ヘブンズ・ハンマーをまともに食らったキン肉マンには、脳天に強い衝撃を受け
再び立ち上がる気力は残されていなかった。
「弱い弱い弱い弱い弱い弱すぎるッッ!!!これで俺は満足できん!!
貴様それでも超人なのか?!!超人は強くなければ存在する意味がないのだ!!!
戦いこそが我々超人が生きる唯一の道!!!戦いに勝てばそれでよいのだーっ!!!」
立ち上がれないキン肉マンに追い討ちをかけるように、ハートマンは蹴り上げる。
す
「王子ー!!立ち上がってください!!」
「キン肉マン!!立つんだー!!」
「私との戦いで見せた火事場のクソ力はどうしたんだ!!」
ミートに続き、テリーマン、ウォーズマンがキン肉マンに声援をかける。
すると会場からキン肉マンコールを巻き上がった。
「キン肉マン頑張れー!!!」
「立ち上がってー!!キン肉マン!!」
老若男女問わず多くの声援が後楽園球場を揺らす。
「黙れ黙れ黙れーっ!!!こんなに弱いやつがお前らのチャンピオンでいいのか?
いくらサーポーターに愛されようと、弱くてはヒーローは務まらんのだ!!!」
ハートマンは観客が一体となった後楽園球場に底知れぬ恐怖を感じた。
完全なアウェーで戦うことがわかっていたが、
まさかキン肉マンのファンがここまで熱狂的とは想定外だったからだ。
「弱いヒーローなど、この世にいらんのだ!!!!」
渾身のキックがキン肉マンに浴びせられるその時!!
「ハートマン、お前は超人としては間違っている」
キン肉マンが完全に目覚め、ハートマンの渾身のキックを肉のカーテンで防いだ。
「超人は人より優れているからこそ、その力を正義のために使わなくてはいけない....
我々超人は太古の昔からそういやって地球を守ってきた。
だが、戦いに勝利すれば何をしてもよいという考えでは、
いつか自分の強大すぎる力に溺れてしまうだろう......
お前は超人として大切なことを忘れている」
傷ついた体は湧きあがるとてつもなく大きな力により、鋼の肉体がさらに強化され
以前よりも強靭な体となる。
土壇場で発動するキン肉マンの持ち味、火事場のクソ力....
その力の強大さにハートマン自身も身を持って感じていた。
「あと一発脳天をやれば貴様はお陀仏なのだ!!くたばれーっ!!」
ハートマンが突進し、キン肉マンをキャッチしようとしたが
逆にハートマンのバックがとられ、きれいな放物線を描きバックドロップが決まる。
「貴様などにーっ!!!」
完全に冷静さを失ったハートマンはここでバックブリーカーでキン肉マンをキャッチし
ヘブンズ・ハンマーの態勢に入った。
「こいつで地獄まで行って来い!!!ヘブンズ・ハンマー!!!!!」
「なんのーっ!!!火事場のクソ力!!!!!」
キン肉マンの中に眠るとてつもない力が完全に発動した。
同時にハートマンのホールドを力技で解除し、そのまま自身の必殺技の態勢にもっていった。
「48の殺人技...キン肉バスター!!!!!」
首折り・背骨折り・股裂き一度の集約したその技の威力はハートマンの体に戦闘不可能させた。
「ハートマンよ....心に愛がなければスーパーヒーローじゃないのさ....」
カン、カン、カン
三度のゴングの鐘が鳴り、キン肉マンの勝利が決まった。
湧きあがる歓声、ギリギリでの逆転勝利、
この多くの人々を熱くさせるファイトスタイルがキン肉マンを奇跡の逆転ファイターと呼ぶ所以なのだ。
☆☆☆☆☆
「キン肉マン...やったな」
どんなに劣勢であっても最後まで勝負をあきらめない戦いぶり....
彼はまさにチャンピオンの中のチャンピオンだ。
「シード怪人として戦えば、楽にキン肉マンを倒せたものの、
所詮は無意味なプライドを持ち続けた軍人では、ここまでだったか....
これ以上この世界にいる必要はないな」
リングの激戦に思わず集中していた俺は、大事なことをまだ聞いていなかった。
「Z...最後の質問だ。俺の親父とお前は関わりあるのか?」
「大和の砲術長だったかな。彼は自ら進んでソウルシードを体内に入れてね。
そのあとはよくわからないが、ゾドラと相打ちになって大和は沈んだから、
彼がゾドラを倒したのかもしれないし、他の乗組員がゾドラを倒したのかもしれない。
僕には関係ないことだけどね」
ーー親父もやっぱりソウルシードを入れていたのか....
だとしたら、俺がソウルシードの持つ魔力に取りつかれないのは
親父のおかげともいえるな。
「僕はそろそろ審判の日を迎えるまで、エデンの園で眠るとするよ。
次に僕と会うときは、君の最後だと思っていたほうがいい
ロストナンバー....いや、仮面ライダーLOST...故郷をなくした旅人よ」
Zは扉を作り出し、その中に消えて行った。
奴と次に会うとき、それは奴と直接対決する時だろう。
その時まで俺はお前が残した名で戦い続けよう。
仮面ライダーLOSTと....
「おわーっ!!!」
キン肉マンと思わしき叫び声が俺をリングに向けさせた。
そこにはすでに力尽きたと思われたハートマンがキン肉マンの肩に牙を立て噛みついていた。
「まだ、勝負は終わっていない...」
ハートマンの体が怪しい光を放ち、タイガーシードへと姿を変えた。
すでに激戦で披露していたキン肉マンに抵抗する力は残されていない。
「俺の野性が貴様の血を欲しがっているのだ!!!」
牙からキン肉マンの血液を吸うタイガーシードはまさに血に飢えた獣であった。
「今助けるぞ!!!キン肉マン!!!」
テリーマンやウォーズマンがタイガーシードに攻撃するが、
獣となったタイガーシードには通用せず、リング外に放り投げられてしまった。
「テリーマン!!ウォーズマン!!しっかりしろ!!」
浦島はテリーマンたちに駆け寄り、安否を確かめる。
「俺たちは大丈夫だ....ユーは早く逃げるんだ....」
「そうだ...ここは俺たちに任せて早く逃げろ....」
テリーマンたちは立ち上がり、再びキン肉マンを助けようと
苦痛を堪えながらもリングに駈け出そうとした。
「すまんが、あいつは俺が倒さなくちゃならない....
キン肉マンはあいつに勝ったんだ。次は俺がハートマンに勝たなくては...」
「...わかった。俺たちは観客に安全を守る...頼んだぞ」
浦島はリングに向かって走り出した。
「今行くぞキン肉マン!!!変身ーー!!!!」
純白のマフラーが風を切り、仮面の戦士へと姿を変えた。
「ライダァァァパンチッ!!!」
その拳はタイガーシードの顔面に入り、キン肉マンから引きはがすことに成功した。
「大丈夫か、キン肉マン?」
「わ...私は大丈夫だ....それよりテリーやウォーズマンは大丈夫か?」
「自分のことよりもまず友の心配か...まったくお前らしいぜ。
テリーたちは大丈夫だ。安心してくれ。」
「それならいいんだ]
キン肉マンは浦島に肩を借りながらも立ち上がった。
「やい、とうとう本性を現したな、軍人野郎!!!
このマッスルライダーズがお前の相手をしてやろう!!」
「雑魚が集まろうと結果は変わらないのだ!!!!!」
タイガーシードはロープからロープへと高速移動を行い、自分の姿を複数に増殖させた。
「あいつの得意技か...だったらこうだ!!!」
キン肉マンと浦島は互いの背を合わせ上空に飛んだ。
それを見計らったかのようにタイガーシードが浦島たちを追う。
「かかったなバカ猫!!!俺たちには死角がないのだから、お前を捕まえることぐらい簡単だ!!!」
浦島はタイガーシードを捕まえ、キン肉マンのキン肉バスタ―の態勢に入る。
「私の技を勝手に使うな!!!」
キン肉マンが浦島の隣に入り、二人がかりでキン肉バスターを仕掛ける。
「バスターバリエーションPART5!!!!」
二人の超人のパワーが合わさったこの技はいくらタイガシードでもひとたまりもなかった。
「ギャァァァオオオオ!!!!」
関節を完全にへし折られながらもタイガーシードは立ち上がる。
「キン肉マン!!!奴のベルトを狙ってくれ!!!」
「任せろ!!コウヤ」
浦島とキン肉マンがタイガーシードを挟み、ソウルシードがあるベルトを狙いをつけた。
「火事場のォォォォ」
「ライダァァァァ」
「メガトンッッ!!!」
「「パンチッッッ!!!!」」
タイガーシードのソウルシードは二つの拳に挟まれ砕け散った。
その瞬間タイガーシードは爆発した。
爆発の煙の中出てきたのは、キン肉ライダーズの二人であった。
「王子!タイトル防衛おめでとうございます!」
「キン肉マン!やったな!コウヤも素晴らしい戦いだったな」
多くの歓声に包まれ、後楽園球場で行われたキン肉マンの防衛戦は
マッスルライダーズの勝利に終わった。
エピローグ
「「いただきまーす!」」
試合終了後、キン肉マンは俺に助けてくれたお礼をしたいと
牛丼屋に連れてきてくれた。
俺は逆にキン肉マンに借りを返したかったが、あいにく金がなかったため
おごってもらうことになった。
「やっぱり牛丼はつゆぎりが一番だな~そうだろ、コウヤ?」
わずか三秒で牛丼を食すキン肉マンのペースに驚きながらも、
俺自身負けずと箸を進めてしまう。
「まったくだキン肉マン、通ぶってつゆだくで頼む輩が多いそうだが、
本当の通はつゆぎりを頼むもんだ」
「さすがコウヤ!よし、お前を全日本牛丼愛好会名誉会員に任ぜよう~」
キン肉マンはどこで作ったのかわからないが、牛丼愛好会のバッチを俺にくれた。
若干安物臭はしたが、それよりも気になったのが先の戦いのことだ。
「キン肉マン、いくらインスタントチームだからといって
マッスルライダーズというネーミングセンスはどうかと思うぞ?」
「なんだと!私のネーミングセンスにケチをつける気か!!
大体牛丼には味噌汁だろう?それをお前は豚汁を頼むなんて
贅沢極まりないぞ!!」
「牛丼になにつけたっていいだろう!!それにうまいもんにうまいもんをつけて何が悪いんだ!!」
「なんだと!!だったら牛丼大食い対決で勝負だ!!」
「望むところだぜ!!人間バキュームカーと言われた俺の実力、お前に見せてやるぜ」
そこから男の意地と意地のぶつかり合いが始まった。
結果は牛丼屋の在庫がなくなったため引き分け。
実に納得いかない結末だった。
「...どっちも56杯か...ミート、いくらになった?」
食いすぎて胃が痛い俺は吐き出しそうになりながらも、ミートに聞いてみた。
「お二人で合計33800円です。何も在庫がなくなるまで食べなくても...」
ミートの呆れた顔にキン肉マンが突っ込みを入れる。
「男と男の意地のぶつかり合いなのだ。そのくらいはしょうがない」
俺と同じく顔色が悪くなっているキン肉マンは俺たちの聖戦を肯定する。
こんなこと毎日やってたら体を壊してしまうぜ。
そんなこんなで店を出ると、駐車場にこの世界に入ってきたときに開けたドアがポツンとあった。
いよいよお別れか...しみじみ思いつつもまずはキン肉マンに礼を言う。
「今日はおごってもらって悪かったな。ひさびさに腹が満腹だぜ」
「こちらこそ、お前がいなかったら大変な目に合っていたよ。ありがとうコウヤ」
キン肉マンは手を差出し握手を求めてきた。
「ありがとうキン肉マン。いつか必ず今日の決着をつけよう」
俺はキン肉マンと固い握手を交わし、ドアノブに手を掛けた。
「コウヤ!心に愛がある限り、人は正義の味方になれるんだ。このことを覚えていてくれ」
俺はキン肉マンの言葉を受け取り、ドアを開けあの世界に吸い込まれていった。
無数のドアがある世界...後ろを向くとそこにあったはずのキン肉マンの世界のドアは
堅く鎖で縛られあかないようにされていた。
「後戻りはできないということか...」
俺は自分の勘に従い、右側にあった黄金に光るドアを開けた。
次はどこに行くのか?
うっすらと見えたのは、血だらけになりながらも戦う二人の男のうち一人が
拳から太陽の光を放ち、相手を溶かしていた。
どうやらここでも俺は戦うことになりそうだ。
キン肉マン編これにて終了しました。
この漫画を文章で書くことの難しさを改めて感じましたよ。
次はどんな世界に行くのか?
ちゃんと風呂敷をたためるか?
とにかく今は好きなように書いていきたいと思います。