仮面ライダーLOST   作:九番ライト

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この作品はオリジナル主人公が数多くの世界に行く、
いわゆる多重クロスものです。

そういう系統の二次創作がダメな方はお引き取りください。


逃亡編
第一話「開花」


俺は親父の顔を見たことがない。

 

親父が死んだのは、俺が生まれる前のことであるからだ。

 

12歳のころに死んだお袋の話では、親父は日本国防軍の軍人で

あの「戦艦大和」の乗組員だったらしい。

 

「戦艦大和」といったら、日本で一番有名な戦艦だが

大東亜戦争では特に役には立っていない。

1945年4月の沖縄の米軍に殴りこみにいく作戦である菊水作戦の際

豊後水道で敵潜水艦に魚雷を二発食らい、艦首を大破。修理に数カ月かかるとされ

そのままドッグにて終戦を迎えた。

 

終戦後、米軍が大和を水爆実験の的にするはずだったが

ソ連の北海道侵攻により事態が急転、大和は根室沖でソ連軍艦隊と交戦する。

日本軍艦隊は圧倒的に不利であったが、大和の奮戦によりソ連艦隊を撃退に成功し

大和は本土を救った英雄として、日本国民に崇められることになる。

 

大和の戦闘力を放置できないアメリカであったが、時代が完全に航空機の時代であったため

いざとなったら、航空機で撃沈できること

そして日本に空母を保有させないため

戦艦大和は当時の首相吉田茂の猛反対を押し切り

日本国国防海軍の初代旗艦となったのである。

 

そして大和は俺が生まれる五か月前の「東京湾海戦」で巨大怪獣と共に沈んだ。

 

「東京湾海戦」で何があったか、俺の親父が一体どんな人間か知りたくて

国防大学に入ったが、親父の同期はみんな「アイツ」にやられたらしい。

 

大和の生存者もすでに退役しており、国防大では親父を知る者はいなかった。

 

親父を知っている者がいない以上、国防大にいる意味がない。

そう結論した俺は一月に国防大を退学した。

 

そして俺は親父を知っている人を探しに旅に出た。

 

この旅が、とてつもなく長いものになるとは

当時の俺には全く予想できなかった。

 

 

旅をに出てから数か月が経ったある日、昼飯を食べようとたまたま入った定食屋で

隣の作業服を着た男が気になる話をしていた。

 

「最近、大和乗組員が次々に行方不明になっているんだってよ。

 なんでも突然行方不明になって数日したら、なにもなかったかのように帰ってきて

 『何も覚えていない』って言うんだとよ。とりあえず病院にいったら、

 体の表面には傷一つないのに

 レントゲンで見たら腹部に何かを取り出した跡があるんだとさ。

 それが何なのか調べようとすると、いつの間にか病院から姿を消してるんだってよ。

 そういえばこの街にも大和の乗組員がいたっけな~」

 

そんな話を聞いた俺はその男に話しかけた。

 

「おっちゃん、その話は本当かい? 

 本当だったらその元乗組員がどの辺に住んでいるか、教えてくれないか?」

 

男は

「いいけどよ~兄ちゃん、あんた何者だい?」

敵のない表情で俺の名を聞いてきた。

 

人に話しかけるときは、自分の名前を名乗るのが先だよなと反省しつつ

俺はその男に告げた。

 

「俺の名は浦島空也《うらしま こうや》。

 大和の乗組員だった親父ことを知りたくて旅に出てるんだけど、

 なかなかあてがないもんで、ふてくされて入り込んだ店でこんな話を聞けるなんてね。

 これは日ごろの行いがいいからかな~」

 

そんなことで元大和乗組員の住所を聞き、昼飯を食べてから

愛車にまたがり定食屋を後にした。

 

一時間後、人里離れた一軒家に着いた俺は妙な気配を感じたが

元乗組員の横山さんとお話することができた。

 

横山さんは大和に乗っていたことは覚えているけど、どうやら自分がどうやって生き残ったか

覚えていないようだった。

 

これまで何度か大和の乗組員に話を聞けたが、全員が「東京湾海戦」のことは覚えていなかった。

大和が大爆発を起こし沈没し、その衝撃で記憶が飛んでいるのだろうと医者はいってたが

全員が全員覚えていないのは明らかにおかしい。

 

親父のことを尋ねてみても、他の乗組員と同じように

砲術長だったことしか知らないようだった。

 

今回もダメか...

 

そんなことを考えていた俺だったが

横山さんは突然思い出したように

 

「そういえば~大和が沈む時に

 やけに眩しいな~と思ったら空から光の雨が降ってきたっけな~

 あれはいったい何だったんだろうな」

 

そんなことを疑問に出した。

 

今までの乗組員はこんな話はなかった。

俺はその時の詳しい話を聞こうとしたが

 

あたりがやけに静かなことに気がついた。

 

さっきまで蛙の鳴く声が聞こえていたが、

今では風の音も聞こえない。

 

なにかがおかしい......

 

その時玄関からチャイムが鳴り

横山さんは対応しようと、ドアを開けると

そこには黒いコートを着た男が立っていた。

 

「横山さん、回収しにまいりました」

 

男はそういうと口から糸のようなものを吐き出し

横山さんを巻きあげた。

 

俺は横山さんを助けようとその男にタックルをした。

 

倒れた男の顔から蜘蛛ような眼が出てきて、やがてコートをやぶり本来の姿になった。

 

クモ怪人.....

 

まるでSF映画に出てきそうなそのおぞましい姿は化け物だ。

なんとか死中に活を見出そうと、その場にあった殴りつけてみたが

微動だにせず向かってくる。

 

身体能力には自信があり、腕っぷしの強さでは国防大でも右に出る者はいなかった俺でも

こいつからしてみれば、赤子も同然だ。

 

何をやっても通じない、そんな相手に何ができるのか......

 

いや、なんとかしなければならないんだ。

俺は横山さんを助けて、大和沈没の時に出た「光の雨」のことについて

教えてもらわなければならない。

 

その一心でクモ怪人に体一つで立ち向かったが、奴の糸で巻き上げられてしまった。

鋼鉄のように固い糸が俺の体を徐々に締め付けていく。

薄れいく意識の中で、クモ男が何かと話しているのが見えた。

 

   

「ツレテコイ」

 

そんなことをクモ男は言われていたのだと思う。

 

 

 

 

気がつくと、俺は余計なものが一切ない真っ白い部屋の中に入れられていた。

スタンリーキュービックの映画にこんな部屋があったと思う。

辺り一面が真っ白いこの部屋には、俺が寝かされているベッドしかない。

 

どこからか15くらいの白い服を着た男が入ってきていた。

 

「おめでとう。君は人間を捨て、新しい生物になれるよ」

 

男はそういうと、俺の体に『種』らしきものを埋め込んだ。

 

その瞬間、今までの人生で経験したことないような痛みが全身に走り

俺の体中の血管がすべて浮き出てきた。

 

「てめぇ!!俺の体に何をした?」

 

激痛の中、俺は渾身の力を振り絞って声を上げた。

 

すると男は

 

「君の体に『種』を入れさせてもらった。これから24時間君はその痛みに耐えてもらい

 新しい体に生まれ変わるのだ。痛いのは今だけさ。

 この痛みが終わる時、すさまじい快感を味わうことができるよNo,9」

 

そういうと男は俺に背を向けてどこかに消え去った。

 

 

         

俺は痛みのあまりに失神していたようだ。

目が覚めると手術台のようなところに寝かされていた。

 

やがて白い服の男たちが集まってきて

俺の体を怪しい医療器具を持ち俺の体を切り刻んでいった。

 

―やめてくれ、俺の体に何をするんだ。

 

声にならない悲鳴はやがて絶望に変わり

俺の意識を深い闇の底に追いやった。

 

 

目を覚ますと俺はべッドに寝かされていた。

 

自分の体に何も異常がないこと確認すると

 

―あれは夢だったのか?

 

そんなことを考えていたが、

それは俺の希望にすぎなかった。

 

 

ふとベッドの横にあった鏡を見ると、そこに見慣れた顔がいなかったからだ。

 

そこにいたのは

 

 

バッタ怪人

 

 

 

 

俺はこの時から人間ではなくなった。

 

 

「第一話 開花」  

 

 

 

 




前に連載していたものに修正を加えました。

現在八話まで執筆したので、しばらくは安定して
更新できると思います。
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