モグラだってドラゴン名乗っていいじゃない!   作:すこっぷ

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今回話が区切れずちょっと長いです、ご了承下さい。


44話

気が付いたら、前に来たグネグネした空間にいた。

なんで俺ってばこんな所にいるの?

 

『気がつきましたか?』

 

お、この声は石の中の人。

説明プリーズ。

 

『天使になると思ったら、まさか乳神の使いの啓示を受けて神の力まで取り込もうとするとは予想外でした。このままでは、貴方は生物の枠から外れてしまう』

 

え〜と、つまり俺が究極生命体になったって事?

石◯面持ってないし、紫外線も照射されてないんだけど。

てか乳神の使いの啓示って何?

俺そんな卑猥そうな神様の使い知らないよ?

 

『でも安心して下さい、貴方の事は私が何とかしましょう。貴方が倒れると、悲しむ人が沢山いるでしょう?』

 

いやその前に俺の話聞いてよ。

誰よりも先に俺が泣くぞ。

 

『さぁ、後は私に任せて下さい。貴方は貴方の居るべき場所に帰りなさい……』

 

だから説明しろよ、せめて会話をしてくれよ!

うぉ、なんか意識が遠くなってきた……!

 

くそ、覚えとけよ幽霊モドキ!

次ここに来るまでに波◯習得して、お前にオーバードライブしてやるからな!

絶対に泣かしてやるからな!

 

 

 

 

 

「で、また知らない部屋か。いい加減気を失うのに慣れてきた自分がいる」

 

なんだろう、えらく疲れた。

変な夢を見た気がするんだけど、イマイチ思い出せない。

でもすごい理不尽な目にあった気がして、ムカつくのは何故だろう?

 

部屋を見渡すと、テーブルの上に置いてあるカゴの中で寝ているモグラさん。

俺が気絶して目を覚ますと、君も毎回寝てるよね?

いや、負担かけてるから仕方ないんだけど。

 

そして部屋の隅でくっ付いて寝ている、二匹のわんちゃん。

スコルとハティだ。

ここ病院みたいなのに、動物が中にいていいのかね?

 

とにかく説明が欲しかったので、枕元に置いてあったナースコールっぽい物を押す。

すぐに美人のナースさんがやってきて何処かに連絡して暫くすると、サーゼクスさん、ミカエルさんにオーディンさんとお偉方がぞろぞろとやって来た。

ありゃ、このメンツでなんでアザゼルさんがいないんだ?

 

「目覚めてくれて本当によかった、友を失うのは悲しいからね。リアス達も心配していたよ」

 

「貴方の仲間達にも、じき連絡が行くはずです。顔を見せて安心させてあげると良いでしょう」

 

サーゼクスさんとミカエルさんは微笑みながらそう言うと、事件の概要を説明してくれた。

 

あいつの出したミドガルズオルムとか言うドラゴンの模造品は全部討伐され、ロキ本人はロスヴァイセさんに何重にも術封じを掛けられて何処かに幽閉されるそうだ。

まぁそこら辺はオーディンさんが何とかするんだろうし、どうでもいいや。

 

ヴァーリさん達は結局あの場に戻って来ず、親フェンリルごと何処かに行方を眩ませたそうだ。

俺らにロキの事押し付けやがって……今度会ったら文句言ってやる。

 

「さてカズ坊。今回は身内がえらく面倒をかけてしまい、本当にすまなかった。何か詫びをと思うんじゃが、望む物はあるかの?」

 

オーディンさんは一歩前に出ると、頭を下げて謝罪してきた。

まぁ思いっきり身内のゴタゴタに巻き込んだ感じだからな、責任を感じてるのかもしれない。

実際は護衛を厳重にしなかった、こちら側の落ち度な気がしないでもないけど。

でも、望みねぇ?

 

「う〜ん……保留で。困った事があったら頼らせて貰います」

 

こういう事を言われて、パッと思いつく物がない時はこれがいいってベネムネさんが言ってたし。

俺がそう言った途端、オーディンさんの口の端が吊り上がる。

 

「そうかそうか、では次の話じゃ。お主が喰らった『ミョルニル』のレプリカ、あれの賠償についてなんじゃがのぅ?」

 

……ん?

 

「レプリカとはいえ、古より伝わる神々の武具じゃ。貸していたそれを紛失されたとなると、流石にタダという訳にはいかんじゃろう?」

 

あ、これはマズイ気配。

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

「久しぶりの『覇龍』は流石に堪えたな、身体が思うように動かない。まぁ今の俺には相応しい罰だがな、むしろ足らないくらいだ」

 

「そう卑下すんなよヴァーリ、俺っちに言われても複雑だろうがな。それにカズキの症状が改善したって総督から連絡来たんだろ?」

 

「それでも俺たちが重症のあいつを置いて行った事には違いない。今度詫びをしに行かないとな」

 

「ヴァーリ、フェンリルは支配を司るエクスカリバーで制御出来そうです、力はかなり落ちる事になりますが」

 

「それと曹操から『こちらは独自に動く、邪魔だけはするな』って連絡が入ってるわよん?」

 

「そうか……苦労を掛けたなアーサー、黒歌。曹操についても放っておけばいい、掛かってきたら遠慮なくやらせて貰うだけだ」

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

取り敢えず、賠償の方も保留になった。

その件も合わせて貸し借りなしにしようと提案したのに、あの人『それとはまた別問題』といって聞きやしない。

実は『ミョルニル』とかどうでもよくて、俺に面倒を押し付けるのが目的なんじゃなかろうか。

そのうちトイレでひねり出したりしないかな?

 

ちなみにスコルとハティは俺の家で預かる事になった。

今は魔法の力でサイズが小さくなって、大型犬より少し大きいくらいのサイズになってる。

というか連れて行こうとすると牙を剥き出しにして威嚇するから、危険で手出し出来ないそうです。

だから病室なのにここにいたのね。

 

その後もなんとか面倒事を回避しようと交渉してたら、知らせを聞いたイッセー達が病室に飛び込んできて話は終了。

朱乃さんとゼノヴィアなんて、入ってくるなり泣きながら抱きついてくるし。

あのジジィ、これを計算に入れて後から話を切り出しやがったな。

にやけヅラが非常に腹立たしい。

 

ちなみに匙は無理がたたって寝込んでいるそうだ、身体が動かないらしい。

ここにいるそうなので、後でお礼を言いに行かなきゃ。

 

心配してくれる皆に揉みくちゃにされていると、バインダーを手にしたアザゼルさんがやってきた。

 

「おぉ、みんな集まってんな。ちょうどいい、カズキの体調について話がある」

 

あぁ、だからさっきお偉方が来た時にいなかったのか。

 

「その前に労いの言葉とかないのかおっさん」

 

「お前こそ今までお前の身体の検査してやってた俺を労え」

 

「よきにはからえ」

 

「トドメ刺すぞクソガキ」

 

そんないつも通りのやりとりをした後、アザゼルさんはカルテみたいのを見ながら説明してくれた。

 

「結論から言うと、カズキに見られた症状はほぼ改善されてると言っていい。過剰な細胞分裂は以前に比べれば落ち着いてるし、老化した細胞もマルッと入れ替わってやがる。落ちてた動体視力は後で検査しないとわからんがな」

 

マジでか、そういや身体の調子が良い気がする。

アザゼルさんの話を聞いたみんなも、ホッとしたように息を吐く。

心配かけてゴメンなさい。

 

「転生した結果なのか、それともミョルニルを取り込んだからなのか……ホントに驚かせてくれる奴だよお前は」

 

アザゼルさんはそう言いながら俺の頭をガシガシと手荒く撫でてきた。

ええぃ、痛いから止めい!

ちょっと朱乃さん、別に恥ずかしいとかじゃないから微笑ましい視線をこっちに向けないで。

ゼノヴィアも分かったようにうんうん頷いてんじゃねぇ!

みんなも笑うなっ!

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

「なかなか際どかったが……今回もなんとかなったな、サーゼクス」

 

「若い者達の活躍のお陰でね。アザゼル、カズキくんの容態に変化はないか?」

 

「今のところは問題ない、こればっかりは経過を見ないと何とも言えんな。本当に面倒掛けてくれるぜ」

 

「言葉の割には嬉しそうに見えるな、君も素直じゃない。素直にカズキくんの堕天使入りを喜んだらどうだい?」

 

「うっせぇ、カズキが悪魔にならなかったからって俺に当たるな。そういやあいつらにあの話はしないのか? イッセー、木場、朱乃の三人に昇格の話が来てるって聞いたぜ?」

 

「イッセーくん達に昇格して貰いたい気持ちはある、特にイッセーくんは妹と家を継ぐ為にも一応の肩書きは必要になるしね。だが彼らはまだ若い、もう暫くは力をつける事に専念させたいのもまた事実だ」

 

「色々と複雑で魔王様は大変だねぇ、まぁもう少し様子見が必要ってのは俺も賛成だ。それから英雄派についてなんだが–––」

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

みんなが病院に来てから数日後、精密検査も終えて無事に退院できた。

病院まで迎えに来てくれた朱乃さんとイッセー、ついでに一緒に退院した匙も連れて自宅に帰った。

もちろんモグラさんとスコル、ハティも一緒だ。

 

そこには飾り付けられたリビングと豪華な料理、そしてみんなの姿が。

退院祝いで集まってくれたそうで、その光景を見て正直嬉しくてちょっと泣きそうになった。

そして会長さんがお菓子を持ってきてくれたのを見て、本気で泣きそうになった。

命の危機的な意味で。

 

まぁそのお菓子は会長さんお手製の物ではなかったので、結局は特に問題はなかったのだが。

匙も頑張った事を会長さんに褒められて嬉しげだ。

みんなで談笑していると、イッセーが思い出した様に質問してきた。

 

「あ、そうだカズキ。聞きたかったんだけど、 なんで悪魔じゃなくて堕天使を選んだんだ? やっぱアザゼル先生と同じ組織が良かったとか?」

 

「気持ち悪い事言うな」

 

「ぐあぁ! 目が、クッキーの粉が目にいぃぃ!?」

 

イッセーをお仕置した後、みんなも気になっていたらしく矢継ぎ早に質問された。

まぁ深い理由なんてないんだけど。

 

「実は押し入……ゲフンゲフン、保管してあった場所になくてな? 探してる時間もなかったからテーブルに置いてたカードだけ持ってオカ研部室に行ったんだよ」

 

危ねぇ、押し入れって言いかけた。

無くしただけでも問題なのに、押し入れに押し込んだまま放置してたのがバレたらサーゼクスさんにピチュンされる。

いや、その前にリアス先輩に消されるな。

だいたいテーブルに置いてあったトランプも、トランプタワー作って遊んだまま放置してたからだし。

 

「そういう訳で朱乃さんとゼノヴィア、何処にあるか知らない? そんなに大きくないアタッシュケースなんだけど」

 

「私は覚えてないですわね、ゼノヴィアちゃんは?」

 

「私も心当たりが……いや待て、アタッシュケースだと?」

 

朱乃さんは知らないらしいが、どうやらゼノヴィアには思い当たる節がある様だ。

 

「カズキがこの間漬物を漬ける時に重石がなくて、仕方ないから適当に重そうな物を乗せてなかったか? 確かその時にそんな物を見た様な……」

 

あぁ、そういえば重石の代わりに適当に乗せたんだけどバランスが悪くて、アタッシュケースを土台にしてからその上に重い物乗せてったんだっけ。

……うん、誤魔化そう。

 

「戸棚にありました」

 

朱乃さんに場所を聞いたのか、台所からアタッシュケースを持ってやって来る小猫ちゃん。

早い、早いよ小猫ちゃん!

せめて言い訳する時間くらい下さい。

この後、当然リアス先輩と会長さんに叱られました。

 

 

 

 

 

 

「よし行くぞスコル、ハティ……お手!」

 

『ウォフ』

 

「おかわり!」

 

『ウォフ』

 

「ふせ!」

 

『ウォフ』

 

「わたあめ!」

 

『ク〜ン……?』

 

お手、おかわり、ふせと言う連続技にはついてこれたが、伝説の犬の神業は流石に無理か。

どうすればいいのかわからず、二匹が混乱している。

ゴメンね無理言って。

 

パーティーを楽しみつつ新しく家族になったスコルとハティを躾けながら遊ぶ。

あんまり二匹を構い過ぎると、モグラさんと何故か小猫ちゃんまで不貞腐れ始めるので気をつけなければ。

さっき小猫ちゃんに『猫の方が好きって言った癖に……』とジト目で言われて拗ねられて、何かが心に刺さり何とも言えなくなった。

 

「いいなぁ、みんな楽しそうで……それに比べて私は……うぅ……」

 

みんながパーティーを楽しむ中、スーツ姿の美人がソファーに座りながらやさぐれている。

両手でコップを掴み、中身のジュースをちびちびと飲んでいる銀髪お姉さんのロスヴァイセさんである。

 

何でもこのパーティーの準備をオーディンさんに命令され、指示通りに準備を終えたら既にオーディンさんは帰国済み。

早い話が置いてけぼりにされたのである。

幾ら何でも酷過ぎるでしょう、オーディンさん。

どうせアザゼルさんに大人の遊び場に連れてかれて、ハシャギ過ぎてロスヴァイセさんの事忘れたんだろうな。

 

「え〜と……ロスヴァイセさん?」

 

「ねぇこれってリストラ!? 私ってばクビ!? 配属された部署の隅にいた私を拾ってくれたオーディン様に恩を返す為に、今まで必死に頑張って来たのに……こんな仕打ちってないじゃない!」

 

取り敢えず話だけでも聞いてあげようと隣に座ると、持っていたコップをテーブルに叩きつけてから俺の肩を掴んで前後にガクガクと揺さぶりだした。

 

「どうせ私は仕事がデキない女よ! 小娘よ! 彼氏いない歴=年齢の冴えない女よぉぉぉぉぉッ!!」

 

うおぉ!

食ったもんがシェイクされて大変な事に!?

ロスヴァイセさんが飲んでたの酒じゃないよね!?

 

「お、落ち着いて! ロスヴァイセさん綺麗なんだから、彼氏なんてすぐに出来るってば!」

 

「適当な事言わないでぇぇぇ! どうせ私なんか、私なんかぁ…うわぁぁぁん!」

 

掴んでいた肩は放してくれたが、今度はテーブルに突っ伏して泣き始めてしまった。

どうしようかと悩んでいると、ふと小猫ちゃんが先ほど持ってきた《悪魔の駒》が目に入る。

ふむ、折角だから聞くだけ聞いてみようか。

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

うわぁ、ロスヴァイセさん荒れてるなぁ。

今は解放されたけど、カズキが絡まれて大変な事になってたし。

まぁ頑張って護衛してたのに、その護衛対象が自分を置いて勝手に帰ったらああもなるか。

お、解放されたカズキがまた近づいていったぞ、どうする気だ?

 

「ロスヴァイセさん、オーディンさんの所に戻りたいですか?」

 

「うぅ……いまさら戻っても、処罰された上に左遷させられそうだし……」

 

カズキの問い掛けに、ロスヴァイセさんはテーブルに突っ伏したままくぐもった声で答える。

重症だな、こりゃ。

 

「行く所がないなら俺の眷属になりません? サーゼクスさんが『【御使い】のカードは使ったのに、私の渡した駒は使ってくれないのかい……?』って呪詛を吐いてきて困ってたんです」

 

「え……?」

 

「まぁ俺は悪魔じゃないから、駒で転生して貰って形だけの眷属ですけど」

 

カズキはそんなロスヴァイセさんの肩に手を置いて諭す様に話しかけると、彼女は伏せていた顔をあげてこちらを見つめる。

あ、その光景を見た朱乃さんとゼノヴィアの表情が引きつってる。

 

「それにあんなセクハラ爺さんに仕えてたって、どうせ溜まるのは小銭とストレスだけですよ? ロスヴァイセさんはまだ若くて優秀なんですから、幾らでもやり直せます」

 

仮にも北欧の主神に対してなんて事を言うんだこいつは。

まぁ、俺も爺さんって呼んでるし大差ないか。

 

「ですが異国の地に私一人、これからどうすればいいのか……」

 

「仕事が欲しいなら駒王学園で教師として働けるようにリアス先輩と会長さんにお願いしますし、住居もロスヴァイセさんさえ良かったら此処に住めばいい。将来をどうするかは、ここでゆっくり考えればいいんじゃないですか?」

 

「その、お誘いは有難いのですが実家に仕送りもしないといけなくて……」

 

考えが揺らいでいる様で、困惑しているロスヴァイセさんにカズキはさらに言葉を重ねていく。

 

「だったら尚の事うちに住めばいい。家賃なんていらないし、仕事を手伝ってくれれば別途で給金も出しますよ?」

 

「仕事って……貴方はまだ学生でしょう?」

 

「俺ってば冥界のテレビに時々出てるんですけど、アザゼルさんとセラフォルーさんがマネージャーつけろって煩くて。もしやってくれるならこの位は……」

 

カズキは近くに置いてあった紙に数字を書き込んで見せると、ロスヴァイセさんは驚愕した様子でその紙を掴み記入された数字を睨みつける。

 

「え、こんなに!? ヴァルキリーのお給料より断然いい!」

 

「もちろん、教職の妨げにならない程度の仕事量にします」

 

「これだけあれば仕送りもだいぶ楽に……こ、こんな好条件、本当に私でいいんですか!? 」

 

「このパーティーの準備の所為でこんな状況になったんです、責任は取らないと。そして何よりの特典は、今度オーディンさんに会ったら一発殴れる様に協力します」

 

「なります!私、カズキくんの眷属悪魔になりますッ!」

 

最後の一言を聞いた瞬間、即決するロスヴァイセさん。

そんなにオーディンの爺さんの事恨んでたの!?

こうしてカズキによる悪魔の誘惑により、ロスヴァイセさんはヴァルキリーから転生悪魔になった。

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

勧誘に成功して、ロスヴァイセさんが眷属になってくれた。

魔法が得意だと聞いたので、《僧侶》の駒を渡す。

俺の時と同様紅い光が辺りを照らし、駒が消えてロスヴァイセさんの背中に悪魔の羽が現れる。

 

「と言う訳でみなさん、この度カズキくんにスカウトされてヴァルキリーから悪魔に転生したロスヴァイセです。これからよろしくお願いします! カズキくん、オーディン様の件、忘れないでくださいね!?」

 

「アッハイ」

 

どうやらオーディンさんに相当御冠の様だ、目に何か恐ろしいものが宿っている様に見える。

みんなも若干引き気味に笑っているが、朱乃さんとゼノヴィアには頬を引っ張られた。

ひたひれふ(痛いです)。

そんな事をしているとスコルがアタッシュケースを俺の所に持ってきて、ハティが蓋を器用に開けてから一吠え。

 

「もしかして、お前たちも眷属になりたいの?」

 

『ウォフ!!』

 

尻尾をブンブンと振りながら、その通りと言った感じに吠える二匹。

そうかそうか、可愛い奴らめ。

前まで完全な猫派だったけど、こいつらが可愛くてどっちも好きになってしまった。

また小猫ちゃんに拗ねられてしまう。

 

「よしスコル、ハティ。右と左、どっちがいい?」

 

俺はアタッシュケースを開いてそこに並んでいる《騎士》と《戦車》の駒を一つずつ取り出し、左右の手でそれを握り込んでから二匹の前に差し出す。

スコルは右を、ハティは左を選ぶ。

右手には《戦車》、左手には《騎士》の駒が握られている。

 

「じゃあスコルは《戦車》で、ハティには《騎士》の駒をやるからな」

 

俺は二匹にそれぞれの駒を差し出すと、またまた駒が輝き出した。

《騎士》の駒は先程と同じ反応を示すが、《戦車》の方が反応しない。

何故?

 

「《悪魔の駒》は、対象によってその消費するこまの数が変わってくるの。きっと《戦車》一個じゃ足りないのよ、もう一個の《戦車》も使ってみて?」

 

俺が困惑していると、リアス先輩が説明しながら《戦車》の駒を手渡してくれる。

すると今度は《戦車》の駒も同じ様に輝き出し、それぞれスコルとハティの身体に消えていく。

なるほど、こういう仕組みだったのか。

 

「ん? じゃあスコルはハティより強いって事なのか?」

 

「おそらく《騎士》の駒は【変異の駒(ミューテーション・ピース】だったのでしょう」

 

なにそのやたら長い横文字。

朱乃さんが言うには、本来複数駒が必要な者でも一つで済ませられる特別な駒の事だそうです。

つまり当たりくじか、オマケでもう一本的な。

 

そんな話をしていると二匹を包んでいた光が収まり、姿が見えてきたのだが……なんだかおかしい。

ただでさえ元のサイズよりも小さくなっていた二匹は更に縮み、今は柴犬くらいの中型犬サイズになってしまった。

 

「《悪魔の駒》ってアポト◯シンだったのか、今度この子たちに眼鏡と蝶ネクタイを買ってあげないと」

 

「先輩、名探偵じゃありません」

 

知っているのか、小猫ちゃん。

まぁそんなこんなで一日で眷属が三人出来ました、ゲットだぜ!

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

「これがロキを倒したメンバーだよ」

 

「赤龍帝と白龍皇、ヴリトラに聖魔剣、オマケに古き神の武具を取り込んだ正体不明のイレギュラーか。とんでもない組み合わせだ」

 

「特にミョルニルを取り込んだ少年、彼は厄介だわ。単純な力なら曹操がいれば問題ないけど、あの子は何をしてくるのか分からない」

 

「そうだな、ああいうのを敵に回すのが一番怖い。曹操、どうする?」

 

「そうだな……敵にするのが怖いなら、いっそ味方にしてしまえばいい。それが無理でも手はあるさ、それこそいくらでもな」




という訳で《僧侶》にロスヴァイセさん、《騎士》にハティ、《戦車》にスコルが加わりました。
どんなに強くても、スコルとハティはモグラさんの命令には絶対服従です。
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