配管工+αの幻想冒険録   作:宮古ヨッシー

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 この物語はもしマリオ達キノコワールド組が紅霧異変に立ち向かったらという番外編作品です。


外伝(if)
紅き霧の異変(その一)


 それは普段は決して起こる筈のない事。

 空というものは色々な表情を見せてくれる。大地を照らす晴れ、恵みや災いをもたらす雨、冬という季節の象徴である雪など様々。特に四季のある幻想郷では一年を通して季節とともに親しめる。だが今起こっている天候はそのどれにも当てはまらない、まさに前代未聞の出来事。それは空一面を覆い尽くす真っ赤に染まった霧、それにより太陽の日差しが遮断されるという事態に。

 明らかに異常な光景に里の人々は戸惑いを隠せずにいた。だが幻想郷の極わずかの者達は理解していた、これが突如として湖の畔に出現した深紅の洋館に住まう妖怪達の仕業であると。

 

「これぞまさしく異変だな」

「分かってるわよ。全く、面倒な事してくれるじゃない」

 

 博麗神社にて。

 当代の巫女である霊夢は神社の縁側にて真っ赤な空を面倒そうに眺めていた。その隣にいるのは霊夢の良き理解者とも呼べる人物、普通の魔法使いと称される霧雨魔理沙。魔理沙は今回の一件を解決すべく親友の霊夢の所へとやってきていたのだ。

 

「なぁ霊夢、怪しいのは間違いなくあの館だ。今から調査に行こうぜ」

「ハァ、本当は面倒くさいから行きたくないんだけど。あんたが一人で行ってきなさいよ」

「おい、それ博麗の巫女として駄目だろ」

「うるさいわね。いいじゃない別に、面倒な物は面倒なんだし。...でもまあ私が行かないと紫に何言われるか分からないし、それにどうせする事もないから出向くとしますか」

 

 霊夢がついに立つ。目指すは異変の元凶と思われるあの洋館。待ってましたと言わんばかりに魔理沙も立ち上がる。面倒に思いつつもやはり異変、このまま野放しにするわけにはいかない。だからこそ霊夢は動き出したのだ、準備は既に終えていた。陰陽玉、お札、お祓い棒、封魔針、どれも霊夢の愛用している武器だ。魔理沙もまた準備はとっくに完了していた、それはこれから霊夢と共に異変に立ち向かう事を決めていたから。

 こうして二人の少女が紅い霧に覆われた異変『紅霧異変』へと乗り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、やっと見えてきたわ。それにしても、夏だというのにこの辺は少し寒いわね」

「そりゃあここには氷の妖精が住んでるって噂だからな」

「氷の妖精...そんなやついたかしら?」

「さっきお前が埃でも払うかのように退治してたろ、あれには流石の私も少し引いたぜ」

「だって向こうから仕掛けてきたんだししょうがないでしょ、正当防衛よ」

 

 霧の湖。

 それは例の洋館の近くにある、昼間は例え晴天の日であっても霧に包まれている、妖怪や妖精がよく集まる湖。その畔にて霊夢と魔理沙は小休止を挟んでいた、目と鼻の先にはあの館が見える。

 先程から二人が話しているのはここに来るまでの道中での出来事、全身が闇に覆われた妖怪『ルーミア』やこの湖に住んでいる『大妖精』そして魔理沙の話にもあった氷の妖精『チルノ』に二人は遭遇していた。当然黙って行かせてくれる訳でもなく二人は戦闘を繰り広げてたのだ。いや、繰り広げたというよりは霊夢による一方的な攻撃と言った方がいいか。

 

「本当お前は妖怪相手に容赦ないよな」

「何とでも言いなさい、これが私なんだから。それにもし私がやらなくても今度はあんたが戦ってたでしょ?」

「へへっ、まあな」

 

 何だかんだ言っても二人はやっぱり幼い頃からの親友、これくらいの会話など日常茶飯事。誰にも深く干渉しない霊夢にとっても魔理沙という親友は特別なのだ。

 二人は何気なく畔にて談笑で盛り上がってはいるものの既に気づいていた、神社を出発して少ししてから何者かがずっと付けてきているのを。それが誰なのかは分からない、でも気配からして少なくとも妖怪の類いではないと分かる。つまり何かと神社にやってくるあのスキマ妖怪ではない。

 

「...おい、どうするか霊夢」

「そうね、邪魔されても面倒だしここで終わらせときましょうか」

 

 恐らく隠れているだろうと思われる茂みに向かう霊夢、明らかにこちらの方から気配を感じる。警戒を解くことなく一歩一歩近づいていく、手にはお祓い棒を握りしめて臨戦態勢もバッチリ。隣には霊夢と同じく茂みを警戒し、武器である『ミニ八卦炉』を構える魔理沙。もし敵ならばすぐにでも放てるようにする為だ。

 

「そこに隠れてるのは分かってるわ、大人しく出てこないと只じゃすまないわよ」

「ちょっ、ちょっと待ってくれお前ら。俺だよ、マリオだ」

「へ、マリオ!?」

「俺だけじゃない、ルイージとヨッシーもいるぞ」

 

 Mのマークが入った赤の帽子をかぶった男マリオが茂みから姿を現した。更にはその後ろからは彼の弟であるルイージと一応ドラゴンのヨッシーも現れる。

 幻想郷ではあまり見慣れない格好をしているが実はこの世界の者達ではない、キノコワールドと呼ばれる全く別の世界からやってきたのだ。霊夢と魔理沙は彼らが幻想入りした頃からの付き合いがあり今では良き友達となっている。

 

「私達をつけてたみたいだけど何か用だった?」

「実はお前らが飛んでいるのを見つけてな、もしかしたら異変絡みじゃないかと思ったんだ。それで後を追ってみたみたって訳さ。まさか先に気づかれてるとは思わなかったが」

「流石マリオだな。お前の予想通り、私と霊夢はこれからあの館に乗り込むつもりだったんだぜ」

「そうか、だったら俺達も一緒に行っていいか? 力になるぜ」

「私は別に構わないぜ、味方が増えるに越した事はないからな」

「私も構わないわ。ただし、足引っ張らないでよね」

「任せとけ」

 

 マリオ達と共に行くことになりメンバーが五人となった。マリオの横にいたルイージは味方が増えたことに安心したらしく、ほっと胸を撫で下ろしているのがよく分かる。ヨッシーもいつも通り嬉しそうだ。じゃあ行くか、という魔理沙の一声で五人は異変の元凶と思われるあの紅い館へと進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「思った以上に厄介ねあんた」

「そりゃ私は門番ですからね、そう簡単に倒される訳にはいきません」

 

 既に戦いは始まっていた。霊夢の前に立ちはだかったのは紅魔館と呼ばれるこの館の門番を担っている妖怪、紅美鈴。緑を基調とした華人服を来た美鈴はその見た目通り接近戦を得意としていた。それに加えて彼女の能力である『気を使う程度の能力』によって強化された身体や弾幕は中々の物だ。だが霊夢は一切臆することはない、これまでにも幾多もの妖怪達と戦ってきたのだ。美鈴相手にも厄介と口にしつつもその表情はいつも通り涼しげだった。

 

「悪いけどあんたにはこれ以上時間をかけてられない、だから一気に終わらせるわ」

「それでしたらお互い様ですね。私も先に侵入してしまった人達を止めなければいけないので、本気でいきます」

 

 実は今美鈴と対峙しているのは霊夢とマリオの二人だけとなっている。後の三人はというと美鈴と戦ってる隙をついて紅魔館へと向かってしまった、三人でというよりは一人突っ走った魔理沙とヨッシーをルイージが追いかけていったという感じだが。制止しようにも目の前の美鈴と戦闘中だったので諦めざるを得なかった。

 飛んで来たお札をすれすれのところで回避する美鈴。食らってはいないがそのお札から感じる霊力は霊夢という相手が如何に強敵か感じさせるには充分すぎる。

 

「貴方のその陰陽の術、相当な物ですね」

「そりゃどうも」 

 

 返事をしつつ封魔針と呼ばれる霊力を帯びた針を放つ、でも美鈴もまた虹色の弾幕を素早く放って相殺。辺りに衝撃が響き渡った時には既に美鈴は霊夢の懐へと潜り込んでいた。一発拳を放つも寸前のところで止められる、霊力が込められた事により強化されたお祓い棒で防いでいたのだ。そのまま繰り出された霊夢の蹴りによって美鈴は後方へと吹き飛ばされる。霊夢の一撃は思ったより重く美鈴の頑丈さを持ってしても耐えるのは楽ではない。

 

「なんの、これしきの事で...!?」

 

 再び霊夢へ攻撃を仕掛けようとする美鈴の視界に映っていたのは光の玉。それも一つではない、霊力の込められた色とりどりの玉が目の前に展開されていたのだ。それが霊夢による攻撃だと感じた時にはもう遅かった。一気に襲いかかってきた弾幕によって美鈴の意識はそこで途切れる事となった。

 仰向けに倒れている美鈴へ一度目を向けるとパンパンと服を払いながら館へ歩いていく。美鈴を圧倒した霊夢に対して流石だとマリオは称賛を贈る。

 

「全く、本当に強いよなお前は」

「よく言うわよ、あんただってかなりの腕前なんでしょ?」

「それでも霊夢には敵わないと思うぜ」

 

 雑談を挟みつつ庭園に併設された石畳の上を進んでいる。そもそも紅魔館は深紅の洋館とそれを囲うレンガ造りの塀によって成り立っており今は敷地内の中庭を歩いていた。手入れの行き渡った庭園にはつい目を奪われそうになるがここは敵陣の真っ只中、楽しんでいる暇などない。勿論この二人は幾度となく異変を乗り越えてきた経験がある為にそんな寄り道などせずに真っ直ぐ進む。

 本館の扉を開くとギィという音が響く、恐らくだがこの建物もまた相当昔に作られたのだろう。エントランスと思われるその部屋もまた外壁同様深紅に染まっていた。あまり長く見続けていると目が痛くなりそうだ。

 

「さて、着いたが黒幕は何処だ? てか黒幕ってどんな奴なんだろな」

「私が知るわけないでしょ、でもこんな屋敷に住んでるんだから何処かのお姫さまとかそんな感じじゃないの?」

「いいえ、お姫さまではなくてお嬢様です」

「なっ!?」

 

 突然、一人の女性が二人の目の前に現れた。それはまるで消えていた明かりがいきなりついたかのように。でも現れるまで人の気配はまるで感じなかった、霊夢の直感力を持ってしてもだ。

 その女性は銀髪のショートボブに青を基調としたメイド服の姿、まさにお屋敷のメイドさんと呼ぶに相応しい。

 

「ようこそ紅魔館へ、今回はどういったご用件でしょうか?」

「ふん、分かってるくせによく言うわね。私はあの紅い霧が迷惑だから消しにきたのよ。さぁ早くお嬢様とやらの元まで案内しなさいメイド」

「生憎ですがお嬢様はあなた方に会われるつもりはありません。代わりに私、十六夜咲夜がお相手しましょう」

 

 どこからともなく取り出したナイフを素早く放つ、その洗練された無駄のない動きはまさに完璧の一言に尽きる。だが金属音がエントランスに響き渡ると咲夜が僅かに眉をひそめる、マリオのハンマーによってナイフを防がれていたのだ。

 

「ふぅ、こりゃまた厄介な敵が現れたな。霊夢、こいつは俺に任せとけ。その間にお前は黒幕を」

「そういう事ね、了解したわ。でもあんたも充分に気をつけなさいよ」

「ああ、お前こそきっちり決着をつけてこい」

 

 その一言で霊夢が黒幕の元へと飛んでいく。それを阻止すべく咲夜が再びナイフを放つもマリオもまたハンマーを振るってナイフを叩き落とす。咲夜はまたしてもナイフを防がれた事に少し驚きを見せる。そして確信した事がある、それはあの巫女だけでなくこの男もまた只者ではないという事。

 

「まさか私のナイフの速度に対応できるとは思いませんでしたわ。どうやら貴方も只の人間ではないようですね」

「そりゃお互い様だろ。そのナイフ捌きは並大抵の人間に出来る事じゃない、敵ながら見事だな」

「お褒めの言葉ありがとうございます。お礼といっては何ですが私のナイフ捌き御覧に入れましょう」

「いや、そんなお礼はいらないぞ」

 

 ナイフを両手に持って咲夜が構える、対するマリオもハンマーを握りしめて迎え撃つ姿勢。お互いにここで敗れる訳にはいかない、咲夜は尽くすべき主が、マリオには共に戦う友がいるのだから。

 紅魔館のエントランスにて、二人の常人離れした人間同士の一騎打ちが始まった。




 今回はただただ私が東方紅魔郷の話を書きたかったので投稿してみました。こちらも相変わらずの不定期更新になると思いますか出来るだけ頑張りたいです。あと本編には時系列上出せない他の原作も書けたらなと思ってます。(妖々夢や永夜抄など)
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