使い魔バトルも書こうとしたけど、入りきらなかったので二つに分けます。
アホを捕まえた後、アザゼルさんとも合流してイッセー達の病室に向かった。
もうみんな回復したようで、イッセーの病室に集まっていた。
取り敢えずゲーム中の行動について、何か言われる前に謝っておいた、
これをしておくだけで相手からの追求が弱まるのだ、確実に先手を取る。
しかし、リアス先輩からは御礼を言われてしまった。
『このゲームで、自分たちの認識の甘さがよくわかった』
『正式なゲームの前に学べて助かった』
こんな事を言って頭を下げてきた。
やめろ、普段そんな事しない奴がそういう事すると、俺に被害が来るのは学習済みなんだ。
辺りを警戒しつつ、アーシアちゃんとギャスパーくんに謝罪。
この子達は不意打ちかました所為で、殆ど序盤で退場させたからね。
特にギャスパーくんはデビュー戦だったから余計にだ。
二人とも許してくれたが、ギャスパーくんがやけに怯えている。
嫌われちゃったかなぁ。
木場と小猫ちゃんは満足しているようで、木場には組手でいいから一対一で戦って欲しいと言われてしまった。
メンドイと言ったら肩を落として落ち込んでしまったが。
だって痛いの嫌いだし。
ゼノヴィアには試合についてやたらと文句を言われた。
今度なんでも好きな物を作ってやると言ったら顔が輝きだしたけど。
今はアーシアちゃんと何が良いか話し合っていた。
チョロい。
朱乃さんから謎のオーラが立ち込めている。
怖い。
「あの……カズキくん?」
「はい? 何ですか朱乃さん」
オーラを引っ込めて、朱乃さんが何やらモジモジしながら話しかけてきた。
何で顔赤くしてんの?
「あの……試合前に言っていた、大事な話って何でしょうか?」
しまった、アザゼルさんに言われたのに言い訳考えとくの忘れた。
何でもないですとか言ったら殺されるよね。
「あ〜と……ほら、その……そ、そう! 朱乃さんも一緒に家に住みませんか!?」
うん、我ながら意味がわからんな。
見ろ、朱乃さん以外みんな噴き出したぞ。
「えっと、それは……どういった意味で?」
意味? ないよ、むしろ俺に教えて下さい。
「えっと、ほら! 男女が二人っきりで一つ屋根の下だと世間体悪いし、ゼノヴィアが寝室に侵入しようとしてきて俺の貞操の危機だし、朱乃さんも一緒に住んでくれたら安心かな〜……って……」
うぉぉ……マズイ、適当な事言い過ぎて自分でも訳わかんなくなってきたぁぁぁ!
あぁ、朱乃さんまで溜め息吐いてる!?
「む、子作りはカズキが禁止令を出したから、最近は侵入していないぞ。ご飯抜きはもう耐えられん……」
「てめぇは余計な事言わんでいい」
これ以上混沌とさせないで、後でお菓子あげるから。
「……はぁ……わかりました。お誘い、お受けしますわ。リアス、良いかしら?」
「え、えぇ構わないわ。カズキくん、朱乃をよろしくね?」
え、これでいいの?
やった、なんかよく分からないけど乗り切った!
これでいいのかアザゼルさ……なんで頭抱えてんの?
まぁ一先ずこの話は置いておこう。
匙にやられたイッセーは、リベンジに燃えていた。
新開発した技も出せずじまいだったそうで、大変悔しいそうだ。
その新技にアザゼルさんとサーゼクスさんが興味を示し、イッセーがこの場で披露してくれた。
『乳翻訳』(パイリンガル)
女性の胸に語りかけ、心の内を曝け出させて情報を聞き出す。
リアス先輩やアーシアちゃんの考えている事をズバリ的中させていた。
小猫ちゃんの
『最低です、やさしい赤龍帝じゃなくて……やらしい赤龍帝とか……!』
というツッコミがシュールだった。
なるほど、確かに女性限定では最強だ。
作戦も糞も無くなる。
だがイッセー、そのドヤ顔やめろ。
握り潰すぞ、何処をとは言わないが。
これには下ネタに寛大なアザゼルさんも絶句してしまったが、再起動した後にサーゼクスさんと何かを話し合っていた。
また悪巧みか?
被害を受けるのがイッセーだけなら構わないけど。
ちなみに『乳翻訳』は禁止令が発令された。
当然だ、そんな技使ったら対戦相手がいなくなる。
イッセーはショックを受けていたが、リアス先輩に抱き締められたらだらしない顔をしたまま何も言わなくなった。
平和だなぁ、爆発しろ。
アザゼルさん達と別れて会長さんの所に戻る途中、美人なお姉さんを連れた変な爺さんに絡まれた。
どうも試合を観ていたようで、面白かったと褒めてくれた。
『人間の身で悪魔とつるんで何を望む』
とか聞かれたが、よくわかんないので
『誰も俺に嫌がらせしてこない日常』
と答えたら、何故か爆笑された。
そんなに難しいですか、俺の平穏って。
爺さんは満足したのか、精進しろと言って歩いて行ってしまった。
美人さんもこちらに頭を下げてから、その後に続いて行った。
うん、やっぱ美人はいいね。
心が癒される。
それから数日経ち、リアス先輩達と一緒に人間界に帰ってきた。
夏休みの宿題は既に終わらせているので心配はない。
最後に電車から降りて駅のホームに向かうと、アーシアちゃんがヒョロい兄ちゃんに絡まれてイッセーがそれを庇ってた。
何でもディオドラとか言うらしい。
そういや若手の集まりの時にいた気がする。
地味だから忘れてたわ。
その場は挨拶だけして帰って行ったようだ。
アーシアちゃんに求婚してきたとか言って、イッセーがおかんむりだ。
ならお前が求婚すればいいと言ったら、アーシアちゃんは顔を真っ赤にし、リアス先輩には足を踏まれた。
超痛い。
どうやら、また面倒ごとが増えそうだ。
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夏休みも終わり、学校が始まった。
朱乃さんもウチの生活に慣れたようで、食事は当番制になった。
ゼノヴィアも朱乃さんに触発されたのか、最近は料理に取り組み始めていい感じだ。
出来栄えはアレだが、そこは練習していけばいい。
それまでは俺が責任持って食べるさ。
小猫ちゃんもよく遊びに来るし(モグラさんとだが)、アーシアちゃんもゼノヴィアの部屋によく泊まりにきている。
あれ? なんか俺の家グレモリー眷属に占領されてね?
近頃は悪魔関係の事も特にこれといって起こらず、穏やかな生活を満喫出来ていた。
何やらイッセー達は、セラフォルーさんと冥界で映画の撮影とかあって大変だったようだが。
俺は全力で逃げた上に会長さんにお願いして守って貰い、何とか参加せずに済みました。
後日、その時の映像を見せて貰った。
主役はセラフォルーさんの演じる魔法少女だそうだが、これどう見てもギャスパーくんの方が目立ってるよね。
ギャスパーくんに頑張ってたねと伝えたら、照れながらも喜んでいた。
小猫ちゃんとも仲が良いみたいだし、俺もこのまま仲良くしていきたいな。
それと、イッセーのバカは映画の中で『乳翻訳』を披露して何故かそれが大ウケ。
一部の子供たちから『おっぱいドラゴン』の愛称で親しまれてるとか。
マジで冥界は滅びるんじゃないかな、いっそヴァーリさんと一緒に俺が滅ぼしてしまおうか。
頭にモグラさんを乗せて、そんな物騒な事を考えてながら廊下を歩いていると、前方からイッセーが走ってきた。
「よぉイッセー、そんなに急いで–––」
「おっぱい!」
イッセーはそう言うと、どこかに向けて全力疾走して行った。
「……疲れてんのかな、あいつ」
確かに普段からああいう事に大っぴらな性格だったが、挨拶代わりに『おっぱい』なんていう奴じゃ無かったのに。
ちょっと優しくしてやろうと思っていると、また前からイッセーが走ってきた。
廊下を一周してきたのか?
「なぁイッセー、何か悩みがあるなら–––」
「あのエロ本は俺のもんだっ!」
「俺のだって言ってんだろっ!!」
イッセーの悩みを聞いてみようと思ったら、その後ろからもう一人イッセーが現れて取っ組み合いながら走って行った。
「……ん? 今、イッセーが二人いた?」
何、俺も疲れてんの? 勘弁してよ。
帰りに病院寄らなきゃ。
頭を抱えていると、今度は大量のイッセーが一斉に走ってきた。
「きしょいわ!」
『うわーっ!!』
モグラさんにグローブになって貰って、イッセーのいる所を纏めて《凹》ませて落とし穴に落とす。
全員落ちたのを確認してから穴を覗くと、大量のイッセーは一人残らず消えていた。
衝撃を与えると消えるのか?
《凸》で地面を盛り上げて平らに均す。
ベニヤ板で隠せば完璧だ。
全部イッセーがやった事にしてしまおう。
なんでこんな事になってるのか知らないが、どうせアザゼルさん辺りの仕業だろう。
何故か屋上にコスプレしたアザゼルさんを発見。
複数のイッセーと、他のグレモリー眷属全員に追い立てられて空に逃げようとしてた。
取り敢えず問答無用でアザゼルさんをぶん殴って地面にめり込ませた。
事実確認?
そんなもん必要ない。
経験上、何か変な事があったら大体この人の所為だ。
「で、何でこんな事になった」
「いや、ドッペルゲンガーの研究中にちょうどイッセーがいたからつい実験体に……」
「モグラさん、重石追加」
「キュイ」
「おぐっ!」
俺の指示に従い、モグラさんが作った石畳を正座しているアザゼルさんの膝に乗せる。
既にアザゼルさんの座高を越えそれなりの重量になっているそれに、更なる重石が追加されてアザゼルさんが唸っている。
取り敢えずまだ校舎に残っていた生徒の記憶を操作して、アザゼルさんに記憶を消して貰った。
全部消すと障害が残るらしいので、ドッペルゲンガーの部分だけ消してイッセーに服を脱がされた事はそのままだそうだ。
イッセーは小猫ちゃんに校舎の外に投げ飛ばされ、女生徒に追いかけ回されてるがまぁそこはいい。
俺に被害来ないし。
「で、朱乃さんとリアス先輩の格好は何ですか?」
「色仕掛けでイッセーくんを集めて一網打尽……と、アザゼル先生に言われまして」
「私を人質にすればイッセーが集まるからって先生に言われたのよ」
「モグラさん、二枚追加で」
「キュイ」
「やめ、マジで痛くなってきたんだって!」
何やってんだこの人は。
そんなんで魔王の妹とその配下にコスプレさせんな。
しかもおっさん趣味丸出しとか、恥を知れ。
「ほら、朱乃さんもさっさと着替えて。嫁入り前の娘さんがそんなに肌を晒したらいけません」
俺がそう言うと、リアス先輩が口に手を当てながらニヤニヤしてくる。
「あら、それは『俺以外に見せるな』っていう独占欲? 愛されてるわね、朱乃」
なんでそうなる。
「うふふ♪ カズキくんがお願いしてくれたら、これ位幾らでも着てあげますのに」
マジで!? ……ゲフンゲフン。
「そういうのいいですから。オラ、ゼノヴィアも対抗して脱ごうとするな」
「いや、最近は副部長に押されっぱなしだからな。私もそろそろアピールを始めなければ」
「なんのだよ、いいからさっさと帰るぞ。そこの総督はもうすぐお迎えが来るから放置しといて」
「は!? おま、誰を呼びやがった!」
俺がそう言うと、アザゼルさんは途端に慌てだす。
「トビオさん。久々に連絡ついてね、迎えに来てくれるってさ。お仕置きも頼んどいたからよろしく」
「ふざけんな、俺は逃げ–––」
アザゼルさんは背中の羽を広げて、重石を吹き飛ばして逃げようとするが……
「あ、トビオさんが来た時にその状態じゃなかったらシェムハザさんにも連絡いって、支給されてるアザゼルさんのお金とか諸々止まるからそのつもりで」
俺の言葉を聞いた途端、綺麗な正座に戻った。
そうだ、そうやって大人しくしておけばいい。
一人部室に残される寂しさをアザゼルさんも味わえ。
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「カズキ先輩、トビオさんって誰ですか?」
帰り道、カズキ先輩に聞いてみた。
今日はカズキ先輩の家にお泊りさせて貰う予定なので、朱乃さんやゼノヴィアさんと一緒に帰っている。
「ん? 昔グリゴリでお世話になった人。ヴァーリさんと互角以上に戦える位強くてね、クールでかっこいい人だよ。俺のモグラさんみたいにでっかい犬の神器持っててね、こいつが人懐っこくて可愛いんだ」
カズキ先輩がそう言うと、モグさんが先輩の頭をペシペシ叩き始めた。
嫉妬してるのかな、やっぱりモグさんは可愛い。
しかし、先輩は犬派なのか……なんだろう、少しイラっとする。
「先輩は犬と猫、どっちが好きですか?」
つい聞いてしまった。
深い意味はない、本当に、なんとなくだ。
「ん〜どっちも好きだけど……猫かな、遊んでて楽しいし」
……なんでこんな事で喜んでるんだろう。
よく分からないが、まぁいい。
ゼノヴィアさんは何時も通りだが、朱乃さんが私を見ながらニコニコしてきてなんとなく恥ずかしい。
「でも何で急にそんな……あぁ、小猫ちゃんの事は好きだよ? 俺とモグラさんの大切な友達だもんね」
「……ありがとうございます」
マズイ、猫耳としっぽが飛び出しそうになった。
今猫耳が出たら絶対にピコピコ動く。
先輩に喜んでるのがバレたら恥ずかしくて死んでしまう。
猫耳が出ない様に頭を両手で押さえながらカズキ先輩の方を見てみる。
ゼノヴィアさんに背中から抱き着かれ、朱乃さんにはほっぺを引っ張られている。
二人ともカズキ先輩の事が好きなんだなと伝わってくる。
私はどうなんだろうか?
嫌いではない、それは絶対だ。
じゃあ好きかと言われると、恋愛のソレではないと思う。
以前アーシアさんが、カズキ先輩の事をお兄さんみたいに思っていると言っていたが、私も多分そんな感じだ。
先輩と私は少し似ている。
姉様に裏切られた私と、白龍皇と孫悟空に裏切られたカズキ先輩。
私は悲しくて泣いたり姉様を恨んだりしたけれど、先輩は違う。
裏切られても諦めず、倒してでも取り戻そうと足掻いている。
私も先輩の様になれるだろうか?
今はまだ足手纏いだけど、仙術を鍛えていけばきっと役に立つ事が出来る。
私ももう少し、足掻いてみよう。
先輩は強い、力だけじゃなく心も。
私は、そういう所に憧れているのかもしれない。
そういう事に、しておこう。
一応スラッシュ・ドッグと面識はあります。
トビオさんは任務ばかりでしたが、偶に空いた日があるとヴァーリをあしらいながら面倒を見てくれました。
親戚のお兄さん的な立ち位置でしょうか。
この主人公何人兄貴分がいるんだろう。