「と言う訳で、今日からオカルト研究部の顧問になった。アザゼル先生と呼べ、もしくは総督でもいいぜ?」
「【閃光と暗黒の龍絶剣】総督ぅ〜」
「死ね」
「うぉあ!?」
俺のお茶目なジョークにマジギレして、光の槍を投げてきたこの人。
アザゼルさんが駒王学園の教員としてやって来た。
コカビエルやヴァーリの暴走を未然に防げなかった詫びとして、木場やイッセー、ギャスパーの神器の指導をする事になったそうだ。
失くした腕も便利アームを取り付けて問題ないようだ。
ちょっとかっこいいと思ってしまった。
それと、朱乃さんとの会話。
『許すつもりはない』
『母はあの人のせいで死んだ』
『あれを父とは思わない』
……正直複雑だ。
俺も詳しく聞いてた訳じゃないから、内容が掴めない。
俺と接している時のバラキエルさんは、娘を常に気に掛けているいい父親にしか感じなかったんだけどな……。
まぁ詳しくもないのに首を突っ込むのもよろしくない。
こういうのは時間が解決する事もあるとベネムネさんも言っていた。
必要になった時に全力で協力するとしよう。
夏休みが始まってまだ数日。
イッセーに助けてくれと呼び出され、朝早くから悪魔の巣窟になった兵藤家へ訪れた。
兵藤家は魔王の策略により、隣近所を平和的に退去させて地上6階地下3階の豪邸に改築されたのだ。
今ではゼノヴィア以外の女性眷属はみんなここで暮らしている。
ちなみにゼノヴィアは結局俺の家に上がり込んできた。
リアス先輩には許可を貰ったらしい。
その前に俺の許可を取れよ、もういいけどさ。
ゼノヴィアが朱乃さんも誘ったそうだが、断られたと言っていた。
そりゃ断るよ。
「で、この状況は何?」
「あ、かじゅきだぁー!」
「おにーちゃんが来た〜♪」
色々と考えながら移動してきたが、ついに兵藤家に到着。
インターホンを鳴らし、朱乃さんに導かれて部屋に入る。
そこにはオカ研メンバーとアザゼルさん、そして色んな所が縮んだリアス先輩とアーシアちゃんが。
リアス先輩はイッセーに両手でしっかりしがみ付き、アーシアちゃんは何故か俺をお兄ちゃんと呼びながら足に体当たりしてきた。
何があったのよ。
「はぁ、リバウンド」
太るどころかむしろ縮んでますけど。
ダイエットじゃない? 知ってるよ。
アザゼルさんの話を聞いてる間に、イッセーとギャスパーくんが二人と遊んであげているようで、ギャスパーくんが頭に紙袋を被ってリアス先輩とアーシアちゃんを怖がらせてた。
未だにギャスパーくんのキャラがわからない。
いや、女装美少年の時点でキャラは濃すぎるんだけどね。
「で、これから術を解く薬の材料を取りに行く。イッセー、朱乃、カズキも一緒に来い」
朱乃さんもアザゼルさんが苦手みたいだが、リアス先輩の為に渋々頷く。
ちなみにゼノヴィアは残ってギャスパーくんを鍛えるそうだ。
「なんで俺まで。アザゼルさんとイッセーがいれば十分だろう」
というかあんた一人で全部解決出来るじゃ……ん?
「おにーちゃん、いっしょにこないの……?」
ギャスパーくんから逃げてきたアーシアちゃんが、俺の服を掴み涙目で訴えてくる。
しかも上目遣い、卑怯だ。
材料①ミノタウロスの肝
「ほら、鍋の用意が出来たぞ〜」
「野菜も切ってきましたわ」
「わーい」
「おにくー」
「おう、お疲れ。ほれイッセー、早く肉を持ってこい。みんな待ってるぞ」
「なんで人が必死に戦ってる横でアットホームな空間作ってんの!?」
ここはとある国の山奥。
ミノタウロスの肝を手に入れる為にやって来て、現在イッセーが戦闘中。
肝を潰さない為に神器が使えないので、アザゼルさんが貸した剣と盾で頑張っている。
「カズキも手伝ってくれよ!? こいつ何気に強いんだけど!」
「俺は鍋の用意が忙しいから無理」
必要なのは肝だけなので、残りは食べるから俺は鍋の準備中。
何でもここのミノタウロスは絶品だそうなので、材料を無駄にしない為にダシ作りに真剣だ。
イッセーの悲鳴につられてか、ミノタウロスが群れでやってきたがアザゼルさんの指ビームで丸焦げにさせてた。
「丸焦げにしてどうすんの。ちゃんと火力の調節はしなきゃ」
「すまんすまん。ま、イッセーが戦ってるのもデカイから一匹いれば十分だろ」
「注意するのそこじゃねぇー!!」
俺とアザゼルさんの会話にツッコミながら、イッセーはミノタウロスを切り倒した。
本当に美味かった、ゼノヴィアへの土産に少し持って帰ってやろう。
材料②ユニコーンの角
ユニコーンは清楚な処女にしか心を許さない。
漫画やゲームでもよく聞く話だ。
それで朱乃さんが選ばれるのも、まぁわかる。
「で、なんであんな薄い服を着させる。色々と危ないだろ、アレ」
清楚な処女はあんな格好しないと思うの。
「だから悪魔の魔力を抑えるもんだって説明したろ? 朱乃だってお前が褒めたら乗り気になったじゃないか」
「『何着ても似合いますね、危ないけど』って言っただけじゃん。これ褒めたうちに入るの?」
「エロけりゃ何でもいい! 朱乃さん、最高だ!!」
「いっちぇー、すけべ顔ー」
「すけべー」
イッセーのあんまりな言葉に幼女二人が頬を引っ張っていると、ユニコーンが茂みから現れた。
そいつはゆっくりと朱乃さんに近づいていき、油断しきった所を朱乃さんが首筋に一撃。
ユニコーンはあっさりと気絶して、その間に角を拝借した。
角の生え際にまた生えるように特製の薬を塗って任務完了。
さっさと最後の材料集めて家に帰りたい。
モグラさん飽きて寝ちゃったよ。
材料③???
牛、馬と続いたから、肉繋がりで次は豚か鹿かイノシシかと思ってた。
でも、どれとも違う。
大きな翼を目一杯広げ、巨大な口から咆哮をあげる。
どうみても、ドラゴンだよねぇ。
こいつの背中に生える特殊な鱗が最後の材料なんだそうだ。
あぁ、イッセーが子鹿の様に震えている。
あれは怖いよな、仕方ない。
ちびっ子達も怯えて俺と朱乃さんにしがみついている。
うわ、火の玉吐き出してきた!
あれがドラゴンのブレス、初めて見た。
イッセーがひたすらに逃げ回ってる。
「先生っ! 死ぬっ! 俺死んじゃうからぁぁぁ!!」
あ、泣きが入った。
「仕方ないッ!出ろォォォォ!!」
アザゼルさんが指を鳴らすと巨大な魔法時が浮かび上がり、そこから巨大なロボットが現れた。
え〜と、録画録画。
「こいつはサーゼクスに頼まれて、堕天使の科学力を無断で用いて俺が作製したマオウガー! 普段は駒王学園のプール下に格納しているお助けロボだ!」
あ、サーゼクスさんが頼んだのか。
後でこの映像ダビングしとかなきゃ。
「こいつに掛かればそんなドラゴン屁でもねぇぜ! くらえ、ロケットパーンチ!!」
腕が火を噴きながらドラゴン目掛けて飛んでいく。
が、あっさり避けられて腕はそのまま飛んで行って帰って来なかった。
自分の義手は飛ばしても帰ってくるのに、手抜き作業したなアザゼルさん。
さて、録画はもういいかな。
イッセーとアザゼルさんが言い争いしている間に、モグラさんに通訳してもらってドラゴンと交渉。
朱乃さんに頼んで先生が丸焦げにしたミノタウロスの群れを転送して、それと交換で鱗を貰った。
流石ドラゴン、丸焦げでも気にせず食っている。
「ほらイッセー、アザゼルさん。そのポンコツ片してさっさと帰る準備して」
「え? だってまだ鱗が……」
「もう貰ったから早く帰ろう。おチビちゃん達も疲れてるし」
イッセーとアザゼルさんに鱗を貰った事を話して、
『そんな事出来るなら初めからやれよ!』
というイッセーの言葉を無視しながら俺たちは帰路に着いた。
ロリ化した二人を解除用魔方陣の中央に座らせ、採ってきた材料で作った薬を飲ませる。そして、朱乃さんが魔力を送って解除を始めた。
解除は順調に進んでいたが、ゼノヴィアに追いかけられたギャスパーくんが衝突して、イッセーを魔方陣の方に突き飛ばしてしまった。
結果–––
「な、なんじゃこりゃぁぁぁぁ!?」
リアス先輩とアーシアちゃんは元に戻ったが、今度はイッセーが巻き飲まれて幼児化した。
言動はそのままなので、今度は成功したという事なのだろう。
そのショタイッセーにリアス先輩とアーシアちゃんが抱きついている。
元々イッセーを幼児化させたくて試した術なんだそうだ。
「で、朱乃さん。なんで俺の方に手を伸ばしているのかな? ゼノヴィアまでにじり寄るな」
背後から手を伸ばしてきた朱乃さんとゼノヴィアから距離を取りながら問い掛ける。
「いえ、違うのよ? ちょっとカズキくんの小さい頃が見てみたいなって思っただけなの」
「本人の許可を取りましょうよ。拒否しますけど」
「いいじゃないか、減るものじゃないし」
「俺の中の何かは確実に減る。それ以上近付くなら、土産の肉は全部俺が食うぞ」
俺の言葉に一瞬ゼノヴィアが怯んだ。
チャンスだ、この隙に逃げさせて貰う!
その後無事に逃げ切れたかどうかは、また別の話である。
シェムハザさんと、先日のお礼を言いに来たリアス先輩に例の映像を渡してあげた。
後日、シェムハザさんとグレイフィアさんからお礼の品が届いた。
いい事すると気分がいいね。