モグラだってドラゴン名乗っていいじゃない!   作:すこっぷ

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人間頑張れば何とかなりますね。
という訳で投稿です。


22話

「飛ばないんですか、空」

 

「このぐらいはハンデをやらないと、勝負にならないだろう?」

 

ヴァーリさんは地に足を着いたまま、此方にゆっくりと歩いてきた。

俺も合わせてゆっくりと歩き出す。

 

「全く、此処まで壊れちゃって……何処で頭のネジ落としてきたんですか」

 

「そんな事はないさ、俺はいつも通りだ。いつも通り強い奴と戦いたい、それだけだ」

 

一歩ずつ歩みを進めながら、いつものような会話を続ける。

 

「強い奴なんてここにはサーゼクスさん達位でしょ?」

 

「俺の目の前にいるじゃないか、俺の手を離れて禁手にまで至った強者が」

 

少しずつ歩くスピードが上がり、次第に駆け足になる。

 

「目の前にいるのは、いつもあんたに泣かされてた弱っちい人間だ!」

 

「自分をしっかり評価できる奴は、それだけで十分強いのさ!」

 

互いに拳を握り、眼前まで接敵する。

 

「今日は俺があんたを泣かしてやる!」

 

「カズキ! お前は何処まで強くなれた!?」

 

振り上げた拳を、俺たちは同時に振り下ろ–––

 

「なんちゃってぇ!」

 

「何!?ぐっ!」

 

踏み込んだ瞬間、ヴァーリさんの体重を支えている後ろの方の足に細工する。

足裏の土をモグラさんに持ち上げて貰ったのだ。

ここのバランスを崩せば姿勢も崩れる。

 

前のめりになったヴァーリさんの顔面を思いっきり殴り飛ばした。

すぐに態勢を整えられてしまったが、取り敢えず一発入れた。

 

「やっぱ大してダメージないか、貧弱すぎんだろ俺」

 

「いや、今のは驚いた。そうだな、お前はそうやって意表をつくのが得意だった」

 

全力で殴って兜が割れただけ。

それもすぐに作り直された。

自分の非力が嫌になる。

しかも、ヴァーリさんはまだ能力を使っていない。

 

「さて、此方からも行かせてもらうぞ」

 

「全力で拒否しますっ!」

 

地面を殴り、先程テロリストを襲撃した土の獣を繰り出して襲わせる。

んでもって両方の掌からドリルを出現させ、それを連続で射出。

 

大きな土の塊と、無数の掘削金属に襲われようとものともしない。

そんな事は知っている。

土煙と金属音に紛れて、脚のタービンをタイヤ代わりに一気に近づく!

 

向こうからは見えなくても、こっちはモグラさんのナビゲートでバッチリだ。

そのまま突撃して通り抜けざまに一発。

足でブレーキを掛けて、すぐに飛び掛かる。

 

互いの拳が交差する。

ヴァーリさんの右を、左のタービンを回転させて流してそのまま肘を腹に叩き込む。

 

踏み込もうと持ち上げた足を踏みつけ、タイミングのズレた拳をギリギリで避けてから、顎を拳で強打。

 

ヴァーリさんが迎撃しようと身体を此方に向けるが、モグラさんに腰周りまで土を伸ばして貰って固定。

一瞬動きが止まり、拳を後頭部に勢いよく打ち下ろす。

 

「がっ!? く、アルビオン!」

 

『Divide!』

 

やば!

……あれ? 何ともない。

あ、モグラさんの不思議フィールドが護ってくれてるのか。

ホントに凄いな、モグラさん。

ヴァーリさんも驚いている様だ。

 

「まさか、防がれるとは思わなかったな」

 

『流石は【神秘の豊穣土竜】か。こと守護に関しては我等二天龍とすら張り合う』

 

「なら、直接殴ればいいだけだ」

 

いや殴らないでよ、死んじゃうから

モグラさんのお陰で半減能力は効かないみたいだけど、それだけだ。

どうしても攻め手に欠ける。

 

生命エネルギーとかいうのは使えない。

次に使ったら確実に命を落とすと朱乃さんに釘を刺された。

ま、使い方なんてわからないんだけど。

 

悩んでいると、ヴァーリさんから声を掛けられる。

 

「カズキ。俺は、手加減して勝てる男か? 俺は、その程度の男なのか?」

 

「……ずるいなぁ」

 

そんな事言われたら、やるしか無いじゃないか。

モグラさん、また倒れちゃうかもだけど許してね。

 

意識を集中して、気合を込める。

手脚のタービンが回転を始め、エネルギーを生み出していく。

 

「コカビエルを倒した『アレ』か……赤龍帝のブーストなしで通用すると思っているのか?」

 

んなもん知らん。

胸の装甲が開き、そこに内蔵された結晶体からビームが……放たれなかった。

 

そこから出てきたのは、少し小さい光輝くモグラさん。

それが結晶体からポコポコと生み出される。

暫くすると、俺の足下には光るモグラさんで溢れかえった。

 

何このビッ◯リドッキ◯メカ。

メカの素なんて食べてないぞ。

心が癒されちゃうじゃないか。

 

「……何だそれは」

 

ヴァーリさんが怪訝な視線を向けるが、俺に聞かれてもわかりません。

おかしい、シリアスな空気が吹っ飛んだ。

 

このモグラさん達、エネルギーの塊の様だ。

そういやヴァーリさんの翼って……。

あぁ、なるほど。

 

「いくぞモグさんズ! 突撃っ!!」

 

俺の号令に従って、光るモグラさん達は一斉にヴァーリさんに飛び掛った。

何気に空飛んでるのまでいる。

流石モグラさんの分身、ハイスペックだ。

 

「当たると思うか? アルビオン!」

 

『Divide!』

 

大量のモグラさんの半数が消える。

しかしまだ数は十分に多い。

何より、もう届く。

 

「っ!? こいつ、噴出口に!」

 

モグラさんが余剰エネルギーの噴出口に身体をねじ込む。

エネルギーの塊であるモグラさんがそこに入れば、エネルギーを排出出来ず……。

 

ドカン!!

背中の翼が爆発を起こし、大きく体制を崩す。

その隙に残りのモグラさんがヴァーリさんの身体中に貼りつき、そのまま起爆。

 

爆煙が晴れると、鎧が剥がされ地に膝をつくヴァーリさんがいた。

あんだけやってようやくダメージかよ。

こっちはもう無理。

 

「ここまでやれるならもう大丈夫だな……」

 

「はい? 今なんて……っと」

 

あぁ、禁手化も解けてしまった。

何とかグローブ状態を保ててはいるけど、これも長くは持たない。

 

「カズキ! 大丈夫か!?」

 

イッセーが加勢に来てくれた。

てか、もっと早く来いよ。

え? 手を出しちゃいけないかと思った?

なんでさ。

 

「今のは危なかった。アルビオンがモグのサイズを半分にしなかったら、腕や足が吹き飛んでいたかもしれない」

 

ヴァーリさんが手をフルフルと振りながら呟く。

え? あれそんなに凄いの?

よ、よかった防いでくれて。

流石にそこまでする気はないし。

 

「サイズを半分? どういう事だ?」

 

「白龍皇には物を半分にする力が……え〜と、わかりやすく言うとあれだ。ヴァーリさんは、リアス先輩の胸も半分に出来るって事だ」

 

 

 

 

多分、俺のこの一言は言ってはいけなかったんだと思う。

リアス先輩の胸を半分にする。

これは、イッセーには何よりも許せなかったんだろう。

ヴァーリさん、そんな事するなんて一言も言ってないんだけどね。

 

イッセーは怒りに任せてなれなかったはずの禁手になり、ヴァーリさんはヴァーリさんで急激に力の跳ね上がったイッセーに興奮して殴り合い始めるし。

俺はモグラさんをグローブから元に戻して、頭にのせながら体育座りで勝負を見守っている。

俺ってばスゲー蚊帳の外。

 

イッセーがぶっ壊したヴァーリさんのコアを自分の腕に移植したのは驚いた。

あんなことできるんなら、俺らもイッセーから貰ってやってみる?

あ、凄い痛いの? ならいいや。

 

ヴァーリさんが奥の手使おうとした所で、新たな乱入者。

中国チックな防具に身を包んだイケメン。

美猴さんだった。

手を振ってきたから振り返しておいた。

やっほー。

 

ヴァーリさんと何やら話すと、地面に如意棒を突き立てて二人して地面に沈んでいった。

忙しないなぁ、美猴さん。

ヴァーリさんがこっちを見ながら何か言ってたけどよく聞こえなかった。

 

イッセーは追いかけようとしたが、限界だったようで鎧も解除されて地面に倒れこんでしまった。

リアス先輩が駆け寄って抱き上げている。

爆発しろ。

 

「さて、これからどうするかねぇ」

 

アザゼルさんが頭を掻きながら近寄ってきた。

っておい。

 

「ちょ! 腕どうしたの!?」

 

「ちょっとトチってな、自分でぶった切った」

 

「アホかっ! チョロいとか言っといて何してんの!? 油断してんなオッサン!」

 

「あ? 誰がアホだ、俺はきっちり倒したぞ。お前は結局やられてんじゃねぇか」

 

「やられてねぇから、イッセーに乱入されたから無効になっただけだから」

 

「ハッ! 負け犬の遠吠えが聞こえるなぁ〜? 成果が出せなきゃ負けなんだよ、負け犬ぅ〜!」

 

「泣かすぞ、オッサン!」

 

「逆に泣かせてやる、クソガキ!」

 

向こうではイッセーがいい感じに話を締めようとしているのに、こっちでは片腕のオッサンと疲労困憊の高校生が殴り合い。

 

後でグレイフィアさんに怒られました。

ごめんなさい。

 

 

 

 

 

「で、何でまた俺は拘束されてるの?」

 

俺を取り囲むように立つオカ研メンバー。

今日はもう疲れたから休みたいんだけど。

 

「ごめんなさい。疲れてるのはわかるけど、どうしても聞きたい事があって」

 

リアス先輩が申し訳なさそうに聞いてくる。

 

「貴方、本当に何者なの? お兄様と仲が良さそうなのも驚いたけど、堕天使の総督であるアザゼルとも親しいみたいだし」

 

「仲がいいかは置いとくとして。まぁ俺を助けてくれたのって堕天使の人たち、というかヴァーリさんですし、5年くらい一緒にいましたから」

 

「なんで黙ってたの?」

 

いや、聞かれてませんし。

こう言ったら怒るよね、多分。

 

「いや、ほら。悪魔と堕天使って仲が悪いって聞いたし、アーシアちゃんの事もあったから……」

 

まぁ流石にそれで攻撃してくるとかは思わなかったけど。

 

「……ヴァーリを兄と呼んだのは?」

 

「えっと、その……何というか……すみません、言いたくないです」

 

腹立って勢いで言っちゃったとか、恥ずかしくて言えない。

 

「そうよね、ごめんなさい……貴方も気を使ってくれてたのに、聞き方がキツかったわ」

 

ん? なんの話?

と、とにかく勢いで乗り切ろう!

 

「それにほら、俺自身はただの人間ですから!」

 

別に堕天使の言うことは絶対だ〜!

なんて教育もされてない。

 

「だから、その……今まで通りに接してくれると嬉しいな〜って……」

 

あれ? なんでみなさんまた哀しそうな顔を。

ちょ、アーシアちゃんがまた泣いちゃった!?

 

「当然よ。貴方は眷属じゃなくても、大切な友人だもの」

 

「あぁ! 俺だっていつまでもお前と友達だ!」

 

リアス先輩とイッセーの言葉に、周りのみんなもうんうん頷いている。

小猫ちゃんは涙目になりながら俺の手を握ってくれた。

よくわからないが、満足そうだしまぁいいよね。

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

カズキくんが堕天使側の人間。

最初にそう思った時、頭の中が真っ白になって最悪な想像が幾つも浮かんできた。

 

戦闘が終わり、落ち着いた頃に私たちグレモリー眷属はカズキくんに尋ねた。

貴方は何者なのか、と。

何故あんなにアザゼルと親しいのか、と。

 

彼を施設から救出したのは、堕天使陣営だった。

そこで暮らす五年の内に、アザゼルやヴァーリと親しくなっていったのだろう。

 

しかしヴァーリを兄と呼んだ事に関しては、喋りたくないと何も答えなかった。

もしかして、彼は本当にヴァーリの弟さんなのかもしれない。

人間であるから、ルシファーの血族では無く

父違いの異父兄弟になるのか。

 

その兄が誘拐された自分を助けてくれた。

小さいながらにさぞ嬉しかったことだろう。

今まで家族がいなかったのだから、尚更だ。

 

そんな兄が、この様な凶行に出たのだ。

心境として複雑なのだろう。

だからアザゼルに八つ当たりの様に殴りかかったのかもしれない。

 

その後に彼は言った。

『自分はあくまでただの人間』

『だから、今まで通りに接してくれないか』

 

目が、不安を抱えているのがわかった。

彼は、私たちが、仲間がいなくなるのを恐れているのか。

 

なんだ、深く考える必要などなかったのだ。

彼はどこまで行っても彼のままだ。

優しくて、優しすぎる彼のままなのだ。

リアスやイッセーくんの言葉に、みんなも一様に頷いた。

 

小猫ちゃんは、自分の姉も同じ様な形で別れてしまっているので、強く共感したのでしょう。

目に涙を含ませながら、カズキくんの手を強く握ってあげていた。

貴方は一人ではないと言い聞かせるように。

 

でも、一つだけ気がかりがある。

私の父、バラキエル。

5年も堕天使の施設にいたのだ、顔を合わせた事もあるかもしれない。

 

私について、何か言っていたかもしれない。

何か聞いていたかもしれない。

私に優しくしてくれてるのは、それが理由?

 

怖くて聞けなかった。

もしそうだったら、私は……。




感想でも言われましたし、そろそろ勘違いタグ外した方がいいですかね?
無理にそこにこだわる必要もないですし。
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