配管工+αの幻想冒険録   作:宮古ヨッシー

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地底の宴会 そして...

 結果として異変は解決した。

 核融合の力を手に入れて暴走していた霊烏路空はさとりやマリオ達の決死の覚悟によりなんとか止める事が出来たのだ。

 そして今、地霊殿では宴会が行われていた。

 本来の趣旨はただ勇儀が皆で酒を飲みたいからという事であり、その為ヤマメやキスメやパルスィなども呼んでいつもの宴会という事だったのだが。

 

「さあ、どんどん飲めーー!!」

「おいっ勇儀、あんま飲むと傷が...」

「なんだい、それでも男かい?異変を解決した英雄なんだからもっと思いっきりいきなよ。ほら、さとりも!」

「は、はい」

 

 勇義はさとりやマリオ達が今回の異変を解決した事を聞くとそれじゃあ祝勝会だ!と言い出した為に急きょ祝勝会に変更となった。とは言っても宴会をする事には変わらないのだが。

 

 勇義達が持参した酒は勿論の事、つまみやさとりが即席で作った料理などが酒の肴として出され、盛り上がっていた。

 会場となった地霊殿の中庭では勇儀がさとりとマリオを捕まえ、今回のヒーローなんだからと酒を飲ましている。お燐は苦笑しながらも何とか勇儀を止めようと入るが共に巻き込まれてしまう。それを皆は周りから眺めるような形になっている。

 

「しかし、あのさとりと仲良くなれる人間がいるなんてね」

「ボクや兄さん達は別に心が読めるくらいじゃ何とも思わないからね。それにヤマメさん達も特に抵抗ないみたいだね」

「そりゃあ同じ嫌われもの同士だし、どうせなら仲良い方が楽しいからね。ほら、ルイージも一杯」

 

 ヤマメがお猪口に酒を注ぎ、ルイージは受け取ると口へ運んでいく。相当旨かったのかルイージは一気に飲み込んだ。ヤマメはどうやらルイージが気に入ったらしくどんどん話しかけてくる。ルイージもまた馬が合い、また酒も入ってる事で会話が弾んでいく。

 

「全く、みんな楽しそうで妬ましいわ」

 

 パルスィは一人嫉妬を肴に酒を飲む。

 

「ふ~ん、勇儀さんが構ってくれなくて寂しいんだね」

 

 不意に話しかけてきたのは古明地こいし。急に話しかけられたのでパルスィは驚きのあまり酒をこぼしそうになる。

 

「え!?なっ何言ってるのよ。私は別に勇儀の事なんか...」

「へ~」

 

 パルスィは顔を赤くしながら否定するがこいしはニヤニヤしながら聞き流す。するとこいしが何かを閃いたのか、近くで騒いでいたお空に何か話しかける。そしてお空は分かった~と言い勇儀達の元へと走っていった。パルスィには訳が分からかったが直ぐに理解した。

 

「勇儀さーん!!パルスィちゃんが寂しいんだってー!!」

「「!?」」

 

 なんとお空は勇儀に対して今のパルスィの気持ちをストレートに言ったのだ。パルスィはあまりの恥ずかしさに顔を更に赤くして伏せる。それに対しこいしはやりきった感満載の笑みを浮かべていた。後で妬み殺してやる、パルスィはそう思ったそうだ。

 

「......」

 

 勇儀はしばらく呆気にとられていたがハッとして掴んでいたさとりやマリオ、お燐を放し立ち上がる。ちなみにさとりは何とかあまり飲まされずに済んだが、マリオとお燐はかなり飲まされたせいで泥酔に近い状態になっていた。

 

 そして勇儀はあの橋姫の元へと向かうと後ろから抱き締める。あまりにも突然の事だったのでパルスィには一瞬何が何だか理解出来ずパニックに陥る。でもあの鬼の温もりが全身に伝わってくるのが分かる。

 

「...バカ」

 

 そう言い勇儀に顔をうずめる。さとり達は邪魔にならないようにと静かにする。こいしは相変わらずどや顔を浮かべているが。

 

「いや~、パルスィも良かったね。ねぇポンプ」

「そうデスネ、キスメさん。」

 

 そして以外にも気の合っているこの2人。そう、キスメとポンプだ。皆が食べて飲んで騒いでいる中、2人は一緒にいた。キスメは今回の異変について興味を示していたし、ポンプもまた地底について関心があるらしくお互い意見交換している内に意気投合したんだとか。

 

「それにしても、あなたも変わってるね。地底に関心があるとか言うし、私達を怖がらないし」

「まあマリオさんの方がよっぽどおかしな方ですカラ。」

「アハハ、確かに!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぇ~、飲み過ぎた」

 

「クラクラする~」

 

 先程勇儀にかなり飲まされた為(お燐は巻き添え)にマリオとお燐は泥酔していた。一方で間一髪泥酔せずに済んださとりは倒れている2人を気の毒そうな目で眺めていた。

 

「萃香の時もそうだったが鬼って何で...」

「『こんなに酒が好きなのか?』それは私にも分かりませんね。」

「...読心術ご苦労様です。」

 

 マリオは半分なげやりに言葉を放つ。ちなみにお燐は猫型に戻っており、さとりの膝で休んでおり、さとり背中を撫でられていた。マリオはその隣で地面に仰向けになって休んでいる。するとさとりがこんな事を言い出した。

 

「お燐がうらやましいですか?」

「へ!?いや別に...」

「へぇ~、なるほどなるほど。実は俺もして欲しいと...」

「な!?んな事思ってねえよ。てか勝手に読まんでくれ」

「それが覚ですので。ちなみに嘘は通じませんよ。」

 

 マリオをいじるのが楽しいのか、さとりが少々悪い笑みを浮かべている。ちなみにマリオの考えてる事は満更ウソでは無いのか、でも少なくともマリオ本人は否定している。

 

「お燐の後でよければしましょうか?」

「い、いや結構です」

「無理は良くありませんよ?」

「ハァ...」

 

 徐々にマリオは言葉が詰まっていく。やはり言葉では覚には勝てないだろう。だがそんな空気をぶち破るような悲鳴が三人の耳に響いてきた。

 

「「うわああああああああ」」

「うわーい、すごいすごーい」

 

 突如何時ものピチューン音が聞こえてきたのだ。さとりとマリオは音のした方を見る。するとなんとこいしが虹色に輝いており、その傍らにはヤマメとルイージが倒れていた。

 

「おいルイージ!一体どうした!?」

「それ...が...こい...しちゃんが...スターを...」

「どうやら先程マリオさん達が使っていたスターに興味を持っていたこいしが無意識で取ってしまったんです。そして無敵状態となり、そのこいしに当たってしまったヤマメさんとルイージさんが...」

「丁寧な読心術ご苦労様です。」

「スターってすごいね、マリオさん!お姉ちゃん!」

 

 そう言いながらこいしがこっちに走ってくる。

 

「うわーーっ来るなーーー!!」

「ちょっこいし、私とお燐も...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後無敵の効果は切れ、勇儀とパルスィ、そしてキスメとポンプが介抱し事なきを得た。

 こんな感じで宴会は進んでいき、そろそろお開きとなっていった。するとさっきの騒動で酔いの覚めたマリオがみんなを集めると今一番気になっていた事について口を開いた。

 

「お空。一ついいか?お前は誰からその力を貰ったんだ?」

「え~とね...分かんない。」

「おいっ」

 

 マリオは思わずツッコミを入れる。でもお空は本当に覚えてないらしく、こればかりはさとりでさえもどうしようもなかった。さとりは確かに心を読む事が出来る。だがあくまで考えている事であって記憶までは読めないのだ。

 

「あーっ思い出した。確か神様だったよ!2人の」

「「「神様?」」」

「うん、確か山の神様だったかな?」

「え、それって。多分間違いないよ兄さん。山にいる2人の神って神奈子様と諏訪子様だよ!」

「おい、それってあの時お前を連れてった早苗とかいう奴の所のか?」

「どうやら知った方らしいですね」

 

 さとりの言葉に頷くルイージ。そう、お空に核融合を授けた神とはルイージが一度会いに行った守矢神社の神、八坂神奈子と洩矢諏訪子の事だったのだ。

 

「だったら話が早い、そこへ乗り込んで一言言うか?」

「え?」

 

 なんと勇儀が守矢神社へ乗り込もうと言い出したのだ。恐らく勇儀は本気だ。そもそも鬼は決して嘘はつかない。その一言に流石にみんなも驚いていた。

 

「え、でも勇儀さん。相手は神様だよ」

 

 ルイージは1度会っている為に2人の神の強さが分かっている。一目見ただけで敵わないと感じた程に。だから乗り込むのには乗り気ではなかった。だが勇儀も引かない。

 

「安心しな、争う気はないよ。酒を持っていって飲み合うついでに言うだけだからさ。それに理由が何にせよ私の友達に迷惑かけたんだ。ある程度の落とし前は着けないとね」

 

 そう言い握りこぶしを作る。するとそれに賛同する声が上がる。その主はキノコワールドの配管工、マリオだ。

 

「そういう事なら俺も賛成だ。確かにさとり達に迷惑がかかったし、怪我まで負わせたんだ。だからいくら神だろうと俺も黙ってねえぞ」

「兄さん...分かったボクも行くよ!」

 

 マリオの覚悟に見せられルイージも行くことを決意した。そして勇儀は他の者達にも問う。

 

「皆はどうするか?嫌なら別に引き止めはしないが...」

「私は仮にもここの主であり、そしてこの子達の家族です。私が行かないでどうするんですか?それにマリオさんや勇儀さん達がいてくれれば心強いですから」

 

 さとりは普段なら地霊殿から出る事は滅多に無いのだが家族の為にと覚悟を決めた。

 

「そうか分かった。じゃあ次の日の昼過ぎに出発だ。いいな皆!!」

「「「おおーーーーっ!!」」」

「言っておきますけどあくまで話をするだけですからね。くれぐれもケンカにならないように。特に勇儀さんとマリオさんは」

「「はーい」」」

 

 こうして地底組とマリオ組は異変の発端となった守矢の神々に会うために妖怪の山に向かう事を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして一方地上の空では

 

「いや~、久々に私の出番が来ましたよ。」

 

 そんなメタい事を話ながら空を飛ぶドラゴン、ヨッシー。その目的はあの飛行船にあるグルメを探す為だった。

 

「さて、私の前にいるあの方々は恐らく...」

 

 そう、ヨッシーの前には一足先に飛行船へ向かって飛んでいる3つの影があった。

 

「もしかしたら私と同じでグルメを」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回で地霊殿編はひとまず終了です。正直かなり長くなったなと思いました。次回からは久しぶりのヨッシー編となります。
実はヨッシーが登場するのは19話振りなんです。自分で読み返してみて驚きました。
後、今回のさとりとマリオの絡みについてですが正直マリオのイメージが崩れたと思った方スミマセンでした。
でも私はああいうマリオもアリなのかな~と思ったり。
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