モグラだってドラゴン名乗っていいじゃない!   作:すこっぷ

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三巻 月光校庭のエクスカリバー
13話


イッセーすげぇ。

『禁手』(バランス・ブレイク)だっけ?

イッセーが龍を模した全身鎧に身を包んで、ライザーをフルボッコ。

途中でピンチもあったけど、キッチリあのライザーを倒して問題解決。

リアス先輩の婚約も白紙に戻り、また日常が戻ってきた。

 

「だから、そろそろ許してもらえませんか?」

 

ここはリアス先輩の実家。

本来ならすぐに人間界に戻るはずだったが、とある事情により、1日こちらに厄介になる事になった。

そこでソファーに脚を組みながら座るリアス先輩と、その前で正座している俺。

そしてサーゼクスさん。

 

「リーア、私はまだ仕事が……」

 

「グレイフィアから、お兄様のお説教も頼まれているの」

 

その一言で黙って姿勢を正すサーゼクスさん。

どうやら魔王様の家は恐妻家の様だ。

 

「カズキくんには凄い感謝してるわ。わたしの無茶なお願いを聞いてゲームにも参加してくれて、倒れるまで戦ってくれた。貴方のアシストのお陰もあって、イッセーはライザーに見事勝利した」

 

じゃあ……!

 

「でもね? あの後私が何て言われたと思う?『リアス・グレモリーは変態を飼っている』、『リアス・グレモリーにはああいう趣味が?』……酷すぎるでしょう!?」

 

なんで私の趣味がBLになるのよ!?

リアス先輩は荒れている。

確かにそれは酷い。

原因の俺が言えたことじゃないが。

 

「リーア、少し落ち着くんだ。それについてはちゃんと皆様に説明して、解ってもらえたじゃないか」

 

「その原因を作った貴方がいうんですか!?

折角イッセーが私の為に来てくれて、颯爽と救い出してくれたのに!すっごい夢見心地だったのにっ!!」

 

それっきりサーゼクスさんは口を開かなかった。

喋らない方がいいと悟ったのだろう。

遅いな、俺は最初からそれに徹している。

怒られ慣れているからな。

 

その後もひたすらに怒られ、二人してひたすらに謝り倒して何とかお許しを貰う。

 

「じゃ、次は朱乃の番ね」

 

「え?」

 

「うふふ、大丈夫。痛いのは最初だけですから♪」

 

明らかに武器に分類されるような、立派な鞭を持ちながら現れた朱乃先輩。

その言葉がもう大丈夫じゃありません。

 

助けて魔王様……っていねぇ!?

一人で逃げやがった!

魔王は逃げられないんじゃなかったの!?

 

「お兄様はいいのよ。どうせグレイフィアから更にしこたま絞られるでしょうし」

 

ざまぁ。

 

「ほら、こっちに行きましょうねぇ〜。まだ小猫ちゃんの分もあるんですから、テキパキとイキましょう♪」

 

やべぇ。

 

小猫ちゃんからは一言『最低です』と言うお言葉を頂いた。

何故か一番辛かった。

 

 

 

 

 

 

リアス先輩がイッセーと一緒に住む様になり、機嫌が戻ってくれた。

ありがとうイッセー、今度なんか奢る。

 

イッセーと言えば、この間相談を受けた。

なんでも木場の様子がおかしいらしい。

心ここに在らずな感じで、ボーッとする事が増えているんだとか。

 

遅れて来た反抗期じゃね?

木場って真面目だし、ストレス溜まってるんだよ。

少しほっといてやればいいって。

 

モグラさんも最近様子がおかしい。

元気がないみたいで、あまり外に出てこなくなった。

以前は外に出たがって引っ込まない位だったのに、今はずっと俺の中で休んでいる。

アーシアちゃんと小猫ちゃんも心配してくれているし、どうしたものか。

 

 

 

 

「おい、瀬尾ってのはお前か?」

 

教室にいると、見慣れない男子生徒から声を掛けられる。

 

「ん? そうだけど……なんかよう?」

 

「生徒会からの呼び出しだ、放課後になったら生徒会室までこい」

 

言うだけ言って、返事も聞かずに立ち去る。

 

「カズキ、お前何かしたのか?」

 

「いや、まぁやったと言えばやったかも」

 

イッセーに言われて、思い当たりを探る。

あの時の説教位しか心当たりがない。

あれの続きか?

よし、逃げよう。

返事はしてないし。

 

「そっか、あんま無茶すんなよ。俺は球技大会の練習に行ってくるぜ!」

 

「昼休みにまで熱心だね」

 

今度学校で行われる球技大会。

オカルト研究部は、その中の部活対抗戦に意欲を燃やしている。

リアス先輩曰く、『やるからには勝つ』だそうだ。

 

俺もリザーバーとして誘われたが、友達と約束したと言って断った。

嘘だけどな!

本番だけならまだしも、練習なんぞしたくない。

 

 

 

この間のお礼に、イッセーにジュースでもやろうかと思い、オカ研を訪ねた。

ドアを開くと、なんか朱乃先輩といかがわしいプレイの真っ最中でした。

ジュースを部屋の床に置き、勢い良く開いたドアをゆっくりと締めて帰ってくる。

そういうのする時は、もう少し分からないようにしてほしい。

 

 

 

放課後になった。

俺は現在、生徒会室に拉致監禁されている。

すっぽかして逃げようと思ったら、副会長の真羅さん(自己紹介してくれた)に発見、連行されてしまった。

どうにも逃げるのがバレていたようだ。

 

「なんで呼び出しを無視して帰ろうとしたんですか?」

 

「行くとは言ってない」

 

「なんで呼び出しを無視して帰ろうとしたんですか?」

 

「返事を聞かないで帰った奴が悪い」

 

「なんで呼び出しを無視して帰ろうとしたんですか?」

 

「……この間の、お説教の続きをされるのが嫌だったからです」

 

怒り方が新しい。

何かこう、崖にジリジリ追い詰められる感じ。

つまり、チョー怖い。

あれ、よく考えたらいつも通りだ。

 

「そんな事しませんよ……今回はこの子の態度が悪かったみたいですし、此方の落ち度ですね。すみません。だから、そんなに怯えないでください」

 

奥でバツが悪そうに顔を背ける男子生徒。

お前も後で怒られるのか。

ざまぁ。

 

「先輩みたいな綺麗な人って、目力強くて迫力あるんですもん」

 

ホントに美人の怒りってタチが悪い。

ていうか、奥の男子が凄い眼でこっちを見てくる。

お前も反省しろよ。

 

「そういうの、誰にでも言ってるんですか?」

 

「え? 何がですか?」

 

お説教の話?

 

「はぁ……とにかく、今回はお願いがあって呼んだんですよ」

 

お願い?

悪魔である先輩のお願いって何さ。

むしろ貴方叶える側でしょう。

 

 

 

 

「つまり、忙しくて出れない生徒会メンバーの代わりにリザーバーとして参加しろ、と」

 

イッセーやそこの男子の様な、新米悪魔同士の交流を持たせたいそうだ。

 

「えぇ。貴方の身体能力の高さはリアスに聞いているし、お願いできないかしら?」

 

「嫌です」

 

ただでさえオカ研のみんなに嘘ついてサボってたのに、そんなことしたら年上組にコロコロされるっ!

 

「てめぇ! 会長がお願いしてるのに、その態度はなんだっ!」

 

そういうお前こそ頼む側のくせにその態度はなんだ。

何故そんなに突っかかってくるのか。

暇? 暇なの?

 

「出来る限り要望は叶えますから……ダメですか?」

 

「……笑わないでくださいよ? じゃあ」

 

(もしリアス先輩達に絡まれた時に、助けて下さい。割と命に関わってくるんです)

 

周りに聞かれるのもあれなので、会長さんの耳元で小声で囁く。

怖がってるのバレたら恥ずかしいし。

 

「くふっ……ふふふ、いいですよ、わかりました。では、お願いしますね?」

 

ひどい、笑われた。

 

「当日までは好きにしていて下さい。特に練習なんかもありませんから」

 

それから生徒会メンバーを紹介してくれた。

あの男子は匙元士郎というらしい。

名前は男らしいな、名前は。

 

やっぱり生徒会メンバーも全員悪魔だった。

やばいな、駒王学園。

完璧に悪魔に支配されてるじゃん。

 

「さて、では行きましょうか?」

 

「へ? 何処にですか?」

 

「決まってます、オカルト研究部にです」

 

帰ります。

 

「椿姫、彼を連れてきて。女性には手荒な真似しないみたいですし」

 

バレテーラ。

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

ふぅ、今日の練習も疲れた。

最近は球技大会に向けての練習漬けだ。

部長はやる気満々で、絶対勝つといっている。

期待に応えるために、俺たちも昼休みだってがんばっている。

 

俺の左腕は、ライザーとの戦いでドラゴンの腕になってしまった。

俺の中のドラゴン、『赤い龍の帝王(ウェルシュ・ドラゴン)・ドライグ』の力を貸してもらうために払った代償。

そのおかげで部長が帰って来たんだから全く後悔はしていないが、流石にこのままでは日常生活に支障を来たす。

 

なので部長と朱乃さんに、俺の左腕のドラゴンの気を定期的に祓ってもらっている。

なんとその方法が、直接指からドラゴンの気を口で吸い出して貰うというモノなのだ!

俺の役得すぎる!!

 

昼休みの終わりに朱乃さんが気を吸いだしてくれていると、そこに突然カズキがやってきた。

カズキはこの光景を見ると、ゆっくりとドアを締めて帰っていった。

 

床にジュースが置いてあるので、差し入れのつもりだったようだ。

なんか勘違いされてないかな、あれ。

 

教室で説明しようとしても、カズキが話を聞いてくれない。

『お前らのプレイとか聞きたくないぞ』って、だからそんなんじゃないってば!

……楽しんでたのは事実だけど。

 

放課後になると、足早に帰ろうとして門の前で女の人に捕まってた。

たしか、生徒会の副会長の真羅椿姫先輩だ。

顔を知らなかったからか、カズキの奴あっさり連行されていったな。

でも、生徒会は悪い話なんて聞かないし、ほっといても大丈夫だよな。

 

今日も部室で集まっていると、突然来訪者が。

先頭のあの人は、支取 蒼那生徒会長!

生徒会のメンバーに……あれ?

なんで、カズキが一緒にいるんだ?

 

「あら、ソーナじゃない。どうしたの? カズキくんまで連れて」

 

彼、また何かやったの?

部長が怪訝な眼を向ける。

部長は最近、カズキの扱いが少しぞんざいだ。

まぁ理由を知ってるだけに、やんわりとしか庇ってやれない。

カズキがライザーを弱らせてくれたのは知ってるんだけどな。

部長も感謝はしてるから、そこまでひどい事をする訳でもないし。

精々お小言を言うくらいだ。

 

なんでも会長、と言うか生徒会メンバーはみんな悪魔だと言う。

会長の家系が、シトリー家という部長の実家と同じ位の名家なんだとか。

生徒会メンバーは、みんな会長の下僕悪魔だそうだ。

 

今回はお互い下僕悪魔が増えたから挨拶に来てくれたらしい。

匙っていういけ好かない奴だが、部長の命令だから少しは仲良くしてやるか。

 

しばらく世間話をした後に、会長から切り出してきた。

 

「今度の球技大会。私たち生徒会も、部活対抗戦に生徒会枠として出場することになったから。カズキくんも手伝ってくれるそうだし」

 

会長がカズキを見ながら言ってきた。

カズキは黙って立っているだけだ。

 

「あら? 私たちが誘ったら、友達に頼まれてるとか言ってなかったかしら?」

 

「えぇ、うちの匙がその友達なのよ」

 

本当か?

俺、あいつらが話してるの見たことないし、昼休みの時も誰とか言ってなかったっけ?

 

「覚悟しておくことね、リアス。優勝は私たちが頂くわ」

 

「私たちは負けないわ、それだけの練習はしてきたもの」

 

お互いに宣誓しあい、会長達は去っていった。

結局カズキは何も話さなかったな。

ってうぉ!?

 

「ふふふ……どうやって説明しようか必死に考えていたのに、そういう事するのね? いいわ、それなら徹底的にやって差し上げますから……」

 

こ、怖い!

朱乃さんからよくわからない波動が出ている!?

 

「ぶ、部長。朱乃さんが……」

 

「しっ!触れちゃダメ、今の朱乃はスイッチ入ってるから。とばっちりがこっちに来るわよ」

 

お互いを抱きしめながら震える俺と部長。

い、いったいどうなるんだ球技大会!?




お腹が痛くて病院に行ったら、『尿膜管遺残』なる北斗神拳の奥義みたいな病気かもと言われました。

そのまま紹介された大きな病院でCTを撮ったら、おへそに菌が入って化膿しただけで心配はないようです。

みなさんも、身体にお気を付け下さい。

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