この話は本編の第六話「初弾幕ごっこ」のリメイクです。
初めての幻想郷
幻想郷。
それはとある妖怪達によって造られ、結界によって隔離された妖怪の為の世界。文明の発展が目まぐるしい現代においてその存在意義を保てなくなった妖怪達にとってのまさに最後の楽園とも言うべき場所である。
「...なるほどな、まさかそんな世界が本当にあるとは。正直驚いたぜ」
「あらあら、私達からすれば色んな種族が分け隔てなく暮らしている貴方達の世界の方が珍しいですわ」
「ま、確かにそうかもな。でも争いとかも結構あるんだぜ」
「それはしょうがない事よ。どんな世界にも揉め事くらいあるわ。それこそ人妖関係なくね」
ここは博麗神社と呼ばれる幻想郷の東の端に構えている神社。ちょうど『外の世界』と幻想郷の境目に建立されたその神社の縁側にて会話をする人影が複数。砕けた口調で淡々と話しているのは博麗神社の当代巫女にして幻想郷の異変解決の専門家、博麗霊夢。
その隣で妖しく微笑みながら幻想郷について語るのは妖怪の賢者と謳われている幻想郷の創設者の一人、八雲紫である。
そしてこの世界ではあまりお目にかかれない洋服を身につけた者達が三名。その特異な姿からして幻想郷の者ではない事くらい容易に理解できる。
「それでこの世界の決闘ルール、『弾幕ごっこ』については理解してくれたかしら?」
「ああ、何となくだが分かったぜ。要は互いに弾幕を張ってそれを攻略すればいいんだろ」
「まあそんなところよ、理解が早くて助かるわ。じゃあ早速霊夢と一戦やってもらおうかしら、マリオ」
「!? おいおい、いきなりかよ」
マリオと呼ばれたMのマークの入った赤の帽子に青のオーバーオールを身につけた男が少々驚きながら境内へと足を運ぶ。この男こそが異世界『キノコワールド』からやってきた配管工である。
そして紫に指示された霊夢もまた面倒くさそうにマリオの元へと歩いていく、その手には武器であるお祓い棒が握られている。
こうして境内には霊夢とマリオが向かい合うように立ち会い、そしてそれを眺めるかのように縁側に佇む紫。加えてマリオと共に幻想郷にやってきた弟のルイージ。恐竜のような姿をしたドラゴン、ヨッシーもまた二人を見守っていた。
「何かあったらこっちで止めに入るから好きに暴れていいわよ」
「ここは私の神社よ、勝手な事言わないで紫。はぁ、本当あいつには疲れるわ」
「お前も大変なんだな霊夢」
「まあだいぶ慣れたけどね。そんな事より本当にあんたはいいの? 決闘となれば私は容赦しないわよ」
「その点なら大丈夫だ。一応幾多もの戦いで鍛えられてるからな。俺の方こそ手加減しなくていいんだな」
「当然よ」
お祓い棒を前に突き出して構える霊夢。マリオもまた両手に握りこぶしを作りファイティングポーズのような形で構える。両者の刺すように鋭い殺気がヒリヒリと肌に伝わってくる。その瞬間三人は理解した。戦いが、弾幕ごっこが始まるのだと。
「いくぜっ、ファイアボール!」
両手に紅蓮色の炎を灯したマリオがボール感覚で炎を放つ。放たれた炎はその名の通り火の玉となって霊夢へと向かっていく。でも炎が直撃する事はない、霊夢は僅かに身体を逸らす事で炎を避けていたのだ。勿論攻撃は一回だけではない、マリオは次々と火の玉を放ち続けるが霊夢は顔色一つ変える事なく躱しきる。
「参ったな、まさかこうも躱されるとは」
マリオにとってそれは初めてに近い経験だった。普段ならファイアボールを放てば大半の敵には直撃、効かない事もあるが当たる事自体は難しくない。だが霊夢には全く当たらない。いや、正確にはほんの僅かには掠っているのだが。
「確かにあんたは普通の人間とはちょっと違うみたいね。でも生憎これくらいの弾幕ならお手の物よ」
「こりゃ本当に手を抜いてどうこうなる相手じゃないな」
「最初に言ったでしょ、手加減は無用って。悪いけど次はこっちの番よ」
その瞬間マリオの目の前に展開されていたのは大量のお札、霊力と呼ばれる一部の人間のみが使える力を纏ったお札のその全てが一斉に放たれる。
「嘘だろ、おい」
マリオは最初自分の目を疑った、だが紛れもなくこれは現実、何もかもが己の常識を超えていたのだ。考えるよりも早く身体が動く。持ち前の反射神経と動体視力を活かしてうまく弾幕を掻い潜っていく。
でも霊夢の攻撃はそれだけじゃなかった、彼女は直接マリオ目掛けてお札型の弾幕を放つ。
「ぐぁっ、しまった!」
展開された弾幕を躱すことに集中しすぎていたマリオは気づかずに被弾してしまう。
被弾した左腕を抑えつつ素早くバックステップで後方へと飛ぶ事によって何とか被弾を最小限に収める事は出来た。
「よく弾幕を防いだわね。流石は異世界のヒーローってところかしら」
「本当にお前は少女なのか? とんでもなく強いじゃねぇか」
「あんたがそれを言うの? でもまあ私以外にも強いのはわんさかいるわ。良かったからこの後紹介するわよ」
「慎んで断らせていただくぜ、戦いは趣味じゃないからな。でもこの勝負は別だ」
「言うと思ったわ。私も最初はあんまり乗り気じゃなかったけどいいわ。決着つけてあげる」
再び弾幕を展開しあう両者。時には躱し合い、時には弾幕をぶつけ合い、更にはお祓い棒とマリオの武器であるハンマーを交えたりと半ば本気の戦闘のような状態にまでなっていった。だが最終的には紫が両者の間に割って入る事で事実上の痛み分けとなったのだのだが。
ともかくこうしてマリオ達三人は幻想郷という新たな世界を股にかけて様々な冒険を繰り広げていく事となる。
いかがだったでしょうか?あまりにも短くてすみません。こんな感じで本編に行き詰まった時などにたまに投稿していくと思います。
もし何かリクエストがあればメッセージボックスに送ってくださると幸いです。