かべると両手を広げて高らかに宣言する。――――自身が持ちうる最高のエンターテイメントを魅せるために。

 

「レディースアーンドジェントルメーン!!これより本家本元。榊遊矢のエンタメデュエルをご覧いただきます!!」

 

 その言葉と共に、なぜか遊矢へとスポットライトが当たる。それと同時に遊矢はフィールドを行き来する光の輪を度々掴みながら、フィールドを縦横無尽に移動すると、1枚のアクションカードを手に入れる。

 

 そしてそのアクションカードの中身を確認した遊矢は、小さく笑みを浮かべた。

 

「よっし!完璧♪」

 

 そして遊矢は再び観客席に向かって、大きく両手を広げた。

 

「さあさあお待ちかね。本日のメインイベントでございます!」

「……やれやれ。ようやくですか」

 

 もうすっかり先ほどとは違い、すっかり元どおりとなっている遊矢の姿に、クオンは呆れながらもどこか嬉しそうに笑みを浮かべる。

 

 そんなクオンの様子にを知ってか知らずか。遊矢はまず1枚のモンスターカードを召喚する。

 

「まず私は、EMソード・フィッシュを召喚します」

 

 すると、遊矢のフィールド上に、サングラスをかけた、所謂太刀魚のようなモンスターが出現する。

 

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

EMソード・フィッシュ(攻撃力600)

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 

「ここで私はEMソード・フィッシュの効果を発動!このカードが召喚・特殊召喚に成功した時相手フィールド上のモンスター全ての攻撃力を600ポイントダウンさせることができます!」

 

 その効果により、クオンのフィールド上に存在するブラック・マジシャンとイーサルウェポンを青いオーラが包み込み、2体の攻撃力を下げることに。

 

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

ブラック・マジシャン(攻撃力2500→1900)

 

魔装邪竜イーサルウェポン(攻撃力2300→1700)

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 

 そして、遊矢は手札から2枚のカードを引き抜き、久遠へ向かって掲げて見せる。――――クオンがいったように、自身が新しい扉を開いたことによって手に入れた始まりのカードを。

 

「俺は、スケール1の星読みの魔術師とスケール8の時読みの魔術師で、ペンデュラムスケールをセッティング!!」

 

 すると、遊矢のデュエルディスクにペンデュラムの文字が光り輝き、その背後に先ほどのクオンと同じく、2体の魔術師を内包した光の柱が出現した。

 

「これでレベル2から7のモンスターが同時に召喚可能!」

 

 そして彼は高らかに謳う。トラウマを乗り越え、自身の愛する仲間たちを呼びだすために。

 

「揺れろ、魂のペンデュラム。天空に描け光のアーク。――――ペンデュラム召喚。来い、俺のモンスターたち!!」

 

 そしてその遊矢の宣言と共に、彼の上空に出現した光の渦から、フィールド上にさらに2体のモンスターが現れる。

 

「世にも珍しい二色の眼を持つ竜「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」!EMスパイクイーグル!」

 

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン

ペンデュラム・効果モンスター

星7/闇属性/ドラゴン族/攻2500/守2000

【Pスケール:青4/赤4】

「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」の(1)(2)のP効果は

それぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分のPモンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージを0にできる。

(2):自分エンドフェイズに発動できる。

このカードを破壊し、デッキから攻撃力1500以下のPモンスター1体を手札に加える。

【モンスター効果】

(1):このカードが相手モンスターと戦闘を行う場合、

このカードが相手に与える戦闘ダメージは倍になる

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 

 そして出現したのは遊矢のエースモンスターである虹彩異色の眼を持つ竜。オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンに、先ほどソード・フィッシュと共にEMコールで手札に加えたモンスターであるスパイクイーグル。

 

 そして、遊矢はさらなる攻めの一手を打つ。

 

「俺はこの瞬間。EMソード・フィッシュの第二のモンスター効果を発動!このカードがフィールド上に存在し、自分がモンスターの特殊召喚に成功した時、さらに相手フィールド上のモンスター全ての攻撃力を600ポイント減少させる!!」

 

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

ブラック・マジシャン(攻撃力1900→1300)

 

魔装邪竜イーサルウェポン(攻撃力1700→1100)

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 

 自身のモンスターがさらに攻撃力を減らす姿に、クオンは驚愕と共に感心の声を上げる。

 

「ッ!?なるほど、ソード・フィッシュだけ通常召喚するとは奇妙な事をするとは思いましたが、2度の私のモンスターたちの弱体化を狙うことが目的でしたか。なかなかやりますね」

 

 クオンのその素直な賞賛に、遊矢はどこか照れ臭そうに鼻を掻きながらも笑みを深める。

 

「へへへ。――――さらに私はここでオッドアイズを選択し、アクションマジック「イリュージョン・ファイヤー」を発動!!」

 

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

イリュージョン・ファイヤー

アクションマジック

①:自分フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。

このターン、そのモンスター以外の自分フィールドのモンスターは攻撃できず、

その対象のモンスターはそれ以外の自分フィールドのモンスターの数だけ攻撃できる。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 

 遊矢がそのカードの効果を発動すると、遊矢とオッドアイズの前方にソード・フィッシュとスパイク・イーグルの2体のEMが終結した。

 

「このカードの効果により、選択されなかった他のモンスターはこのターン攻撃することはできないが、その代わりこのターンオッドアイズは選択されなかったモンスターの数だけ攻撃することができる!!」

 

 その驚愕の効果に、観客席にいた子供たちは驚きの声を上げる。

 

「わあ~!」

「オッドアイズの連続攻撃だって!?」

「しびれる~♪」

 

 そして遊矢はオッドアイズに飛び乗ると、相手モンスターへの攻撃を指示する。

 

「行くぞ、バトルだ!俺はオッドアイズで魔装邪竜イーサルウェポンに攻撃。『螺旋のストライクバースト』!!」

 

 その遊矢の言葉と共に、オッドアイズの口から螺旋状のブレス攻撃が吐き出され、イーサルウェポンがそのまま破壊される。

 

「くううッ!?」

 

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

クオン

LP:4000→2600

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 

 イーサルウェポンの破壊による衝撃に呻き声を上げるクオン。

 

 しかし遊矢はそんなクオンの様子にも追撃の手を緩ませない。

 

「この瞬間。オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンのモンスター効果発動!このカードが相手モンスターと戦闘を行う場合、相手に与える戦闘ダメージは2倍となる!!」

 

 そのオッドアイズの効果により、クオンへさらに1400ポイントのライフダメージが入る。

 

「く……ッ!」

 

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

クオン

LP:2600→1200

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 

「これで最後。ブラック・マジシャンを攻撃!!」

 

 遊矢のその言葉と共に、オッドアイズが再びブラック・マジシャンへとブレスの波導を放った。

 

 それを見て、観客席でデュエルの様子を見守っていた権現坂と柚子の2人が歓声を上げる。

 

「おお!!」

「やったわ。これでちょうど1200ポイントのダメージが入って遊矢の勝ちよ!!」

 

 だが、クオンは仮にもプロの資格を持つデュエリスト。絶体絶命のピンチにも関わらず、不敵な笑みを浮かべながらも1枚のリバースカードを発動させる。

 

「さすがにその攻撃を受けるわけにはいきませんねえ。――――私はこの瞬間罠カード「魔法の筒(マジック・シリンダー)」を発動!!」

 

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

魔法の筒(マジック・シリンダー)

通常罠

(1):相手モンスターの攻撃宣言時、

攻撃モンスター1体を対象として発動できる。

その攻撃モンスターの攻撃を無効にし、

そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 

 クオンが発動した1枚の罠カード。そのカードの発動と共に2つの筒のような物がブラック・マジシャンの周囲に出現し、オッドアイズの攻撃が片方の筒へと吸い込まれる。

 

「これは高位のマジシャンが創り上げたという魔術道具でしてね。相手モンスター1体の攻撃を無効にし、そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与えることができます。――――自身のモンスターの攻撃を食らいなさい!!」

 

 それはまさに逆転の一手。この魔法の筒の効果が通れば遊矢のライフポイントは600まで削られ、次のターンクオンが再びイーサルウェポンをペンデュラム召喚し、遊矢のフィールド上にいるモンスターを攻撃すれば、そこでクオンの勝利が確定する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――そう、この罠カードの効果が通れば(・・・)の話だが。

 

「――――それはどうかな?」

「なに……?」

 

 不敵な笑みを浮かべる遊矢の言葉に思わず眉を潜めるクオン。

 

 そして遊矢は、自らのペンデュラムゾーンにいる時読みの魔術師のペンデュラム効果を発動した。

 

「俺はペンデュラムスケールにいる時読みの魔術師のペンデュラム効果を発動!このカードのペンデュラム効果により、相手はダメージステップ終了時まで罠カードを発動できない!!」

「なんだとッ!?」

「いっけええええええええええええ!!」

 

 そして魔法の筒の妨害を退けたことにより、オッドアイズの必殺の攻撃が、心なしか先ほどより威力を増しながらも、クオンのブラック・マジシャンへと襲いかかる。

 

 クオンはまさかの展開に驚きの表情を浮かべていたが、先ほどとは全く違う遊矢のその生き生きとした表情を見て、ふっとその表情を静かに緩めた。

 

「(……まあ、たまにはこんな展開もいいでしょう)」

 

 そして、クオンはそのまま笑みを浮かべたままオッドアイズの攻撃の直撃を食らい、吹き飛ばされてしまう。

 

「く、あああああああああああああ!!?!」

 

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

クオン

LP:1200→0

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 

 そしてクオンのライフポイントが0になると同時に、遊矢は自身のモンスターたちと少し大げさな感じで一礼してデュエルを締めくくる。

 

 

 

 

 ――――こうして、兄弟同士のエンタメデュエルは弟・遊矢の勝利にて幕を下ろすのであった。

 

☆ 

 

 

 アクションフィールドが消えたために、夕焼けの光がデュエル場へと降り注ぐ中、オッドアイズの攻撃により吹き飛ばされたクオンの元へと遊矢は急いで駆け寄る。

 

「兄さん!!大丈夫?」

「いててて。ええ、まあなんとか。しかしまあ遠慮なく吹き飛ばしてくれましたね遊矢」

 

 吹き飛ばされた時に軽く頭でもぶつけたのか、そこを抑えながら少し苦痛の声をあげながらも、どこかからかうような口調でクオンが話しかけると、遊矢はどこか気まずげな顔をして途端におろおろとしだす。

 

「え、あ、ご、ごめん……」

 

 そんな彼の態度にクオンはぷっと吹き出しながらも、彼の頭をわしゃわしゃと撫でまわした。

 

「あ、ちょちょっと兄さん?」

「ふふふ、すいません遊矢。ちょっとした冗談ですよ。少しからかっただけです」

 

 そういうと、彼はその場から立ち上がりデュエル場から出ていこうと踵を返す。

 

「あれ?兄さんどこ行くんだ?」

「いや、流石に帰国直後でデュエル2連戦はさすがに疲れました。ちょっと休ませてもらいますよ」

 

 遊矢の言葉にクオンが僅かに振り向きながらそう返すと、遊矢は「あ、そっか」と納得の表情を見せた。

 

「そういえば、兄さん帰って来たばっかだったな。わかった、塾長たちには俺からいっておくよ」

「ええ。そうしてくれると助かります」

 

 そういって、今度こそクオンはデュエル場を出ていこうとするが、そこで遊矢が再び声を上げ、彼のことを引き止めた。

 

「あ、あの兄さん!!」

「ん?どうしました遊矢?」

 

 弟の言葉に不思議そうに振り返るクオン。そんなクオンの様子に遊矢は「あ、え」と言葉に詰まりながらも、しかし頬を赤くしながらなんとか照れ臭そうに言葉を紡ぐ。

 

「あ、ありがとう兄さん。デュエルまでして俺のことを励ましてくれて。俺、誰よりも腕を磨くよ。もっと上手く、そしてもっと強くなって父さんや兄さんのような凄いデュエリストになって、世界中の人を笑顔にして見せるから!!」

「――――――」

 

 遊矢の言葉に、驚きで思わず目を瞠るクオン。まさか気弱なところがある遊矢からそのような言葉を耳にするとは、彼も思っていなかったからだ。

 

 しかし少しして我に返ると、クオンは彼の言葉の笑みを理解し、家族だけに見せる慈愛の籠もった笑みを見せる。

 

 そしてクオンはそのままデュエル場を後にしたのだが、デュエル場から出て少したった通路で立ち止まると、先ほどのデュエルで最後まで使うことのなかったリバースカードをデュエルディスクから引き抜いた。

 

「ふー。「父さんや兄さんのような凄いエンタメデュエリストになって、世界中の人を笑顔にして見せる」ですか。……ふふ。あの様子では、どうやら私のやったことは無用の気遣いでしたかね」

 

 そして彼はデュエルディスクから引き抜いたカードへと視線を落とす。

 

 そのカードの名は「サイクロン」。相手フィールド上の魔法・罠カードを問答無用で1枚破壊することができる強力な速効魔法。

 

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

サイクロン

速攻魔法

(1):フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。

そのカードを破壊する。

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 

 そう、実は先ほどのデュエル。本来なら、時読みの魔術師の効果にチェーンしてこのカードを発動。そして時読みの魔術師を破壊していれば時読みの魔術師のペンデュラム効果は無効になりオッドアイズの攻撃を無効にし、そして返しのターン。クオンがモンスターをペンデュラム召喚して攻撃していれば勝利、または優位な戦況を保てていたのはクオンの方だったのだが、しかし遊矢の成長した姿を見て嬉しくなったクオンは、このまま敗北すれば遊矢がまた自信を喪失してしまう可能性があったということもあり、このカードの発動を見送り、そのまま遊矢へと勝ちを譲ったのだ。

 

 しかし、先ほどの遊矢の言葉を思い返し、クオンは考える。別にそのようなことをしなくても、遊矢は潰れることなく再びエンタメデュエリストとして無事に復活していただろうと。

 

 そのことが無性に嬉しくなったクオンは、再び笑みを浮かべると、今はどこにいるかもわからない自身の義父へと言葉を紡ぐ。

 

「遊勝さん、遊矢は立派に成長していますよ……ふふ、なんてね」

 

 自身の言葉にクオンは悪戯っぽく笑い声を上げると、再び歩みを進める。

 

「さて、せっかく帰って来たんです。久しぶりに洋子さんお手製のパンケーキでもいただくとしますかね」

 

 そしてクオンはどこかご機嫌な様子で、鼻歌を歌いながら久しぶりの我が家へと急ぐのであった。




はい、とういうわけでどうでしたでしょうか?クオン君負けちゃいましたね。後作者の都合でスパイク・イーグルをただの数合わせの置物に、遊矢君のショック度をさらに酷くしてすいません(笑)話の都合上どうしても必要だったもので。

実はこの話。本当はラストは復活した遊矢の渾身の攻撃を、しかしクオンがリバースカードのコンボで交して逆転。そしてクオンtueeeee!!みたいな展開を考えていたんですが、このクオンの性格上遊矢に勝ちを譲る展開もありかなーと想い急遽このような展開にしました。たまにはこういうのもいいよね(白目)

まあそんなわけで今回のお話はここまで。感想や誤字脱字の報告。そしてアドバイスなどお待ちしております。
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