配管工+αの幻想冒険録   作:宮古ヨッシー

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宴会明けの幻想郷

 幻想郷は今朝から騒がしかった。

 騒がしかったと言っても全土ではなくてごく一部。ここは人間の里の外れに位置するとある空き地。空き地とは言えどその広さは中々のものだ。確かにこれならば寺を創設するのには申し分ない。

 現場に立ち会っているのは妖怪の為の寺『命蓮寺』の発案者である聖白蓮と彼女を慕う妖怪達。更には整地に協力すると昨晩の宴会で約束した洩矢諏訪子もいた。

 

「じゃあこの一帯を整地すればいいんだね、了解したよ。それにしても良い場所に目をつけたね。確かにここなら里も近いから人間も来れる、神奈子が警戒する訳だよ」

「はい、よろしくお願いします。でも実はここを選んだのは別な理由があるのです」

「そうなんだよ。ここの地面の下には何か嫌な力が眠っている、それも強大な力が。だから聖の提案で寺を建てる事によってその力を封印しようって訳さ」

 

 地面に変わったロッドを指しながら話すのは毘沙門天の代理である寅丸星の監視役にして『探し物を探し当てる程度の能力』を持つ鼠妖怪のナズーリン。この地に眠る謎の力を察知したのも彼女の能力あっての事だ。

 諏訪子もまたここへ来たときにその力を僅かながらに感じていた。いや、力というよりは気配と言ったところか。それに気配だけでなく何やら建造物のような物まであるのではと疑っていた。諏訪子は『坤を創造する』力を持っている。『坤』とは『地』の事、すなわち諏訪子は大地を創造する事が出来る、地中に紛れ込んでいる「何か」を把握するなど朝飯前だ。

 

「私にはあまり関係なさそうだし別にどうでもいいか。まあ神奈子が何て言うかは分かんないけど」

 

 それから一時間が経過した後、ついに妖怪の為の寺『命蓮寺』が創設された。諏訪子の能力によって整地された空き地に聖輦船を変形させた寺を建立。門前には幾多もの地蔵が置かれ、敷地内は灯籠の並ぶ参道、本堂や鐘の置かれたその姿は立派な寺。とても元々は船だったとは思えない。

 

「さてこれから忙しくなりますね。みなさん、大変でしょうが共に頑張っていきましょう」

「「おおーーっ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまなかったな紫、急に無理聞いてもらって。でもお陰で助かったぜ」

「いいのよマリオ。能力を使えば簡単な事だしこれくらいお安いご用よ」

 

 ここは人里から離れたとある森の付近。対話をしているのは八雲紫とマリオ。先日マリオが言っていたように紫との対話が実現していたのだ、何故森の近くでなのかというとそれには訳があった。そもそもマリオは紫がどこに住んでいるか知らない、その為まずは霊夢に聞いてみようと博麗神社を目指していた。でもその道中でなんと紫が直々に現れた、まるでマリオの行動を見透かしていたかのように。こうして人目のつかない森の付近での対話となったのだ。

 

 そしてマリオは希望していたとおり自分の世界(キノコワールド)に住むお姫様のピーチ姫との会話に成功。訳を話したら思ったよりもあっさり了承してくれたのだとか。それに向こうでも特に問題は起こっておらずクッパ軍も今のところは怪しい動きはないそうだ。

 

「でもまさかピーチ姫があんなにあっさり認めてくれるとは思わなかったな」

「それはマリオの事をよく知ってるからでしょ。もし私がピーチ姫の立場だったとしても止めたりはしない。いや、止められないわ。貴方だって引き止められたとしても大人しく帰ったりしないでしょ」

「まあな。だが問題なのはディメーンの方だ。アイツ、幻想郷で何を企んでいるんだ?」

「私に聞いたって分からないわよ。でもまあうちのところも相当強いから、そう簡単にやられたりしないわよ」

「ああ、それは俺が一番身をもって分かってる。もしもの時は頼りにしてるぜ紫」

「あら、基本は貴方が戦うのよ。少女達を守るのは英雄(ヒーロー)である貴方の役目でしょ」

「滅茶苦茶な強さを持ってるのによく言うぜ」

 

 二人の対話は特に何事もなく終わりを迎える。マリオも紫もあの異変については一切口に出すことはなかった。お互い話をこじらせるだけだと理解していたのだろうか。結局このまま二人は解散となってそれぞれの帰路に着いた。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー

 

 

 

 

 

 

 あれから二週間の月日が流れた。

 白蓮が僧侶を務める命蓮寺は彼女達の思ってた以上に賑わっていた。説法を聞くなど純粋に仏教行事に参加する者、白蓮の力が目当てでやって来るの者、説法を聞きに来た人間が目当ての者など様々だ。それでも人気がある事には変わらずどこかの神社では早急な対策に追われていた。

 現在の命蓮寺には新たに入門した妖怪もいる、「ぎゃ~て~ぎゃ~て~」と変わった読経を行っており毎朝門前での掃き掃除を日課としている『山彦』の妖怪少女だ。白蓮としては彼女を非常に気に入ってるのだとか。

 

 

 一方で彼らもまたこの二週間で様々な事が起きた。

 マリオはルイージやヨッシーと共にしばらく閉めていたクッキー屋を再開させていた。急に再開させたものだから最初の方も客足はあまりよくはなく閑古鳥が鳴くほど。でも日がたつに連れて徐々に売り上げを伸ばしていく事が出来た。順風満帆とまでは言えないがそれなりに充実した毎日を過ごしている。

 

「でもまあ何とか売れるようになってよかったよ。これでしばらくは安泰だね」

「それにしてもワリオ達は何処に行っちゃったんでしょうね」

「あいつらの事だし問題ないだろ多分...どうせ宝探しが目当てで出ていったんだし」

 

 そう彼らの家には今ある男達はいない、宴会の時に再会を果たしたワリオとワルイージだ。あの二人はその翌日にはもう姿はなく、既に家を後にしたと理解出来る。でもマリオは特に気にはしてない、予想はしていた事だしあの二人なら何とかやっていくだろうと思ってるからだ。

 

「それよりも早く準備するぞ」

「「おおーっ」」

 

 三人は今日の分のクッキーを作るために台所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここはとある湖。

 昼間であるにも関わらず霧が立ち込めておりどこか不気味な気配が感じられる。それに湖の先には吸血鬼が住んでいるといわれる深紅の屋敷が建っておりより一層怪しく見える。

 

「それにしてもまさかまたここへ来ることになるとはな」

「まあしょうがないよな、俺様達はここくらいしか場所が分からないんだし」

 

 畔にて怪しい影が二つ、その正体は二週間前にマリオの家から飛び出してきたワリオとワルイージ。目的は勿論宝探し、しかし幻想郷に来てまだ日の浅い彼らにとってここはまさに未知の世界。この二週間、何度か妖怪にも遭遇したり野宿する事もあったが何とか持ちこたえる事が出来た。そして二人は仕方なく友?のいるこの湖へと再びやって来たのだ。何処に何があるなど検討もつかないが以前に出会ったある妖精のすみかだけは覚えていた。

 

「おおっ、いいところに来たなワリオ!あたいに力を貸せ」

「ちょっチルノちゃん、ちゃんと言わないとワリオさん達も分からないよ」

 

 突如響き渡る声。まさかと思いつつ振り向くとそこには予想通り湖に住まう妖精とその友達が数名いた。大きな声で呼び掛けてきた氷の妖精チルノにいつも一緒にいる大妖精。更には屋台を営みながらバンド活動も考えてる夜雀のミスティア・ローレライに妖蟲のリグル・ナイトバグ、人喰い妖怪のルーミアだ。

 彼女達とはワリオ達が幻想郷に来てまもない頃に出会って以来何かと気が合う仲となっている、少々⑨気味のあの二人はよくぶつかっているが。

 

「久しぶりですね、二人とも元気そうで何よりです。それよりどうしてここに?」

「まあ何と言うか冒険だな、でも何処に何があるのか全く検討もつかなかったんで仕方なくここへ来たって訳だ。それよりもチルノが言っていた力を貸せってのはどういう事だ?」

 

 それは...とミスティアが口を濁す、余程の問題が起こったのだろうか。ならば出来るだけ関わらないようにしよう、面倒事に巻き込まれるのはごめんだ。でも今までの展開からして絶対に巻き込まれるだろうとワルイージは半分諦めていた。そして予想通りワリオがその話に食いついている。ワルイージは仕方なくミスティアと共に話を聞くことに。

 

「どういう事だチルノ、俺様に力を貸せってのは」

「えっと、私から説明するよワリオさん。実はこの湖を賭けて勝負しろって言う人?達が現れてね、今日が正にその決闘の日なの。で、もし負けたら湖から出ていかなきゃいけないの」

「そーなのだー」

「だからワリオ、あたいと一緒に戦ってくれ」

「まあ戦うかどうかはひとまず置いといて、一体誰なんだその相手は?」

「それは「チルノちゃん、来たよ!」」

 

 ワリオ達も思わず振り向く、霧の向こうからはうっすらとだが三つの影が見てとれる。あれがチルノ達からこの湖を奪おうと企んでいる連中なのだろうか、ワリオとワルイージもつい身構えてしまう。だがこの後いろんな意味で二人は驚かされる事となる。

 みんなの前に現れたのは「光の三妖精」と呼ばれている、その名の通り仲よし三人組のイタズラ大好きな妖精達。暖かな太陽のサニーミルク、静かなる月のルナチャイルド、青き星のスターサファイア、この少女達こそがチルノ達から湖を奪わんとしている黒幕だ。

 

「さあチルノ、この湖を賭けていざ勝負!!」

「おう、臨むところだサニー!」

「「って、向こうも妖精かよ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ...ハァ、つ...強い。何なんですか貴方は」

 

 ここは死者の集う浄土の世界、冥界。

 今ここでは冥界史上かつてない激しい戦闘が繰り広げられていた。戦闘の渦中にいるのは冥界に存在する屋敷、白玉楼の主である西行寺幽々子の従者、魂魄妖夢。銀髪のボブカットに黒のリボンを付け、青緑のベストとスカートを身に付けている。顔つきはまだ幼さこそ残るもののその真っ直ぐな瞳と二本の刀を腰に下げたその姿は立派な剣士である。

 

「俺様は泣く子も黙る大海賊のコルテスだ。それより答えろ、ここはどこだぁーっ、そしてお前は誰だぁーっ!」

「貴方こそ何なんですかっ、急に白玉楼に現れたかと思えばいきなり暴れだして。それに私お化けはダメなんですよっ!」

「誰がお化けだっ!、俺様はもう二週間近くはここをさまよってるんだぞ。なのにいきなり斬りかかるとかふざけてるのか」

「ふざけてません、私は取り敢えず斬るだけです。話はその後で「思いきりふざけてるじゃねえか!!」」

 

 

 何故こんな事態になってしまったのか、事の発端は一時間前。

 妖夢はいつもの日常を迎えていた。広大な面積を誇る和風庭園の手入れから剣の稽古。本来ならば主である西行寺幽々子の食事の準備が日常に加えられる。何たって幽々子は幻想郷でも指折りに入るほどの大食いなのだ。それもあのヨッシーとも互角以上に渡り合う程。となればその食事の量は馬鹿にならない、その為妖夢は料理の際はある意味稽古以上に忙しい。

 でも今幽々子はいない。彼女は数日前から親友である八雲紫の元へと足を運んでいた、理由については詳しく聞いてはいないが暫く屋敷を空ける為にここには妖夢しかいないのだ。そして今日、稽古中にコルテスが突如出現、どう見ても怪しいという事で戦闘へと発展したのだ。

 コルテスとしては二週間も見知らぬ土地で迷った上にそこに住んでいた少女剣士に斬りかかられるなど散々な目にしか遭ってない。

 

「何があってもここは私が守ります。お、お化けなんて怖くありませんよ」

「だから俺様が何をしたって言うんだよっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、妖夢一人じゃやっぱり厳しそうね。どうするの紫?このままじゃ妖夢がやられちゃうわ」

「心配ないわ幽々子、霊夢達を上手く冥界に送り込んであげるから」

「全く、冥界に迷いこんだあの化け物と妖夢をぶつけさせるなんて最初は何を言ってるのって思ったけど、今なら何となく分かるわ。それにしてもよく都合よくあんなのが紛れ込んで来たわね。これも紫の計画かしら?」

「流石に違うわよ。でもいいアイディアだと思わない? 霊夢達をキノコワールドからの新たな訪問者「大海賊コルテス」と戦わせて強くさせるってのは。でも心配ないわよ、いざとなったら私が止めに入るし。まあ彼にも精々暴れてほしいわね、かつて世界を震撼させた大海賊に」

 

 幻想郷の果てにあると言われているスキマ妖怪の屋敷、通称八雲亭にて二人の主が冥界の戦況に目を通しつつ酒を飲み交わしていた。




 投稿遅くなってしまってすみませんでした。今後もこんな感じで投稿ペースが不安定になってくる事があると思います。気長に待っていただけると幸いです。
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