第七偵群が経営する時の奇跡店内で、パソコンを広げて様々な記録を調べていたが、2年前の中国の事件と日本をつなぐ記録は当然のごとく見つからなかった。防衛省の管理している情報を、盗み見たりもしたが何もなかった。
咲夜「軽く、問題になることをしたのに見つからないなんて・・・」
幽香「ハッキングに長けているわけじゃ無いから、難しいわね」
全員がため息を漏らした。
美鈴「そういえば、本部の地下室に管理情報記録室ってのがありましたよね?」
偵察作戦群の建物の地下2階に管理情報記録室と呼ばれる自衛隊の活動記録・偵察作戦群の活動記録を保存する保管庫があるのだ。教官の承認番号が無いと地下に入ることも許されない場所なのだ。
早苗「でも、教官の承認が無いと・・・」
幽香「影涼や慧音に頼むのは・・・怪しまれそうよね」
咲夜「あいつはどうかしら?」
早苗・幽香・美鈴「あいつ?」
村田「えっ?管理情報記録室に行きたい?」
精神保健室でカルテを整理している村田に、4人は承認番号をもらいに行っていた。
咲夜「お願いしてもいいでしょうか?」
村田「そういうのは、お前らの教官の影涼か慧音に頼むべきじゃないのか?」
幽香「いろいろとあるのよ、察しなさい」
村田は、机の引き出しから承認番号の書かれた紙に自分の名前・ハンコを押して咲夜に渡した。
村田「まぁ、知られたくないのだろうな、言っておくが資料の持ち出しは禁止されているぞ、その場で見ることだな」
早苗「あっさり渡してくれましたけど・・・大丈夫なのですか?」
早苗の疑問はもっともだった。管理されている情報室に行くのを簡単に許可をしたのだからだ。
村田「あぁ、まぁ大丈夫だろう、それにあんたたちなら、悪いようにはならないだろうしな」
村田は、カルテ整理の作業に戻った。4人は、お礼を言って管理情報記録室に向かった。
情報管理員「村田三佐からですか?第七偵群の皆さんなら、てっきり影涼二佐か慧音三佐かと思いましたけど・・・」
情報管理員は、怪訝そうな顔つきで分厚い金属の扉を開けた。中に入ると、真っ白な空間が広がった。本棚が無数にある、そのすべてにファイルがぎっしりと整理されていた。
情報管理員「知っていると思いますが、持ち出しは禁止しています。あと、監視カメラでしっかり監視していますので変なことはしないでくださいよ」
4人は、中に入り歩き回っていた。
早苗「すごい広いですね・・・」
咲夜「これが・・・管理された情報・・・」
美鈴「ものすごい数ですね・・・」
幽香「ちょっとそこのあんた」
幽香は、情報管理員を呼びつけた。
幽香「2年前の中国での出来事に関するファイルはあるかしら?」
情報管理員「中国ですか?少々お待ちください」
情報管理員は、走って端末で調べ始めた。
情報管理員「すみません、村田三佐の権限では閲覧は許可できません」
咲夜「はぁ!?何でよ!!?」
情報管理員「国家機密に当たる記録は、特定の階級の方の承認番号が無ければ許可できません」
幽香「特定って・・・どのくらいの階級じゃないとダメなの?二佐?一佐?」
情報管理員「幕僚長・統合幕僚長・防衛大臣・総理大臣の許可が無いとダメです・・・我々が頼むのに最も近いのは神奈子幕僚長のみでしょうね・・・」
4人は、頭を抱えた。雲の上の存在を通さないといけないからだ。
早苗「どうしましょうか・・・」
咲夜「地道に調べましょうか・・・」
情報管理員「あの・・・一体どんな事を調べたいのですか?村田三佐の権限の範囲内で調べますけど・・・」
申し訳なさそうに聞いてくる情報管理員にダメもとで聞いた。
咲夜「影涼教官に関する物はあるかしら?」
情報管理員「影涼二佐ですか!?えーっと・・・第8普通科連隊にいたころの記録でしたら閲覧できますが・・・」
咲夜「それでいいわ」
咲夜達は、第8普通科連隊に所属していた時の影涼の記録を見た。
咲夜「影涼射智河・自衛官候補生で入って活動・・・陸士長でレンジャー資格を取得しスキューバ資格も取得・・・選抜試験合格し三等陸曹昇格・・・」
早苗「三等陸曹に昇格してから第8から特殊作戦群に所属・・・半年の第一空挺団の訓練・・・すごいですね・・・叩き上げですよ」
幽香「苦労しているわね・・・」
美鈴「あれ?第一空挺団の訓練を終えてからの記録は?」
第一空挺団の訓練から先は書かれていなかった。
情報管理員「この先は、国家機密になりますので・・・」
咲夜「国家機密!?影涼教官の記録が!?」
情報管理員「私に聞かれても・・・」
早苗「影涼教官の記録が見れたという事は、慧音教官の記録も見れますか?」
情報管理員「もちろんです」
今度は、慧音に書かれた記録を読み始めた。
早苗「上白沢慧音・防衛大学校卒・航空科第一ヘリコプター団102飛行隊副隊長・・・副隊長!?」
幽香「初めて知ったわ・・・航空科に所属していたんだ・・・でも何で特殊作戦群に?」
咲夜「また、この先が書かれてないのだけれども・・・国家機密なの?」
情報管理員は、何度も首を縦に振った。これ以上の収穫は無いと判断して、4人は管理情報記録室を後にした。階段を上に上っていると村田が待ち構えていた。
村田「見つからなかったようだね・・・一体何を調べているのか聞かせてもらえないかね?」
村田「なるほど・・・影涼と慧音についてね」
精神保健室にある応接室で4人は、L字ソファーに座ってお茶を飲んでいた。村田には中国の事を調べているとは言わずに、影涼と慧音の事を調べていると言った。
早苗「村田さんは何か知っていますか?同じ特殊作戦群の人として」
村田「そりゃあもう、俺と影涼・慧音は3人で1チームだったからな、訓練も共にして、任務も共にしてきたからな」
大げさに両手を上げて身振り手振りをする村田を、横目に咲夜は言った。
咲夜「3人は、いつ出会ったの?」
村田「影涼と出会ったのが特殊作戦群に所属した時だな、慧音とはその2か月後に出会ったよ」
幽香「影涼教官と同じときに所属したの?」
村田「そうだよ・・・びっくりしたよ、自衛官候補生からここまで来れているなんてね~」
咲夜「・・・この前の任務で、李と言う中国人と接触をしました」
咲夜の発言に村田は、急に真剣な表情になった。
咲夜「その男は、影涼教官の事を死なない幽霊と言っていましたが・・・何か知っていませんか?死なない幽霊と言う単語に」
村田「すまない・・・それに関しては、守秘義務が発生する・・・おふざけなしで、君たちに話すことはできない」
村田は、立ち上がり部屋を出た。
松本駐屯地を後にして4人は、時の奇跡に戻って行った。
咲夜「何か知っているのは確かだけれども・・・」
美鈴「聞くのは、不可能ですよね」
早苗「神奈子様から承認番号をもらいに行きますか?現実的では無いですけど・・・」
幽香「・・・本人に聞いても意味は無いよね」
咲夜「まとめると・・・影涼と慧音の特殊作戦群での活動記録などは、すべて国家機密にされている・・・また、影涼・慧音と村田は同じチームで訓練も活動もしていた・・・死なない幽霊と言う単語に関しては、守秘義務が発生・・・調べれば調べるほど謎が深まるわね・・・」
早苗「2年前・・・何があったのでしょうか・・・」
美鈴「これは私が、中央即応連隊にいたころの噂ですが・・・」
美鈴は、偵察作戦群に所属する前は、中央即応連隊に所属していたのだ。ちなみに、早苗と咲夜は、第13普通科連隊、幽香は第306施設隊出身である。
美鈴「2年前、中国に特殊作戦群が秘密裏に潜入したとか・・・」
幽香「それが本当かどうかも判断がつかないわよ?今の情報量だったら・・・」
咲夜「今日は、このくらいにしましょう・・・明日また調べましょう」
咲夜の呼びかけで3人は、頷き店を閉じてそれぞれ帰路についた。時刻はすでに12時を回って深夜の1時だった。咲夜と早苗は帰る方向が一緒だったので一緒に帰っていた。
早苗「何だか疲れましたね・・・」
咲夜「ここに帰ってきてすぐに調べ始めたもんね・・・」
松本駐屯地にヘリで到着してからすぐに影涼の過去について調べていたので、疲労が溜まったのだろう。
咲夜「あ・・・コンビニがあるわね。何か甘いものでも買いに行かない?」
早苗「いいですね」
2人は、最寄りのローソンに向かった。店内に入ってデザートが売られているコーナーに行くと奇妙な光景を、2人は見た。
慧音「やっぱり、アイスはバニラでしょう?」
影涼「アイスって・・・まだ買うのですか!?」
慧音と影涼がいたのだ。よーく見ると、影涼のカゴの中にカップラーメンとポテトチップス(うす塩)・デザート類が各9個ずつ入っていた。慧音は、棚からバニラアイスが乗っているプリンを影涼の持っているカゴの中にいれた。どうやら慧音の買い物らしい。
早苗「影涼さん、慧音さんこんばんわ」
慧音「お?早苗に咲夜じゃないか」
咲夜「すごい買うのですね」
慧音「久しぶりにのんびりできそうだからな」
嬉しそうな慧音と正反対の表情を見せる影涼だった。
早苗「あの・・・どうかしました?」
影涼「何でもないですよ・・・ちょっと疲れているので、家で布団に入って早く寝たのですが・・・いきなり慧音さんが家に入ってきて、叩き起こされて・・・今に至るわけですよ」
早苗「鍵は?」
影涼「ピッキングです・・・完全に不法侵入ですよ・・・」
慧音「何よ?女一人で深夜のコンビニに行けと?」
影涼「だからって、不法侵入ですよ!?」
慧音「仕方ないだろ?携帯の番号が分からなかったんだから・・・」
早苗「え?それってどういうことですか?」
慧音「影涼は諸事情で、携帯を変えているんだよ」
咲夜「前の携帯は?」
影涼「レミリア陸将に預けています・・・あっ!咲夜さんと早苗さんにも私の携帯番号を教えておかないといけませんよね」
2人は、影涼の携帯番号を聞いて登録した。
咲夜「なんでお嬢様に預けているのよ?」
影涼「いろいろとあったのですよ・・・例えば知らない人から電話がかかってきたりね」
影涼は笑いながら話した。咲夜と早苗は、何か引っかかったのか考え込んだ。
慧音「そろそろ私たちは、行くね・・・影涼!朝まで私の部屋で映画を見ようじゃないか」
影涼「神様~私に安堵の眠りを~(涙)」
影涼の首筋を引っ張っていく慧音だった。残された2人は、影涼の涙交じりの助けを呼ぶ声を聴きながら話した。
咲夜「・・・見た感じカップルじゃないの?」
早苗「実際は違いますけど」
咲夜「確かにそうだけど・・・本当に、見た感じカップルでしょ」
外を見ると、逃げようとする影涼を、無理やり車に乗せる慧音の姿が映し出された。影涼の表情はムンクの叫び状態で慧音は、悪魔そのものだった。
早苗「朝まで映画ですか・・・体調を崩さないことを祈りましょう」
咲夜「そういえば、影涼が携帯を変えたって言ってたけど・・・」
早苗「例えば知らない人から電話がかかってきたりねっと言ってましたね」
咲夜「調べる価値はあるんじゃないかしら?」
2人は、とりあえずクレープを買って、コンビニを後にした。
咲夜「とりあえず、明日のやることは決まったわね!」
早苗「影涼さんの預けた携帯を調べるのですね」
咲夜と早苗は、クレープを食べながら家に向かった。