モグラだってドラゴン名乗っていいじゃない!   作:すこっぷ

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6話

「ふん。いくら神器を持ってるからって、ただの人間が至高の堕天使たる私に勝てるつもり? 」

 

こっちを舐めきって、余裕たっぷりに講釈を垂れ流している堕天使。

たしか、レイナーレとか言ったっけ。

 

「全くこれだから「黙れよ小汚いカラスの癖に」っ! 貴様っ! 今何と言ったっ!! 」

 

ちょっと挑発したらすぐに乗ってきた。

やっぱ三下か。

手を出してもアザゼルさん達には迷惑かかんないよね、多分。

かかってもこいつは潰すけど。

久々に改造人間の本領、見せてやる。

 

「ギャーギャーやかましい。いいからかかって来いよ、全部正面から潰してやる」

 

「人間風情が馬鹿にしてんじゃないわよ! 」

 

激昂したレイナーレが光の槍を投げつけてくる。

何時もなら受け流すんだけど、今日は俺もモグラさんも機嫌が悪いんだ!

 

「なっ! 私の槍がそんなに簡単に!? 」

 

「遅いな、おまけに脆い。やる気あんの? 」

 

右手で掴んでそのまま握り潰す。

この間のおっさんよりはマシだけど、大差はない。

無駄にハイスペックなこの身体の前では、余りにも遅すぎる。

錯乱した様に槍を連続で投げつけてくるが、馬鹿め。

グミ撃ちは負けフラグなんだよ。

 

全部殴り落としながらゆっくり近づいて、一気に踏み込む。

 

「まず一発!! 」

 

その場で悶絶して、膝つきやがった。

休んでんじゃないよ。

 

さて、次はモグラさんの分だ。

さっき一緒に倒す数に入れなかったからちょっと怒ってるけど、その怒りもあいつにぶつけてね?

 

神器に気合いを込めると、右手の甲にある宝玉に《凸》の字が浮かび上がる。

 

「おら、まだ寝るな。次は俺の中の友達の分だ」

 

「な、何言って……ぎゃあっ!? 」

 

レイナーレの言葉を待たずに、俺は右手を地面に打ち付ける。

次の瞬間、レイナーレの真下の地面が隆起して顔面を強打し、その勢いで空中に跳ねあげた。

 

ん?なかなか落ちてこないな。

あいつ、そのまま飛んで逃げる気か?

逃がしはしない。

まだ、兵藤の分が残っているのだ。

 

足下に右手を叩きつけ、今度は自分の足場の地面を隆起させてレイナーレの上を取る。

 

「簡単に逃げられると思ったか? 笑かすな、三下」

 

次は左手に気合いを込める。

浮かび上がるのは《凹》の文字。

そのまま拳をレイナーレの背中に打ち込む。

 

レイナーレが落下していき、地面にぶつかる筈が地面にどんどんとめり込んで行く。

地面に着地した後に、再び右手の力で強引に自分の手前まで無理矢理引き戻す。

打撃のダメージだけでなく、強引な上下の動きにより翼が折れているようだ。

 

「あぐ、がっ……! か、回復が追いつかないっ!? なんで……なんで人間なんか、にぃ……! 」

 

いい具合にズタボロだな。

まだやり足りないが、このくらいにしとかないと。

俺よりも激しく力を、怒りを溜めてるやつが待っている。

 

「兵藤、あとは頼んだ」

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

凄ぇ、瀬尾……。

あのレイナーレの槍を簡単に掴み取ったうえに握りつぶしちまった。

俺は簡単に刺されて殺されかけたのに。

 

連続で投げられても、歩みを止めずに全部正面から叩き潰して、そのまま腹に強烈なのをお見舞いした!

 

『Boost!! 』

 

俺の神器から音声が流れ、俺の中に力が溢れる。

まだだ、まだ我慢するんだ。

今は殴る時じゃない。

 

瀬尾の右手が輝き、その拳を地面に向かって叩きつける。

次の瞬間、地面が盛り上がってレイナーレの顔面を打ち付けてあいつを空に舞い上げた。

 

『Boost!! 』

 

再び俺の神器から響く音声。

俺の中で更に力が湧き上がる感覚が襲ってきた。

今迄と少しだけ姿を変えた俺の神器。

お前も怒ってくれているのか……?

もうすぐだ、もうすぐお前をあの堕天使にぶち込んでやるからな!

 

瀬尾はレイナーレが落ちてくるのを待てないのか、今度は自分の足元を隆起させて空中に躍り出る。

今度は左の拳を輝かせながら、レイナーレの背中に打ち込んで地面に叩き落とした。

 

レイナーレは地面に叩きつけられず、そのまま地面に吸い込まれる様に減り込んで行った。

なんだあれ!? どういう能力だよ!!

あんなに色々出来るのかよ、瀬尾の神器って……?

 

瀬尾が地面に着地して、再び右の拳で床を叩くとレイナーレが人形の様に飛び出て、地面に堕ちる。

脳でも揺れたのか、足下がおぼつかない様でフラフラとしている。

 

カズキは短く息を吐き出すと、此方を振り向いた。

 

「兵藤、あとは頼んだ」

 

「待ってたぜっ!! 」

 

『Explosion!! 』

 

瀬尾に返事をするかの様に、神器からも音声が流れ、今迄感じたことのない力が身体中から一気に噴き出してきた!

 

これなら……やれる!

 

「サンキュー瀬尾。いや、カズキ! これであいつを……殴り飛ばせるっ!! 」

 

「っ! あんたまで!? なんで……なんで下級悪魔がそんな魔力をっ!! 」

 

あいつの言葉を無視して俺は走り出す。

あいつを……俺の友達を殺した堕天使をぶっ飛ばす為に!!

 

「や、やめろぉ……私は、私は至高のっ! 」

 

レイナーレが飛んで逃げようともがき始める。

逃すわけねぇだろうがぁ!!

 

「知るかそんなもんっ! 吹っ飛べクソ天使ぃっ!! 」

 

 

 

 

 

 

 

兵藤の渾身の一撃を受けたレイナーレは、吸い込まれる様に窓から外へと放り出された。

 

「すげぇぶっ飛んでったな、あいつ」

 

ほんの少しだけ気持ちが軽くなった。

ざまぁみろだ。

兵藤が力を出し尽くし、身体が崩れ落ちそうになるが、何処からともなく木場が現れて、兵藤に肩を貸している。

 

「なんだ、木場もいたのか」

 

「ちなみに私達もいるわよ? 」

 

俺が呟きに後ろから返事が返ってきた。

 

驚き振り向くと、オカ研の部長であるリアス・グレモリー先輩が悠然と此方に歩いてきてくる。

少し遅れて姫島朱乃先輩も、何故か巫女服で登場。趣味か?

外からは塔城さんが、気絶したレイナーレを引き摺りながらやって来た。

 

オカルト研究部勢揃いじゃないか。

 

「お久し振りね、瀬尾一輝くん? 」

 

グレモリー先輩がイイ笑顔で言ってくる。

 

「な、なんか怒ってます? 」

 

「あら、別に私達の誘いを散々断っておいて、なんでこんな所に……なんて全然思ってないわよ? 」

 

「じゃあその笑顔を止めてください……」

 

美人の笑顔は凶器なんだぞ、いろんな意味で。

 

「ほらほら部長? 早くイッセー君のところに行ってあげませんと」

 

姫島先輩に促され、納得いかない様な視線を向けながらグレモリー先輩は、兵藤の方へと足を向け移動していく。

 

俺はふいにアーシアさんを見つめてしまう。

 

あんなに優しくて、あんなに明るい笑顔を見せてくれたあの子は、もう動く気配がない。

 

「うふふ、大丈夫」

 

俺の視線に気付いたのか、姫島先輩が話し掛けてくる。

 

「あのシスターは、きっと部長が何とかしてくれますわ。イッセー君と、貴方のお友達ですもの」

 

私達の《王》を信じて、と笑顔で言われてしまった。

ほら、グレモリー先輩これですよ。

美人の笑顔はこうやって使って下さい。




カズキ「シリアスは疲れるからキライ。しかし兵藤凄いな、あんなに強かったんだ」

モグラさん「キュイ! キュキュイ!! 」

カズキ「そうだね、モグラさんも凄かった。だから髪を引き抜かないで、将来泣いちゃうから」

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