モグラだってドラゴン名乗っていいじゃない!   作:すこっぷ

78 / 86
投稿遅れて申し訳ありません。
やっぱシリアスになると筆速がガクンと落ちます。
普段どんだけ頭使わずに書いてるかがバレてしまう。


65話

「……やっぱ相当な数揃えてるな。あれ、全部死神って奴なのか?」

 

「あの趣味の悪い鎌を見る限りそうだろうね。一旦みんなの所に戻ろう、奇襲とか言ってる場合じゃなさそうだ」

 

僕と比較的軽傷で済んだカズキくんは、偵察として駐車場に来ている。

見つからない様に盗み見ると、ローブを着込んだ怪しげな連中が妙な機械の周辺をフラフラと漂っていた。

 

「木場は一旦戻ってて、俺は他の場所をもう少し……」

 

「カズキくん、気持ちはわかるけど駄目だ。体質でケガが治りやすいのは知ってるけど、以前程じゃないし体力が戻るわけでもない。無理をしてキミを失う事になったら、僕たちが全滅する可能性だってあるんだ」

 

「……わかった、ごめん」

 

一人で行動しようとするカズキくんを嗜め、二人でみんなが待つ階層へと移動を始める。

どうも自分を庇って負傷した先生とヴァーリに思う所がある様で、気持ちがはやりすぎている気がする。

これから更に敵の数は増す筈だ、貴重な戦力であるカズキくんを失うわけにはいかない。

はやく本来の彼を取り戻してくれるといいのだけれど……不甲斐ない自分が、本当に情けない。

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

盛大にやらかした。

ついカッとなって暴れ回った上に、俺を庇ったヴァーリさんは身体を毒に侵されてしまった。

イッセー、ゼノヴィア、アザゼルさんはアーシアちゃんのお陰で完治したが、重症の黒歌さんと神の毒とやらに苛まれているヴァーリさんは別室で安静にしてもらっている。

重症の二人は、間違いなく俺のせいで被害を受けた。

 

俺は治癒の速い体のお陰で動き回れる位には回復したため木場と一緒に偵察してたんだが、そこでも木場に窘められてしまった。

情けないなぁ、俺。

……一旦思考を切り替えよう、落ち込むのは後でも出来る。

とにかく今は落ち着いて、状況を整理しよう。

 

偵察している間に色々と話が進んだ様で、どうやらヴァーリさんたちは『禍の団』から裏切り者判定を受け組織からも追われる立場になったらしい。

英雄派の尻拭いをさせられたのか、なんとも不憫な。

まぁ普段から命令無視しまくって世界中を冒険してたみたいだし、目障りだからついでに潰すくらいのノリなのだろうとルフェイが言っていた。

 

オーフィスの現在の力だが、本人曰く『全盛期の二天龍より二回り強い』らしい。

アザゼルさんによるととんでもない弱体化っぷりだそうだが、そんなこと言ったらドライグとアルビオンが泣くんじゃなかろうか。

本当ならもっと弱くなる筈だったけど、別空間に力を逃してたとかでついさっきそれを回収したからこそ、その強さに落ち着いたそうだ。

そして今は、ルフェイが行える転移に同行させる人員を決めている最中だった。

 

「まずはイリナだな、サーゼクスと天界に現状とハーデスのクーデターを伝えてもらう。待ち伏せがいるかもしれんし、護衛としてゼノヴィアに同行して貰いたい」

 

「本心を言えば、残ってみんなと共に戦いたい。しかしデュランダルがこの有様では、最後まで戦い抜けるかもわからないんだ。大人しく指示に従うよ」

 

みんなで話し合い、イリナとゼノヴィアが脱出する事に決まった。

正直レイヴェルちゃんを連れていってあげたかったが、定員が二名ではそれも難しい。

レイヴェルちゃんもそれを理解して自らここに残ると言ってくれた、賢くて優しい子だ。

ゼノヴィアはアザゼルさんの要請に了承した後、こちらに歩み寄ってきて俺の胸へ拳を押し付けてきた。

 

「カズキ、今度は負けるな。お前がいつものお前で居続ければ、絶対に誰にも負けはしない。……死ぬなよ?」

 

「……おう、任せろ。お前も何が待ち伏せてるかわかんないからな、気をつけていけよ」

 

「ああ!」

 

ゼノヴィアからのエールを受け、頭を撫でてやるといい笑顔で返事を返してくれた。

ホントかっこいい奴だよ、お前は。

 

朱乃さんやアザゼルさんと話した後、俺は黒歌さんとヴァーリさんの様子を見るために別室へと移動した。

先に黒歌のいる部屋に向かうと、小猫ちゃんとレイヴェルちゃんが先にやって来ていた。

何故自分を庇ったのかと尋ねる小猫ちゃんと、笑いながら誤魔化す黒歌さん。

そしてその様子を冷静に見つめるレイヴェルちゃん、正直めっちゃ入りにくい。

 

「部屋の前で立聞きしてるマセガキちゃん、そんニャ所にいないで入ってくれば?」

 

バレテーラ。

観念して素直に半開きになっている扉を潜ると、小猫ちゃんが驚いた様にこちらを見てくる。

レイヴェルちゃんも少し驚いた様だが、俺が近づくと脇に逸れてスペースを空けてくれる。

 

「失礼します、体調どうですか? すみません、俺がみんなのペース乱したせいで……」

 

「終わった事はもういいのよん、それにグレモリー眷属の《僧侶》ちゃんに治療してもらったからバッチリにゃん♪ それよりお見舞いの品は?」

 

「俺自身で。ご自由にご利用ください」

 

「あらステキ、爪研ぎに良さそうニャン♪」

 

「調子に乗ってすんませんでした」

 

着いて早々に行われる軽口の応酬に、小猫ちゃんとレイヴェルちゃんは目を大きく見開いて驚いている様だ。

しかし小猫ちゃんは視線を鋭くして、それを俺に向けてきた。

 

「先輩、わたしは今姉さまと真剣な話を……!」

 

「知ってるよ、小猫ちゃんが黒歌さんに聞きたい事も大体わかってる。でもね、この人ツンデレだから本当の気持ちなんて話してくれないって」

 

「ちょっと、勝手にツンデレ認定しないでくれニャい?」

 

黒歌さんの言葉を無視して、小猫ちゃんと会話を続けていく。

 

「私は! 私は、姉さまのせいで辛い目に遭いました……姉さまに置いていかれて、そのせいで周りのヒトからどれだけ酷い事を言われたか……!」

 

「前に話してくれたからね、ちゃんと覚えてるよ。確かに黒歌さんは性格とか性根とか頭とか色々悪い人だけど」

 

「ぶっ飛ばすわよ、がきんちょ」

 

「小猫ちゃんの事だけは大切に思ってるんじゃない? サーゼクスさんに頼んで軽く調べたら、黒歌さんの元主人て腐れ外道だったんだよ。眷属の身内にまで無茶させてたみたいし、そういう事情も知ってあげて」

 

「……姉さま?」

 

「……力を使うのは元々大好きよ? ただあの元バカマスターが猫魈の、私たちの力に興味を持ちすぎたから目障りになっただけ。白音は正直だから、頼まれたら仙術を使って暴走しちゃっただろうし」

 

「おお、ついにデレた! 知ってるか小猫ちゃん、この人実は小猫ちゃんの事大好きなんだぞ? 口ではあんな事言ってても、本心では心配しまくり–––」

 

俺の言葉を遮る様に、魔力的な何かが頬を掠めて飛んで行った。

掠めた頬からプスプスという音と共に、微かな熱を感じ取る。

 

「随分と元気じゃない? 余計な事ばかり喋っちゃう悪い子には、オシオキが必要かニャ〜……?」

 

「俺ヴァーリさんの所も寄って来るから! 小猫ちゃんたち後よろしく!」

 

俺が踵を返して部屋を退出すると、部屋の中から小猫ちゃんとレイヴェルちゃんの笑い声と黒歌の気まずそうな言い訳が聞こえてくる。

それをなんとなく嬉しく感じながら、ヴァーリさんの部屋へと向かう事にした。

 

ヴァーリさんの部屋は、黒歌さんの所から近いのですぐに着いた。

ノックをしてから入ると、ここにも先客としてイッセーが椅子に座っていた。

ヴァーリさんは俺の顔を見ると、なんでもない様に声をかけてくる。

 

「カズキ、お前は無事の様だな」

 

「俺の事より自分の事を心配してよ、原因の俺が言う様な事じゃないんだろうけどさ。ごめん、思いっきり足を引っ張った」

 

「気にするな、下手をすれば即死だってあり得た。魔力でムリヤリ抑え込める俺と違って、お前があの毒を喰らえば致命傷だろう。それに俺もアザゼルとお前をやられて冷静さを欠いた、お互い様という奴だ」

 

俺が頭を下げても、ヴァーリさんはそう言って俺の頭に手を置いた。

ヴァーリさんに頭撫でられるの、いつぶりだっけか?

 

「そういえばカズキ先生がやられた時スゲェ怒ってたよな、『俺の親父になにすんだ〜!』って。やっぱカズキは先生の事、家族だと思ってたんだな!」

 

「思い出させるな! アザゼルさんもヴァーリさんも、黒歌さんだって気を使って触れないでいてくれたのに! お前もさっさと忘れろ、さもなきゃコロス……!」

 

「お、おう……そんなに恥ずかしかったのか……」

 

イッセーはもう少し気遣いを覚えた方がいい、俺の中ではアレはなかった事にされてるんだよ!

ヴァーリさんもそんな顔色悪い癖に笑ってんな、アンタも似た様な事したじゃないか!

どうせ脱出作戦でも大人しくしてる気ないんだから、少しでも回復に専念してよ!

 

どうせ後で朱乃さんとゼノヴィア、そしてその二人からロスヴァイセさんに伝わり、三人にからかわれるのはわかってんだ!

今くらいは忘れさせてくれ……!

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

「イッセー先輩はそこで、カズキ先輩はこっちです」

 

「「了解」」

 

カズキと一緒にヴァーリの所から戻った後、アザゼル先生とリアスが考えた作戦を伝えられた。

この結界を維持している結界装置が複数あるので、それを破壊して一気に突破するというかなり強引な作戦だ。

そこから更にカズキが手を加えて、ついに脱出作戦が始めようとしている。

下準備として俺とカズキは小猫ちゃんの指示に従い、指定された位置にそれぞれ立つ。

 

「……先輩」

 

「んあ? どったの小猫ちゃん、もしかして位置ズレてる?」

 

カズキの隣に立つ小猫ちゃんが、ポツリと言葉を漏らした。

カズキがそれに反応して尋ねるが、小猫ちゃんはゆっくりと首を横に振る。

 

「いえ、姉さまの事です。先輩が出て行った後、少しだけ姉さまとお話し出来ました。昔みたいに、普通の……姉妹みたいに」

 

「……そっか、そりゃ良かったじゃない」

 

「私はまだ姉さまを恨んでいると思うし……正直、嫌いです」

 

小猫ちゃんの言葉を聞き、カズキは何を答えるでもなくただ静かに話を聞き続ける。

 

「でも、助けてくれました。身体を張って、昔みたいに助けてくれたんです。その姿を、私は信じます。少なくとも、ここを出るまでは」

 

「……別に無理しなくていいんじゃない? 嫌いなもんは嫌いでいいんだよ、いきなり昔の事を全部なかった事になんて出来るわけないんだし」

 

カズキの言葉を聞いた小猫ちゃんは、驚いた様にカズキの方を見つめた。

おい、口開いたと思ったらそれか!?

小猫ちゃんが悩み抜いて考えた答えなのに、そんな言い方……!

 

「でも……」

 

「ムリヤリ自分を納得させる必要ないって。どんな理由があっても、小猫ちゃんに碌な説明もせずに勝手した黒歌さんが悪いんだ。それにね、弟や妹ってのは兄貴や姉貴には好きな様に文句言って困らせてやればいいんだよ」

 

俺がいつもそうしてるだろ?

カズキはそう言うと目線を小猫ちゃんに合わせる様に屈み、肩に手を置いて諭す様に言葉を続けた。

どっちかというと、カズキは迷惑掛けられてる方な気もするけど……いや、どっちもどっちか?

 

「そもそも話なんてここを出てから幾らでも出来るんだ、焦って今すぐ答えを出す必要なんてないんだよ。あぁ黒歌さんに何かされたら俺に言ってね、仕返しのイタズラくらいなら一緒にしてあげるから」

 

「……ふふ、そうですね。その時は、是非お願いします」

 

カズキはそう言うと肩に置いていた手を頭まで持っていき、小猫ちゃんの頭をポンポンと軽く叩いた後姿勢を戻し笑いかけた。

小猫ちゃんはしばし呆然としていたが、カズキの顔をジッと見つめてからクスクスと嬉しそうに笑い笑顔を向ける。

その姿がまるで兄弟のようでもあり、友人のようでもあり、何か他の関係にも見えて。

なぜだか、見ていてこちらも笑顔になってしまう。

 

最初は何を言うんだと思ったが、成る程そういう考え方もあるのか。

カズキは時々本当に同い年なのか怪しくなる、というかえらく大人びて見える時があるのだ。

俺もいつか、ああいう台詞が自然と言える様になるんだろうか?

 

「……先輩。ここを出たら、私も先輩たちと一緒に暮らしてもいいですか?」

 

「え、別にいいけど……何故いまそんな死亡フラグを立てる様な事を……」

 

小猫ちゃんの質問に、カズキは困惑しつつ返事をする。

おい、小猫ちゃんが真面目なトーンで喋ってんだから茶々を入れるな。

しかし小猫ちゃんはそんなカズキの目を真っ直ぐ見つめながら、真剣な面持ちでこう告げた。

 

「私、やっぱり先輩のことが好きです。いつも優しくて、楽しくて、ちょっぴりいじわるだけど頼もしい。そして私の事を正面から見てくれてる、そんな先輩が大好きです」

 

「……へ?」

 

……こ、告白だ! マジ告白だっ!

薄々そうなんじゃと思ってはいたけど、まさかこのタイミングで告白するとは!?

そうだ、朱乃さんとゼノヴィアの反応は……笑っている!?

 

余裕の笑み、とは違うな。

素直に歓迎してる、微笑ましいって感じの笑顔だ。

多分この中で一番余裕がないのはカズキ本人だな、他のみんなはわかっていたって反応をしている。

 

「小猫ちゃんが? 俺の事を? モグラさんじゃなく?」

 

「……? 何故そこでモグさんが出てくるんでしょうか?」

 

カズキが予想外の事態に狼狽えている、というかテンパってらっしゃる。

なんか珍しい光景だな、ちょっと笑える。

 

「ああいや、うん。素直に嬉しいんだけど……」

 

「別に今すぐ彼女にして下さい、なんて言いません。私も朱乃さんやゼノヴィアさん、ロスヴァイセさんと同じ場所に立ちたいんです」

 

「えっと、うん。そうかそうか……取り敢えず、これからよろしく? でいいのかな?」

 

「はい、よろしくです♪」

 

カズキは未だに思考が纏まっていない様だが、小猫ちゃんに手を差し出し小猫ちゃんもそれに応えてとっておきの笑顔でその手を強く握り返した。

しかしまぁグレモリー眷属の大半がカズキに惚れてるな、本人に自覚がないけどこのまま俺よりも先にハーレム作るんじゃないだろうか?

カズキの家、ご近所から『ハーレム御殿』って言われてるらしいし。

 

……お、俺にはリアスとアーシアがいるし!

羨ましいとか思ってないからな!

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

「さて、そろそろいいかしら? ルフェイの術式も組み終わったそうだし、始めるわよ!」

 

リアス先輩の掛け声により、ついに脱出作戦が始動した。

小猫ちゃんから衝撃の告白を受けた直後だが、切り替えて今はこっちに集中しよう。

イッセーは自身の駒を《僧侶》に切り替え、いつもの禁手より若干ゴツくなり背中に大きなバックパックと砲身を背負った。

俺はいつもの様に銀色の装甲を纏い、両腕と背中のタービンを回転させながら胸部装甲の奥にあるオレンジの結晶体を露出させる。

 

イッセーは屋上と外の駐車場、俺は直線上にあるホールへとそれぞれ狙いをつけた。

イッセーは砲門が二つあるので、上下に分けて担当してもらう。

正確な位置は小猫ちゃんが仙術で死神の気配を感じ取って教えてくれる、俺だとそこまで正確に捉えられないからすごく助かる!

 

「いいかイッセー、同時に行くぞ!」

 

「応ッ! 派手にいこうぜ!!」

 

二人で声を掛け合い、タイミングを調節する。

結界装置の強度を上げられたとしても、三つ同時に攻撃すれば何処かは耐え切れずに破壊できる筈だ!

 

「「いっけぇぇぇえええっ!!」」

 

気合いと共に、それぞれ標的に向けてビームをぶっ放す!

イッセーの赤いオーラと、俺の放ったビームがホテルの内装を轟音と共に砕いていく。

その砲撃は建物全体を大きく揺らし、打ち終わると共にゆっくりと振動も治まっていく。

最悪建物が丸ごと壊れてもいいと思ったんだけど、ゲオルクが強度調整でもしてたのかね?

 

「結界が揺らいだ! 結界装置が無事破壊されたようです! 転移、いきます!」

 

「みんな、必ず天界と魔王さまに伝えてくるから!」

 

「カズキ! 約束は必ず守れよ!!」

 

イリナとゼノヴィアはそう言うと、ルフェイと共に魔方陣の放つ光と共に転移していった。

結界が完全に解除されないって事は、一個または二個に集中して防御したってことか?

もしくは四つ目の装置があったか?

 

「小猫ちゃん、死神の気配は?」

 

「屋上とホールの気配が消えました! おそらくそこは装置の破壊も成功したんだと思います!」

 

「なら後は駐車場の一つだけか。他に怪しい動きも見られない、それさえ破壊すりゃこっちの勝ちだな!」

 

アザゼルさんは手元に光の槍を出現させ、近くの壁を叩き壊して通路を作る。

そして先ほどまで周囲で様子を伺っていた死神たちが、一斉に動き出した!

さて、こっからが大変だ!

 

「よし! 俺、イッセー、リアスは空の雑魚を蹴散らすぞ! ヴァーリチームと小猫、レイヴェルはその援護! 駐車場の装置はカズキ、朱乃、木場で破壊しろ!」

 

アザゼルさんは槍を死神たちの群れに投擲した後、翼を広げて空を駆けていった。

その後をイッセーとリアス先輩も追い掛け、群がってくる死神たちを次々に蹴散らしていく。

黒歌さんは巨大な防御壁を張って後衛のメンバーを護り、小猫ちゃんとレイヴェルちゃんは未だ全快ではない黒歌さんの身体を支えていた。

 

「あら白音、助けてくれるの?」

 

「……私も助けてもらいましたから。さっきも、昔も」

 

「……そ、じゃあお言葉に甘えちゃう。白音のお友達もありがとニャン」

 

「あなたの為ではありません! 私はイッセーさまから小猫さんのフォローを頼まれたのですから、小猫さんが決めた事を全力でお手伝いするだけです!」

 

黒歌さんは小猫ちゃんの仙術によるフォローと、倒れそうな身体をレイヴェルちゃんに支えられて踏ん張っている。

その後ろからアーシアちゃんは回復の力を矢の形にして前衛の手助けをし、ヴァーリさんは魔力の塊で死神たちを次々に撃ち落としていく。

身体中が毒に蝕まれているのにこの性能、やっぱこの人はとんでもない!

 

「カズキくん、僕らも行こう!」

 

「みんなが敵を引き付けている間に、結界装置を!」

 

「……悪い、先に行ってて! すぐに追い付く!」

 

「カズキくん!?」

 

木場と朱乃さんに呼びかけられたが、その前に行かなければならない所がある。

俺は二人に先に行く様伝えると、木場の呼び掛けを受けつつ走り出す。

そしてすぐに目的の人物を発見し、大きな声で呼び掛けた。

 

「お、いたいた。オーフィス!」

 

「我、呼んだ?」

 

「ああ、お前の力を貸して欲しいんだ」

 

「カズキ、我の蛇、必要? でもあれ、今は作れない」

 

「蛇? ああ、アーシアちゃんのストーカーが持ってた奴か。あんなんいらんよ、オーフィス自身が助けてくれると嬉しい」

 

「……わかった、我、カズキのこと助ける」

 

俺がお願いするとオーフィスはこくりと首を縦に振り、背中へよじ登ってきた。

そのまま背中を登りきり、肩車の体勢になると動かなくなる。

……ああ、イッセーの家で遊んでた時に『移動するときはここに来い』って言ったからか。

突然登ってくるからびっくりした。

 

何はともあれ……最強戦力、ゲットだぜ!

好き放題やってくれた曹操はもういないんだろうが、まぁいい。

まだ英雄派、少なくともあのメガネは残っている筈だ。

覚悟しろよ、英雄派。

俺の八つ当たりは、めちゃくちゃタチが悪いぞ!




うちの主人公の行動原理、殆どが八つ当たりなんだよね。
こいつホントは悪役じゃね?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。