モグラだってドラゴン名乗っていいじゃない!   作:すこっぷ

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ついにハイスクールD×D三期始まりました。
タンニーンのおっさんが何処と無く人間っぽいのに驚きました。
もっとドラゴンドラゴンしてるイメージでした。


間話4

今日も今日とてオカ研部室。

小猫ちゃんとアーシアちゃんのお願いで、モグラさんとの芸を披露していると見知らぬお客様がやって来た。

 

その金髪でちょっとキツそうな美人さんは、安倍清芽(あべきよめ)というらしい。

3年なので安倍先輩か。

お兄さんに青い作業着姿の人がいないか不安になるな。

小猫ちゃん曰く、以前イッセーのレンタルを賭けて部活対抗戦をした事があるそうだ。

 

ちなみに今回の用件もイッセーのレンタル。

何でも、父親が勝手にセッティングした見合いをぶち壊したいそうで、イッセーには偽の彼氏役を演じて欲しい様だ。

なんだその恋愛マンガみたいな展開は。

アーシアちゃんが怒ってるのもお約束って奴か。

 

……ん? リアス先輩の反応が鈍い?

何時もなら真っ先にイッセーの所有権を主張するのに……あぁ、そうね。

この間の自分と状況が似てるもんね、怒りにくいし断りにくいか。

まぁ俺は部外者だからな、余計な事は言わないでおこう。

 

「……ところで、先程からモグラと戯れているこの方は? 初めて見る顔ですわね」

 

「その子は瀬尾カズキくん、神器を宿した人間よ。ちなみにそのモグちゃんが神器で……そうよ、イッセーの代わりにカズキくんにお願いしましょう。どうかしらカズキくん?」

 

あ、なんか面倒な気配。

窓から逃げさせてもら……小猫ちゃん、何で俺の服を掴んでいるの?

 

「まだモグさんの芸を全部見せて貰ってません」

 

いや今度見せるから今日は……わかった、わかったからその目は止めて。

 

「彼に? 大丈夫ですの?」

 

安倍先輩がこちらに疑惑の視線を送ってくる。

そうだ、イッセーに頼め。

俺を巻き込むな。

 

「問題ないわ。彼は使い魔ハンターとして有名な、あのザトゥージが認めるほど使い魔に好かれる才能があるのよ。今回の件にはピッタリだわ」

 

「まぁ! それなら問題なさそうですわね。兵藤くんにも興味がありましたが、彼なら依頼を確実に遂行してくれそうですわ!」

 

リアス先輩の言葉に、安倍先輩は手をポンと合わせて嬉しそうに笑っている。

誰だよザトゥージって。

あぁ、あの使い魔の森にいた変態か。

 

「何? あいつそんなに凄い有名な変態なのか?」

 

「変態なのは確定なんだね……」

 

何を言ってるんだ木場。

あの見た目で半ズボン履いてる時点で、変態以外の何者でもないだろう。

 

「というか部長、本当にカズキくんにやらせるつもりですか? それはちょっと……」

 

「そうだ、私も反対だぞ。彼氏の真似事なんぞ」

 

おぉ、朱乃さんとゼノヴィアが反対してくれてる。

頑張って!

でもゼノヴィア。

抱き着く必要はないだろう、離れろ。

 

「あなたたちが反対する気持ちは解るわ。でもね、今回は彼の力が必要なのよ」

 

「それは貴女がイッセーくんを貸したくないだけでしょう、彼は貴女の眷属じゃないのよ?」

 

「何よ、朱乃だってカズキくんを取られたくないから反対してるんでしょう?」

 

「貴女と一緒にしないで、私はあくまで常識の話を……」

 

おや、何やらお姉様方の雲行きが……。

 

「ふぅ、困りましたわね……瀬尾くん、と言ったかしら? どうしてもダメ? 私に出来る事なら何でも致しますわ」

 

「ほぅ……何でも?」

 

あだだ!

朱乃さん、ほっぺが伸びて痛いです。

ゼノヴィア、冗談だから首を絞めるな。

ヘッドロックは色々とマズイ!

 

「まぁ受けてもいいですけど、何をやればいいんですか?」

 

「父が出してきた破談の条件は、陸海空の魔物を使っての三本勝負で二本先取する事。魔物に好かれやすいという貴方なら、きっとやってくれますわ」

 

なるほど、そりゃイッセーには難しいわな。

こいつは何故か使い魔に好かれない。

身体に宿る赤龍帝がうんたらってアザゼルさんが言ってた気がする。

 

「はぁ、でも俺ペットなんてモグラさんしかいないですよ? ゼノヴィアと小猫ちゃんをカウントしてもいい?」

 

ダメ? ですよね。

 

「おい、なんで私をサラッとペット扱いしてるんだ」

 

寝床用意してるだろ?

ご飯用意してるだろ?

偶に一緒に散歩も行ってるだろ?

後は風呂に入れてやったらフルコンプじゃね?

だから痛いって、だから攻撃すんな!

 

「……私は?」

 

「猫耳カワイイし」

 

「……何でしょう、イマイチ嬉しくありません……」

 

小猫ちゃんにもため息吐かれた。

解せぬ。

 

「期限は今度の土曜日なので、それまでに見つからないのなら私のお友達をお貸ししますけど……」

 

明後日か。

ならこの前行った使い魔の森に行って、適当に話を着けて協力して貰おうか。

 

「いいですよ、じゃあ報酬はモグラさんの美味しいご飯で。いいですか、リアス先輩」

 

「えぇ、貴方にやって貰うのだから報酬も貴方が決めて頂戴。面倒かけて悪いけど、よろしくね?」

 

「解りましたわ。其方のモグちゃんのお口に合う様に、特製のお料理を用意させて頂きます。申し訳ないですが、よろしくお願いしますわね?」

 

安倍先輩はそう言いながら頭を下げる。

さて、それじゃあ明日の放課後にでも行ってくるかね。

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

さて、約束の日がやってきた。

俺だけでもよかったのだが、リアス先輩たちも一緒に着いてきてくれた。

リアス先輩は何度も謝ってくれたし、先輩の気持ちも解るので今回は気にしないで欲しい。

 

指定の場所に着いてみると、其処には巨大な庭付きの洋館が。

やっぱお金はある所にはあるんだなぁ。

そんな風に俺が見上げていると、安倍先輩がわざわざ出迎えに来てくれた。

 

案内に従って着いて行くと、何故か屋内プールに到着。

まだお父さんが来ないので、ここで時間を潰して欲しいそうだ。

用意された水着に着替え、プールサイドへ出て行く。

 

ギャスパーくん、なんで君は女性用の水着を着ているんだ?

可愛いから?

そうね、もう似合ってるから君はいいや。

だが木場、お前は頼むからブーメランはやめろ。

 

女性陣も現れて、みんなそれぞれセクシーだったり可愛かったり。

はいはい、朱乃さんもゼノヴィアも似合ってるから。

感想が適当?

そんな露出狂みたいなマニアックな水着を着てくるのが悪い。

 

「それで、瀬尾くんの連れてきた魔物はどちらに?」

 

「あぁ、この石の中にいる。必要になった時に投げれば、出てきて戦うって言ってたよ」

 

安倍先輩に質問され、俺はモグラさんに持って貰っていた青と白の石を手に取って見せる。

アザゼルさんがメチャクチャ実験したがって、守り通すのが大変だった。

モグラさんは持つのを嫌がるが、今は水着だから許して欲しい。

 

「それはまた珍しい種類ですわね、こんなの初めて見ました……流石リアスさんの推薦、期待して良さそうですわ」

 

それはいいんですが、顔が近いです先輩。

ほら、そんなに強く手を握ると後ろの朱乃さんとゼノヴィアに酷い目に遭わされる。

 

朱乃さんはあんな格好をする癖に、男女関係には煩いのだ。

ゼノヴィアはあれだ、なんとなくだろ。

よく考えもせずに子作りとか言い出すバカだし。

 

話はそこで終わり、安倍先輩は父親の帰りがすぐに分かる様にこの場を後にし、俺たちはそのままプールで遊ばせてもらった。

 

所でギャスパーくん、君は吸血鬼なのに水に触れて大丈夫なの?

はぁ、そのデイなんたらってのは流水も平気なんだ。

そういや普通に日光の下歩いてたもんね。

 

しかし君もハイスペック組なのか。

リアス先輩の眷属って、何気にトップレベルの強さなんじゃないか?

普通に遊んでるけど、この人達って実は凄いメンツなんだよなぁ。

 

なんでそこでみんなして俺を見る。

俺が一番規格外?

何をおっしゃる、俺なんてちょっと改造されただけの唯の人間だよ?

お前らの様な、存在自体が反則みたいな奴らと一緒にすんな。

だからなんで溜め息吐くんだよ。

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

そろそろ先輩のお父さんがやって来るそうなので、みんな制服姿に着替えて庭で待つ事になった。

俺は安倍先輩と並んで立っている。

急に空が曇り始めたんだが何故だろう?

 

暫くすると、門から蹄の音を響かせながら大きな何かがやって来た。

やたらとデカイ黒い馬に跨ったガチムチな身体。

頭には何に使うのかわからない角の付いた兜を被り、マントを風でたなびかせている。

なんと言うか、死ぬ時には一片の悔いも残さなそうな人だった。

 

「うぬが我が娘と付き合っているという不届き者か?」

 

いきなり不届き者確定か、なんだこのおっかない人。

馬に跨ったままだから余計でかく見えるな。

 

「そうですわ、お父さま。彼が私の彼氏、瀬尾一輝くんですわ」

 

俺がこの人を見上げていると、俺の腕に安倍先輩が絡み付いてきた。

おっきーなー、やーらかいなー!

背後から殺気を感じるけど、どうせ後で痛い目を見るのだ、今は役得を甘受しよう。

 

「ふむ、中々の闘気を感じる若者よ。よかろう、うぬが安倍家に相応しい婿か否か、このわしが直々に測ってくれようぞ」

 

そう言い放った途端に、何故か先輩のお父さんの背後に光る稲光。

というかこの人いま『闘気』って言ったよね?

絶対魔物使わないで自分で戦った方が強いよね?

 

俺の疑問には誰も答えてくれず、庭に引かれた長方形のバトルフィールドに立たされる。

審判は木場がやってくれるようだ。

何時も面倒ごとを引き受けてるな、木場は。

今度何か奢ってやろう。

 

「わしがまず出すのはこれだ。出てこいッ!」

 

号令に従い現れたのは、一匹の大きな白いゴリラだった。

身体には無数の傷が刻まれており、如何にも歴戦の猛者といった出で立ちだ。

 

「なんか強そうですね、あのゴリラ。何か特別な種類なんですか?」

 

「あれはゴリラではなく雪女……イエティのステファニーですわ。私はその妹のクリスティを使役しています」

 

……は?

今、あのゴリラの事雪女って言った?

 

「おい、あれを雪女というな。男の子は繊細なんだ、絶対にそんな事言っちゃあいけない」

 

俺の熱意が伝わった様で、先輩は首を前後に何度も振って頷いてくれる。

それを確認してから、俺は懐から白い石を取り出してフィールドに投げ込む。

するとその石が激しく輝き始め、光の中から機械の様な白い獅子が現れて雄叫びをあげる。

 

「頼むよ、レオ君」

 

『グオォォォォォンッ!!』

 

「あれが以前言っていた新種の魔物……? 確かに見た事が無いわね、本当に機械みたい」

 

「あれは私が使い魔にしたかった獅子じゃないか! ずるいぞカズキッ!」

 

リアス先輩が呟き、ゼノヴィアが吼える。

いや、そんな事俺に言われても。

レオ君だって、モグラさんのお許しを得て今回に限り力を貸してくれるだけだよ?

 

「ええい、その様な虚仮威しに怯むわしではないわッ! ステファニー、ドラミングからの雪分身だ!」

 

「ホッキョォォオオオオオッ!」

 

先輩のお父さんの指示通り、ステファニーは自分の胸を叩き始める。

それを終えると、今度はフィールドを駆け回りだした。

そしていつの間にか二体、三体とその数を増やしていく。

 

小猫ちゃん曰く、ドラミングには自身の攻撃力を高める効果があり、雪分身は日本アルプスに住むイエティのみが習得できる高度な秘技なんだそうだ。

詳しいね小猫ちゃん、もしかして魔物バトル見るの好きなのか。

そんな解説に耳を傾けていると、フィールドには大量のステファニーが溢れていた。

相手はなかなかやるぞ、頑張れレオ君!

 

「レオ君、『ハイパースキャン』だ!」

 

『グルルッ!』

 

レオ君の赤い目が光り、赤いライトの様な光りを周囲のステファニーに浴びせていく。

レオ君はその中の一体に反応し、飛び掛かって噛み付く。

 

しかし流石はゴリラ。

その力は凄まじく、スグに振り払われてしまう。

それでもやはり効果はあるようで、先ほどの分身は次々に消えていった。

 

「これは……今の光線で、大量の分身から本体を見つけ出して攻撃したのかしら?」

 

「あのライオンさん、あんな事も出来るんですね」

 

朱乃さんとアーシアちゃんが話している間にも、戦闘は続く。

ステファニーの猛攻を躱しつつ、爪で引っ掻いたりして攻撃を重ねていく。

 

「ぬぅ、的確に本体を見抜くとはなかなかやりおるわッ! ステファニー、奥の手の『冷凍撲殺棒』で反撃だ!」

 

なんかやたらと物騒な名前が出てきた!?

ステファニーは頷くと、近くに置いておいたバッグからある物を取り出す。

それは甘い香りを放ち、美しい曲線を描いた黄色い果実–––バナナだった。

 

そのバナナを放り投げ息を吹き掛けると、バナナは瞬時に凍りつき凶器へと変わる。

てか、その冷凍ブレスで攻撃してこいよ。

ステファニーは冷凍撲殺棒をキャッチし、それを片手にレオ君に襲いかかる。

アホくさいが、あれで殴られたら痛そうだ、

 

「仕方ない、レオ君! 冷凍撲殺棒を狙って『サークルカッター』だっ!」

 

流石に傷つけるのはマズい、まずは凶器を何とかするんだ。

俺の指示を受け、レオ君は鬣を高速回転させて、発生させた衝撃波? みたいなものを発射。

それは冷凍撲殺棒を確実に捉え、真っ二つに切断した。

それを見たステファニーは、二つになったバナナを握り締めながら泣き出してしまった。

 

「どうやら愛用のバナナを破壊されて、戦意を喪失してしまったようですね。これはもう戦えないでしょう」

 

小猫ちゃん、本当に解説みたいになってるな。

木場がこちらの勝利を宣言し、先ずは一点先取だ。

レオ君はこちらの勝利を見届けると、光になって何処かへ飛んで行ってしまった。

ありがとねー。

 

「グヌヌ、わしから一本取るとはやるではないか。だが、次の海の魔物対決では負けん! プールでの戦いの前に、こちらの魔物を見せてやろう!」

 

再び稲光が走り、その光の中から巨大な鮫の身体に屈強な健脚を身に付けたモンスターが現れた。

……いや、マジもんのモンスターじゃねぇか!

何? 海ってこんなのがいるの!?

もう二度と海水浴なんて行かない!

 

俺が怯えていると、そのバケモノは急にパタリと倒れて動かなくなった。

先輩のお父さんも馬から降りて確認し、木場もまた確認の為に近づいていく。

 

「第二戦、勝者カズキくん!」

 

……は?

何でも、鮫だから常に泳いでいないと死んでしまうんだそうだ。

あんた本当に由緒正しい魔物使いの当主さまですか!?

 

あ、でもこれで三戦目をやる必要ないじゃん。

そそくさと帰ろうとすると、三戦目は勝てば3ポイントというバラエティールールを適用された。

抗議したら身体が内側から爆発しそうなので、仕方なく従う。

 

「最後は互いに魔物の背に乗り、空中決戦を行う。よいな?」

 

先輩のお父さんが大きな怪鳥に乗りながら言ってくる。

嘴デカいな、丸呑みにされそうだ。

 

「よくなくても無理矢理そうするんでしょうに……頼むよ、ユニ君」

 

モグラさんの背中には乗れないので、今回は待機だね。

今度は青い石を近くに放ると、青い身体に白い鬣、そして何より角の代わりにドリルが付いたこれまた機械っぽいユニコーンが現れる。

 

『ヒヒィィィィィンッ!!』

 

ユニ君に跨ると、蹄の音を立てながら空を駆け昇って行く。

俺が跨っても角で刺されないし、人懐っこい。

間違いなく本家のユニコーンよりこの子のほうがカッコイイよね!

しかも彼、空を駆け上がる事も出来るんです。

万能だね。

 

「あらあら、翼も無いのに空を駆ける……本当にメチャクチャですわね」

 

「カズキさんらしいです」

 

朱乃さんが何時もの調子で頰に手を当てながら笑っている。

そんでもってアーシアちゃん、きみ時々俺に対して毒吐くよね?

 

「馬でありながら空を駆けるとは面妖な……だが、その程度では娘をやれんな!」

 

先輩のお父さんが何かの指示を出すと怪鳥が大きく口を開け、そこから巨大な火炎球を吐き出し始めた。

 

「ちょっ街中で何てもん出してんだ!? ユニ君、『ファイヤーウォール』!」

 

俺の言葉に応えてユニ君のドリルが回転し、周囲にピンク色の壁を展開する。

俺たちに向かってきた火球はその壁に全て阻まれた。

民家に当たったらどうする気だったんだ?

 

「娘はやらん! やらんぞぉぉぉ!!」

 

「ダメだ、もう見境なくなってる。ユニ君、叩き落としちゃえ!!」

 

『ブルルッ!』

 

その後はこちらが一方的に攻撃して、ユニ君に叩き落とされた怪鳥が目を回したので戦闘不能。

俺たちの勝ちとなった。

ユニ君もレオ君と一緒で、試合が終わると光に包まれて飛んで行ってしまった。

モグラさんがシッシッとやっていたが、せっかく協力してくれたんだからあんまり邪険にしちゃダメだよ?

 

先輩のお父さんは、やり過ぎた事を安倍先輩に怒られていた。

反省して下さい。

 

「ぬぅ、まさか三本とも取られるとは……見事! 娘との交際を認めよう、婚約の話も無かった事とする」

 

そのセリフを、地面に正座しながら威厳たっぷりに言えるのは凄いと思います。

取り敢えずこれで依頼完了だ。

報酬は後日という事になっているので、今日の所は解散……ん?

 

「瀬尾くん、今日はありがとうございました。おかげで婚約は破談となりましたわ」

 

「よかったですね、俺も役に立てたのならなによりです」

 

俺がそう言うと、先輩は俺の手を取って両手で握りしめてきた。

 

「初めて見る魔物を勇敢に操る姿は、その……ちょっと格好良かったですわ。父も貴方の事を気に入ったみたいですし、よかったら今度御食事でも–––」

 

「あらあら、カズキくん? 今日はお肉が安売りしてましたわね、早く買いに行きましょう?」

 

「そうだぞカズキ、今日は私も手伝う日なんだ。早く家に帰らないとね」

 

先輩の言葉を遮り、朱乃さんとゼノヴィアが腕を絡めてきた。

あ、折られる?

 

「どうやら勝ち目はなさそう、ですわね……

何でもありませんわ、お疲れ様でした」

 

先輩の言葉を聞くと、二人ともそのまま俺を引っ張って行く。

勝ち目って何?

これから俺がやられるお仕置きについてですか?

くそ、そう簡単に殺されてたまるか!

 

「そ、そうだ! 今日はみんなもうちに来ない? 祝勝会って事で俺の得意料理の中華をご馳走しよう」

 

「そう言えばソーナが自慢してたわね、凄い美味しかったって」

 

「いきましょう、是非」

 

リアス先輩の発言を聞いて小猫ちゃんが素早く言葉を続ける。

最近小猫ちゃんのキャラがわからなくなってきた。

 

「そういや匙も言ってたな、ついでに呼んでもいいか?」

 

イッセーも思い出したかの様に呟く。

おう、呼べ呼べ。

狭くなってもいいならな。

 

そうしてみんなでワイワイはしゃぎながら帰路へと着いた。

それぞれが材料を持ち寄り、俺が調理する。

みんなが料理漫画的リアクションを取っていると、遅れて匙と会長さんもやってきた。

 

その時、会長さんからある物が手渡された。

以前御礼にと言っていたお手製のお菓子。

これが俺に悲劇をもたらすのだが……その時の俺はまだ何も知らず、女の子のお手製だとはしゃいでいた。

 

その悲劇については……語りたくない……




遅くなった理由:
ユニコーンの鳴き声がヒヒーンだとカッコ悪い気がして、ずっと考えてた。
それでも他に思い付かなかったのでそのまま投稿。
イミネェ……

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