魔界に封印されていた聖白蓮を乗せた船『聖輦船』は途中法力不足に襲われた。白蓮の封印を解いた際に殆ど消費してしまったのだろう。だが問題はなかった。聖白蓮が新たに法力を注入してくれたお陰で船は止まらずに済んだのだ。
その間に魔理沙は同じ魔法使いである白蓮を同業者と呼び意気投合。白蓮もまた魔理沙に興味を持ったらしく話が弾む。
聖輦船はとうとう魔界から脱出。僅か数時間の出来事だったのに何だか久しぶりに幻想郷を見た気がする。そう感じていた。日はまだ傾いてはおらず、未の刻(午後二時)といったところか。
「そうです。是非これから守矢神社で宴会をしませんか?異変解決祝いの宴って事で」
「おっ、いいなそれ。私も賛成だぜ。それに白蓮達も一緒に来れば更に大にぎわいになるな」
この空気の中、話を切り出したのは東風谷早苗。何故ならば早苗にとってはまさに初めての異変解決。これを祝わずしてどうすると言わんばかりに声を張り上げる。
「え、でもいいんですか?偶然とはいえ異変を起こした私達が参加しても?」
「全然問題ないですよ。いや、むしろ参加して下さい。こういうのは多い方が楽しいですからね。勿論霊夢さんやヨッシーさんも参加して下さいね」
「え~、でもまあタダで飯が食べれるから行くわ」
(相変わらずですね)
タダ飯の為に行くことを決意した霊夢。ヨッシーは誰も言わなくても分かる、当然参加だ。早苗は食べ過ぎないように釘を刺しておくのを忘れない。だがヨッシーは以前紅魔館で食べ過ぎた際に咲夜に殺されかけた記憶がある。だからそう食べ過ぎる事はないだろう。多分。
「それじゃあ決まりですね。ではいざ、守矢神社へ!...あ、守矢神社はあの山のてっぺんですので」
「了解~。じゃあ面舵いっぱーい(特にする事ないけど」
船は目的地を守矢神社へ定めて幻想郷でも一、二位を争う程の高い山『妖怪の山』目指して進み始めた。
その後、守矢神社で帰りを待つ二神は例の異変の船がやって来た事に度肝を抜かす事になる。
幻想郷に戻ってきた船を遠くから見つめる一人の女性。独特な形の日傘を差し、中華風の白のドレスを身につけている。能力のよって出現させた『スキマ』に座っている彼女には一つ確証している事があった。
「霊夢は無事に終わったようね。その様子だとこれから山の神社で宴会って所かしら?」
誰かに言った訳でもなく、ただ呟いたのは妖怪の賢者である八雲紫。船の様子をスキマで窺うかぎり、無事に異変を終えたようにみえた。紫にとってはそれは当然の結果だった。霊夢に解決出来ない異変はない。それにあの異変そのものは害が殆ど無いと分かっていた。
むしろ危険なのはあの間欠泉の方の異変だ。一緒に涌き出る怨霊は妖怪にとって百害あって一理なし。本来ならそっちに霊夢達を向かわせるべきだったのだが、今回はマリオ兄弟を送り込んだ。全てはあの目的の為に。
「でも怨霊は涌き出なくなった。つまり解決したって事。フフッ流石はスーパーマリオブラザーズって所かしら」
さも楽しそうに紫は笑う。その笑みには妖艶の言葉が相応しい。だがこの時紫は思いもしてなかった。まさかあんな事になるなんて。
「号外ー。号外ー」
幻想郷の此処彼処で響き渡る声。その主は見るもの全てを魅了する黒翼を生やした誇り高き鴉天狗にして伝統の幻想ブン屋こと射命丸文。加納は鴉天狗にして新聞記者でもある。
彼女は今、自分の出版している『文々。新聞』を幻想郷各地に届けていた。各地と聞けばかなり時間が掛かると思われるが鴉天狗自慢の飛行能力ならば苦労はしない。
今回の新聞の主な記事は二つ。一つは空飛ぶ船の異変解決。もう一つは今夜守矢神社にて宴会が行われるというものだ。
実は彼女、丁度何故か妖怪の山に到着した聖輦船に直撃取材を試みたのだ。そこで聞いたのが異変解決と宴会という事。
「さて、そろそろもう一つの異変の詳細を聞きたいですね。早く帰ってきませんかねマリオさん。おっと、それより私も宴会の取材をせねば」
文は再び大地を蹴り、幻想の空へと羽ばたいた。
「久々の地上だーーっ」
「おいおい、地上ぐらいで大袈裟だなマリオは。まあ私もかなり久しぶりだが」
「私なんて地霊殿から出るのでさえも何百年振りでしょうか?」
「何百年振りって...」
人里から遠く離れた元間欠泉の穴。それは本来なら絶対に出てくることはない怨霊の涌き出た穴。だが今出てきたのはとある
そんなチームでの今回の目的は守矢にいる神との対談。友達に迷惑を掛けた事について話し合うつもりだ。
「よーし、それじゃあその守矢神社とやらに行こうじゃないか。で、場所は妖怪の山で合ってるんだよな?」
「うん、間違いないよ。ボクも一回行ったことがあるから」
「でも流石にちょっと怖いですね。もし道中に私達(覚妖怪)を忌み嫌う者が現れたりしたら」
「ああ、その事なら安心しなよさとり。もしそんな奴がいたら私がぶん殴ってやる。私の友達に手を出すなってね。まあ私やマリオがいる時点で手を出す愚かな連中はいないさ」
「おいおい、それじゃまるで俺まで鬼みたいじゃないか。」
「「え!? マリオ(さん)って妖怪じゃないの?」」
「うるせえっ」
俺は妖怪じゃねぇと言わんばかりに叫ぶマリオ。だが怒ってるというよりはノリツッコミといった感じだ。
一行はそんな談笑もしつつ妖怪の山へと向かっていた。勇儀は片手に酒の入った樽を持っている。さしずめ手土産といったところか。それに今回はあくまで話し合いであり別に喧嘩をしにいくのではない。
一行はやっとの事で麓までたどり着く。途中一行を睨む目線や一部の妖怪達が襲おうと潜んでいたが勇儀とマリオの顔を見るや否や一目散に逃げ出していた。そこは流石と言うべきか。
妖怪の山は今は天狗と河童によって支配されている。特に天狗は独自の社会を築き上げている上に排他的。普通なら白狼天狗に追い返される所だが今回は違う。何故ならばかつて妖怪の山の頂点に君臨していた鬼。その中でも特に優れた四人の鬼『山の四天王』の一人、星熊勇儀がいるからだ。流石の天狗も鬼には敵わない。
その為頂上まで邪魔はされない。一行は目的地である守矢神社へとひたすら山を登っていく。
「「何ーーっ宴会だとー!?」」
バカみたいに大きな声で叫んでいるのは氷の妖精チルノと怪力自慢のワリオ。叫ぶ理由はあの文々。新聞の記事にあった今夜守矢神社にて宴会を行うという見出し。騒ぐの大好きなこの二人が放っておく筈がない。
「よし、こうなったら行くしかないだろ!」
「ちょっ、ちょっと待てよワリオ。守矢って何だよ? それに俺様、あのチビ閻魔の説教のせいで疲れてんだよ」
「何だと。お前それでも男か!」
「まあまあチルノちゃんも落ち着いて」
「でも楽しそうだよね。私も行きたいかな」
結果として多数決で参加する事となった。それに記事にヨッシーの事も書いてあった。ならば宴会に行けばヨッシー、そしてマリオに会えるかもしれないのだ。そうなれば報酬のコインも手に入れられる。そう考えたワルイージ。ワリオは純粋に宴会をしたいだけだが。
「そうと決まれば早速」
「おーい、随分賑やかだな」
「もしかしてみんなも宴会に行くのか?」
突如聞こえた声。そこにいたのは二人の人物。一人は雪のように白いロングヘアーに赤のもんぺを履いた少女。もう一人は青に白のかかったこれまたロングヘアーに青のワンピースを来た女性。チルノ達は面識があるみたいだが来て間もないワリオとワルイージには全くの初対面。
「よ、元気にしてたかチルノ?それにみんなも」
「とうぜんだよ。だってアタイさいきょーだもん」
「そーなのかー」
「そちらの二人も話は聞いている。マリオ達と同じ世界から来たワリオとワルイージだろ?」
「俺達を知ってるのか!?」
「まあね。...おっと挨拶が遅れたな。私は上白沢慧音、寺子屋で教師を勤めている。で、そっちの白い髪の子が藤原妹紅。私の親友さ」
挨拶をする慧音の片手には新聞が握られている。恐らくこの二人は守矢神社で開催される宴会に向かっている途中なのだろう。談笑で盛り上がっている中、妹紅はある提案をチルノ達に持ちかけてきた。
「なぁ、お前らもよかったら一緒に行くか?」
「それはいいな。実はアタイたちもちょーどいくところだったんだ」
「お、なら行くか。慧音もいいだろ?」
「当然だよ。こういうのは多い方がいいからな。ワリオ達もいいだろ?」
ワリオとワルイージも二つ返事で了解した。宴会に行ければそれでよかったからだ。ならば早速向かおうという事になり、慧音と妹紅を含めた九人もの大所帯で再び妖怪の山を目指す。
とは言ってもここからでは距離があり、今からのんびり歩いていたのではすぐに日が暮れる。その為飛んでいくのが最適だと判断。少女達は何故かみんな飛行能力があるから飛ぶのは朝飯前。だが問題はこの男二人。普通の人間であるなら飛ぶのは不可能だ。
「ワッハッハッ、このワリオをなめてもらっては困るな。見せてやる、『フライングワリオ』」
ワリオの持ち物である生きたステッキ『ステッキオ』の能力によって全身赤のの服に包まれた。二本の角に吸血鬼のような羽を生やしたその姿はさながら悪魔のよう。これでみんなで飛んで行くことが出来る。ワルイージはワリオに掴まる事で共に移動。
九人は妖怪の山の頂上にある守矢神社目指して飛行を開始した。謎の船が停泊しているあの山に向かって。
「さて、文さんに今回の事も記事にしてもらいましたし、早速準備をしましょう」
「了解です早苗さん。私も手伝いますよ」
「ふ~やっと着いた。それにしても、お前らもよく疲れないよな。流石妖怪ってところか?」
「まあな。でもお前らもよくついて来れたじゃん。やっぱ私が認めただけの事はあるよ」
「「うおーーっ着いたぞーー」」
「ホントに元気だなワリオとチルノは。それにしても驚いたよ。まさかアイツが飛べたとはな」
守矢神社の境内に響き渡る三組の声。異変を終えて戻ってきた者。神との対談の為に山を麓から登ってきた者。宴会への参加の為に空から飛行してきた者。
その三組が互いに顔を見合わせた時、辺り一帯に叫び声が響いたのは言うまでもない。
「よーし、上陸ーっ」
ここは例の別世界の海。『トロピコアイランド』と呼ばれる島に上陸したのは一隻の船。船体は黒く、至るところに傷のついた木製の帆船はまさに幽霊船。帆に描かれたドクロのマーク、これは海のならず者の象徴である。つまりこの船に乗り込んでいるのは海賊だ。
そんな船からまず降りてきたのは青い人魂の群れ。通称『エルモス』。俗に言う亡霊だ。
そして最後に出てきたのは体長五メートルはあると思われる骸骨の亡霊。海賊帽をかぶり、幾つかの武器を備えたその姿はエルモス達とは明らかに格が違った。
「俺様は少し席を外す。悪いがお前ら、先に宴の準備をしていてくれ。すぐに戻る」
「了解です。船長」
船長と呼ばれたその骸骨の亡霊は一人、島の奥へと進んでいった。
今回は本当に内容がごちゃごちゃとしておりました。分かりにくいと感じられた方々、スミマセン。もし何かご不明な点やおかしい点などがあればご指摘をお願いします。
元ネタ
『フライングワリオ』怪盗ワリオ・ザ・セブンより
『エルモス』ペーパーマリオRPGより
全身が青の人魂です。