配管工+αの幻想冒険録   作:宮古ヨッシー

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豪族と英雄

 命蓮寺の墓地から繋がっていた地下洞窟。

 そこではマリオ達三名は蘇我屠自古と物部布都と名乗る少女二人と対峙していた。屠自古は右手に雷を帯電させてバチバチとほとばしらせおり既に戦闘体制に入ってた。布都もまた陶器で作られた皿を何枚も自分の周りに展開している。

 それに負けじとそれぞれの武器であるハンマーやタマゴを構えてマリオ達も迎え撃つ姿勢になっている。

 

「こうなったらやるしかないか。行くぞお前ら」

「待って下さい、ここは私たちに任せてマリオさんは先に」

 

 ヨッシーはマリオに耳打ちするように話す。その理由をマリオはすぐに理解できた、それは相手の目的にある。彼女らの目的が本当に何者かの復活だとしたら確実に時間稼ぎを狙ってくる。もしその間に復活されてしまい、万が一自分等の手に負えない相手だったならもう成す術がないからだ。それよりはマリオ一人でも先に向かわせて封印されている者の実態を知っといた方がいい。

 

「分かった、まかせろ。でもお前らも充分に用心しろよ、あいつらも只者ではなさそうだからな」

「うん。兄さんこそ気をつけて」

「ああ、じゃあ行くぜ」

 

 その一言でマリオは一気に駆け出す。不意を突かれた為に一瞬遅れてしまったが布都と屠自古は直ぐ様弾幕をマリオ目掛けて放った。だがマリオの背後から放たれたと思われる炎属性の弾幕によって相殺されてしまう。その衝撃によって起こった爆風に紛れてマリオは二人を抜いて奥の塔へと駆けていった。

 

「よし、無事に行ってくれたね。ひとまず作戦通りってところかな」

「ぐぬぬぬ、まさか抜かれてしまうとは」

「そりゃあ幾つもの戦いをくぐり抜けてきた私達三人のコンビネーションですからね。上手くいって当然ですよ」

「確かに少々厄介だな」

 

 三人の連携を間近で見た屠自古はそう感じていた。複数での戦闘においては時に個々の力よりも仲間同士の連携が勝利に大きく作用するからだ、それは生前の頃から何ら変わってはいない。だが連携においてなら自分等も負けない自身はある。確かに隣にいるこの物部布都とは色々あったがそれでも仲が悪いわけではない、むしろいい方だ。それに布都はいざという時にはとても頼りになる。

 

「では我らもそろそろ本気で行くぞ、そりゃ!」

 

 展開していた皿を弾幕のように何枚も布都は放つ。素早く反応したルイージが再び炎の玉で迎撃することで上手く相殺する。ヨッシーも遅れを取るまいとタマゴを投げて援護する。だがタマゴはもう少しで当たると思ったところで破裂、それは屠自古の雷によるものだった。そして息のつく間もなく稲妻型の弾幕で反撃する。高速で放たれた弾幕はそのまま二人に直撃した。

 

「悪いがお前達の弾幕は私には効かないぞ、この雷がある限りな」

「す...凄いな屠自古、これであいつらは黒焦げだ。しかしお主、また腕を上げたな。あの素早い反撃には流石の我も驚いたぞ」

「そりゃあだてに長く亡霊やってないからな。誰かさんのお陰で」

 

 雷を帯電させながら屠自古は話す。この雷は屠自古が亡霊となってから身に付けた力、その強さは本物の雷と何ら変わらない。

 

「うっ、そ...その話は今はよかろう。ほ、ほらそれより、あの二人はどうなったのだ。やっぱり黒焦げか?」

「ああ、恐らくな」

「それならば話は早い、我らも早く太子様の元へ「ちょっと待て」へ?」

 

 太子の元へと駆け出そうとした布都を制止する屠自古。布都は理解していないようだが屠自古は何となく感じていた。まだ倒せていなかった事を。

 粉塵が晴れていくとそこには何事もなかったかのように立っている二人の姿があった。無事だったことにも驚かされたが屠自古が一番驚いたのはそこではない、それはルイージと呼ばれた男の手に電撃が纏われていたからだ。

 

「まさか...お前も雷が使えるのか」

「君ほど強くはないけどね、でもまあ攻撃を防ぐくらいなら問題ないよ」

「いや~流石ルイージさんですね。私、一瞬諦めちゃいましたよ」

 

 そうは言うもののヨッシーもまだ余裕があるようにも見える。屠自古が反撃してくるのを何となくではあるが察知していたのだろう。もちろんルイージが攻撃を防いでくれることも予想していて。

 

「この調子でどんどんやっちゃって下さいよ」

「無茶言わないでよ」

「冗談ですよ。それよりもほら、早いとこ決着つけてマリオさんと合流しましょう」

 

 必ずマリオと合流しよう、そう決めた二人。その為にはまずはここの戦いに勝たねばならない。だがいままでの戦闘からしても、生半可な戦いにならない事くらい予想できる。それでも二人はやる、全ては信頼できる仲間の為に。

 その一方でこちらも負ける訳にはいかなかった。復活まであと僅かというところで邪魔が入ってしまい、最悪復活に支障をきたす事があってはならないからだ。この二人もまた全ては心から尊敬して仕えているあの方の為に。

 

「行くよ!」

「はい!」

 

「行くぞ屠自古よ!」

「ああ、やってやんよ!」

 

 お互いの弾幕と弾幕がぶつかり合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マリオは立ち尽くしていた。

 そこは布都と屠自古という二人の女性の後ろにそびえ立っていた建物の内部。とても地下にあるとはとは思えない程巨大な建物は外見に留まらず内部も広かった。今マリオがいるのは内部の広間のような場所。ここには今までの比ではない程の量の霊が浮遊しており、色とりどりのその霊達はまるで夜空に浮かぶ星のようだ。

 

「おいおい、本当に室内か? どう考えても外だよな」

「ん...誰か来たようですね。それもかなり強そうな方が」

 

 何かがいる。

 そう感じたマリオは反射的にハンマーを構える。霊が多く集まっている場所から確かに声がした。それだけではない、人、いやそれ以上の気配を感じる。ゆったりとこちらに歩みよって来たのはまたしても女性。薄紫のノースリーブに紫のスカート、ヘッドホン、そして何よりマリオの目についたのはその獣の耳のような特徴的な薄茶の髪だった。

 

「貴方の行動は全て見させて貰いましたよ、全くもってよく出来た方ですね」

「お前、俺を監視してたのか」

「いえ、分かったのですよ。私は生前から十人の言葉を一度に理解出来ました。そして今となっては人の欲を聴く事が出来ます。十の欲は人間の本質を現すのです」

「よく分からないが、つまりお前は俺という人間を理解する事が出来るってのか」

「まあそういう事です...おっと、つい長話をしてしまいました。では改めて、私は豊聡耳神子、長年の眠りより覚めた仙人です」

「仙人だと? とてもそうは見えないな」

 

 だがマリオにとっては神子のその姿は想像していた仙人とはかけ離れていた。マリオの想像では仙人は雲に乗ったお爺さんというイメージが強かったからだ、とある山に住んでいた亀のお爺さんに。

 

「そう言えば貴方はこの神霊の調査に来たのでしたね。実はこの神霊達は勝手に集まったのであって私が集めた訳ではありません。それに人体には無害ですしその内自然と減っていくのでご安心を」

「そうか、それならいいか...あれ? てことは俺の任務はこれで終わりか」

「あら、私と戦わなくてよろしいのですか?」

「俺は別に戦いに来た訳じゃないからな。平和的に解決できるならそれが一番だ。つってもルイージ達の方はどうにかしないといけないんだけどな」

 

 背後にある自分が入ってきた扉に目を向ける。恐らくこの向こうではまだ戦闘が継続中であろう。それならば止めに行く必要がある。神子も戦闘の意思はなさそうだし二人で行けばきっとあの二人も分かってくれるはずだ。

 だがマリオのその考えは一瞬にして打ち砕かれる事となる。それは目の前にいる神子が手に持った杓に力を込めていたからだ。その力の強大さに思わず身震いする。

 

「おい...どういう事だ。俺はお前と戦う理由がない筈なんだが」

「確かに貴方とは戦う理由はありません。しかし、少々貴方に興味が湧いてきました。ですので手合わせ願いましょうか。もし貴方が勝てたなら布都と屠自古の誤解は解いてあげましょう」

 

 ハァ、と思わずため息をつきそうになる。まさかとは思っていたがやはり戦闘は避けられないようだ。だがこうなってしまった以上やるしかない。マリオは握ったハンマーに炎を灯す。幻想郷という環境で幾多もの戦いを潜り抜けてきたマリオの新技。

 これによってハンマーは強化されたがそれでもマリオは警戒を怠らない。神子のあのにじみ出るオーラとカリスマからして只者ではないと分かっているからだ。

 

「ふふ、これは楽しめそうですね。さあ、どこからでも掛かって来なさい」

「じゃあお言葉に甘えて。「炎符」ファイアナグーリ」

 

 ハンマーを振るい灯した炎をそのまま放つ。普段のファイアボールと違って速度はないもののその分大きさでカバーしてある。だが被弾する事はなかった、上空へと飛翔してかわしていた。更に炎の塊を打ち続けるヒラリヒラリとかわされてしまう。

 

「お前も当たり前のように飛ぶんだな」

「今の私は聖人ですからね、これくらいは当然ですよ。そういう貴方こそとても人間とは思えない強さですね」

「まあお前みたいな規格外の強さを持った奴とは何度も戦ってきたからな」

「次はこちらの番です」

 

 神子は右手に持った杓を天へと掲げると同時に弾幕を展開する。だが弾幕は思っていたよりも遥かに少ない為に避けるのは容易い、そう判断したマリオは一気に距離を詰める為に駆け出す。弾幕を掻い潜ろうとしたその瞬間、弾幕から更に大量の弾幕が放たれる。ほぼ反射的にバックステップで距離をとり、更にはハンマーを盾変わりにする事で上手く致命傷は避けた。

 

「っと危ねえ、やっぱり一筋縄じゃ行かないか」

「今のを避けるとは...ちょっと驚きました。流石は英雄(ヒーロー)というべきですか」

「何で俺がヒーローだと思ったんだ? そう名乗った覚えはないが」

「さっきも言ったでしょう、私は人間の本質を把握する事が出来ると。ですから貴方がこの時代の英雄(ヒーロー)だと分かった訳です」

「...こりゃまたとんでもない奴と戦ってんだな俺」

「まあ一応聖徳王とも呼ばれてましたからね。では、そろそろ私も本気で行きますよ、「仙符」日出ずる処の天子」

 

 神子の周りに目映い光が展開されていき、その日輪のような光に思わず目が眩みそうになる。でもこれは光ではなくあくまで球状の弾幕の集合体。神子が再び杓を掲げると波紋状に放たれる。臆する事なくマリオは隙間を見つけては上手く掻い潜る。

 

「こうなりゃとっておきを見せてやる」

 

 その瞬間今度はマリオが光に包まれた。いや、マリオそのものが光輝いていた。全身が金色に染められたその姿には流石の神子も驚きを隠さずにはいられない。それだけではない、マリオの手から放たれる金色の炎『ゴールドファイアボール』が次々と弾幕を打ち消しているのだ。

 

「これは凄いですね、まさかこんな事が出来るなんて。...というか、何故硬貨のような物が」

「それは俺のいた世界の通貨、コインだ。このゴールドマリオは追加効果によって攻撃時にコインが出るんだ」

「何だか随分変わった力ですね、ちょっとだけ羨ましいですよ」 

「周りが何かとうるさいから滅多に使わないけどな」

 

 金色に輝く花、『ゴールドフラワー』を見せながらマリオは話す。確かにこれを使えば強力な上に当分お金に困る事はなくなるのだがマリオは使用に躊躇う事が多い。キノコワールドにも幻想郷にもお金に目がない人達がごく一部いるからだ。

 

「そんな事より早く決着をつけようぜ。俺とお前、どっちが強いのか」

「この攻防でやっと本気になってくれましたね。いいですよ、さぁ、戯れは終わりじゃ!」

 

 腰に携えた剣を引き抜く神子。マリオも今の自分と同じ金色のハンマー『ウルトラハンマー』を強く握る。

 聖徳王と英雄(ヒーロー)、時代を担う二人が再びぶつかり合った。




 毎度の事ながら投稿が遅れてしまってすみませんでした。出来る限り早く投稿出来るように頑張っていきますので気長に待っていただけるとありがたいです。

今回の元ネタ
『サンダーハンド』マリオ&ルイージRPGより、雷を手に纏うルイージ専用の技です。

『仙人の亀のお爺さん』マリオパーティ7のボードマップ「ゴーゴーマウンテン」に登場する仙人のノコノコです。

『ゴールドフラワー』NEWスーパーマリオブラザーズ2より、ゴールドマリオになるためのアイテム。ゴールドマリオはファイアマリオよりも強力で、更にはコインを多く稼げる。
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