モグラだってドラゴン名乗っていいじゃない!   作:すこっぷ

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25話

シトリー家の所有している訓練場にやって来た。

モグラさんも昨日外に出られなかった分、朝からやたらと元気だ。

眷属の子たちに昨日の夜から撫で回されて、さっきまでヘトヘトだったけど。

 

会長さんも含めて、みんな学校のジャージ姿だ。

俺も昨日リアス先輩の所にある荷物が此方に送られてきたので、動きやすい服に着替えている。

流石に訓練する気は無かったのでジャージは持ってきて無い。

 

「さて、まず私達がやるのは敵の分析です。もちろんトレーニングも行いますが、今日はこちらをメインで行きます」

 

会長さんがホワイトボードの前に立ち、横には副会長さんが控えている。

会長さんはホワイトボードにグレモリー眷属の名前を書いていき、それぞれを何かの区分に分けて囲っていく。

 

「レーティングゲームでは、それぞれが役割を持ちます。パワー、テクニック、ウィザード、サポート。リアスのチームを区分けすると、こうなります」

 

会長さんがホワイトボードから横に移動すると、それぞれが丸で囲われている。

 

イッセー、小猫ちゃん、ゼノヴィアはパワー。

木場がテクニック。

リアス先輩と朱乃さんはウィザード。

アーシアちゃんがサポート。

 

兼任出来るものには、横に小さく書き足されている。

イッセーの横にはサポートと書かれていた。

力を渡せるんだよね、そういえば。

 

「全体的に見ると、攻撃に重点を置いてますね」

 

「というか、脳筋パーティですよね」

 

なんと言うか、木場が可哀想になる。

俺のあんまりな言葉に、会長さんも苦笑しながら頷いている。

 

「やはり、一番倒したいのは兵藤くんですね」

 

おぉ、イッセーが高評価だ。

 

「姫島さんや木場くんよりもですか?」

 

「ええ。赤龍帝の力も驚異ですが、ムードメーカーの彼を早い段階で潰せれば、士気にも影響が出るでしょう」

 

副会長さんの質問を的確に返す。

うん、士気から崩すとかお嬢様なのに発想がエグいな。

実にやりやすい。

 

「後はルールがどの様なものになるかですが……こればかりは当日にならないと解りませんね」

 

「あ、それなら少し意見が」

 

俺が手を挙げると視線が集まる。

 

「俺があの老害に喧嘩売ったんで、多分俺に嫌がらせしてくると思うんですよ。あの場で発言出来る程度には偉いみたいですし、ルールに口出し位してくるんじゃないですかね?」

 

「え、それってマズくない? ただでさえ戦力差があるのに……」

 

「いや、ホントごめんなさい。でも当日は色んなトコの偉い人達呼ぶって言ってたから、そこまで露骨には出来ないよ。だからその範囲で会長さんに考えて貰えればな〜と……」

 

「そこまで来て人任せかよ」

 

《僧侶》の花戒さんが不安げにしているが、そこまで不利でもない。

妨害があると事前に判れば、逆にそこから何をしてくるか予測する事が可能なのだから。

匙のツッコミなんぞ聞こえん。

 

「多分資料はライザーの時とコカビエルの時ぐらいですよ。あの時は新校舎ぶっ壊したりビーム出したりしましたけど、そこら辺を規制するルールとかありますか?」

 

『ビーム!?』

 

あ、みんなは結界張ってくれてたから見てないんだっけ。

後から映像とか見たのかと思ってた。

 

「そうですね……飛び道具禁止、神器の禁止、高出力の術技の制限、フィールドの破壊制限などは前例があった筈です。あるとしたらこの辺りでしょうか?」

 

「破壊制限なら大当たりだね。イッセーは当然として、朱乃さんの雷撃とかゼノヴィアのデュランダルも出しにくくなる」

 

流石にそこまで馬鹿じゃ無いだろうけど。

ありそうなのは神器の禁止か。

イッセーは弱体化するし、アーシアちゃんは置物になるが、それ以上にこちらの戦力がガタ落ちになるな。

 

その後も色々と意見を出し合いながら、誰と相対するかなどを話した後、各自トレーニングを開始した。

 

 

 

 

会長さんに頼まれて、俺は匙への指導を行うことになった。

モグラさんは頭の上で待機だ。

 

「さて、早速始める訳だが」

 

「おう! よろしく頼むぜ、カズキ」

 

やる気満々に返事をする匙。

 

「取り敢えず基礎……は、時間が足りないんで、いきなり奥義からいくぞ」

 

「は!? ちょ、色々かっ飛ばしすぎだろ!?」

 

「じゃあ早速始めようか、打ち込んでこい」

 

驚愕している匙を放置し、棒立ちになる。

 

「え? ここでいいのか? みんなが周りにいるし危ないんじゃ……」

 

周りを見渡すと、みんながそれぞれのトレーニングを行っている。

でも、別に問題はない。

 

「大丈夫だから、ほら」

 

「お、おう!」

 

匙は真剣な表情でこちらをジッと観察しながら、拳を振り抜く。

それに合わせて腕を顔の前で十字に組み、打撃に合わせて匙の拳を持ち上げながら頭の上方に流す。

 

「はい、これが十字受け。防御に全神経を集中させるから、一発は確実に止められる。ハイ次」

 

両手を前に突き出し、肘を軽く曲げて構える。

 

「これが前羽の構え、空手とかで見た事あるかもな。よし、打ってこい」

 

匙は不思議そうにしながら再び突きを放つ。

今度は腕を円を描く様に動かし、匙の突きを払い退ける。

 

「今のが回し受け。打撃を逸らすのに有効だ」

 

「カズキ……もしかして、これが奥義なのか?」

 

「あん? 当然だろ。イッセーにだって教えてないぞ」

 

匙が拳を握りながらプルプルと震えだす。

しかしそのまま拳を解き、大きく息を吐く。

 

「お前が馬鹿にしてないのはわかる。でも、俺は攻撃を教えて欲しいんだよ」

 

まぁ言うと思ってた。

 

「あのな、『殴る』だけなら誰でも出来るんだよ。そこらのチンピラでも、それこそ動物でも」

 

俺の言葉に何か思う所があるのか、匙は自分の拳を見つめている。

 

「そもそも、大抵の格闘技は『防御』こそが真髄なんだぞ? それにこれは、今回の作戦に必要な技術だろ?」

 

「っそうか! 俺が兵藤と対面している時間が伸びるだけで、勝率が上がるのか!」

 

理解して、目の輝きが戻る。

なんかあれだ、こいつ犬っぽい。

 

「わかったら腰を落として、拳を握ったまま 腕を前に突き出せ。その体勢で俺が戻ってくるまで動くな。腕下げるなよ」

 

「おう!」

 

「それが終わったら足捌き教えるから、サボんなよ〜」

 

休憩所から薪か何かを貰ってこよう。

なけりゃ棒っぽいなにかでも、ってあった。

 

「サジは頑張っていますか?」

 

会長さんがタオルで汗を拭いながら話し掛けてくる。

 

「元々根性ありますからね、何とかなるんじゃないですか?」

 

「その薪は何に使うのですか?」

 

「足捌きを教える為の材料です。教えた通りに動かないと、これの角がちょうど脛にぶつかる様に地面に刺します」

 

俺の言葉に会長さんの頰が引き攣る。

 

「随分とまた嫌らしい……」

 

「痛みが一番早いんですよ、身体に何かを覚え込ませるには」

 

俺なんて美猴さんの要求がどんどん上がってきて、最後の方は熱した鉄の棒でやらされたぞ。

 

文句言ったら

『じゃあ俺っちのやった剣山の方がいいかぃ? あれ、刺さると俺っちでも痛いんだぜぃ……』

と、脛を手で摩りながら言ってきたので黙ってしまったけども。

 

「……ごめんなさい、カズキくん」

 

「はい? 何がですか?」

 

会長さんの方を振り向くと、手に持ったタオルを握り締め俯いている。

 

「本来なら関係ない貴方を巻き込む事自体が間違っているのに、こんな事まで……」

 

「いやいや。今回はどう考えても、会長さんが俺の暴走に巻き込まれてるじゃないですか」

 

ビックリした。

会長さんが俺を巻き込んだと思ってたとは。

あんなんどう考えても、首突っ込んで話を大きくした俺の所為なのに。

 

その後もお互い譲らないので、『お互い様』と言う事で両者妥協した。

薪を持って匙の所に戻ると、人だかりが。

思ったより会長さんと話し込んでいたらしく、膝と腕をプルプルさせながら匙が地面に倒れてた。

ごめんね。

 

 

 

 

「お前さ、修行初日に監督者が監督しないって何なんだよ……」

 

「だから今日の夕食の準備、お前の分も全部俺がやったじゃないか。ほら、デザート付きだぞ?」

 

「お前、俺の事馬鹿だと思ってるだろ?」

 

「え、違うの?」

 

「ぐおぉぉ……腕が痛すぎて殴れないぃぃ……」

 

修行も終わり、今はみんなで夕食。

動けなくなった匙の代わりに、下拵えだけでなく夕飯の調理を全て受け持った。

 

「しかも喜べ、材料があったから今日は中華だ。これだけは自信を持って人に出せる」

 

主に美猴さんとヴァーリさんのせいで。

美猴さんは中華料理が好きで、組み手で負けるとよく作らされた。

ドンドコ負けるから、比例して料理の腕がドンドコ上がっていくのだ。

 

しかもヴァーリさん。

実はラーメンが大好物で、ラーメンの事を語り出すと止まらなくなる。

満足いくまでひたすらにスープを作らされた事もある。

戦う時よりも怖かった。

 

「すごいこのチャーハン……! 綺麗な黄金色で、お米の一粒一粒に卵がコーティングされているわっ!」

 

「この春巻きも美味しい! 皮はパリパリ、中の野菜もトロトロシャキシャキ。いくらでも食べられそう!」

 

「エビチリも美味ぇ! エビがプリプリで、腕が痛いのについ食い続けちまうぜ!」

 

「そしてデザートの杏仁豆腐。上品な甘さで脂でしつこくなった口の中をスッキリとさせてくれる……」

 

みんな口々に褒めながら、オーバーリアクションで箸を進めていく。

うん、なんか料理漫画みたいになってるな。

まぁ、みんな楽しそうに食べてくれてるからいいや。

 

特訓で疲れたのか、料理にはしゃぎ過ぎたのか。

食事と入浴を終わらせると、みんなすぐに床に入った。

今日は夜の訓練は行わないようだ。

 

この日を最後に、期間中は料理をさせて貰えなくなった。

手伝おうとするとみんなして止めるのだ。

匙に聞いたら、どうにも体重計が怖くなったそうだ。

中華って脂凄いもんね、ごめん。

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

今度のシトリー眷属とのレーティングゲーム。

カズキ先輩とも戦う事になってしまった。

そのせいで暫くモグさんとも離れ離れです。

少し寂しい。

 

いや、そんな事を言っていられない。

何しろあのカズキ先輩と戦うのだから。

普段は面倒くさがりで、イッセー先輩と一緒にふざけたりしてるけど、困ってると気にしてくれる、優しい人。

 

ライザー戦の時では一人で敵の半数を打ち倒し、あの堕天使の幹部であるコカビエルをほぼ一人で打倒した凄い人。

 

部長は

『ソーナは計算し尽くされた凄い作戦を考えてくるけど、彼は予想外過ぎて何をしてくるか分からない』

と言っていた。

 

『考えるだけ無駄だ、その場その場で対処しろ』

アザゼル先生もイッセー先輩に対処を聞かれ、そう答えていた。

 

アザゼル先生に言われた強くなる方法。

『自らを晒けだせ』

「自分を受け入れろ』

 

私の中に眠る【猫魈(ねこしょう)】の力。

姉様が溺れた、恐ろしい力。

私はこの力が怖くて堪らない。

もし扱いを間違えれば、周りの人たちを傷付けるかもしれない。

姉様のように暴走するかもしれない。

 

だから、この力は使いたくない。

使わないでも強くなってみせる。

強くならなくちゃいけない。

ただでさえ私は、リアス部長の眷属の中で一番弱いのだから。

 

アザゼル先生にメニューは貰っているけど、これをこなすだけじゃきっと足りない。

メニューの量を増やそう。

力を使わない分、他で補うしかないのだから。

 

もっと修行しないと。

もっと、もっと……!!




カズキ「ちなみに本気で作ると」

アザゼル「うーまーいーぞーっ!!」

カズキ「こうなります」
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