浦島とキン肉マンが出会う数週間前~
アメリカ・サウスカロライナ州パリス・アイランド海兵隊訓練キャンプ
ここはベトナム戦争で、アメリカ全土から集められた若者を
地獄のような訓練で殺人マシーンに変貌させるために作られた施設である。
その中には、アメリカがベトナム戦争の戦況打開のため
極秘裏に創設された『米国超人海兵隊』の地下訓練施設もあった。
幸いにも『米国超人海兵隊』はベトナム戦争の終結のため、
実戦投入されることはなかったが、それを良しとしない男がここにいた。
名は『THE・ハートマン』
かつてアメリカ超人界のトップに立ったこともある超人だったが、
彼は現役を引退し、『米国超人海兵隊』の教官として後輩を育成する立場になっていた。
「何をやっている、ペンタゴン!!!
早くその赤豚の包○超人をぶっ殺せ!!!」
古ぼけたテレビの画面に映っているのは
超人オリンピック第二回戦、米国代表ペンタゴン対ソ連代表ウォーズマンとの試合だ。
試合は空中殺法の使い手であるペンタゴンの有利な展開で進んでいたが、
フイニッシュホールドのフライングソーセージの隙を突かれ、
ウォーズマンに命ともいえる背中をもがれて、ニードロップを受けてしまう。
「貴様は栄光あるアメリカ合衆国の超人なんだぞ!!!
赤豚の包○超人などに負けるはずがないッッ!!
根性を見せろ!!!!!」
ウォーズマンのニードロップを受けながらも、何とか立ち上がったペンタゴンだったが
ウォーズマンの代名詞ベアクローの餌食となり、ウォーズマンの勝利が決まった。
「SIT!!!!!
だから最近の若い超人はダメなんだ!!!
テリーマンも犬を助るため新幹線を止めるという馬鹿げた行動で予選敗退するし、
我がアメリカ合衆国にマシな超人はいないのか????」
怒りのあまり、思わずテレビを叩き壊したハートマン。
すでに60歳を超える高齢者でありながら、その怒りのパワーは年齢を凌駕し、とどまることを知らない。
「だからあの戦争で『超人海兵隊』を投入しておけばよかったんだ!!!
戦争が終わったとしても、彼らの精強な肉体と精神は
合衆国超人界をリードし、やがて彼らによって超人界でも
我が合衆国の名を轟かすことができたのだ!!!!」
その怒りは、数々の勲章が飾ってある棚を一撃で破壊し、
星条旗を原型がなくなるまで引き裂くという行動に移させた。
「...私があの頃の体に戻れれば...
『サウスカロライナの虎』と呼ばれたあの頃の体に戻れれば....」
ハートマンは合衆国超人のふがいなさに
自らがリングに立てればと願っていた。
『サウスカロライナの黒い虎』
ハートマンの全盛期の異名である。
彼のファイトスタイルは虎のように獰猛に敵を完膚なきまでに叩き潰すことから、
故郷サウスカロライナのファンから名づけられたものである。
その強さはやがて彼を米国超人界で浮いた存在にさせていき、
彼は朝鮮戦争に自ら志願し、軍人超人の草分けとして
米国海兵隊で活躍した。
だが、彼は戦争終盤で敵の集中攻撃を受け、右足に重傷を浴び
戦士として二度と前線に復帰できない体になってしまった。
「私はもう一度虎になりたい.....虎に.....」
「君の戦いに対する執着心は実に興味深い....
君はソウルシードの土壌にふさわしい感情を持っている....
僕の研究データの中に君の『戦いに対する執着心』を入れさせてもらう
代わりに、君の望みどおり超人として、リングに復活させてあげよう」
完全な防御態勢を敷いて教官室に
一人の少年がどこからともなく入り込む。
「どこのクソガキだ!!!
とっととママの割れ目に戻らないと、俺のM16が火を噴くぜ!!!!」
ハートマンは壁に掛けられていたM16を手に持ち
慣れた手つきで安全装置を外した。
「...所詮脳みそまで戦争に毒された,殺人マシーンか...
君はもう一度リングに上がりたくないのかい?」
ハートマンに一瞬気が緩む。
「本当にそんなことができるのか??
だったら俺のこの体を全盛期に戻すこともできるはずだよな???」
少年は満面の笑みを浮かべ、ハートマンに『種』植えつけた。
「この種は君を全盛期...それ以上に強靭な肉体を与えてくれる。
君の戦いに対する執着心が強ければ強いほど、君は強くなっていく...
おもしろいデータが出ること期待しているよ。
タイガーシード.....」
少年はハートマンの体の復活を見届けないうちに、
暗闇の中へ消えていった。
「気持ちいい....気持ちいいぞ!!!!!
俺の体がどんどん若返るのがわかるぞ!!!!
いまなら、超人オリンピックのチャンピオンだって夢じゃない!!
なぜなら俺は不可能を可能にした男....
THEハートマンだからな!!!!!!!!!!
ハートマンの体は全盛期の姿を取り戻した。
だが、彼の影はすでに人間の姿ではなかった....
第九話「サウスカロライナの超人鬼軍曹!!!の巻」
田園調布 キン肉マンの家
キン肉マンの友人が『ウサギ小屋』と称したほど、かなり狭いこの家は
住人二人と来客者一人が入るだけで、圧迫感がいつもの倍以上に感じられた。
「ーーというわけけで、俺はあの牛丼屋の便所にいたわけだ」
浦島は自分が改造人間であることをキン肉マンたちに明かし、
Zと呼ばれる敵の情報を集めるため、しばらくキン肉マンの家に居候させてもらえるよう
交渉した。
幸いにもキン肉マンは快く承諾してくれたため、浦島は宿に困ることはなくなった。
「しかし、拉致されたと思ったら、いつの間にか自分の体が改造されていたなんて、世の中物騒になったのう~。なあミート?」
「そうですね王子。僕もうかうか外にも出れませんよ」
キン肉マンもミートもどこか落ち着いていた話し方をするものの、
浦島の変身した姿を見ているため、これでも心配しているつもりだ。
「...しかしこの家臭いな~。ニンニクのにおいしかしないぞ」
浦島も家に住まわせてもらう以上、ここは我慢をして言うべきではなかったが、
部屋中から漂うニンニクのにおいに耐え切れずつい本音を言ってしまった。
「王子が牛丼しか食べないからいけないんですよ。
おかげで僕は毎日質素な食事しか食べれないんですから」
ミートもキン肉マンに対して、日ごろたまった鬱憤を浦島の本音につられて、嘆いた。
「しかしのう~私も牛丼愛好会会長の仕事があるから、簡単にはやめれないんじゃ
それに私から牛丼をとったら、あとはただの超人レスラーという肩書きしか残らんぞ」
「超人なんだから当たり前じゃないですか!!」
ミートの鋭い空手チョップがキン肉マンののど元にクリーンヒットした。
ーーなんだかひさしぶりだな。こんな心からリラックスできるくつろげるーー
浦島は改造人間にされてから、こんなにゆっくりできた時間はなかった。
なんとなく戦いの傷が癒されていくような気がした。
「キン肉マン、ちょっと腹がすいちまったから
どっかで飯食いに行ってくるけど、なんか買ってくるか?」
いくら改造人間といっても、食欲は湧く。
ましてや浦島は改造人間にされてから一度も食事をとっていなかったので
余計にお腹がすいたのだろう。
だが、彼はこの時点で大きなミスを犯していることに気が付かなかった。
「浦島のおごりか~じゃあ牛丼で!!」
「また牛丼ですか!!!いい加減にしてください!!」
ミートのドロップキックがキン肉マンに炸裂する。
ーーとりあえず牛丼以外のものにしようーー
浦島は若干冷える夜の田園調布に出かけて行った。
「....あれが獲物か...]
不気味な影が闇夜に照らされる。
獣...それは野生の本能に心を奪われた一人の超人の成れ果てであった....。
「...あいつも同じ匂いがするな...ソウルシードを与えられしもの...」
そういうとその獣はまたどこかで消えて行った。
数十分後
ひとまず牛丼を食べることにした浦島だったが、ここで大きなミスに気付く。
彼が現在持っている紙幣は一万円札のみ...
その一万円の肖像画は福沢諭吉....。
だが、この世界の日本は浦島の世界に1980年前半であった。
つまり、この世界の一万円は聖徳太子が現役なのだ。
幸い浦島は会計前に財布を見るくせがあったため、
無銭飲食は防がれたが、空腹のまま店を出ることになった。
「....バイトでもしようかな....」
ため息交じりに言ってはみたが、いつ『Z』が表れるかわからないので
バイトを始めることはできない。
そして今、『シード怪人』の気配に気付いたため
浦島は気配を追って、近くにあった建設現場に向かった。
「いるんだろう?出てこいよ」
浦島の声に姿を現したもの....
それは米国の軍服を着た男だった。
「貴様もソウルシードを植えられたんだろう?
なぜ本能に従わない???」
男の口元に血がついている。
おそらく人間を襲ったのだろう。
「本能のままに生きるなんて、獣のすることだからな。俺はお前とは違う」
浦島は軍服の男の言葉を否定し、羽織っていた上着を脱いだ。
意識を集中させると、腰部から変身ベルトが出てきた。
「私の『虎』の力を見せてやろう!!!!」
軍服の男の体が獣の体になっていく...
『虎』その姿はまさに『虎』であった。
「ソウルシードが奴の心の中にある『虎』のイメージに反応したか」
浦島も変身のポーズをとる。
「変....身!!!!」
浦島の体は一瞬のうちに戦闘用に変化し
鎧と装甲に身を固めた体となった。
「お前はホッパーか。おもしろい、おもしろいぞぉぉお!!!
俺はTHE ハートマン!!!
サウスカロライナの虎と呼ばれた男だ!!!!!」
タイガーシードは武者震いで体を揺らしていた。
その瞳に恐怖の二文字はない。
「黙れ!!!俺は仮面ライダーだ!!!!」
仮面ライダー対タイガーシード
コンクリートジャングルの中での戦いが始まった。
今回のシード怪人であるタイガーシードの元の姿である
THE ハートマンの元ネタはもちろんフルメタルジャケットの
ハートマン軍曹です。
高校時代友人とキン肉マンに応募するならこの超人で応募しようと
話していた超人です。
必殺技は...試行中です。
次回の更新は早くても来週の土日になるので
読者の方には申し訳ございませんが、
それまで待ってください。