仮面ライダーLOST   作:九番ライト

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第三話「壁」

 

限界まで膨張した筋肉

 

手足には獣のような鋭い爪

 

その牙は鋼鉄をも噛み砕く

 

大きく紅い眼は人間の視界をはるかに超えている。

 

その姿はまさしく化け物

 

 

化け物….

 

 

この現実は素直に受け取れない。

 

第三話「壁」

 

 

 

 

病院から逃げてきた俺を待ち受けていたのは

奴らの追手だった。

 

 

クモ怪人を倒した後

 

ヒョウ、ハチ、ピラニア、サイ、カメレオンと五体の怪人が

一体ずつ俺の行く手に阻んでいた。

 

 

そいつらの目的はまるで俺を倒すことではなく

俺をどこかに誘導するような感じだった。

 

幸い奴らと俺の性能は差は大きく、一撃で奴らを仕留められた。

 

そのたびにこの拳が紅く滲んでいく…

 

「これじゃ殺人鬼と変わらないな」

 

罪の意識と長時間に変態していた体の体力的な問題から

変態を解き、あてもなく歩いていた先に

どこかの海岸にたどり着いていた。

 

潮の香りがする…

 

この懐かしい感じ…

 

あの頃に戻れれば...

 

 

だが、俺にはそんな思い出にふける時間さえ与えられないようだ。

 

浜辺に黒いコートを着た男が立っている。

 

「裏切り者のNo,9。俺が始末する」

 

黒いコートの男はネズミのような姿となり、俺を襲ってきた。

 

 

「No9覚悟!」

 

ネズミ怪人が宙を舞う。

 

「悪いが俺はまだ死にたくないんでな」

 

 

俺は人間の姿からおぞましい姿となっていく。

 

眉間から触角が生え

眼は紅く大きなものへと変わる

手足は鋼鉄のように固くなり

最後におぞましい牙が生え、俺の変身は完了する。

 

 

月夜の明かりに照らされ、落下してくるネズミ怪人に向けて拳を放つ。

 

「オゥゥラァァァァァ!!!!!」

 

 

俺の血に染まった拳がネズミ怪人の体を突き破る。

 

 

「ギャァァァァァァァァアアァァァ!!!!」

 

ネズミ怪人は断末魔とともに爆発の中に消えていった。

 

 

これで六体目....

 

あと何体倒せば、この拳は血に染まらずに済むのか。

 

月光に照らされた俺の拳は泣いているようにも見えた。

 

 

「いやぁ~さすが最新鋭の機体は違うなぁ~ソウルシードも順調に育ったようだし

 そろそろ収穫させてもらうかな」

 

その声の主は白い服の少年だった。

 

不敵な笑みを浮かべこちらに向かっていく。

 

「すべてはミェルニル起動のためだ。

 No9.....いや、裏切り者のLOST Numberはここで御退場願おう」

 

 

白い服の少年......プロフェッサーCはその姿をコブラ怪人へと変えた。

 

「この世界のNo1.....コブラシードとは俺のことだ!」

 

コブラ怪人の左腕が鞭に変わり、俺に襲ってきた。

 

間一髪のところで避け、反撃に移る。

 

多くの怪人を葬ってきた拳を奴の顔へ打ち込む。

 

 

 

当たった!

これで奴は爆発するは.......

 

 

「所詮君の拳はその程度のものさ」

 

 

 

平然とした態度でコブラ怪人は立っている。

 

「僕の毒はちょっと痛いよ」

 

コブラ怪人は口から強酸性の毒物を吐きだし、

 

俺の体に付着した。

 

その毒は俺の体を焼いていく。

 

 

「うわぁぁあああぁぁぁぁ」

 

味わったことのない感覚が全身を襲う。

 

「君の叫びがミェルニル打ち上げのカウントダウンとなるのだ」

 

鞭に強酸.....悪趣味な野郎だ。

 

「おま…..は俺….ソ….ウ…ルシ…ドを使って……..をす…る…気…..だ..?」

 

毒がまわり体を動かせない状態では、口を動かすので精一杯だった。

 

「冥土の土産に教えてあげよう。ミェルニルはこの世界の壁を壊すロケットさ。

 ミェルニルの発射装置として多くのソウルシードがいるからな。

 君のソウルシードを手に入れ、私の内部に取り込む。

 そしてこの世界の壁を壊し、カイン様のいる世界へと繋ぐ....

 そして私はカイン様第一の部下として

 黄金のソウルシードを承り、不死身の体を手に入れるのだ」 

 

 

この世界の壁を壊す......

 

何とも馬鹿げた話だ。

 

だが、こいつならやりかねない。

 

いや、実行はもうすぐだ。

 

止めなければ。

 

しかし、俺の体は毒で動かない。

 

 

「君に与えた毒はもう全身に回ったようだね。そろそろソウルシードを取り出そうか。」

 

奴は身動きのできない俺の首を持ち上げ、腹部を毒で溶かした。

 

「ガァァァァァァアアアァァァァァァァァァ!!!!!!!!」

 

俺はその痛みのあまり気絶した。

 

 

「痛みのあんまに意識が飛んでしまいましたか。まあいい、これでソウルシードは

 僕の下へ帰ってきた。さて、ミェルニル発射準備を始めようか。」

 

 

「ミェルニル、打ち上げ用意!」

 

そうコブラ怪人が叫ぶと地面からミサイルの発射台が出てきた。

 

コブラ怪人は紅く光る浦島のソウルシードを飲み込むと

体中から今までに感じたことがないパワーがあふれ出てくるのを感じた。

 

「予想以上に育っているな。素晴らしいぞLOST Numberよ。」

 

ミェルニルに乗り込むコブラ怪人コックピットに入ると

打ち上げ準備に取り掛かる。

 

何百もの回線を自分の体に接続し、コンピューターに発射コードを打ち込む。

 

すべての準備を整え、「次元突破ロケットミェルニル」は発射態勢に入った。

 

 

 

 

 

発射60秒前

 

待ちに待った時が来たのだ。他の世界の奴らはまだカイン様のいる世界に行っていない 

つまり、俺がNo,1として迎えられるのだ。

 

発射50秒前

 

あの戦争で私は一度死んだ。そしてカイン様にソウルシードを与えられよみがえったのだ。

あの時の約束を果たす時が来たのだ。

 

発射40秒前

 

興奮と期待で胸がはち切れそうだ。

 

発射30秒前

 

腹部が熱い。溶けてるように熱いどうしたんだソウルシードよ。

 

モニターに侵入者が表示されていた。

 

発射20秒前

 

腹部が溶け出しソウルシードが見えてきた。

 

数多のソウルシードを体内に取り込んできたが

こんな事は初めてだった。

 

浦島のソウルシードが太陽のように輝きだしている。

 

発射10秒前

 

「….こ…いつは….止…..めさ…..せ…..ても….ら..う…ぜ…」

 

そこには傷だらけの浦島が立っていた。

 

ソウルシードを取り出し奴は死んだはず....なのになぜ

 

発射9秒前

 

浦島がこちらに近づいてくる。

 

発射8秒前

 

ソウルシードを抑えようとするが、回線が邪魔で手が使えない。

 

発射7秒前

 

浦島が目と鼻の先まで来ている。

 

発射6秒前

 

奴がなぜ生きているのかわかった......

奴はソウルシードをもう一つ持っていたのだ。

 

なぜだかわからないが現に奴の体内には、小さいがソウルシードがある。

 

発射5秒前

 

「…..俺….のソ..ウル….シ….ド…返…..して….もら….う」

 

浦島は私の体か紅く光るソウルシードを取り出した。

 

「ヤメロオォォォォォォオォォ!!!!!」

 

 

発射4秒前

 

私の声がむなしく響く。

 

浦島は自分のソウルシードを体内に再び入れ意識を失ったようだ。

 

発射3秒前

 

もう終わりだ......この計画は

 

発射2秒前

 

なぜ奴はソウルシードを二つ持っていたのだ?

 

普通の人間ならとっくに自壊しているはずなのに。

 

 

 

発射1秒前

 

そうか.......こいつは大和の乗組員の息子だったのか。

だから、父のソウルシードが遺伝子に溶け込み

息子の体内に入り込んでいたのか。

 

 

大和の亡霊が私の計画をつぶすとは........

 

 

発射0秒前

 

 

私はここでくたばるとしよう

だが、浦島空也。貴様は誰も知らない世界で永遠の孤独を味わうがよい.......

 

クックックッ.....フハハハハハハハハハハ!!!!!!!

 

こうしてコブラ怪人の体内にあったソウルシードはその芽を閉じ

息をふきとった。

 

 

ミェルニルは予定通り発射し、高度50000メートルで船体に魔法陣を展開

そして、「この世界の壁」と衝突した。

 

 

「壁」との衝突でミェルニルの船体は半壊した。

 

だが、この世界の壁もガラスのように砕け

隙間から暗黒の空間が窺える。

 

ミェルニルは予定通りその隙間に入って行った。

 

 

この世界の壁は何事もなかったように閉じられ 

空はいつも通りの空にもどった。

 

まるで何もなかったように雲は進んでいく。

 

 

 

ミェルニルが入った空間には、無数の扉があった。

 

赤い扉、青い扉、白い扉…..

 

古今東西の扉がそこにはあった。

 

ミェルニルはその機能を停止し

空間に漂っているだけの漂流物となっていた。

 

突入の際、船体に開いた穴から気絶した浦島が放り出される。

 

放り出された浦島の先には、黒い扉があった。

 

黒い扉は獲物を取り込むサメのようにその戸を開け、浦島を吸い込んでいく

浦島の体がすべて扉の中に入り、戸は静かに閉まる。

 

 

 

「懐かしい....潮の匂いだ......」

 

 

浦島が気がつくとそこはネオンの明かりに照らせた大きなビルが並ぶ港町だった。

 

「建物のデザインからして、欧米だろうな。ここはいったいどこなんだ?」

 

しばらく歩くと何かが見えてきた。

 

「自由の女神だ.......」

 

 

そう、ここはN,Y

 

世界最大の都市だ。

 

 

 

「こいつは旅行に来たような気分だぜ」

 

そんな軽口を叩くがミェルニルやコブラ怪人がいないことに気づく。

 

「奴らいったいどこに消えて行ったんだ?」

 

とりあえずその辺を警戒しながら歩くことにした。

 

誰かが捨てた新聞がある。

どうやら最近の記事のようだ。

 

2001年9月11日

 

航空機ジャックを計画していたテロリストを逮捕

 

犯人グループは世界貿易センタービルに航空機を突入する計画だった模様

 

 

「う......嘘だろ......」

 

新聞はNYタイムスのものだから99%真実である。

 

だが、俺の知っている911は止められなかったはず......

 

 

「まさかここは......」

 

そこは俺のいた世界とは違う世界だった。

 

 

 

 




物語の導入部が終了しました。
次の話から仮面ライダーSPIRITS第一話との
クロスオーバーになります。

ご期待ください。
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