東方武装記録   作:祝神✯

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心を失った心の人形

影涼と窓で話をした後、慧音は外でランニングをしていた。ろくに訓練に参加していなかったので、復帰に当たって少しでも体を慣らすために走っていた。駐車場近くに行くと、村田が手招きをしていた。

 

慧音「なんだ?」

 

慧音は、白いタオルで汗を拭きとりながら、村田が投げ渡してくれた水を飲んだ。

 

村田「少し、ドライブに行かないか?」

 

村田は、高機動車のボンネットにもたれ掛りながら言った。

 

慧音「勝手に高機を使っていいのか?」

 

村田「大丈夫だ、レミリア陸将の許可済みだ。ほら、行くぞ!」

 

村田に誘われるがままに慧音は、助手席に座った。慧音上着を脱いで半袖になった。

 

村田「さーってと・・・どこに行こうかな?」

 

慧音「どうして、いきなりドライブに誘ったんだ?しかも、高機で」

 

村田「お前な・・・町の状況を見ろよ」

 

警察が、避難誘導をしたり、交通整理をしていた。すべて、都市部を離れる形で避難をしているので、村田の運転する高機動車の進行方向には、警察車両か自衛隊車両しか走ってなかった。その反対側の車線は、民間車両で渋滞していた。

 

村田「防衛省が標的と言う事も無いことは無いんだ・・・今や、世界中が広州・南京軍区の宣戦布告に警戒しているようだぜ、重要な施設の半径20キロ圏内は自衛隊以外、無人にするらしいぜ」

 

慧音「忙しいときにドライブなんて・・・そういえば、村田は特殊作戦群に戻るのか?」

 

村田は、ハンドルを強く握って答えた。

 

村田「最初は、戻りたかったが・・・影涼の考え方には、同調できない・・・だから、俺は戻らない」

 

慧音「・・・考え方って・・・影涼の言い分にもちゃんとした」

 

村田「分かっている・・・影涼の言っていることも正しい・・・利用されていようが、こうなった原因を作ったのは、俺たちだ・・・2年前の間違いを正しにいかないといけない責任がある・・・」

 

慧音「村田は、感情だけで反対しているわけじゃ無いんだろう?」

 

村田「今の状況は、2年前と同じじゃないか・・・何かの研究の為に起こしているんだろう?話を聞くと、ラットは、早苗を新しい研究のモルモットにするために、こんな事を起こしているんだろう?今、ここで・・・例え中国に潜入したとしても、奴の思い通りになる・・・」

 

慧音「でも、私たちが行ったとしてもその、研究の結果は不明のまま・・・中国へ行ったらダメなのは、私達じゃなくて早苗じゃないか」

 

村田「問題は、誰かが行くんじゃなくて・・・誰も中国へ行くなという事だ」

 

慧音「アメリカに任せろと?」

 

村田「自分の国の人間がしたことだ・・・親は子供の行動にも責任を持たないといけない・・・自業自得じゃないか?」

 

慧音「・・・でも、ラットと田中が共同でしたんだろ?」

 

村田「田中は、自衛隊を利用しただけだ・・・広州・南京軍区の宣戦布告を誘発したのはラットだ・・・」

 

慧音「・・・そう」

 

村田「慧音は、どうなんだ?影涼についていくのか?」

 

慧音「・・・言わなくてもわかるでしょう?」

 

慧音は、窓の方に目を向けて言った。

 

村田「・・・気持ちは、まだ伝えてないんだろ?」

 

慧音「・・・影涼は、好きな人がいるらしいけど・・・教えてくれなかったわ」

 

村田「・・・あきらめかけているのか?」

 

慧音「そんなわけないじゃないの!あきらめないわよ!!」

 

村田「だったら、しっかり伝えることだな・・・徹夜の映画に誘うんじゃ無くてな」

 

村田は、笑いながらとあるビルの近くまで言った後、展開して来た道を戻って行った。

 

村田「あいつが、恋愛に対して避けているのは知っているか?」

 

慧音「えっ?」

 

村田「何が原因かは知らないが、あいつは避けているんだ・・・もし、本気で影涼の事を想っているんなら、それなりの方法を試せ・・・」

 

慧音「・・・どうして協力的なの?」

 

村田「理由は、すぐにわかるさ・・・慧音、早く伝えて結果を教えてくれよな!もちろん、結婚式をやる際もな!!」

 

慧音「は!?え・・・な・・・結婚!?何を言っているのよ!!!」

 

村田「馬鹿!ハンドルを持つな!!」

 

ふらつきながら、高機動車は、市ヶ谷駐屯地に到着した。辺りは、すでに日が落ちていた。

 

慧音「なんか・・・ありがとうな」

 

村田「あぁ、誘ったのは俺だから、礼を言うのはこっちだ・・・ありがとうな・・・」

 

慧音は、基地に入ろうとしたら、村田に呼び止められた。

 

村田「慧音!」

 

慧音「なに?」

 

村田「絶対に・・・基地から出るなよ」

 

慧音は、疑問になりながらも手を振って応えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

影涼「こんな時に、ドライブって・・・私を殴ったくせにいい度胸な事だ」

 

村田の運転する高機動車に、影涼は乗っていた。慧音を下ろした後、村田は影涼を携帯で呼び、今に至るのだ。

 

村田「お前が、中国へ行こうとするからだ・・・」

 

影涼「考えを改めてほしいから、ドライブに誘ったのか?」

 

村田「イイじゃないか・・・それよりも、お前・・・好きな人がいるらしいじゃないか?」

 

影涼「だから?」

 

村田「教えてくれればありがたいな」

 

影涼「あほか・・・教えるわけないだろう」

 

影涼は、目を瞑って黙り込んだ。村田は、これ以上聞くのをやめた。道路を走行する音だけが響いていた。

 

村田「・・・慧音の事をどう思っているんだい?」

 

影涼「・・・大切な仲間であり・・・私のバディかな・・・慧音さんと組んでいると、なんだか動きやすいのですよ・・・それだけです」

 

村田「初めて出会ったとき・・・お前が慧音に言った言葉を覚えているか?」

 

影涼「また一緒に訓練をしたいですだったかな・・・馬鹿な発言だったよ」

 

村田「でも、軽々しく言ったんじゃないんだろう?」

 

影涼「当たり前だ・・・本心だよ」

 

村田「慧音は大切か?」

 

影涼「大切もなにも、仲間ですよ・・・」

 

村田「あくまでも、仲間か」

 

影涼「それ以上に、一体どんな表現をしたらいいんだよ?」

 

村田「好きな人とか?」

 

影涼「なんでそうなるんだ」

 

素っ気なく影涼は、答えた。

 

村田「この話は、ここで終わろうかな・・・影涼・・・お前に言いたいことがあるから、こうしてドライブに誘ったんだよ」

 

影涼「言いたいこと?中国へ行くなか?」

 

村田「違う・・・もっと、大切な事さ・・・お前にとってもだし、あいつにとってもな」

 

村田は、真剣な表情で影涼に言った。

 

村田「慧音はな・・・お前の事が」

 

突然、フロントガラスが割れて、糸の切れた人形のように村田は、ぐったりとした。

 

影涼「村田!!」

 

影涼は、ハンドルを片手で操作しながら、近くの歩道で停車した。停車してすぐに頭を下げて隠れた。

 

影涼「(最悪だ・・・嘘だろ・・・村田)」

 

村田の眉間には、ぽっかりと穴が開いていた。そこから、どくどくと血が出てきていた。即死だった。影涼は、すぐに頭を切り替えて襲ってきた連中の特定を急いだ。頭を上げようとすると、銃弾が容赦なく襲ってきた。

 

影涼「(いったい誰なんだ・・・ん?あれは・・・)」

 

影涼が、少しだけ顔を出すと、大きな筒状のような物をビルの上から構えている人を発見した。

 

影涼「(M203!!?)」

 

影涼は、すぐに高機動車を出て、転がって離れた。すぐ後ろで、爆発音がした。グレネードが高機動車に命中したのだ。村田の死体もろとも焼けていた。

影涼は、ホルスターから9ミリ拳銃を取り出した。ビルとの距離は40メートル、射程内だが、影涼には撃てなかった。咲夜達みたいに、発砲を許されていないからだ。

 

影涼「こちら死なない幽霊!歴史喰い!!」

 

影涼は、慧音に電話を掛けた。

 

慧音(影涼!どうかしたの!?)

 

影涼「村田が・・・村田が殺された!!」

 

慧音(え!?う・嘘で・・・しょ・・・)

 

慧音が口元を抑えている姿が脳裏を横切った。

 

影涼「すぐに」

 

影涼のすぐ横で、グレネードの弾が爆発した。影涼は爆風で携帯を、排水溝に落としてしまった。

 

影涼「(最悪だ・・・それよりも、あいつら・・・米軍の人間?)」

 

影涼は、物陰に隠れながらビルに近づいて行ったが、M203は容赦なく隠れている影涼を襲っていた。爆風で弾き飛ばされた金属や石ころが弾丸のごとく、影涼の体を掠めていた。影涼は、隙を見ては一気にビルに近づいて行ったが、近くにある物が目に入った。

 

影涼「(プ・プロパンガス!!)」

 

プロパンガスが入ったボンベを積載しているトラックが影涼のすぐ真横に合ったのだ。植木で車両が見えなかったのだ。影涼は、すぐに離れようとしたが、すでに遅かった。M203から放たれたグレネードはプロパンに命中し大きな爆発を起こした。影涼は、爆風でおもっきり飛ばされて路上に投げ出された。

そのあと、すぐに後方から軽装甲機動車が隊列を維持してやって来た。上空には、UH-1Jが飛んでいた。襲った奴は、ビルから脱出してどこかへ行ってしまった。

 

隊員1「大丈夫ですか!!」

 

隊員2「やばいですよ・・・腹がえぐれたような傷です!すぐに運びましょう!!」

 

影涼は、隊員に担架で高機動車に運び込まれていった。中には、衛生科の八意永琳が治療の準備をしていた。隣には、慧音がいた。

 

慧音「影涼!!」

 

永琳「これは、まずいわね・・・麻酔をしてすぐに、体に刺さっている破片を取り除くわよ!!」

 

衛生員「了解!!」

 

慧音は、影涼の右手を握っていた。

 

影涼「む・・・むらた・・・しん・・・で」

 

喉を少しやられたのか、声が極端に小さくかすれていた。

 

慧音「何も話さなくてもいいわ!あとで聞くから・・・だから、今は喋ったらだめよ・・・」

 

慧音は、涙を流しながら言った。影涼は、最寄りの病院に運び込まれ、永琳をはじめとする衛生科の隊員によって集中治療が行われていた。慧音は、ベンチに座って祈ることしかできなかった。知らせを受けた咲夜達もすぐにやってきて、慧音と一緒に座って待っていた。その間、誰も口を開かなかった。早苗は、泣きながら下を向いていた。咲夜はなだめるように早苗の背中に手をまわしていた。幽香は、治療が行われている部屋の扉を見ていた。美鈴は、下を向いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

13時間後・・・治療は終わって扉から永琳が出てきた。

 

永琳「全身、ひどい傷を負っていたわ・・・右腹は特にひどかったけど・・・何とか破片も取り除いたわ」

 

早苗「影涼さんは、大丈夫なんですね!?」

 

永琳「えぇ、完治するのに時間はかかるけど、もう大丈夫よ」

 

永琳の答えに、みんながほっとした。影涼は、5階の病室に運び込まれたらしいので、みんなはすぐに向かった。

 

 

 

 

 

 

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